半導体装置部材 耐プラズマOリング・ふっ素樹脂部品
ニチアス
断熱とシールの老舗に入った、半導体装置向け部材の稼ぎ頭
全社売上の15.5%にあたる高機能製品事業が、半導体製造装置向けのゴムOリングとふっ素樹脂部品を売っています。
第1四半期の高機能製品売上42.3%増で、2027年3月期の業績予想の上方修正で会社が最初に挙げた理由もこの部門です。
ニチアスは半導体製造装置メーカーなどへ ふっ素樹脂製品やシール材 を供給しています。 2027年3月期第1四半期の高機能製品 は部門利益率23.0%で、会社は通期売上高の予想を2,880億円へ引き上げました。
- 2026年3月期 高機能製品売上高 391億円 前期比12.3%減、全社売上2,519億円の15.5%
- 2027年3月期第1四半期 高機能製品の利益率 23.0% 売上138億円、部門利益31億円。 前年同期は18.3%
- 2027年3月期 高機能製品売上の会社予想 610億円 8月の修正後。 5月の期初予想530億円から80億円上乗せ
2026年3月期のセグメント別売上高
- プラント向け工事・販売795億円
- 工業製品533億円
- 自動車部品515億円
- 高機能製品(半導体関連)391億円
- 建材285億円
この会社の要点
01立ち位置
何の会社として比べるか
ニチアスの半導体関連の売上は高機能製品セグメントに集まります。 2026年3月期は391億円で全社売上2,519億円の15.5%ですが、2027年3月期は610億円まで伸ばす予想です。
2023年3月期から2027年3月期予想までの売上高と営業利益
高機能製品 売上高
高機能製品 営業利益
全社のどこで売っているか
セグメント別売上高
地域別売上高(全社)
高機能ゴムOリング
半導体製造装置の配管やバルブに使うゴム製シール材です。 パーフロロゴムの「ブレイザーネクスト」は独自の架橋技術で耐熱性、耐ラジカル性、純粋性、非固着性を持たせた製品で、「パーフロPFW」は耐プラズマ性が高くドライエッチング装置などで使われます。 特殊ふっ素ゴムの「ブレイザーOリング-FC/FE」は、パーフロロゴムより大幅に低いコストで耐プラズマ性を出す製品です。
- ブレイザーネクスト(耐熱・耐ラジカル性パーフロロゴム)
- ブレイザーOリング-S2(耐蒸気性パーフロロゴム)
- ブレイザーOリング-A(耐薬品性パーフロロゴム)
- ブレイザーOリング-FC/FE(耐プラズマ性特殊ふっ素ゴム)
ふっ素樹脂加工品
薬液移送用のチューブや、ウェーハを洗浄する薬液貯蔵槽などのふっ素樹脂製品です。 代表製品は帯電防止機能付きの「ナフロンPFA-NEチューブ」です。 半導体関連向けのふっ素樹脂製品は工業製品セグメントでも売れており、2027年3月期第1四半期の工業製品の売上は16.9%増えました。
- ナフロンPFA-NEチューブ(薬液移送用・帯電防止)
- ふっ素樹脂製の薬液貯蔵槽
- ふっ素樹脂の成形品・加工品
配管加熱・保温用ジャケットヒーターと無機断熱材
半導体製造装置の配管にジャケットのようにかぶせて加熱・保温する、低発塵性のクリーンな断熱材です。 サイズは一品一様で、着脱しやすい構造です。 製品一覧には、アルカリアースシリケートウールを積層したファインフレックスBIOのブランケットやボードも並びます。
- 配管加熱・保温用ジャケットヒーター
- ファインフレックスBIO ブランケット
- ファインフレックスBIO ボード
02収益
どこで、どれくらい儲けているか
高機能製品の部門利益率は、好況期に全社平均を大きく上回り、不況期に大きく落ちます。 2026年3月期は17.7%まで下がり、2027年3月期は24.6%への回復を見込みます。
売上高2,519億円 / 営業利益370億円
売上高は前期比1.8%減、営業利益は6.8%減で、営業利益率は14.7%です。 減収の主因は高機能製品部門の半導体製造装置向け需要の軟調です。
売上高391億円 / 営業利益69億円
売上高は前期の446億円から12.3%減、営業利益は102億円から32.5%減り、部門利益率は22.9%から17.7%へ下がりました。
売上高719億円 / 営業利益111億円
売上高は前年同期比16.0%増、営業利益は20.7%増です。 高機能製品は売上138億円(42.3%増)、セグメント利益31億円で、全社売上の19.3%を占めました。
受注高441億円 / 受注残高122億円
受注高は8.4%増で売上高の1.13倍、受注残高は69.8%増です。 有価証券報告書は国内の半導体製造装置向け関連製品の需要増を理由に挙げています。
売上高2,880億円 / 営業利益490億円
5月の予想は売上高2,700億円、営業利益450億円でした。 会社は修正理由の最初に、高機能製品の半導体製造装置向け需要が想定を上回って回復したことを挙げています。 高機能製品の通期予想は530億円から610億円へ80億円上がりました。
2026年3月期のセグメント別営業利益
高機能製品の部門利益率
03強みとリスク
強みと、リスク・検討点
強みは、架橋材から自社で作る耐プラズマOリングとふっ素樹脂部品で装置メーカーに入り込み、好況期に20%台の部門利益率を出せることです。 弱点はその裏返しで、半導体製造装置向け需要の増減が部門利益に増幅して表れます。
強み
- 半導体に特化した部門で全社平均より高い利益率
高機能製品の部門利益率は2023年3月期24.3%、2025年3月期22.9%で、全社の営業利益率12.6%、15.5%を同じ期で上回ってきました。 不振だった2026年3月期も17.7%で、全社の14.7%を超え、2027年3月期第1四半期は23.0%に戻りました。
2026年3月期 決算説明会資料 - 架橋材を自社で開発できるゴムOリング
ゴムに新たな性能を付与する架橋材の開発を自社で行える点を会社は強みに挙げ、高機能ゴムOリングを国内だけでなくアメリカ・中国にも供給しています。 会社が差別化技術に挙げるのは、クリーン技術(PFAチューブ、樹脂製品)、省エネ断熱技術(配管ヒータ)、高機能シール技術(低温・耐プラズマ)の3つです。
新卒採用 高機能製品事業 - 受注残が売上の回復に先行した
2026年3月期は売上が12.3%減った一方、受注高は441億円で8.4%増え、期末の受注残高は122億円と69.8%増えました。 2027年3月期第1四半期には部門売上が42.3%増えました。
有価証券報告書 第210期 - 厚い自己資本と小さい借入
2026年3月期末の自己資本比率は77.7%、有利子負債は128億円で依存度は4.2%です。 全社の研究開発費は68億円で、装置市況が落ちた年にも研究開発費を前期より増やしました。
2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
リスク・検討点
- 装置市況に連動して利益が大きく振れる
2026年3月期の高機能製品は売上が12.3%減に対し、営業利益は32.5%減りました。 生産高は263億円で17.5%減です。 売上の減少幅より利益の減少幅が大きく、市況の下げが利益に増幅して表れます。 ROICは2025年3月期の22.7%から13.7%へ下がりました。
2026年3月期 決算説明会資料 - 顧客が半導体製造装置メーカーに集まる
高機能製品事業の主な顧客は半導体製造装置メーカー、周辺機器メーカー、半導体メーカーです。 有価証券報告書は、耐食材については半導体の需要動向に業績が依存するとリスクに記載しています。 受注残の増加も国内の半導体製造装置向けが理由です。
事業概要 - 全社の販売構成は国内に偏る
2026年3月期の全社売上のうち日本向けが2,000億円で79.4%、アジアは393億円です。 会社は高機能ゴムOリングを米国・中国にも供給していますが、海外売上高は全社で518億円にとどまります。
2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) - 新基幹システムの費用と稼働延期
新基幹システムの本稼働は2026年10月から2027年5月へ延び、2027年3月期も構築費用25億円を見込みます。 工業製品セグメントは2026年3月期、この費用の増加で8.5%の減益になりました。
2026年3月期 決算説明会資料
04待遇
給与、初任給、休日、手当
2026年4月の総合職初任給は博士了35万5,300円、修士了32万9,300円、四大卒32.2万円です。 2026年3月期の単独従業員1,930人の平均年間給与は759万9,855円、平均年齢は40.9歳、平均勤続年数は13.9年です。
総合職の初任給(月給)
- 初任給とモデル賃金
- 初任給は博士了35万5,300円、修士了32万9,300円、四大卒32.2万円で、別途手当があります。 モデル賃金は25歳35万8,300円、30歳44万4,800円、35歳52万5,200円(各種手当の想定額を含む月額)です。 条件は 新卒採用 募集要項 に載ります。
- 勤務時間と休日
- 勤務時間は本社・支社・研究所が8:30〜17:30、工場が8:00〜17:00です。 年間休日は126日以上で、昨年度の実績は128日でした。 夏季休暇は連続5日間、年末年始休暇は連続6日間です。
- 平均年間給与
- 2026年3月期の有価証券報告書では、単独従業員1,930人、平均年齢40.9歳、平均勤続年数13.9年、平均年間給与759万9,855円(約760万円)で、前期より4.2%増えました。 有価証券報告書 第210期 の従業員の状況に載ります。
- 手当と福利厚生
- 住宅手当、家族手当、食事手当、子ども手当があり、昇給は年1回、賞与は年2回です。 財形・住宅融資制度、従業員持株制度、社宅制度があります。
- キャリア採用
- 経験とスキルから配属先を提案するポジションサーチ求人で、総合職採用のため異動や転勤の可能性があります。 2025年度の経験者採用比率は34%(44名)です。
05勤務地と職種
どこで、どんな仕事をするか
高機能製品の連結従業員は735人で、単独では379人です。 製品の研究は鶴見と浜松の研究所、製造は鶴見工場、熊本ニチアスなどの国内拠点が担い、会社は王寺工場と福島ニチアスで建屋を増築しています。
主な勤務地・拠点
- 本社
- 東京都中央区八丁堀一丁目6番1号技術開発職の勤務地の一つ
- 研究所
- 鶴見研究所(横浜市鶴見区大黒町)はふっ素樹脂やフィルタ、浜松研究所(浜松市浜名区)は無機繊維やゴムを研究します。
- 高機能製品を製造する国内拠点
- 鶴見工場(横浜市鶴見区)、王寺工場(奈良県)、羽島工場(岐阜県)、袋井工場(静岡県)、熊本ニチアス(熊本県菊池郡)、福島ニチアス、ニチアスセラテック熊本ニチアスは高機能製品の製造拠点
- 海外
- 中国・蘇州、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、インドなどに製造子会社、上海・シンガポールなどに販売子会社があります。
新卒総合職の部門と職種
- 研究部門
- ものづくり部門
- 技術開発部門
- 営業部門
- 管理部門
- 工事営業
前半3つが技術系、営業部門と管理部門が事務系です。 工事営業はプラント向けや建材の工事を担う営業職です。
06これから
会社が次に取りにいくもの
会社は高機能製品の生産能力を2027年3月期に600億円体制へ増強し、次期中期に800億体制を描いています。 全社では中期経営計画で営業利益率18%(新基幹システム関連経費を除く)と、2年総額290億円の戦略投資枠を掲げます。
利益率と資本効率の実績と目標
- 高機能製品 部門利益率 17.7% 2027年3月期の修正予想は24.6%
- 高機能製品 ROIC 13.7% 2027年3月期のイメージは25%
- 全社 営業利益率 14.7% 中期経営計画の目標は18%
これからの材料
- 生産能力の増強
- 600億円体制へ向けて王寺工場と福島ニチアスで建屋を増築し、全拠点で設備を増強すると 2026年3月期 決算説明会資料 に載ります。
- 差別化製品
- クリーン技術(PFAチューブ、樹脂製品)、省エネ断熱技術(配管ヒータ)、高機能シール技術(低温・耐プラズマ)を、将来を見据えた技術開発の柱にしています。
- 通期予想の修正
- 8月4日に全社の通期予想を売上高2,880億円、営業利益490億円へ引き上げ、理由の最初に高機能製品事業の半導体製造装置向け需要の回復を挙げました。
2027年3月期の高機能製品は610億円を予想
8月の修正で高機能製品の通期予想は売上610億円、営業利益150億円、利益率24.6%になりました。 上期280億円、下期330億円の計画で、2026年3月期の391億円から56.0%増える前提です。 計画は下期に上期より50億円多い330億円を置いています。2027年3月期第1四半期の半導体製造装置向け需要の大幅な回復について、会社はAI関連投資の加速を背景に挙げています。
生産能力600億円体制から800億体制へ
会社は2027年3月期に高機能製品の生産能力を600億円体制へ増強する計画で、次期中期のイメージとして800億体制を示しています。 王寺工場と福島ニチアスで建屋を増築し、全拠点で設備を増強、羽島やセラテックを建屋増築の候補に挙げています。 2026年3月期の高機能製品の設備投資は21億円で、前期の6.2億円から増えました。 予想売上610億円は600億円体制を上回る水準です。800億体制に向けて、全拠点の設備増強を自動化・効率化へ進める計画です。
耐プラズマ・低温シールとクリーン部材の差別化
会社は成長戦略に「先取の技術開発により差別化製品の創出」と「半導体市況を先読みした生産能力の増強」を掲げ、高機能シール技術(低温・耐プラズマ)、PFAチューブなどのクリーン技術、配管ヒータの省エネ断熱技術を開発の柱にしています。 高機能製品の研究開発費は11億円です。会社資料は、日本製半導体製造装置の売上が2028年以降に年平均6%で伸びる予測を載せています。
07入口を選ぶ
専攻から、入口を1つに絞る
ゴムOリング、ふっ素樹脂部品、ヒーター・断熱材のうち自分の専攻に近い製品を1つ選び、研究職、技術開発職、生産技術職、営業職のどれで関わるかを決めます。
技術開発職(高機能製品事業)
新製品の立案から量産開始までを主導し、営業が聞き取った顧客の要望から素材・形状・サイズなどの仕様を決めます。 募集要項では部品設計、装置設計、顧客への技術サービス、マーケティングが仕事内容で、多くの社員は浜松研究所、鶴見研究所、東京本社で働きます。
公式採用情報営業職(高機能製品事業)
高機能製品事業本部には中日本営業部京滋営業課などの営業部署があります。 顧客と仕様を作り込んで一品一様の製品を提案する提案型営業と、既存の法人客先をまわるルート営業が中心です。
公式採用情報研究職
研究開発本部に属し、勤務地は神奈川と静岡です。 鶴見研究所はおもにふっ素樹脂やフィルタを研究し、分析・解析の専門部署があります。 浜松研究所は無機繊維、無機多孔体、ゴムやウレタンを扱います。
- Crosslinking
- Elastomer
- Analysis
応募前の3手
- ブレイザーネクスト、ナフロンPFA-NEチューブ、ジャケットヒーターから1つ選び、使われる装置と求められる性能をノートへ書く
- 高機能製品の売上と利益率の推移を書き出し、2026年3月期の落ち込みと2027年3月期の回復の理由を説明できるようにする
- 募集要項の部門、勤務地、初任給、選考方法を公式ページから書き出す
面接で使う技術語
- FFKM
- O-ring
- Plasma Resistance
- Product Development
- Customer Engineering
- Semiconductor Equipment
- Solution Sales
- Account Sales
- Fluoropolymer
- Seal
募集学科は全学部全学科で、技術系の勤務地は研究部門が神奈川・静岡、ものづくり部門が東京・神奈川・静岡・岐阜・奈良などです。
他社との違いを一言で
- 半導体製造装置向けシール製品
バルカー
バルカーの半導体製造産業向け製品には、金属溶接べローズのダイナミックべローズ、金属中空Oリング、アーマークリスタルのOリング、PTFE製品が並びます。ニチアスの半導体・FPD向け製品一覧はパーフロロゴムのブレイザーシリーズとパーフロPFWなどのゴムOリングが中心です。
- ふっ素樹脂製の薬液系部品
日本ピラー工業
日本ピラー工業の電子機器関連事業はハイテク市場に特化し、ふっ素樹脂製の継手やポンプが半導体基板の洗浄に使われると記載しています。ニチアスは薬液移送用のPFAチューブやウェーハを洗浄する薬液貯蔵槽を供給し、ゴムOリングや断熱材も同じ部門で扱います。
- 半導体向けゴムシール
三菱電線工業
三菱電線工業はシール製品の注力領域に半導体を挙げ、半導体関連製品のゴムの配合から成形までをクリーンルーム内で完結させる生産ラインを持ち、米国に販売拠点を置いています。ニチアスは架橋材を自社で開発し、高機能ゴムOリングを国内・米国・中国へ供給しています。
出典17件
- 公式 会社概要
- 公式 事業概要
- 公式 事業所一覧
- 公式 半導体・FPD関連製品 製品一覧
- IR 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) 2026年3月期
- IR 2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結) 2027年3月期第1四半期
- IR 2027年3月期 第1四半期 決算補足資料 2027年3月期第1四半期
- IR 業績予想の修正に関するお知らせ(2026年8月4日) 2027年3月期
ほか9件
- IR 2026年3月期 決算説明会資料 2026年3月期
- IR 有価証券報告書 第210期 2026年3月期
- 採用 新卒採用 募集要項
- 採用 新卒採用 高機能製品事業
- 採用 新卒採用 職種紹介
- 採用 キャリア採用
- 公式 バルカー 半導体製造産業向け製品
- 公式 日本ピラー工業 事業内容
- 公式 三菱電線工業 シール製品