電子部品 積層セラミックコンデンサ・高周波モジュール
村田製作所
積層セラミックコンデンサで稼ぎ、半導体を組み込む高周波モジュールで苦戦する電子部品メーカー
売上の51.1%をコンデンサが占め、サーバー向けを中心に伸びた積層セラミックコンデンサが、営業利益率26.8%のコンポーネントを支えます。
デバイス・モジュールは−265億円の営業損失で、PAやスイッチを組み込む高周波モジュールの立て直しが課題です。
村田製作所は コンデンサを中心とするコンポーネント で2026年3月期の営業利益率は26.8%でした。 高周波モジュールを含む デバイス・モジュールの2026年4〜6月期 は−129億円の営業損失でした。
- 2026年3月期 営業利益 2,818億円 前期比0.8%増、営業利益率15.4%。 表面波フィルタ事業ののれん減損438億円を含む
- 2027年3月期第1四半期 営業利益 985億円 前年同期比59.8%増、営業利益率19.6%。 売上収益5,023億円は四半期で過去最高
- 2027年3月期 会社予想 売上収益 2兆1,100億円 営業利益4,300億円、営業利益率20.4%の予想
2026年3月期の事業別売上収益事業区分6つの売上収益と構成比
- コンデンサ9,364億円
- 高周波・通信3,948億円
- インダクタ・EMIフィルタ2,233億円
- エナジー・パワー1,541億円
- 機能デバイス1,071億円
- その他152億円
この会社の要点
01立ち位置
何の会社として比べるか
村田製作所は、積層セラミックコンデンサを柱に電子部品を幅広く作るメーカーです。 2026年3月期の売上収益は1兆8,309億円で、2027年3月期は2兆1,100億円を見込みます。 売上の92.7%が海外向けです。
2023年3月期から2027年3月期予想までの売上収益と営業利益
売上収益
営業利益
どの地域の顧客へ売っているか
地域別売上収益
高周波モジュール・RFフロントエンドモジュール
無線機器のアナログ高周波回路を小型パッケージに集積した部品です。 送信回路の高出力増幅器(PA)、受信回路の低歪増幅器(LNA)、アンテナ切り替えスイッチといった半導体デバイスと、表面波フィルタなどの受動デバイスで構成されます。 高周波・通信の区分(2026年3月期売上3,948億円)に属し、2026年3月期はスマートフォンやPC向けで減少しました。
- RFフロントエンドモジュール
- ダイプレクサモジュール
- 樹脂多層基板 メトロサーク
表面波フィルタ・弾性波デバイス
圧電基板上を伝わる弾性表面波で特定の周波数帯の信号を取り出すフィルタです。 独自のI.H.P.技術やTC-SAW技術を持ち、3GHz以上の高周波数帯に向けてXBAR技術を用いた高周波フィルタの量産出荷を始めました。 仙台村田製作所が表面波フィルタの開発・設計・製造を担います。
- SAWフィルタ
- SAWデュプレクサ
- XBAR技術を用いた高周波フィルタ
- ハイブリッドマルチプレクサ
積層セラミックコンデンサ
2026年3月期のコンデンサ売上は9,364億円で前期比12.6%増、サーバー向けを中心に幅広い用途で伸びました。 会社はMLCC市場のシェアを40%とし、業界最大の供給力と材料から製品までの一貫生産を強みに挙げています。
- 積層セラミックコンデンサ(MLCC)
シリコンキャパシタ
半導体のMOSプロセスを応用して電極を3次元化し、単位面積当たりの静電容量を大きくしたコンデンサです。 RFパワーアンプやブロードバンド通信などのネットワーク関連、高信頼性用途、医療、自動車を市場に挙げています。
- 高密度シリコンキャパシタ(標準品・カスタム品)
02収益
どこで、どれくらい儲けているか
利益の源泉はコンデンサを中心とするコンポーネントで、営業利益3,151億円を稼ぎました。 高周波・通信を含むデバイス・モジュールは−265億円の営業損失で、全社の利益率を押し下げています。
売上収益1兆8,309億円 / 営業利益2,818億円
売上収益は前期比5.0%増、営業利益は0.8%増で、営業利益率は15.4%でした。 表面波フィルタ製品に係る事業ののれんを438億円減損しています。
コンポーネント3,151億円 / デバイス・モジュール−265億円
営業利益率はコンポーネント26.8%、デバイス・モジュール△4.0%です。 デバイス・モジュールは2025年3月期の営業利益100億円(1.4%)から赤字に転じました。
売上収益5,023億円 / 営業利益985億円
前年同期比で売上収益20.7%増、営業利益59.8%増です。 コンデンサは2,825億円で30.0%増えました。 受注高6,739億円、受注残高6,178億円で、BBレシオは1.34です。
売上収益2兆1,100億円 / 営業利益4,300億円
売上収益は前期比15.2%増、営業利益は52.6%増の予想です。 設備投資は2,550億円で、デバイス・モジュール製品の需要増に合わせて計画を引き上げました。
2026年3月期の事業別売上収益
売上収益の推移と会社予想
03強みとリスク
強みと、リスク・検討点
強みはMLCCの規模と、コンポーネントの営業利益率26.8%です。 弱点は高周波モジュールを含むデバイス・モジュールの赤字と、コンデンサ・中華圏・スマートフォンへの依存です。
強み
- MLCCの規模と一貫生産
コンデンサ売上は9,364億円で全社の51.1%を占めます。 会社はMLCC市場のシェアを40%とし、業界最大の供給力と、材料から製品までの一貫生産体制にもとづく収益力を強みに挙げています。
事業紹介 コンデンサ - コンポーネントの高い利益率
2026年3月期のコンポーネントは売上1兆1,752億円(セグメント間売上を含む)、営業利益3,151億円で、営業利益率は26.8%です。 前期の26.4%から上がり、全社の営業利益2,818億円をこの事業だけで上回りました。
有価証券報告書 第90期 - AIサーバーとデータセンターの部品需要
AIサーバーと周辺機器で電子部品の搭載数が増え、2026年3月期のコンピュータ用途の売上は3,104億円で28.4%増えました。 2026年4〜6月期のデータセンター関連売上は697億円で、前年同期比81.1%増です。
2026年度第1四半期 決算説明会資料 - 売上の8.7%を研究開発に充てる
2026年3月期の研究開発費は1,589億円で、売上高研究開発費率は8.7%です。 有価証券報告書は、研究開発費の比率8〜9%を電子部品業界の中でも比較的高い水準と位置づけています。
データで見るムラタ - 厚い自己資本
親会社所有者帰属持分比率は85.0%です。 設備投資2,478億円と配当、自己株式取得を同じ年度に実行しています。
2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)
リスク・検討点
- 高周波モジュールを含む事業の赤字
デバイス・モジュールは2026年3月期に−265億円の営業損失(△4.0%)で、2026年4〜6月期も129億円の損失(△8.5%)と赤字幅が広がりました。 会社自身が高周波モジュールの競争環境を「競合企業の技術レベルは拮抗」と書いています。
事業紹介 高周波・通信 - 表面波フィルタの減損と価格競争
2026年3月期に表面波フィルタ製品に係る事業ののれんを438億円減損しました。 事業紹介では、同業各社の台頭への対応として生産性向上によるコスト競争力の強化を掲げています。
事業紹介 高周波・通信 - コンデンサへの依存
コンデンサは連結売上収益の51%を占め、会社は依存度の高い製品としてリスクに挙げています。 会社は通信用デバイス、モジュール、バッテリー事業などを広げ、特定の製品への依存度を下げる取り組みを進めています。
有価証券報告書 第90期 - 中華圏への売上集中と中国勢の追い上げ
2026年3月期の中華圏向け売上は8,650億円で、売上の47.2%を占めます。 日本向けは1,328億円で7.3%です。 有価証券報告書は、中国ローカルの部品サプライヤーが急速に力をつけ、競争がさらに激化する傾向にあると記載しています。
有価証券報告書 第90期 - スマートフォン市況への感応度
通信用途の売上は6,530億円で前期比3.1%減でした。 会社は2026年度のスマートフォン台数を、メモリ半導体の供給制約によりミドル・ローエンドモデルを中心に0.5億台減ると見込んでいます。 2026年3月期は高周波モジュールと樹脂多層基板がスマートフォン向けで減少しました。
2026年度第1四半期 決算説明会資料
04待遇
給与、初任給、休日、手当
新卒総合職の初任給は学部卒29.5万円、修士了31.6万円、博士了35万2,500円で、年間休日は123日です。 2026年3月期の単体従業員は平均年齢40.5歳、平均勤続年数14.4年、平均年間給与は838.2万円です。
新卒総合職の初任給(月給)
- 新卒の初任給
- 高専専攻科卒・学部卒29.5万円、修士了31.6万円、博士了35万2,500円です。 昇給は年1回、賞与は年2回で、条件は 新卒 総合職採用 募集要項・待遇 に載ります。
- 平均年間給与
- 2026年3月期の単体従業員は11,174名で、平均年齢40.5歳、平均勤続年数14.4年、平均年間給与は838.2万円(838.2万円)です。 有価証券報告書 第90期 の従業員の状況に載ります。
- キャリア採用の年収
- キャリア採用の総合職は年収500万円〜980万円で、基本給と賞与に残業20時間を加えて算出した額です。 勤務地は本社、横浜事業所、野洲事業所などです。
- 休日と働き方
- 年間休日は123日です。 採用サイトは有給休暇の平均取得75.7%、平均残業時間16.1時間/月、自己都合退職率1.5%、キャリア採用入社者比率27.4%を掲げています。 データで見るムラタ で一覧できます。
05勤務地と職種
どこで、どんな仕事をするか
本社は京都府長岡京市にあり、最大のR&D拠点は滋賀県の野洲事業所です。 高周波モジュールと表面波フィルタは、北陸・東北・信州の生産子会社が開発・製造を担います。 拠点は国内30社、海外53社です。
主な勤務地・拠点
- 本社
- 京都府長岡京市東神足1丁目10番1号グループの中枢機能
- 研究開発
- 野洲事業所(滋賀県野洲市)はグループ最大のR&D拠点で、生産技術・電子材料・薄膜プロセス技術を研究開発します。 横浜事業所は半導体設計技術、ミリ波などのアンテナ・フィルター技術の開発に重点を置きます。
- 高周波・モジュールの生産子会社
- 仙台村田製作所(表面波フィルタ)、小松村田製作所(モジュール製品、SAWデバイス)、金沢村田製作所(高周波電子部品、樹脂多層基板)、小諸村田製作所(モジュール製品の量産設計・製造)
- 営業
- 東京支社(東京都渋谷区)が国内とグローバルの営業機能を統括します。海外売上高比率92.7%
新卒 技術系総合職の採用職種
- 材料・材料プロセス開発・設計
- 商品開発・設計
- ソフトウェア・シミュレーション技法開発・設計
- 生産技術
- 生産ライン設計改善(IE)
- 製造技術
- 品質保証・品質管理
- 分析・解析評価
- 情報システム・DX推進
- セールスエンジニア(技術営業)
技術系は200〜220名程度、事務系は30〜50名程度の採用予定です。
06これから
会社が次に取りにいくもの
中期方針2027は売上収益2兆円、営業利益率18%以上、ROIC 12%以上を掲げます。 データセンター向けのコンポーネント増産と、XBARフィルタやDigital ETによる高周波事業の立て直しが柱です。
中期方針2027の全社経営目標と2026年3月期実績
- 売上収益 1兆8,309億円 目標は2兆円
- 営業利益率 15.4% 目標は18%以上
- ROIC(税引後) 9.7% 目標は12%以上
これからの材料
- 高周波フィルタ
- XBAR技術を用いた高周波フィルタの量産出荷を始め、SAWフィルタ製造工程との親和性を生かして事業を広げると 事業紹介 高周波・通信 に載ります。
- 設備投資
- 2027年3月期の設備投資は2,550億円で、デバイス・モジュール製品の需要増に合わせて4月の計画から引き上げました。
- シリコンキャパシタ
- 半導体のMOSプロセスで電極を3次元化したシリコンキャパシタを、RFパワーアンプや自動車、医療向けに展開しています。
中期方針2027の売上2兆円
中期方針2027は売上収益2兆円、営業利益率18%以上、ROIC(税引後)12%以上を目標にしています。 2026年3月期の実績は売上収益1兆8,309億円、営業利益率15.4%、ROIC 9.7%でした。 2027年3月期の会社予想2兆1,100億円は、第2四半期以降の為替を1ドル155円とした数字です。1円の円高で年間の売上収益は約90億円、営業利益は約45億円減るため、為替が目標達成の水準を左右します。
XBARとDigital ETで高周波を差異化
XBAR技術を用いた高周波フィルタの量産出荷を始め、5GやWi-Fi 6E/7の高周波・広帯域フィルタの需要を狙います。 高周波モジュールでは、2021年9月に買収したEta Wireless社のDigital ET技術で競合との差異化を図ります。 会社は高周波モジュールの競争環境を、競合企業の技術レベルが拮抗している状態とみています。
データセンター向けの増産投資
2026年3月期の設備投資2,478億円のうち、コンポーネントが1,877億円で75.8%、デバイス・モジュールが553億円でした。 2027年3月期は設備投資を2,550億円に引き上げ、主にデバイス・モジュール製品の需要増に対応します。 会社は長納期案件の増加と、一部用途で供給逼迫を懸念した前倒し受注の可能性を挙げ、受注の動向を注視しています。
07入口を選ぶ
専攻から、入口を1つに絞る
高周波モジュール、表面波フィルタ、MLCCのうち自分の専攻と重なる製品を1つ選び、商品設計・材料・生産技術のどれで応募するかを決めます。
商品開発・設計(高周波・アナログ・デジタル回路設計)
採用職種の区分は「電子デバイス商品設計、高周波・アナログ・デジタル回路設計」です。 村田製作所の高周波・通信には、PA、LNA、アンテナ切り替えスイッチを組み込む高周波モジュールとXBARフィルタの事業があります。 横浜事業所は半導体設計技術やミリ波のアンテナ・フィルター技術の開発に重点を置いています。
公式採用情報材料・材料プロセス開発・設計
区分は「セラミック材料、有機材料・新素材材料開発」です。 MLCCのセラミック材料や、メトロサークに使うLCP(液晶ポリマー)シートなどの材料が対象になります。 野洲事業所はグループ最大のR&D拠点で、電子材料や薄膜プロセス技術を研究開発しています。
公式採用情報生産技術
区分は「生産設備・制御機器・計測機器の開発・設計、画像処理技術開発」です。 小諸村田製作所はモジュール製品の量産設計・製造、小松村田製作所はモジュール製品とSAWデバイスの開発・設計・製造を担います。
- Production Engineering
- Automation
- Image Processing
- Equipment Design
応募前の3手
- 高周波モジュールの構成(PA、LNA、スイッチ、SAWフィルタ)を図に描き、自分の研究が関わる部品に印を付ける
- コンポーネントとデバイス・モジュールの2026年3月期の売上と営業利益率を書き出し、配属希望の事業を決める
- 募集要項の採用職種、勤務地、初任給、選考の流れを公式ページから書き出す
面接で使う技術語
- RF Front-End
- Power Amplifier
- LNA
- SAW
- Analog Circuit
- Ceramic Materials
- MLCC
- Thin Film
- LCP
- Process Development
技術系総合職は主に理工系学科が対象で、2028年卒から自由応募で選考します。
他社との違いを一言で
- 積層セラミックコンデンサと高周波デバイス
太陽誘電
太陽誘電は製品情報で積層セラミックコンデンサ、インダクタ、積層チップEMI除去フィルタを掲げ、高周波デバイスは積層セラミック、FBAR、SAWの3技術で対応すると記載しています。村田製作所はコンデンサが売上9,364億円、高周波・通信が3,948億円で、MLCCとSAWの両方で太陽誘電と製品が重なります。
- スマートフォン向けRFフロントエンドモジュール
Qorvo
Qorvoはモバイル向けに、複数の機能を小さな面積にまとめた統合フロントエンドモジュールと、干渉を抑えるRFフィルタを提供すると記載しています。村田製作所の高周波モジュールもPA、LNA、スイッチとフィルタをまとめる製品で、これを含むデバイス・モジュールは2026年3月期に△4.0%の営業赤字でした。
- 積層セラミックコンデンサ
KYOCERA AVX
KYOCERA AVXは積層セラミックコンデンサ(MLCC)のチップ品、リード品、積層型などを製品群に持つと記載しています。村田製作所はMLCCを含むコンデンサが売上の51.1%を占め、会社が挙げるMLCC市場のシェアは40%です。
出典19件
- IR 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結) 2026年3月期
- IR 2027年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結) 2027年3月期第1四半期
- IR 2026年度第1四半期 決算説明会資料 2027年3月期第1四半期
- IR 有価証券報告書 第90期 2026年3月期
- 公式 事業紹介 高周波・通信
- 公式 事業紹介 コンデンサ
- 公式 会社概要
- 公式 シリコンキャパシタ 製品情報
ほか11件
- 公式 RFフロントエンドモジュール 製品情報
- 公式 弾性波デバイス 製品情報
- 採用 新卒採用情報
- 採用 新卒 総合職採用 募集要項・待遇
- 採用 新卒 総合職採用 技術系選考プロセス
- 採用 データで見るムラタ
- 採用 事業所・関係会社採用
- 採用 キャリア採用 総合職 募集要項
- 公式 太陽誘電 製品情報
- 公式 Qorvo Mobile Products
- 公式 KYOCERA AVX Ceramic Capacitors