化学 ポリイミド・半導体用ガス・高純度薬液
UBE
ポリイミドと半導体向け材料を機能品セグメントで稼ぐ化学メーカー
売上の過半は樹脂・化成品ですが、利益率で稼いでいるのはポリイミドや半導体ガスを抱える機能品です。
機能品の営業利益率15.8%は全社の4.1%を大きく上回り、2027年3月期はUBE Americaを加えた新区分で、新設備により機能品の売上高を710億円から890億円へ伸ばす計画です。
UBEは ポリイミドのフィルム・ワニス・パウダー と 三塩化ホウ素 を含む機能品で、2026年3月期に営業利益98億円を稼ぎました。 連結売上高4,623億円の化学メーカーで、この領域を成長の柱に据えています。
- 2026年3月期 機能品売上高 619億円 前期比6.4%減。 ワニスとセラミックスが落ち込んだ
- 2026年3月期 機能品営業利益 98億円 営業利益率15.8%。 全社の営業利益率は4.1%
- 2027年3月期第1四半期 機能品売上高 206億円 前年同期比18.0%増、営業利益は69.2%増の32億円
2026年3月期の地域別売上高
- 日本2,063億円
- アジア1,277億円
- ヨーロッパ674億円
- 北米429億円
- その他181億円
この会社の要点
01立ち位置
何の会社として比べるか
UBEは連結売上高4,623億円のうち2,512億円を樹脂・化成品で売る化学メーカーです。 半導体と電子材料に関わる製品は売上高619億円の機能品セグメントに集まり、ここが全社で最も高い利益率を出しています。
セグメント別の売上高
セグメント別売上高
どの地域の顧客へ売っているか
地域別売上高
ポリイミドフィルム・ワニス・パウダー
自社生産のBPDAを原料に、フィルム「ユーピレックス」、ワニス「ユピア」、パウダー「ユーアイピー」をつくります。 フィルムはICチップをフィルムに載せるCOFや回路基板に、ワニスはスマートフォンの有機ELパネル基板に、パウダーは半導体検査装置の成形体に使われます。 ポリイミドの生産歴は40年以上です。
- UPILEX-S / UPILEX-RN
- UPILEX-VT / UPILEX-NVT / UPILEX-SGA
- UPIA-AT / UPIA-ST
- UIP-R / UIP-S / UIP-SA
半導体ガス(三塩化ホウ素)
UBEが日本で初めて国産化した三塩化ホウ素を、アルミニウム配線のドライエッチングガスとして販売しています。 決算説明資料では半導体ガスを機能品セグメントの事業として並べ、窓口は機能品事業部の機能材料グループです。
- 三塩化ホウ素(BCl3)
高純度薬液
高純度硝酸は電子工業用に開発した精製品で、シリコンウェハーの洗浄剤とエッチング液に使われます。 高純度安水は原料精製から充填まで一貫生産し、金属イオンとパーティクルを抑えています。 窓口はパフォーマンスポリマー&ケミカルズ事業部の工業薬品グループです。
- 高純度硝酸
- 高純度安水
高純度窒化珪素粉末
独自のイミド熱分解法でつくる窒化珪素粉末で、軸受や基板の原料になります。 2026年3月期は電動車市場の成長鈍化で軸受・基板用途が落ち込み、宇部ケミカル工場で製造設備の増設を進めています。
- 高純度窒化珪素粉末
02収益
どこで、どれくらい儲けているか
2026年3月期の営業利益189億円は、機能品の98億円と樹脂・化成品の82億円、機械の62億円が支えました。 機能品は売上高で樹脂・化成品の4分の1ほどですが、利益はそれを上回ります。
売上高4,623億円 / 営業利益189億円
売上高は前期比5.0%減、営業利益は5.0%増で、営業利益率は4.1%です。 経常利益は375億円、親会社株主に帰属する当期純利益は239億円でした。
売上高619億円 / 営業利益98億円
売上高は前期比6.4%減、営業利益は16.4%減で、営業利益率は15.8%です。 セパレータは伸びたものの、ポリイミド、分離膜、セラミックスが落ち込みました。
連結売上高4,850億円 / 営業利益235億円
UBE Americaを移した新しい区分で、機能品は売上高を710億円から890億円へ25.4%、営業利益を99億円から150億円へ52.1%伸ばす予想です。 新設備による増販を見込んでいます。
連結売上高1,219億円 / 営業利益56億円
連結売上高は前年同期比21.3%増です。 機能品は売上高206億円、営業利益32億円で、ポリイミド、分離膜、フェノール樹脂が伸びました。 年間配当予想は1株当たり160円です。
2026年3月期のセグメント別営業利益
連結売上高の推移と会社予想
03強みとリスク
強みと、リスク・検討点
強みは、原料BPDAから自社でつくるポリイミドが高い利益率を生む点です。 弱点はその需要がスマートフォンとディスプレイに寄っている点で、2026年3月期はワニスの落ち込みが機能品の減益に直結しました。
強み
- BPDAから製品まで一貫するポリイミド
UBEは自社を、原料BPDAからワニス、フィルム、パウダーまで一貫供給する世界で唯一のポリイミドメーカーと位置づけています。 会社によれば、COF用フィルムとフレキシブル有機EL向けワニスはデファクトスタンダードとして採用されています。 スマートフォン向けのフレキシブル有機EL用ワニスは、会社の見方で世界トップシェアです。
統合報告書 2026 - 全社平均を大きく上回る機能品の利益率
2026年3月期の機能品は売上高619億円、営業利益98億円で、営業利益率15.8%でした。 全社の営業利益率は4.1%です。 機能品の研究開発費は23億円で、セグメント売上高の3.7%にあたります。
有価証券報告書(2026年3月期) - 半導体製造装置向けウレタンの取得
2025年4月にドイツLANXESS社からウレタンシステムズ事業を取得し、高機能ウレタンの売上高は465億円になりました。 米国市場を中心に半導体製造装置向けが堅調です。 会社は高機能熱硬化性ウレタンエラストマー用プレポリマーで米国No.1、世界でもトップクラスとしており、700を超える顧客を持ちます。
統合報告書 2026 - 半導体プロセス用の化学品を自社でつくる
日本で初めて国産化した三塩化ホウ素をアルミニウム配線のドライエッチング用に、高純度硝酸をシリコンウェハーの洗浄・エッチング用に供給しています。 2027年3月期第1四半期にはフェノール樹脂も半導体向けの需要増で販売数量を伸ばしました。
半導体ガス関連製品
リスク・検討点
- スマートフォン需要への連動
2026年3月期はスマートフォンの販売減少でワニスの販売が落ち、ポリイミド事業は減収でした。 第1四半期の回復もFPC向けフィルムと有機ELパネル向けワニスのスマートフォン用途によるもので、機能品の利益は端末の販売台数に左右されます。
有価証券報告書(2026年3月期) - 電動車市場の鈍化を受けるセラミックス
窒化珪素は電動車市場の成長鈍化で軸受・基板用途の販売が落ちました。 それでも増設を続け、能力50%増の新設備は顧客認証を取ってから営業運転に入る段階です。 営業運転の開始時期は顧客認証の進み具合で決まります。
2027年3月期 第1四半期 決算説明会資料 - 世代交代が速い電子材料
UBEは事業リスクの1つに製品の世代交代の速さを挙げています。 情報技術やデジタル家電の市場で顧客要求に応じられないと、販売量の減少や価格低下で業績が悪化するおそれがあります。 ポリイミドの用途であるCOF、FPC、有機ELはどれもこの市場に属します。
有価証券報告書(2026年3月期) - 利益の振れが大きいベーシック事業の撤退負担
樹脂・化成品は売上高2,512億円と最大の事業ですが、営業利益は82億円でした。 会社は日本のカプロラクタム・ナイロンポリマー製造設備を2027年3月に、アンモニア製造設備を2028年3月に停止します。 中期経営計画の初年度は数値目標を達成できませんでした。
2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
04待遇
給与、初任給、休日、手当
新卒の初任給は博士卒34.2万円、修士卒30.4万円、学部卒28.5万円です。 2026年3月期の提出会社の平均年間給与は774万5,921円、平均年齢は43.4歳、平均勤続年数は15.3年です。
新卒初任給(月給)
- 新卒の初任給
- 博士卒34.2万円、修士卒30.4万円、学部・高専専攻科卒28.5万円、高専本科卒25.5万円で、各種手当は別に付きます。 条件は 新卒採用 募集要項 に載ります。
- 休日と勤務時間
- 2026年度の休日数は126日で、土日完全週休2日制です。 有給休暇は初年度17日、最大20日で、フレックスタイム制の標準は1日7時間45分です。
- 平均年間給与
- 2026年3月期の提出会社は従業員2,778人、平均年齢43.4歳、平均勤続年数15.3年、平均年間給与774万5,921円(約774.6万円)です。 有価証券報告書 の従業員の状況に載ります。
- 機能品の人員
- 2026年3月末の連結従業員7,968人のうち、機能品セグメントは610人です。 研究開発スタッフは連結で589名います。
- 福利厚生
- 独身寮・社宅、住宅財形貯蓄、従業員持株制度、団体長期障害所得補償保険、社有保養所があります。
05勤務地と職種
どこで、どんな仕事をするか
本社は東京都港区芝浦で、生産と研究の中心は山口県宇部市です。 ポリイミドや窒化珪素は宇部ケミカル工場でつくり、宇部研究開発センターが製品開発を担います。
主な勤務地・拠点
- 宇部ケミカル工場
- 山口県宇部市50以上のプラントが並ぶ最大の生産拠点。 ポリイミド、窒化珪素、分離膜、工業薬品
- 宇部研究開発センター・宇部研究所
- 山口県宇部市ポリイミドチェーンや無機材料製品の製品開発、既存事業の基礎研究
- 堺工場・大阪研究開発センター
- 大阪府堺市電解液や分離膜などの機能性材料、ポリイミドの製造
- 本社
- 東京都港区芝浦名古屋支店のほか、市原のみらい技術研究所、吉富工場
技術系の職種
- 研究開発
- 製品開発
- 生産技術
- エンジニアリング
- 計測・制御
- 品質管理・品質保証
- 設備・施設管理
- 情報システム
- 技術営業
- 知的財産
新卒は職種別ではなく技術系・事務系に分けて選考します。 勤務地は東京、宇部、名古屋、市原、堺、吉富と海外です。
06これから
会社が次に取りにいくもの
会社は2030年度に売上高5,500億円、営業利益600億円を掲げ、ポリイミド、分離膜、セラミックス、セパレータの能力増強とウレタンシステムズの取得を進めています。 2027年3月期はUBE Americaを加えた新区分で、機能品の営業利益を99億円から150億円へ伸ばす予想です。
中期経営計画の2030年度目標と2026年3月期実績
- 連結売上高 4,623億円 2030年度計画は5,500億円
- 連結営業利益 189億円 2030年度計画は600億円
これからの材料
- 能力増強
- ポリイミドフィルムは能力20%増の設備が2026年4月に営業運転を始め、セラミックスは50%増、セパレータは30%増の設備が試運転中だと 第1四半期 決算説明会資料 に載ります。
- ポリイミドの新領域
- AI半導体のテストソケット向けパウダーや水に溶けるワニスを育て、2030年度にポリイミド事業の売上高の50%を新領域にする目標です。
- 機能品の予想
- UBE Americaを移した新しい区分で、機能品の営業利益は99億円から150億円へ、営業利益率は16.9%になる予想です。 第1四半期の機能品営業利益率は15.5%でした。
ポリイミドフィルムの能力20%増
能力を20%増やすポリイミドフィルム製造設備が2026年4月に営業運転を始めました。 セラミックス製造設備は50%増、セパレータ製造設備は30%増で、試運転を進めています。 会社は2027年3月期の機能品の増収増益をこれらの新設備で見込みます。 増えた能力を埋める受注がCOF、回路基板、有機ELのどの用途から来るかで、売上高890億円の予想に届くかが決まります。
AI半導体向けのパウダーと新領域
AI半導体のテストソケットにUBEのポリイミドパウダーが採用され、耐熱性を求める需要が増えていると統合報告書は書いています。 会社は2030年度にポリイミド事業の売上高の50%を新領域にする目標を掲げています。 テスト工程の発熱量がさらに増え、パウダーやワニスが既存のディスプレイ用途に並ぶ売上規模に育つかが条件です。
中期経営計画の2030年度目標
中期経営計画は2030年度に売上高5,500億円、営業利益600億円、ROE9%を掲げます。 スペシャリティ事業へ投資し、ベーシック事業を縮小する構造転換が柱で、機械事業とセメント関連事業のIPO資金の一部で自己株式取得も検討しています。 2026年3月期の営業利益は189億円で、中期経営計画の目標250億円を下回りました。会社はバイオ燃料向け分離膜の需要減速などでスペシャリティ事業の伸びが想定を下回ったことを主因に挙げ、ベーシック事業の縮小・撤退の効果は2026年度以降に表れるとみています。
07入口を選ぶ
専攻から、入口を1つに絞る
ポリイミド、三塩化ホウ素、高純度薬液、窒化珪素のうち自分の専攻と重なる製品を1つ選び、技術系と事務系のどちらで応募するかを決めます。
開発
基礎的な実験、パイロット設備でのスケールアップテスト、社外での試作や試運転を行い、研究成果を製品にします。 宇部研究開発センターはポリイミドチェーンや窒化珪素などの製品開発を進めています。
公式採用情報生産技術・エンジニアリング
製造プラントで研究開発の成果を形にするため、プロセス開発や生産ラインの管理・改善を行います。 宇部ケミカル工場は50以上のプラントが並ぶ最大の生産拠点で、ポリイミドや窒化珪素をつくります。
- Chemical Engineering
- Process Development
- Plant
応募前の3手
- ユーピレックス、ユピア、三塩化ホウ素、高純度硝酸から1つ選び、半導体やディスプレイのどの工程で使われるかをノートへ書く
- 2027年3月期第1四半期の機能品の売上高と営業利益を前年同期と並べて書き出し、伸びた製品と落ちた製品を整理する
- 募集要項の職種、勤務地、初任給、応募方法(自由応募・推薦応募)を公式ページから書き出す
面接で使う技術語
- Polyimide
- Materials Research
- Process Research
- BPDA
- Ceramics
- Scale-up
- Pilot Plant
- Polyimide Varnish
- Application Development
- Customer Trial
技術系の採用予定学科は有機化学、無機化学、高分子化学、化学工学、物理、材料工学、機械工学、電気・電子、情報工学などです。
他社との違いを一言で
- ポリイミドフィルムとワニス
PI Advanced Materials
公式サイトはFPCB用、先端産業用、放熱材用のPIフィルムを生産し、PIワニスを半導体、ディスプレイ、EV、二次電池向けに開発・供給すると記載しています。UBEは自社生産のBPDAを原料にフィルム、ワニス、パウダーをそろえ、COF用フィルムを主力用途に持ちます。
- 半導体用三塩化ホウ素
Merck KGaA
製品ページはBCl3を半導体とLCD製造のアルミニウム配線向けドライエッチングガスとして紹介しています。UBEも日本で初めて国産化した三塩化ホウ素を同じアルミニウム配線のドライエッチング用に販売し、機能品セグメントで扱います。
- 高純度三塩化ホウ素
Messer
製品ページは高純度BCl3をアルミニウムなどのプラズマエッチングに加え、イオン注入でp型ドーパントのホウ素源にも使うと記載しています。UBEの製品ページが挙げる用途はアルミニウム配線のドライエッチングガスです。
出典20件
- 公式 会社概要
- 公式 国内拠点
- 公式 半導体ガス関連製品
- 公式 高純度薬液
- 公式 ポリイミド
- 公式 セラミックス
- IR 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) 2026年3月期
- IR 2026年3月期 連結決算概要 説明資料 2026年3月期
ほか12件
- IR 2027年3月期 第1四半期決算短信 2027年3月期第1四半期
- IR 2027年3月期 第1四半期 決算説明会資料 2027年3月期第1四半期
- IR 有価証券報告書(2026年3月期) 2026年3月期
- IR 統合報告書 2026
- 採用 新卒採用サイト
- 採用 新卒採用 募集要項
- 採用 新卒採用 職種紹介
- 採用 新卒採用 事業所紹介
- 採用 経験者採用情報
- 公式 PI Advanced Materials 公式サイト
- 公式 Merck KGaA BCl3 製品ページ
- 公式 Messer Boron Trichloride 製品ページ