半導体製造装置 CMP装置・ドライ真空ポンプ・排ガス処理装置
荏原製作所
半導体工場の研磨と排気を担う荏原の精密・電子カンパニー
1912年創業の荏原は、いまや売上の35.7%を、半導体工場向けのCMP装置・真空ポンプ・排ガス処理装置などの精密・電子カンパニーで稼いでいます。
2026年12月期の精密・電子の受注計画5,500億円は前期実績3,034億円の1.8倍で、AI向けの設備投資が業績を押し上げています。
荏原製作所は CMP装置とドライ真空ポンプ を軸にする精密・電子で全社売上の35.7%を稼ぎます。 この事業の 2026年上期の受注 は2,674億円で、売上1,836億円の1.46倍でした。
- 2025年12月期 精密・電子の売上収益 3,422億円 前期比23.0%増。 連結売上収益9,582億円の35.7%
- 2025年12月期 精密・電子の営業利益 577億円 営業利益率16.9%。 報告セグメント利益の49.5%
- 2026年上期 精密・電子の受注高 2,674億円 前年同期比89.3%増。 同期の売上1,836億円の1.46倍
2025年12月期のセグメント別売上収益
- 精密・電子3,422億円
- 建築・産業2,419億円
- エネルギー2,178億円
- 環境979億円
- インフラ571億円
- その他12億円
この会社の要点
01立ち位置
何の会社として比べるか
荏原の半導体事業は精密・電子カンパニーで、2025年12月期は全社売上の35.7%を占める最大の事業です。 受注・売上ともに伸び、2026年は受注5,500億円を計画しています。
2024年12月期から2026年12月期計画までの売上と受注
精密・電子の売上収益
精密・電子の受注高
精密・電子は何を、どこへ売っているか
製品とサービス&サポートの売上
国内と海外の売上比率
CMP装置
CMP(化学機械研磨。 ウェーハ表面を薬液と研磨パッドで磨き、ナノメートル単位で平らにする工程)の装置です。 会社によれば、独自構造で高稼働率と高スループットを実現しています。 F-REX300XA型を「荏原史上最高の生産効率」の機種と位置づけ、ウェーハの縁を磨くベベル研磨装置も並べます。 CMPを含む「装置」の2025年12月期売上は2,273億円でした。
- CMP装置 F-REX300XA型
- CMP装置 F-REX型
- ベベル研磨装置 EAC型
ドライ真空ポンプ
半導体製造装置の中のガスを吸い出し、清浄な真空をつくるポンプです。 封止に油や液体を使わないので、水や油の逆流や拡散がなく、クリーンな真空が得られます。 荏原のドライ真空ポンプは世界で累計20万台以上(2020年9月)出荷され、サービス拠点は50か所以上あります。 反応副生成物が出るプロセス向けの高負荷モデルや、水素を排気するモデルもそろえます。
- ドライ真空ポンプ EV-X型
- ドライ真空ポンプ EV-M型
- ドライ真空ポンプ EV-PA型
- ドライ真空ポンプ EST型
排ガス処理装置
真空ポンプが排気した有害なガスを、環境に無害な形へ変える装置です。 主力製品の一つとして、省スペース・省電力と温室効果ガスの低減を価値に掲げます。 筐体の高さを従来比50%削減した「LA+」と、ドライ真空ポンプを一体にした「EVIS」を展開しています。
- 排ガス処理装置 LA+
- ポンプ・除害一体型システム EVIS
めっき装置
チップの信号や電源を通す配線用の金属膜をつくる装置です。 ウェーハ向けのUFP600AS型は高速めっきと面内均一性の両立を特長とします。 後工程向けには、角型パネルにバンプや再配線を形成するUFP型と、パネル用CMP装置のEAPI型を出しています。
- めっき装置 UFP600AS型
- パネルめっき装置 UFP型
- パネルレベルパッケージング対応CMP装置 EAPI型
02収益
どこで、どれくらい儲けているか
利益の柱は精密・電子で、2025年12月期の営業利益577億円は報告セグメント利益の49.5%です。 事業の中ではCMPを含む装置が売上の66.4%、ポンプなどのコンポーネントが33.6%を占めます。
売上収益9,582億円 / 営業利益1,138億円
受注高は9,496億円です。 売上収益は前期比10.6%増、営業利益は16.2%増で、いずれも過去最高でした。
売上収益3,422億円 / 営業利益577億円
受注高は3,034億円で前期比16.7%増です。 営業利益率は前期の18.0%から16.9%へ下がりました。
受注高2,674億円 / 売上収益1,836億円
受注高は前年同期比89.3%増、営業利益は325億円で38.7%増です。 上期の連結売上収益4,907億円の37.4%を占めました。
受注高5,500億円 / 売上収益4,250億円
8月に受注計画を4,050億円から、売上計画を4,000億円から引き上げました。 営業利益計画は770億円、営業利益率は18.1%です。
2025年12月期のセグメント別営業利益
精密・電子の四半期売上収益
03強みとリスク
強みと、リスク・検討点
強みは、CMP装置から真空ポンプ、排ガス処理まで半導体工場を横断する品ぞろえと、全社の研究開発費の半分を注ぐ投資の厚さです。 弱点は、顧客の投資の波で四半期売上と利益率が大きく揺れることです。
強み
- 研磨から排気・除害まで半導体工場を横断する品ぞろえ
ウェーハを磨くCMP装置と、装置の排気を担う真空ポンプ・排ガス処理装置を同じ事業で持ちます。 会社によれば、半導体工場にここまで広く製品を提供するメーカーは世界で荏原だけです。
採用サイト 精密・電子カンパニー - 全社の利益の半分を稼ぐ事業規模
2025年12月期の精密・電子の売上収益は3,422億円で前期比23.0%増えました。 営業利益577億円は報告セグメント利益の49.5%で、全社の稼ぎ頭です。
2025年12月期 決算短信 - ロジックとメモリの両方に売れる
2025年上期の売上はロジック・ファウンドリ向けが中心でした。 下期はHBMを含むDRAM需要の回復で、メモリ比率が30%前後まで上がりました。
2025年12月期 決算説明会 書き起こし - 研究開発費と設備投資の厚さ
2025年12月期の精密・電子の研究開発費は120億円で、全社232億円の51.7%を占めます。 設備投資も340億円で、全社1,007億円のうち最大の配分です。
有価証券報告書 第161期 - 据付後に続く保守の売上
精密・電子の売上のうちサービス&サポートは970億円で、比率は28%です。 前期の31%からは下がりましたが、金額は前期より増えています。
2025年12月期 決算説明会資料
リスク・検討点
- 顧客の投資タイミングで四半期売上が大きく揺れる
精密・電子の四半期売上は2025年12月期に624億円、881億円、727億円、1,189億円と動きました。 第4四半期は遅れていたCMP案件の検収が集中した結果です。 装置の検収時期が1四半期ずれるだけで業績の見え方が変わります。
2025年12月期 決算説明会資料 - 増収でも利益率は下がった
営業利益率は2024年12月期の18.0%から2025年12月期は16.9%へ下がりました。 会社は案件ミックスとS&S比率の低下、人件費や研究開発費の増加を理由に挙げます。 S&S比率は31%から28%に下がっています。
2025年12月期 決算説明会資料 - 売上の82%が海外、輸出規制の影響
精密・電子の売上の82%は海外向けで、国内は18%です。 有価証券報告書は精密・電子のリスクとして、半導体需要の変動による投資・稼働の変化と、輸出規制への対応を含むコンプライアンスを挙げています。
有価証券報告書 第161期 - 半導体業界での人材の奪い合い
荏原は、半導体業界の人財獲得競争による人材不足を精密・電子のリスクに挙げています。 2026年12月期の精密・電子の受注計画は5,500億円へ引き上げられました。
有価証券報告書 第161期
04待遇
給与、初任給、休日、手当
新卒の初任給は修士了29万1,500円、学部卒26.9万円で、年間休日は125〜126日です。 2025年12月期の平均年間給与は980万1,912円、平均年齢は43.1歳です。
新卒初任給(基本給・月額)
- 新卒の初任給
- 2026年4月の基本給は博士了31万円、修士了29万1,500円、学部卒26.9万円です。 時間外手当や諸手当は別に支給され、賞与は6月と12月の年2回です。 条件は 新卒採用 募集要項 に載ります。
- 平均年間給与
- 2025年12月期の提出会社の従業員は5,489名で、平均年齢43.1歳、平均勤続年数14.4年、平均年間給与980万1,912円(約980.2万円)です。 賞与と基準外賃金を含みます。 有価証券報告書 第161期 の従業員の状況にあります。
- 勤務時間と休日
- 所定労働時間は7時間45分で、年間休日は125〜126日の完全週休2日制です。 始業と終業をずらす時差勤務や、自宅などでのテレワークも部門によって使えます。 採用サイト 福利厚生・寮 に制度の説明があります。
- 手当と福利厚生
- 通勤手当、家族手当、住宅手当、食費補助などがあります。 独身寮と社宅、持株会、財形貯蓄、診療所もそろい、有給休暇は年20日です。 本社の勤務時間は8時45分〜17時15分です。 新卒採用 募集要項 の福利厚生欄にあります。
05勤務地と職種
どこで、どんな仕事をするか
精密・電子の拠点は、半導体製造装置と真空ポンプを生産・開発する藤沢事業所と、CMP事業を支える熊本事業所です。 本社は東京・羽田にあり、海外の販売・保守会社が米国、中国、韓国、台湾にあります。
主な勤務地・拠点
- 本社
- 東京都大田区羽田旭町
- 藤沢事業所
- 神奈川県藤沢市。 半導体製造装置と真空ポンプの生産・開発設備1987年に半導体産業向け真空機器の生産を開始
- 熊本事業所
- 熊本県玉名郡。 半導体製造装置などの生産設備2001年にCMP装置などの生産拠点として操業、2016年に増設
- 海外の販売・保守会社
- Ebara Technologies Inc.、上海荏原精密機械有限公司、Ebara Precision Machinery Korea Inc.、台湾荏原精密股份有限公司
新卒の技術系コースの職種
- 研究
- 開発・設計
- 生産技術
- 生産管理
- 品質保証・品質管理
- フィールドエンジニア
- データサイエンス
- システムエンジニア
事務系コースは営業、経理財務、人事・総務・法務などです。 精密・電子の連結従業員は4,000名で、全社21,148名の18.9%です。
06これから
会社が次に取りにいくもの
会社は2026年の半導体前工程装置市場を18%以上の成長と見て、精密・電子の受注計画を5,500億円へ引き上げました。 中期計画では、ドライ真空ポンプ・CMP・パッケージめっきでシェアトップを目指します。
2026年12月期計画に対する上期の進捗
- 受注高 2,674億円 通期計画は5,500億円
- 売上収益 1,836億円 通期計画は4,250億円
- 営業利益 325億円 通期計画は770億円
- 営業利益率 17.7% 通期計画は18.1%
これからの材料
- 装置の受注を倍近くへ
- 装置の受注計画は3,800億円で前期実績1,937億円の1.96倍、売上計画は2,900億円で前期比27.6%増です。 コンポーネントの売上計画は1,350億円で17.5%増です。 2026年12月期 第2四半期決算説明会資料 に計画値があります。
- シェアトップの目標
- 中期経営計画E-Plan2028は、ドライ真空ポンプ・CMP・パッケージめっきの市場シェアトップと、テープ研磨装置など新しい装置市場の確立を掲げます。 有価証券報告書 第161期 の経営方針にあります。
- 生産と保守の拡充
- 熊本事業所のCMP製造ライン増設、装置系開発棟の新設、中国でのオーバーホール工場の稼働を進めます。 採用サイト 精密・電子カンパニー が今後の取り組みとして紹介しています。
AI向け投資の取り込みと受注計画の引き上げ
会社は2026年のWFE(半導体前工程装置)市場の見立てを10%以上の成長から18%以上へ引き上げました。 精密・電子の受注計画は5,500億円、うち装置は3,800億円で前期実績1,937億円の1.96倍です。 受注が売上になるのは据付・検収の後です。会社は2026年12月期の精密・電子の売上計画を4,000億円から4,250億円へ引き上げました。
ドライ真空ポンプ・CMP・パッケージめっきでシェアトップを狙う
中期経営計画E-Plan2028で、精密・電子はドライ真空ポンプ・CMP・パッケージめっきの市場シェアトップを目標に掲げました。 テープ研磨装置などの新しい装置市場も育てます。 会社はCMP・ドライポンプ市場の年平均成長率を8.0%と見ています。 計画の指標には、7Å世代の半導体製造技術に対応した要素技術の開発進捗率75%も入っています。 シェア目標は中期経営計画E-Plan2028の計画値です。
パネルレベルパッケージングへの展開
後工程で大きな角型パネルに高密度配線をつくるパネルレベルパッケージングに向け、パネル用CMP装置EAPI型とパネルめっき装置UFP型を出しました。 EAPI型は前工程向けCMPの技術を応用し、高い平坦性を実現した装置です。 UFP型は角基板にバンプ、再配線、ビアなどの微細パターンを形成する電解めっき装置です。
熊本のCMPライン増設と装置系開発棟
需要拡大に対応するため、熊本事業所のCMP製造ライン増設と、中国でのドライ真空ポンプのオーバーホール工場の竣工・稼働を進めます。 装置系開発棟の新設にも取り組みます。 熊本事業所には2016年11月にも、半導体製造装置の生産工場とドライ真空ポンプのサービス工場が増設されました。
07入口を選ぶ
専攻から、入口を1つに絞る
CMP装置、ドライ真空ポンプ・排ガス処理装置、めっき装置のうち専攻と重なる製品を1つ選び、技術系コースのどの職種で関わるかを決めます。
研究
製品化に近い応用研究は事業部門の製品開発として行い、基盤技術の研究はコーポレートの研究開発組織EOLが担います。 精密・電子は全社の研究開発費の51.7%を使う事業です。
新卒採用 職種紹介開発・設計
新製品の検討・試作・市場投入や既製品の改良を担う開発と、構造・材料・製造方法を図面に落とす設計に分かれます。 製品によっては数万種類の部品で構成されます。
新卒採用 職種紹介生産技術 / 生産管理
生産技術は作業手順や治具の設計から、工場新設時の生産ラインのレイアウトや設備選定までを担います。 精密・電子では熊本事業所のCMP製造ライン増設が進んでいます。
- ライン設計
- 生産計画
- QCD
応募前の3手
- F-REX300XA型、EV-X型、UFP600AS型から1機種を選び、半導体工程のどこで何をする装置かをノートに書く
- 精密・電子の受注5,500億円と売上4,250億円の計画差から、自分の職種が忙しくなる場面を1つ書き出す
- 募集要項の初任給、勤務地(藤沢・熊本)、休日を公式ページから書き出す
面接で使う技術語
- CMP
- 研磨
- 真空
- めっき
- 要素技術
- 機械設計
- 制御設計
- CMP装置
- ドライ真空ポンプ
- 排ガス処理
技術系の職種は、機械、電気・電子、材料、化学・化学工学、物理、情報・システムなどの専攻の知識を生かせます。
他社との違いを一言で
- CMP装置
アプライド マテリアルズ
アプライド マテリアルズはReflexion LK CMPを300mm向けの業界トップのCMPプラットフォームと説明し、Opta CMPやMirra CMPも並べます。同社によれば、研磨後の洗浄を含めた工程は最短60秒です。荏原はF-REX300XA型を主力に、CMPを含む装置の売上が2,273億円です。
- ドライ真空ポンプと排ガス除害
エドワーズ
エドワーズは半導体ドライポンプiXM、iXH、iXLのほか、湿式燃焼除害のAtlasとプラズマ湿式除害のProteusを持ちます。真空と水素処理を一体にしたEUVリソグラフィー向けのサブファブシステムも出しています。荏原は排ガス処理装置LA+とポンプを一体にしたEVISを展開し、コンポーネント売上は1,149億円です。
- 国内のドライ真空ポンプ
樫山工業
樫山工業は真空ポンプ、ドライポンプ、ルーツポンプの真空技術で半導体製造業界をリードすると掲げています。荏原はドライ真空ポンプに加えてCMP装置とめっき装置を持ち、装置の売上がコンポーネントの約2倍です。
出典19件
元データ: グローバルネット(株)「世界半導体製造装置・試験/検査装置市場年鑑2024」を基に経済産業省が作成。
- IR 2025年12月期 決算短信 2025年12月期
- IR 2026年12月期 第2四半期決算短信 2026年12月期 中間期
- IR 有価証券報告書 第161期 2025年12月期
- IR 2025年12月期 決算説明会資料 2025年12月期
- IR 2025年12月期 決算説明会 書き起こし 2025年12月期
- IR 2026年12月期 第2四半期決算説明会資料 2026年12月期 中間期
- 公式 精密・電子カンパニー
- 公式 半導体製造装置(CMP装置・めっき装置)
ほか11件
- 公式 ドライ真空ポンプ
- 採用 新卒採用
- 採用 新卒採用 募集要項
- 採用 新卒採用 職種紹介
- 採用 採用サイト 精密・電子カンパニー
- 採用 採用サイト 勤務地
- 採用 採用サイト 福利厚生・寮
- 公式 アプライド マテリアルズ CMP製品ページ
- 公式 エドワーズ 半導体産業向け製品
- 公式 樫山工業 公式サイト
- 第三者 経済産業省「半導体・デジタル産業戦略の現状と今後」 p.5(2023年値)