情報機器・光学 半導体検査装置用光学コンポーネント
コニカミノルタ
複合機の会社が育てる、ウェハー欠陥検査装置向けレンズ
売上の79.6%をデジタルワークプレイス事業(複合機)とプロフェッショナルプリント事業(印刷機)で稼ぐ会社で、半導体の接点はウェハー欠陥検査装置に入るレンズです。
2026年度中にレンズ加工の生産能力を2024年度比2.6倍に増やす計画で、成長計画は1社の検査装置メーカー向けを前提にしています。
コニカミノルタは ウェハー欠陥検査装置向けの光学コンポーネント を大阪狭山と八王子で作り、生産能力を増やしています。 2026年3月期の売上高 は1兆877億円で、主力は複合機と印刷機です。
- 2026年3月期 インダストリー事業売上高 1,267億円 前期比6.3%増。 連結売上高の11.6%
- 2026年3月期 インダストリー事業 事業貢献利益 224億円 前期比59.6%増。 全社の事業貢献利益531億円の42.2%
- 2025年度 光学コンポーネントユニット売上高 186億円 前期比3.3%増。 2027年3月期第1四半期は50億円で前年同期比19.0%増
2025年度のインダストリー事業ユニット別売上高(2026年度の新区分、4ユニット合計1,275億円)
- 機能材料449億円
- センシング448億円
- IJコンポーネント192億円
- 光学コンポーネント186億円
この会社の要点
01立ち位置
何の会社として比べるか
コニカミノルタの売上の大半は複合機と印刷機です。 半導体に関わる光学コンポーネントユニットはインダストリー事業の4ユニットの1つで、2025年度の売上は186億円でした。
連結売上高と事業別売上高
連結売上高
2026年3月期の事業別売上高
どの地域で売っているか
地域別売上高
半導体検査装置用光学コンポーネント
顧客のウェハー欠陥検査装置に組み込まれ、肉眼では見えないナノメートルレベルの欠陥を検出するための光学コンポーネントです。 コア技術は光学設計・シミュレーション、高精度レンズ加工、低反射コーティング、精密組立・位置調整、高精度評価で、研磨精度はλ/40レベルです。 2025年度の売上は会社見込みで25億円、量産品はほぼVIS/UV領域です。
- ウェハー欠陥検査装置向け光学コンポーネント(VIS/UV領域)
- DUV領域向けレンズ(2027年度量産販売の計画)
センシング(光源色・物体色の計測器)
分光測色計、色彩照度計、自動車外観検査システムを扱うユニットで、2025年度の売上は448億円です。 光源色向け計測器は大手顧客のディスプレイ設備投資が回復して増収になり、ハイパースペクトルイメージング技術を応用した計測器は欧州のリサイクル市場で投資が先送りされました。
- 光源色向け計測器
- 物体色向け計測器
- 自動車外観検査システム
- ハイパースペクトルカメラ
産業・プロ用レンズ
光学コンポーネントユニットは産業・プロ用レンズ等の開発・製造・販売を担い、高輝度プロジェクター用レンズはステッパー用レンズ技術を応用して育ててきました。 前の中期経営計画の期間に中国の生産会社1社の持分を譲渡し、半導体検査装置用へ経営資源を移しています。
- 高輝度プロジェクター用レンズ
- カメラ用交換レンズ
- 光ディスク用ピックアップレンズ
02収益
どこで、どれくらい儲けているか
インダストリー事業は売上高で全社の11.6%ですが、事業貢献利益では224億円と全社531億円の42.2%を生みます。 光学コンポーネントユニットはその中で186億円の売上を持ち、半導体検査装置向けは25億円の見込みです。
売上高1兆877億円 / 事業貢献利益531億円
売上高は前期比3.6%減、事業貢献利益は66.6%増で、事業貢献利益率は4.9%です。 営業利益は498億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は302億円でした。 米国関税による影響は106億円増えました。
売上高1,267億円 / 事業貢献利益224億円
前期の売上高1,192億円、事業貢献利益140億円から増収増益です。 光学コンポーネントユニットは半導体検査装置用とプロジェクタ用レンズの販売で増収になりました。
売上高1,360億円 / 事業貢献利益245億円
2025年度決算説明会資料の区分では、売上高は前期の1,268億円から92億円増(7.3%増)、事業貢献利益率18%の予想です。 2026年度の新区分では2025年度実績が1,275億円で、予想は85億円増です。 全社では売上高1兆1,050億円、事業貢献利益560億円、営業利益500億円を見込みます。
連結売上高2,585億円 / インダストリー事業売上高317億円
連結の事業貢献利益は115億円で前年同期比25.8%増です。 インダストリー事業の事業貢献利益は52億円(33.6%増)で、半導体検査装置用光学コンポーネントはチップレット化に伴う需要増と生産能力増強で堅調でした。
2025年度のインダストリー事業ユニット別売上高(2026年度の新区分、4ユニット合計1,275億円)
インダストリー事業の売上高(2025年度決算説明会資料の区分)
03強みとリスク
強みと、リスク・検討点
強みは10年以上続く検査装置メーカーへの供給実績と、競合の撤退で空いたVIS/UV領域の供給を取りにいける加工能力です。 弱点は同じ構図の裏返しで、量産の大半が1社の顧客と1つの波長領域に寄っています。
強み
- 10年以上続く検査装置メーカーへの供給
コニカミノルタは、ウェハー欠陥検査装置向けの光学コンポーネントを10年以上にわたり有力な検査装置メーカーへ供給してきました。 試作段階から顧客の装置開発に加わり、パイプラインは2022年度末に比べて145%増えました。
統合報告書2026 - 競合の撤退で生まれた供給の空き
統合報告書は、競合企業の事業縮小・撤退を背景に会社への期待が高まっていると書いています。 3月の事業説明会では、対物レンズを作る競合は数社で、VIS/UV領域の供給が手薄になっていると説明しました。
半導体製造装置向け光学コンポーネント事業説明会 書き起こし - 利益率の高いインダストリー事業の中にある
インダストリー事業は2026年3月期に売上高1,267億円、事業貢献利益224億円で、利益率は17.7%です。 全社の事業貢献利益率4.9%を大きく上回ります。 半導体領域の利益率はインダストリーの平均より高い水準です。
2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結) - プロジェクター用レンズから移した加工技術
ステッパー用レンズ技術を応用した高輝度プロジェクター用レンズで培った加工技術を、検査装置向けに使っています。 λ/40レベルの高精度研磨、芯取り加工、薄膜コーティング、自社開発の評価装置による位置合わせを事業の土台に挙げています。
半導体製造装置向け光学コンポーネント事業説明会 資料
リスク・検討点
- 量産の大半が1社の顧客向け
3月の事業説明会で会社は、非常に競争力のある1社の顧客に集中して供給していると答え、2030年度までの成長計画もこの1社向けを前提にしていると認めました。 顧客の装置ロードマップや調達方針が変わると、計画全体が動きます。
半導体製造装置向け光学コンポーネント事業説明会 書き起こし - 検査装置の設備投資サイクル
統合報告書は、設備投資サイクルによる需要変動と、顧客の開発計画変更や設備投資延期による受注減をリスクに挙げています。 インダストリー事業はディスプレイ向けの計測器でも顧客の設備投資に左右され、前の中期経営計画では売上成長が未達でした。
統合報告書2026 - 全社に占める規模がまだ小さい
半導体検査装置向けの売上は2025年度見込みで25億円で、光学コンポーネントユニット186億円、連結売上高1兆877億円の中では小さな事業です。 2026年3月期の売上の79.6%は複合機と印刷機の2事業で、同期は米国関税の影響が106億円増えました。
2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結) - DUVでは後発の立場
2025年度の量産品はほぼVIS/UV領域で、市場規模の大きいDUV領域は2027年度の量産販売開始を見込む段階です。 DUVでは、会社は技術面でチャレンジャーの立場です。
半導体製造装置向け光学コンポーネント事業説明会 書き起こし
04待遇
給与、初任給、休日、手当
新卒の初任給は博士卒33万3,350円、修士了30万3,550円、学部卒27万6,550円で、年間休日は125日です。 コニカミノルタ単体の平均勤続年数は20.7年です。
新卒初任給(月給)
- 新卒の初任給
- 2026年4月の実績で博士卒33万3,350円、修士了30万3,550円、学部卒27万6,550円、高専卒24万3,550円です。 昇給は年1回、賞与は年2回で、条件は 新卒募集職種 の募集要項にまとまっています。
- 勤務時間と休日
- 所定労働時間は7時間40分で、各サイトの勤務時間は8:30〜17:10(休憩60分)です。 年間休日125日の完全週休2日制で、有給休暇は2年目以降20日付与されます。
- 勤続と休暇の取得
- コニカミノルタ単体の平均勤続年数は20.7年、有給休暇は2023年に70.1%が取得されました。 データでみるコニカミノルタ に推移がまとまっています。
- 社内教育
- 社内教育のコニカミノルタカレッジは111コースを開講し、AIや回路設計、メカトロニクス、光学設計などの専門コースがあります。
05勤務地と職種
どこで、どんな仕事をするか
半導体検査装置向けレンズの主要拠点は大阪狭山で、レンズ加工を増やすための第2拠点が東京サイト八王子に2026年1月から稼働しています。 本社は東京・丸の内です。
主な勤務地・拠点
- 本社
- 東京都千代田区丸の内2-7-2 JPタワー
- 大阪狭山
- 半導体検査装置向け光学コンポーネントの主要拠点で、製販開一体の体制で量産対応力を強化しています。
- 東京サイト八王子
- レンズ加工の第2拠点で、半導体検査装置向けレンズの研磨工程が稼働しています。 DXによる加工工程の短縮と標準化を進めます。全社の技術基盤が集まるサイト
- 技術系職種の勤務地
- 物理工学・光学設計は東京都・大阪府・兵庫県、メカ開発は東京都・大阪府、エレキハードウェア開発は東京都・大阪府・愛知県です。
新卒の技術系職種
- ソフトウェア開発
- エレキハードウェア開発
- メカ開発
- 物理工学・光学設計
- 材料開発
- 画像AI開発
- データサイエンティスト
配属先の事業部門に光学コンポーネント事業とセンシング事業が含まれます。 2024年度の新卒採用は技術系72人を含む合計100人です。
06これから
会社が次に取りにいくもの
会社は半導体検査装置用光学コンポーネントを将来の利益成長のけん引役に位置づけ、2028年度の売上を2025年度の3倍にする目標を掲げました。 DUV領域の量産と生産能力5.6倍が柱です。
半導体検査装置用光学コンポーネントの計画
- レンズ加工の生産能力(2024年度比) 2.6倍 2026年度中の計画。 2028年度末は5.6倍
- 売上高(2025年度見込み) 25億円 2030年度に約150億円を想定
- インダストリー事業の事業貢献利益率 17.7% 2027年3月期予想は18%。 中計では20%前後を目指す
これからの材料
- DUV領域
- 製品開発は完了し、2026年7月から年末にかけて設備を順次稼働させ、2027年度中の量産販売開始を見込むと 統合報告書2026 に記載しています。
- 市場の見方
- 会社は検査装置向け光学コンポーネントの市場を2,000億円以上と推定し、2030年度に向けて年率8~10%の拡大を見込んでいます。
- センシングの技術開発
- 2026年度に技術開発本部内へアドバンストセンシング推進室を新設し、計測技術とAIを組み合わせた事業への転換を進めます。
DUV領域の量産開始
DUV領域向けの製品開発は完了し、2026年7月から年末にかけて順次設備を稼働させる計画です。 年度内に試作品を出荷し、2027年度中の量産販売開始を見込んでいます。 DUVではケミカルコンタミネーションへの対応が重要です。量産販売の開始は2027年度中の見込みで、年度内の試作品出荷を経る計画です。
生産能力を2028年度末に5.6倍へ
レンズ加工の生産能力は2026年度中に2024年度比2.6倍、2028年度末に5.6倍にする計画です。 2.6倍までの投資額は約18億円です。 売上高はFY25からFY30まで年率40%の成長を目標にし、2030年度に約150億円の規模を想定しています。 年率40%は会社の売上高目標です。会社はこの計画を、いま供給している1社の顧客向けで伸ばす前提で組んでいます。
チップレット向けの後工程検査
チップレット化で検査工程が多様になり、VIS/UVの適用範囲が広がると会社は見ています。 2025年度の量産は前工程向けが中心で、3年後には売上の3割ほどを後工程向けにするイメージを示しました。
2028年度に半導体検査装置向け売上を3倍に
統合報告書は、2028年度の戦略的KPIとして半導体検査装置用光学コンポーネントの売上高伸長率+200%(2025年度比)を掲げています。 新中期経営計画では投資水準を従来以上に拡大し、この領域へ経営資源を重点的に配分します。 検査装置向け光学コンポーネントの市場は会社の推定で2,000億円以上、年率8~10%の拡大見込みです。市場の伸びより速い成長は、顧客内でのシェア拡大が前提になります。
07入口を選ぶ
専攻から、入口を1つに絞る
半導体に近い仕事を狙うなら、光学コンポーネント事業の物理工学・光学設計かメカ開発、またはセンシング事業のエレキ・物理工学を志望先に選びます。
物理工学・光学設計(光学コンポーネント事業)
光学コンポーネント事業では、仕様の光学設計への変換、材料やシミュレーションによるレンズ性能とコストの両立追求、光業界の最先端技術の適用を担います。 募集職種としての勤務地は東京都、大阪府、兵庫県です。 光学コンポーネント事業の生産拠点は大阪狭山と東京サイト八王子です。
公式採用情報メカ開発(光学コンポーネント事業)
光学コンポーネント事業では、レンズやメカ部品の機構設計、レンズユニットの内面反射や機械強度のシミュレーション、製品の試作、量産化技術開発を担います。 募集職種としての勤務地は東京都、大阪府です。 光学コンポーネント事業の生産拠点は大阪狭山と東京サイト八王子です。
公式採用情報エレキハードウェア開発 / 物理工学(センシング事業)
センシング事業のエレキは光計測機のセンサーからアナログ回路、デジタル制御、FPGA設計まで企画から量産にわたる技術開発を担い、募集職種としての勤務地は東京都、大阪府、愛知県です。 物理工学では分光・測色エンジンの設計と測定アルゴリズムを開発します。
- Analog Circuit
- FPGA
- Spectroradiometer
- Colorimetry
応募前の3手
- 事業説明会資料でVIS/UVとDUVの違い、検査装置の中で光学コンポーネントが担う役割をノートにまとめる
- 新卒募集職種のページで、光学コンポーネント事業とセンシング事業の仕事内容と勤務地を書き出す
- 大阪狭山と八王子の2拠点で何を増産するかを読み、自分の専攻と結びつく工程を1つ決める
面接で使う技術語
- Optical Design
- Simulation
- NA
- Aberration
- Wafer Inspection
- Mechanical Design
- CAD
- CAE
- Lens Unit
- Mass Production
技術系の募集学科は電気、電子、情報、機械、物理、光学、化学、材料などで、文系からの応募もできます。
他社との違いを一言で
- 半導体向け光学系とウェハー検査用光学部品
ZEISS SMT
ZEISS SMTは自動光学式ウェハー検査とプロセス監視向けの特殊顕微鏡の光学系を製造し、193nmと248nmのDUVリソグラフィー用レーザーの部品やモジュールも扱います。コニカミノルタの量産品はほぼVIS/UV領域で、DUV領域は2027年度の量産販売開始を見込んでいます。
- 半導体装置向けの対物レンズと光学系
Jenoptik
Jenoptikは半導体構造を検査する高精度の対物レンズを作り、深紫外(DUV)から遠赤外(FIR)までのスペクトル範囲をカバーすると記載しています。コニカミノルタはウェハー欠陥検査装置向けに大阪狭山と八王子でレンズを加工し、2026年度中に生産能力を2024年度比2.6倍にする計画です。
- ディスプレイ向けの光計測器
テクノオプティス(旧トプコンテクノハウス)
テクノオプティスの分光放射計SRシリーズは1nm毎の分光放射輝度を測り、OLEDパネルやLCDモジュールを測定対象に挙げています。コニカミノルタのセンシングユニットは2025年度の売上が448億円で、光源色向け計測器はディスプレイ設備投資の回復で増収になりました。
出典14件
- IR 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結) 2026年3月期
- IR 2025年度 決算説明会資料 2026年3月期
- IR 2025年度 決算説明会 スピーチ原稿 2026年3月期
- IR 2027年3月期 第1四半期決算短信 2027年3月期第1四半期
- IR 2026年度 第1四半期 決算説明会資料 2027年3月期第1四半期
- IR 半導体製造装置向け光学コンポーネント事業説明会 資料 公表 2026-03-18
- IR 半導体製造装置向け光学コンポーネント事業説明会 書き起こし 公表 2026-03-18
- IR 統合報告書2026 2026年3月期