機械要素部品 直動案内機器・ニードルベアリング
日本トムソン
半導体製造装置の直線運動を支えるIKOブランドの軸受メーカー
売上の55.4%を占める直動シリーズで稼ぎ、半導体製造装置や実装機向けの需要回復で2026年3月期は24.2%伸びました。
第1四半期の受注高322億円は売上高の1.63倍で、会社は通期予想を売上高800億円へ引き上げています。
日本トムソンは 直動案内機器やニードルベアリング を作る軸受メーカーです。 営業利益は2025年3月期に11億円まで落ち、会社は 2027年3月期の営業利益 を115億円と見込んでいます。
- 2026年3月期 売上高 630億円 前期比15.9%増。 直動シリーズは24.2%増
- 2026年3月期 営業利益 41億円 前期比249.6%増、営業利益率6.5%
- 2027年3月期 第1四半期 受注高 322億円 前四半期比32.6%増、同期の売上高198億円の1.63倍
2026年3月期の品目別売上高
- 直動シリーズ349億円
- ニードルベアリング215億円
- 諸機械部品65億円
この会社の要点
01立ち位置
何の会社として比べるか
日本トムソンは、半導体製造装置や実装機の直線運動部に使われる直動案内機器を主力にする軸受メーカーです。 2026年3月期は売上高630億円で前期比15.9%増え、2027年3月期の第1四半期には北米でも半導体製造装置等のエレクトロニクス関連機器向けの需要が増えました。
2022年3月期から2027年3月期予想までの売上高と営業利益
売上高
営業利益
どの地域の顧客へ売っているか
地域別売上高
国内と海外
直動シリーズ(直動案内機器)
機械の直線運動部を精密に位置決めし、滑らかに動かす要素部品です。 2026年3月期の売上は349億円で全体の55.4%を占め、半導体製造装置や実装機向けの需要増で24.2%伸びました。 世界最小のレール幅1mmから超大形までそろい、電子部品の検査・組立用ハンドラにはボールスプラインが使われます。
- リニアウェイ
- リニアローラウェイ
- CルーブリニアローラウェイスーパーX
- CルーブボールスプラインG
メカトロシリーズ(精密位置決めテーブル)
直動案内機器、ボールねじ、モータを組み合わせた一体型の精密位置決めテーブルです。 制御用の電装装置まで一緒に提供し、半導体製造装置やフラットパネルディスプレイ製造装置の位置決め機構に使われます。 リニアモータ駆動の「ナノリニアNT」は、会社が半導体製造装置等の生産性向上に貢献すると説明する製品です。
- ナノリニアNT(XYステージ仕様)
- ナノリニアNT100V
- リニアモータテーブルLT…H2シリーズ
ニードルベアリング・クロスローラベアリング
針状の細いローラを使う回転用ベアリングで、日本トムソンが国内で初めて自社開発に成功しました。 2026年3月期の売上は215億円で8.9%増え、工作機械向けが減った一方でロボットや市販向けが増えました。 2026年3月期には軽量形クロスローラベアリングLCRBなど11品目の新製品を出しています。
- ニードルベアリング
- 軽量形クロスローラベアリングLCRB
- 超薄形クロスローラベアリング
02収益
どこで、どれくらい儲けているか
売上の半分は市販・海外代理店経由で、直販ではその他一般機械向けが最大、エレクトロニクス向けが2番目の需要業界です。 2026年3月期は直販のエレクトロニクス向けが18.4%、市販向けが22.1%伸び、輸送機器向けだけが2.5%減りました。
売上高630億円 / 営業利益41億円
売上高は前期比15.9%増、営業利益は249.6%増で、営業利益率は6.5%です。 当期純利益は40億円、自己資本比率は66.2%でした。
受注高725億円
前期比29.8%増です。 第4四半期の受注高243億円で、受注高を売上高で割ったBBレシオは1.40まで上がりました。
売上高198億円 / 営業利益27億円
売上高は前年同期比32.9%増、営業利益は281.9%増で、営業利益率は14.1%です。 受注高は322億円でした。
売上高800億円 / 営業利益115億円
5月の期初予想は売上高750億円、営業利益82億円でした。 円安とエレクトロニクス関連機器を中心とする設備投資需要の継続を理由に引き上げ、予想営業利益率は14.4%です。
2026年3月期の需要業界別売上高
売上高の推移と会社予想
03強みとリスク
強みと、リスク・検討点
強みは、レール幅1mmのミニチュアから位置決めテーブルまでそろう直動製品が、半導体の後工程の装置に入り込んでいることです。 一方で営業利益は2023年3月期の97億円から2025年3月期の11億円へ約9割減りました。 会社は特定産業分野の急激な需要縮小をリスクに挙げています。
強み
- 直動シリーズが売上の過半を占める
2026年3月期の直動シリーズ売上は349億円で、前期比24.2%増でした。 会社は増加要因に半導体製造装置や実装機等のエレクトロニクス関連機器を挙げ、直販のエレクトロニクス向け売上も113億円と18.4%伸びました。
セグメント情報 - 後工程で効くミニチュアタイプ
会社によると、生成AI向けのサーバー需要で半導体製造装置の設備投資が拡大し、IKO製品は前工程から後工程まで採用されています。 いま需要が多いのは検査や組立の後工程で、ミニチュアタイプの直動案内機器が使われています。 レール幅1mmの製品は会社が世界最小としているものです。
統合報告書2025 - 部品から位置決めテーブルまで一社で供給
直動案内機器とニードルベアリングに加え、ボールねじやモータと組み合わせた精密位置決めテーブルを装置単位で納めます。 装置単位の提供は、顧客の設計・組立工数の削減と機械の高精度化を狙ったものです。
統合報告書2025 - 受注の先行と厚い自己資本
受注高は2026年3月期に725億円で売上高630億円を上回り、2027年3月期の第1四半期は322億円に達しました。 自己資本比率は66.2%、現金及び現金同等物は229億円です。
2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
リスク・検討点
- 半導体・実装機の設備投資の波をそのまま受ける
有価証券報告書は、半導体製造装置や電子部品実装機、工作機械向けへの売上比率が相対的に高いことを事業リスクの筆頭に挙げています。 売上高は2023年3月期の682億円から2025年3月期の543億円へ落ち、営業利益は97億円から11億円まで縮みました。
有価証券報告書 第77期 - 利益率の低さ
2026年3月期の営業利益率は6.5%で、2023年3月期の14.2%の半分以下です。 売上が増えた2027年3月期第1四半期で14.1%まで戻りましたが、量が落ちると利益が大きく削られる構造です。
2025年度(2026年3月期)決算補足資料 - 量産品の価格競争と模倣
統合報告書は、特殊品で量産化対応に強い競合との価格競争に劣勢となるケースがあり、海外では新製品の模倣も散見されると記載しています。 廉価な類似製品に需要が傾くと、付加価値に見合う価格を付けにくくなるリスクもあります。
統合報告書2025 - 中国向けの急拡大
中国向け売上は2026年3月期に111億円となり、前期の71億円から56.4%増えて売上の17.7%を占めました。 統合報告書が2025年3月期に全体の13%と示した比率から上がっています。 増加は半導体関連需要と大口の設備投資案件によるもので、米国の半導体規制が強まると需要が減速するリスクを会社自身が挙げています。
セグメント情報 - 最終需要が見えにくい代理店経由の売上
市販・海外代理店向けの売上は315億円で、全体の50.0%です。 どの装置にどれだけ使われたかは代理店の先にあり、半導体向けの実需を直販のエレクトロニクス向け113億円だけで測ると規模を小さく見誤ります。
2025年度(2026年3月期)決算補足資料
04待遇
給与、初任給、休日、手当
新卒の初任給は院卒28.2万円、大卒26万4,400円で、賞与は年2回5.4か月分です。 2026年3月期の提出会社の平均年間給与は686万5,606円、平均年齢39.6歳、平均勤続年数15.8年です。
新卒初任給(月給)
- 新卒の初任給と賞与
- 2026年度は院卒28.2万円、大卒26万4,400円、高専卒23万8,400円です。 賞与は7月と12月の年2回で5.4か月分です。 条件は 募集要項:新卒採用 に載ります。
- 休日と勤務時間
- 年間休日は本社・営業部門が124日、工場部門が120日の完全週休2日制です。 本社・営業の通常勤務は8:30〜17:12で、時差勤務の区分もあります。
- 平均年間給与
- 2026年3月期の有価証券報告書では、提出会社の従業員1,030名、平均年齢39.6歳、平均勤続年数15.8年、平均年間給与686万5,606円(約686.6万円)で、前期比3.3%増えました。 有価証券報告書 第77期 の従業員の状況にあります。
- キャリア採用のモデル年収
- 大卒・時間外勤務20h/月の条件で、25才(独身)500万円、30才(世帯主・扶養1人)600万円、35才(世帯主・扶養2人)780万円、40才(同条件)830万円です。 正規雇用の中途採用比率は2025年度に38%でした。 募集要項:キャリア採用 に一覧があります。
- 福利厚生
- 各種社会保険、育児・介護休業、財形貯蓄、持株会、確定給付企業年金、選択制確定拠出企業型年金のほか、寮・社宅と契約保養所があります。
05勤務地と職種
どこで、どんな仕事をするか
本社は東京都港区高輪にあり、生産と製品開発は岐阜県に集まります。 美濃市・関市の岐阜製作所と土岐工場が国内の生産拠点で、海外ではベトナム・ハイフォンと中国・常熟の生産子会社が能力を増強しています。
主な勤務地・拠点
- 本社
- 東京都港区高輪2-19-19海外営業部とグローバルR&D推進部も同所
- 岐阜の生産・開発拠点
- 岐阜製作所(美濃市の極楽寺地区・笠神地区、関市の武芸川地区)、土岐工場(土岐市)、技術センターと製品開発センター(美濃市)
- 開発研究所
- 神奈川県横浜市港北区新横浜2026年5月に移転
- 海外
- IKO THOMPSON VIETNAM(ベトナム・ハイフォン)と優必勝(蘇州)軸承(中国・常熟)が生産子会社。 2025年8月に上海へR&Dセンター中国を開設し、2026年度に欧州・米国にも開発拠点を置く予定米国にボストン営業所を2026年4月に開設
新卒採用の職種
- 製品設計
- 製品開発
- 技術研究
- 品質保証
- 生産技術
- 営業技術
- 国内営業
- 海外営業
- 生産管理
前半6つが技術系、後半3つが営業/管理系の職種です。 採用予定人数は20名程度で、採用学科は全学部全学科です。
06これから
会社が次に取りにいくもの
2027年3月期は中期経営計画2026の最終年度です。 会社は8月に通期予想を売上高800億円、営業利益115億円へ引き上げ、半導体製造装置、医療機器、ロボットを重点分野に据えています。
2027年3月期の会社予想と第1四半期実績
- 売上高 198億円 通期予想は800億円
- 営業利益 27億円 通期予想は115億円
- 営業利益率 14.1% 通期予想は14.4%
これからの材料
- 半導体製造装置
- 半導体製造装置トップメーカーでの液晶潤滑剤の採用・拡販と、ベトナム工場の増産による小形直動の競争力強化を製品戦略に掲げていると 統合報告書2025 に載ります。
- 中期経営計画の見直し
- 当初の3か年平均で営業利益90億円以上という目標を、2026年度(2027年3月期)までの目標として営業利益65億円以上、ROE8%以上に見直しました。 成長投資は150億円から70億円へ絞っています。
- 技術拠点
- 上海にR&Dセンター中国を開設し、横浜市へ移した開発研究所でオープンイノベーション活動を進めています。
半導体製造装置向けの小形直動を増産
統合報告書の製品戦略は、半導体製造装置トップメーカーでの液晶潤滑剤の採用・拡販と、ベトナム工場の生産増強による小形直動の競争力強化を掲げます。 半導体製造装置は医療機器、ロボットと並ぶ中期経営計画2026の重点分野です。 後工程の検査・組立装置の投資が続くか、前工程の装置で採用が広がるかで、ミニチュア直動の伸びが決まります。
中期経営計画2026の最終年度
2024年4月から3年間の計画で、当初は3か年平均で営業利益90億円以上、ROE8%以上を掲げましたが、エレクトロニクス関連の回復の遅れを受け、2026年度(2027年3月期)までの目標を営業利益65億円以上、ROE8%以上へ見直しました。 成長投資も150億円から70億円に絞っています。 最終年度の2027年3月期は営業利益115億円を予想しています。 115億円は予想です。下期に為替と半導体関連の受注がどう動くかで、計画の達成度が決まります。
中国・米国での技術拠点づくり
2025年8月に上海の販売子会社内へR&Dセンター中国を開設し、2026年4月には米国マサチューセッツ州にボストン営業所を開きました。 2026年5月には基礎技術の研究を担う開発研究所を横浜市へ移しています。 中国の装置メーカー向けの伸びが規制や景気で止まった場合に、米国と欧州の需要で埋められるかが分かれ目です。
メカユニットへの事業拡張
メカトロシリーズはパートナー企業を増やし、メカユニットビジネスを強化する方針です。 自社で対応できない領域は協力企業と組み、メカユニット製品のような複合ソリューションを市場に出すと統合報告書は記載しています。 統合報告書は、エレクトロニクス関連機器向けなど特定産業分野への売上依存をリスクに挙げ、その施策の一つにIKOメカユニット等の装置納入による新たな付加価値の提供を置いています。
07入口を選ぶ
専攻から、入口を1つに絞る
直動シリーズ、メカトロシリーズ、ニードルベアリングのうち自分の専攻と重なる製品群を1つ選び、技術系と営業/管理系のどちらで応募するかを決めます。
製品設計 / 製品開発 / 技術研究
新卒の技術系の採用職種です。 研究開発は製品開発センター、技術センター、生産技術部が中心で、技術センターと製品開発センターは岐阜県美濃市にあります。 キャリア採用の製品開発3名も勤務地は美濃市です。
公式採用情報メカトロ設計 / メカトロ開発
キャリア採用でメカトロ設計2名、メカトロ開発1名を募集し、勤務地はどちらも岐阜県土岐市です。 会社のメカトロシリーズは直動案内機器、ボールねじ、モータ、制御用の電装装置を一体にした精密位置決めテーブルです。
公式採用情報生産技術 / 品質保証 / 製品検査
新卒の技術系に生産技術と品質保証があり、キャリア採用では製品検査3名を土岐市で募集しています。 生産拠点は美濃市・関市の岐阜製作所と土岐工場で、製品の熱処理、研削、組立、検査などを一貫して行います。
- Production Engineering
- Quality Assurance
- Grinding
- Heat Treatment
応募前の3手
- リニアウェイ、ナノリニアNT、ニードルベアリングから1製品を選び、どの装置のどの動きに使われるかをノートへ書く
- 2026年3月期の需要業界別売上と、第1四半期の受注高322億円を書き出し、半導体向けの比重を自分で見積もる
- 募集要項の職種、配属先、初任給、休日を公式ページから書き出す
面接で使う技術語
- Linear Guide
- Needle Bearing
- Tribology
- Product Design
- Miniature
- Positioning Table
- Linear Motor
- XY Stage
- Mechatronics
- Semiconductor Equipment
新卒の採用学科は全学部全学科で、技術系は製品設計から営業技術までの6職種です。
他社との違いを一言で
- 直動案内機器(LMガイド)
THK
THKはLMガイドを世界で初めて直線運動部の転がり化を実用化した主力製品としており、ミニチュアから工作機械用の大型までシリーズ化しています。日本トムソンは直動シリーズで世界最小のレール幅1mmの製品を持ち、ニードルベアリングと位置決めテーブルも作っています。
- リニアガイドとボールねじ
日本精工(NSK)
NSKはボールガイドからローラガイドまでのリニアガイドを、工作機械、半導体製造装置、一般産業機器、医療用に向けて提供しています。日本トムソンも半導体製造装置、医療機器、ロボットを重点分野に置き、直動シリーズが売上の55.4%を占めます。
- リニアガイドウェイと半導体サブシステム
ハイウィン
ハイウィンはリニアガイドウェイに加え、ウエハ搬送ロボット、ウエハアライナー、ナノ精度位置決めステージを半導体サブシステムとして扱います。日本トムソンは直動案内機器、ボールねじ、モータを組み合わせた精密位置決めテーブルをメカトロシリーズとして供給し、半導体製造装置やフラットパネルディスプレイ製造装置の位置決め機構に使われています。
出典21件
- 公式 会社概要
- 公式 事業所一覧(国内)
- 公式 事業所一覧(海外)
- 公式 製品の概要・用途
- 公式 沿革
- 公式 ブランド理念実現体制
- 公式 産業分野から探す 電気電子機器
- IR セグメント情報 2026年3月期
ほか13件
- IR 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) 2026年3月期
- IR 2025年度(2026年3月期)決算補足資料 2026年3月期
- IR 2027年3月期 第1四半期決算短信 2027年3月期 第1四半期
- IR 2026年度(2027年3月期)第1四半期 決算補足資料 2027年3月期 第1四半期
- IR 2027年3月期 第2四半期(中間期)および通期連結業績予想の修正に関するお知らせ 2027年3月期
- IR 有価証券報告書 第77期 2026年3月期
- IR 統合報告書2025
- 採用 募集要項:新卒採用
- 採用 募集要項:キャリア採用
- 公式 THK LMガイド 製品情報
- 公式 NSK リニアガイド 製品情報
- 公式 ハイウィン リニアガイドウェイ
- 公式 ハイウィン 半導体サブシステム