半導体製造装置部品 真空計測・ガス流量制御・RF電源
MKS
半導体製造装置の圧力・ガス・電力を制御する米国の部品メーカー
半導体製造装置に組み込む圧力計、流量制御器、RF電源の会社で、2025年は売上の
43.1%(2,683億円)を半導体向けで稼ぎました。 2026年4〜6月期の半導体売上は前年同期比28.2%増えています。
MKSの 半導体向け売上 は全体の4割強で、2026年1〜6月期に前年同期比20%増えました。 伸びの中心は 真空ソリューション事業部 の成膜・エッチング向け装置とサービスです。
- 2025年 半導体市場向け売上高 2,683億円 前年の2,370億円から13%増
- 2026年4〜6月期 半導体市場向け売上高 876億円 前年同期683億円から28.2%増、売上の44.4%
- 2025年 連結営業利益 835億円 営業利益率13.4%。 支払利息335億円がその40.2%
2025年の市場別売上高連結売上高6,219億円の内訳
- 半導体2,683億円
- 特殊産業1,778億円
- 電子・パッケージング1,757億円
この会社の要点
01立ち位置
何の会社として比べるか
MKSは、半導体製造装置の中で圧力・ガス・電力を制御する部品の会社です。 2025年の売上6,219億円のうち、半導体向けが2,683億円で最大の市場です。
市場別売上高と半導体向けの推移
市場別売上高
半導体市場向け売上高の推移
どの国へ出荷しているか
国・地域別売上高
圧力・真空制御と材料供給
VSDの中核製品群です。 圧力・真空制御製品は、圧力を直接・間接に測る計器です。 材料供給製品は、流量とバルブの技術に圧力の計測・制御を組み合わせ、顧客の装置に精密な制御機能を与えるサブシステムです。
- 圧力・真空制御製品(直接・間接の圧力計測)
- 材料供給製品(流量・バルブ技術)
- 圧力計測・制御の統合サブシステム
電源とプラズマ・反応性ガス
電源製品はマイクロ波・RFの電力供給システムとRF整合器、光ファイバー温度・位置センサーです。 電力はエッチング、ストリッピング(レジスト除去)、成膜の各工程に送られます。 リモートプラズマ源とオゾン発生器は反応性の高い化学種をつくり、薄膜の成膜・エッチング・洗浄・表面改質に使われます。
- マイクロ波・RF電力供給システム
- RFマッチングネットワーク
- 光ファイバー温度・位置センサー
- リモートプラズマ源
レーザー・フォトニクス(PSD)
フォトニクス事業部(PSD)は、連続発振とナノ秒・超短パルスのレーザー、精密位置決め、除振、光学部品を扱います。 半導体向けではリソグラフィ、計測、検査向けの製品があり、2025年はこの製品群の売上が減りました。
- 連続発振・パルスレーザー
- 精密モーションコントロール
- 光学部品・光学アセンブリ
- レーザーパワー・エネルギー計
パッケージ基板・WLP向け化学品とめっき装置
材料ソリューション事業部(MSD)の電子向け化学品とめっき装置は、プリント基板とパッケージ基板の製造、ウェーハレベルパッケージ(WLP)に使われます。 この電子・パッケージング市場の売上は2025年に299億円(20%)増えました。
- 電子向け化学品
- めっき装置
- レーザー穴あけ装置(PSD)
MKSブランドの代表製品
公式サイトのMKSブランドの製品メニューには、キャパシタンス・マノメーター(隔膜式の圧力計)、質量流量コントローラー、RF電源、リモートプラズマ源、フォアライン・プラズマ・クリーン装置が並びます。 グループのブランドにはNewport、Ophir、Spectra-Physics、Atotech、ESIがあります。
- キャパシタンス・マノメーター
- 質量流量コントローラー
- RF電源(RF Power Generators)
- リモートプラズマ源
02収益
どこで、どれくらい儲けているか
2026年4〜6月期の伸びの中心はVSDで、売上は前年同期比24.6%増の802億円でした。 VSDは半導体のほか電子・産業向けにも売る事業部で、連結売上の40.6%を占めます。
2,683億円
連結売上の43.1%です。 前年から313億円(13%)増え、ロジック・ファウンドリ向け装置、NANDの増強投資、VSDのサービスが伸びました。
売上高6,219億円 / 営業利益835億円 / 純利益466億円
営業利益率は13.4%、粗利益率は46.7%でした。 研究開発費は473億円です。
VSD 2,498億円 / MSD 2,093億円 / PSD 1,628億円
真空ソリューション事業部(VSD)が最大で、粗利益率は43.3%と前年の42.9%から上がりました。
876億円
前年同期の683億円から193億円増え、伸び率は28.2%です。 売上の44.4%を占めました。
売上高1,974億円 / 純利益276億円
売上高は会社見通しの上限を上回りました。 粗利益率は47.6%、営業利益率は20.1%です。
2026年4〜6月期の事業部別売上高
半導体市場向けの四半期売上高
03強みとリスク
強みと、リスク・検討点
強みは、前工程のほぼ全工程に部品を入れる品ぞろえと、顧客の分散です。 弱みは中国向けの比重、借入の利払い、市況の振れ幅の三つです。
強み
- 前工程のほぼ全工程に入る部品群
製品は成膜、エッチング、洗浄、リソグラフィ、計測、検査の主要工程で使われます。 MKSの製品群は、会社の見方ではウェーハ製造装置市場の85%超をカバーします。
年次報告書(Form 10-K)2025年12月期 - 成膜・エッチング向けで半導体売上が再加速
2026年4〜6月期の半導体売上は876億円で、前四半期から139億円(19%)増えました。 成膜・エッチング向け装置とNANDの増強投資、サービスがけん引し、いずれもVSDの売上です。
四半期報告書(Form 10-Q)2026年4〜6月期 - 顧客1社に依存しない売上
2025年は上位10社で売上の35%を占めますが、10%を超える顧客は1社もありません。 売り先は装置メーカー、デバイスメーカー、基板メーカーに広がっています。
年次報告書(Form 10-K)2025年12月期 - 特許と研究開発の厚み
2025年末の保有特許は米国585件、外国2,217件です。 研究開発費は473億円で、社員の18%が研究開発に就いています。
年次報告書(Form 10-K)2025年12月期
リスク・検討点
- 中国向け23.7%と輸出規制
2025年の中国向け売上は1,473億円で、国別で最大です。 中国を中心とする貿易制限はすでに売上に影響しました。 米商務省はSMIC、YMTC、NAURA、Piotechなどを取引制限リスト(Entity List)に加えています。
年次報告書(Form 10-K)2025年12月期 - タームローンと転換社債の重さ
2026年6月末の借入は、担保付タームローン2,373億円、転換社債2,215億円、社債1,769億円です。 転換社債は7〜9月期に転換可能になり、短期債務に分類されました。
2026年4〜6月期 決算発表 - 利益の4割が利払いに回る
2025年の支払利息は335億円で、営業利益835億円の40.2%にあたります。 同じ年の純利益は466億円でした。
年次報告書(Form 10-K)2025年12月期 - 市況で大きく振れる半導体売上
半導体市場向け売上は2023年に28%減り、2024年は1%増、2025年は13%増でした。 半導体市場の需要は急に変わり、その変化は予測が難しいものです。
年次報告書(Form 10-K)2025年12月期 - 関税と調達の制約
2025年の製品粗利益率は関税・輸入税の増加と製品構成で0.9ポイント下がりました。 顧客の「コピー・イグザクト」要求により、一部の部材は単独・限定の調達先に頼っています。
年次報告書(Form 10-K)2025年12月期
04待遇
給与、初任給、休日、手当
採用情報が挙げる待遇は、医療保険、有給休暇、学費と能力開発の補助です。 学生向けには期間の違う3つのプログラムがあります。
- 福利厚生
- 医療保険、有給休暇、学費・能力開発の補助、健康づくりの支援を含む福利厚生をそろえています。 詳細は 採用情報 にあります。
- Co-opとインターンの期間
- 採用情報ページでは、Co-opは3〜8か月、インターンは通常10〜12週です。 Co-opは大学の単位にもなります。 採用情報
- キャンパス採用の3区分
- 学部生の通年3〜6か月、大学院生の12〜16週の夏季、卒業前後のフルタイム職に分かれます。 キャンパス採用
- 報酬の点検
- 主要地域で報酬の実態を分析し、差があれば是正しています。 直近の世界規模の分析で必要になった調整はわずかでした。 年次報告書(Form 10-K)
- 社員の配置
- 臨時雇用約100人を含む約10,300人のうち18%が研究開発、55%が製造・サービス・品質、27%が営業・管理部門で働きます。 年次報告書(Form 10-K)
05勤務地と職種
どこで、どんな仕事をするか
本社は米国マサチューセッツ州アンドーバーです。 製造拠点は日本を含む18か国にあり、タイで新工場を建てています。
主な勤務地・拠点
- 本社
- 2 Tech Drive、Andover、Massachusetts米国マサチューセッツ州
- 製造拠点
- 米国、中国、ドイツ、日本、韓国、台湾、マレーシア、シンガポール、メキシコ、イスラエルなどメキシコの委託生産とアジアの受託製造も使う
- 新工場
- マレーシアのペナンで2026年6月に第1期が開業、タイで建設中(2025年12月末時点)
- 日本
- 製造拠点があり、東京は会社が人材獲得競争の厳しい所在地として挙げる都市の一つ
- 社員の地域
- アジア太平洋33%、欧州・中東・インド34%、米州33%37か国に拠点
キャンパス採用の対象拠点(一部)
- アンドーバー(米国)
- オースティン(米国)
- ビーバートン(米国)
- 横浜(日本)
- 大田(韓国)
- ペナン(マレーシア)
- パトゥムターニー(タイ)
- マネサール(インド)
キャンパス採用ページが挙げる拠点の一部です。 日本からは横浜が入っています。
06これから
会社が次に取りにいくもの
会社は2026年7〜9月期の売上高を2,136億円(±63億円)と見込みます。 AI投資による半導体の増産、タイの新工場、借入の返済が次の論点です。
これからの材料
- 7〜9月期の見通し
- 売上高2,136億円(±63億円)、粗利益率47.0%(±1.0%)を見込んでいます。 2026年4〜6月期 決算発表
- 半導体の増産局面
- MKSは、AI関連投資で半導体需要が伸び、増産局面にあるとみています。 1〜6月期の半導体売上は1,612億円で、前年同期の1,338億円から20%増えました。 四半期報告書(Form 10-Q)
- 借り換え
- 2026年2月に2034年満期の社債1,769億円を発行し、8月に米ドル建てタームローンBを158億円期限前返済しました。 2026年4〜6月期 決算発表
2026年7〜9月期の売上見通し2,136億円
会社は7〜9月期の売上高を2,136億円(±63億円)、粗利益率を47.0%(±1.0%)と見込みます。 4〜6月期の実績1,974億円からの増収を想定した数字です。
タイとマレーシアの新工場
マレーシアのペナンでは、2026年6月に新工場の第1期が完成して開業しました。 タイでは新工場を建設中です(2025年12月末時点)。 2025年の設備投資234億円は主にマレーシアと中国の新施設向けです。 事業部別ではVSDが137億円で、前年の2.4倍、全体の58.8%でした。
07入口を選ぶ
専攻から、入口を1つに絞る
VSDの4製品群のどれに関わりたいかを先に決め、キャンパス採用の分野と勤務地を合わせて選びます。
学部生インターン/Co-op
学士課程の学生向けに、通年で3〜6か月のインターン・Co-opを募集しています。 募集分野はキャンパス採用ページの一覧にあり、プラズマ科学、アプリケーション・エンジニアリング、機械設計などが並びます。
キャンパス採用大学院生 夏季インターン
修士・博士課程の学生向けの12〜16週の夏季インターンです。 募集分野はプラズマ科学、アプリケーション、ハードウェア、レーザー・光学、システム、ソフトウェアの各エンジニアリングなど、キャンパス採用ページの一覧から選びます。
キャンパス採用Early Career(新卒・既卒のフルタイム職)
大学を卒業したばかりの人と、近く卒業する人向けのフルタイム職です。 個別の求人はキャンパス採用ページのCurrent Openingsから探します。
- 製造技術
- 営業技術
応募前の3手
- 10-KのVSD製品4群(圧力・真空制御、材料供給、電源、プラズマ・反応性ガス)から1つ選び、成膜・エッチングのどの工程で何を測り、何を制御するかを書き出す
- キャンパス採用の分野からプラズマ・サイエンティストやアプリケーション・エンジニアリングなど専攻に近いものを選び、Current Openingsで横浜を含む勤務地の求人を探す
- 2026年4〜6月期の半導体売上876億円と中国向け462億円を控え、中国規制と関税の影響を面接で質問できるようにする
面接で使う技術語
- プラズマ
- 真空計測
- 質量流量制御
- RF電源
- 成膜
- エッチング
- レーザー
- 計測
- アプリケーション技術
- 信頼性・品質
技術語は、成膜、エッチング、真空計測、質量流量制御、RF電源、リモートプラズマ、リソグラフィ、計測・検査です。
他社との違いを一言で
- RF電源・プラズマ・センシング
Advanced Energy
MKSの10-Kは、Advanced Energyを電源、プラズマ・反応性ガス、センシング製品の競合に挙げています。Advanced Energyは精密なプラズマ制御技術とAC-DC電源を前面に出しています。MKSは電源に加え、圧力計測やガス流量制御も同じVSDで持ちます。
- ガス流量制御(材料供給)
HORIBA
MKSの10-Kは、日立、堀場製作所、Brooks Instrument、VATを材料供給製品の競合に挙げています。HORIBAは半導体のプロセス制御、材料分析、工場の監視までを一体で提供するとし、京都・福知山にHORIBA STECの技術拠点を持ちます。
- 真空バルブ
VAT
VATは高性能な真空バルブと真空システムの会社です。MKSは流量・バルブ技術を圧力計測・制御と組み合わせたサブシステムとして売り、2025年のVSD売上は2,498億円でした。
- 圧力・真空計測
INFICON
MKSの10-Kは、INFICONを圧力・真空制御製品の競合に挙げています。MKSはこの製品群を、電源やプラズマ源と同じVSDの中で扱います。
出典11件
- IR 年次報告書(Form 10-K)2025年12月期 2025年12月期 · MKS Inc.連結、億円 · 英語
- IR 四半期報告書(Form 10-Q)2026年4〜6月期 2026年4〜6月期 · MKS Inc.連結、億円 · 英語
- IR 2026年4〜6月期 決算発表 2026年4〜6月期 · MKS Inc.連結 · 英語
- IR マレーシア新工場の開業発表 公表 2026-06-22 · MKS Inc. · 英語
- IR 子会社一覧(Form 10-K 別紙21) 2025年12月期 · 英語
- 公式 公式サイト 製品一覧 英語
- 採用 採用情報 英語
- 採用 キャンパス採用 英語
ほか3件
- 公式 Advanced Energy 製品一覧 英語
- 公式 VAT 公式サイト 英語
- 公式 HORIBA 半導体ソリューション 英語