半導体材料 フォトレジスト原料モノマー
大阪有機化学工業
半導体レジストの原料モノマーを作る特殊アクリルの化学メーカー
ArFとEUVのレジストに使うアクリルモノマーを作る化学メーカーで、2025年11月期は売上の46.0%を電子材料事業が占めます。
電子材料の利益率22.6%は2026年11月期中間の数字です。 同じ期にEUVレジスト用原料の販売は大幅に増えました。
大阪有機化学工業は ArFとEUVのレジスト用原料モノマー を作る化学メーカーです。 2026年11月期中間の電子材料事業 はセグメント利益21億円で、利益率は22.6%でした。
- 2025年11月期 売上高 362億円 前期比10.9%増。 営業利益61億円で営業利益率17.1%
- 2025年11月期 電子材料セグメント利益 27億円 前期比48.7%増。 売上高166億円に対する利益率16.7%
- 2026年11月期中間 電子材料 売上高 96億円 前年同期比23.9%増。 EUVレジスト用原料の販売が大幅に増加
2025年11月期のセグメント別売上高
- 電子材料事業166億円
- 化成品事業133億円
- 機能化学品事業62億円
この会社の要点
01立ち位置
何の会社として比べるか
大阪有機化学工業は、塗料・粘着剤向けの特殊アクリル酸エステルから始まり、半導体レジストの原料モノマーへ事業の重心を移した化学メーカーです。 2025年11月期は電子材料事業が売上の46.0%を占め、連結従業員467名のうち176名が電子材料事業に属します。
電子材料事業の売上高とセグメント利益
電子材料事業 売上高
電子材料事業 セグメント利益
電子材料はどこへ売り、何人で作っているか
電子材料事業の地域別売上高
セグメント別の従業員数(連結)
半導体用材料(レジスト原料モノマー)
半導体の製造に使うレジストの原料として、アダマンチル系モノマーやラクトン系モノマーをはじめとするアクリルモノマーを開発しています。 製品ページにはラクトン基、アダマンチル基、シクロ環を持つ(メタ)アクリレートが並び、1-アダマンチルメタクリレートのADMAは、2025年1月保存の製品ページで量産ステージ・20kg単位、γ-ブチロラクトンアクリレートのGBLAは少量生産ステージとされています。
- ADMA(1-アダマンチルメタクリレート)
- MADA
- MADMA
- EtADA
表示用材料(液晶パネル加工用レジスト)
液晶ディスプレイパネルの加工に使うレジスト材料です。 フォトスペーサー用ネガレジスト、オーバーコート・絶縁膜用ネガレジスト、光硬化型位相差材料、光配向材料、マイクロレンズ用ネガレジストをシリーズで持ちます。 2025年11月期と2026年11月期中間の表示材料グループの販売は、どちらも横ばいでした。
- GLRシリーズ(フォトスペーサー用)
- CHNシリーズ(オーバーコート・絶縁膜用)
- SIRシリーズ(光硬化型位相差材料)
- ALRシリーズ(光配向材料)
レジスト技術の新用途
フォトレジスト材料で培った技術を表示材料以外へ広げ、リフトオフプロセス向けネガ型レジスト材料や配線形成用途向けポジ型レジスト材料を提案しています。 EUVレジスト用モノマーの開発と並行して製造技術開発を進め、2025年11月期に中量実験室を完成させてスケールアップを速める体制を整えました。
- リフトオフプロセス向けネガ型レジスト材料
- 配線形成用途向けポジ型レジスト材料
- EUVレジスト用モノマー
02収益
どこで、どれくらい儲けているか
利益の伸びは電子材料事業から来ています。 2026年11月期中間のセグメント利益は電子材料が21億円で、化成品の12億円、機能化学品の9.9億円を上回り、全社の営業利益44億円の半分近くを占めます。
売上高362億円 / 営業利益61億円
売上高は前期比10.9%増、営業利益は34.2%増で、営業利益率は17.1%です。 補助金収入31億円を特別利益に計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は68億円になりました。
売上高166億円 / セグメント利益27億円
売上高は前期比16.0%増、セグメント利益は48.7%増です。 主力のArFレジスト用原料が回復し、EUVレジスト用原料は減りました。 前期は売上高143億円、セグメント利益18億円でした。
売上高200億円 / 営業利益44億円
売上高は前年同期比15.1%増、営業利益は51.4%増で、営業利益率は22.1%です。 前年同期の営業利益は29億円でした。
売上高96億円 / セグメント利益21億円
売上高は前年同期比23.9%増、セグメント利益は68.4%増です。 ArFレジスト用原料が好調で、EUVレジスト用原料の販売は大幅に増えました。 表示材料グループは横ばいでした。
2026年11月期中間のセグメント利益
連結売上高の推移と中期経営計画
03強みとリスク
強みと、リスク・検討点
強みは、アクリル酸エステルの合成・精製技術を半導体レジストの原料モノマーへ広げ、ArFとEUVの両方の需要を取り込んだことです。 一方でJSR向け売上が全社の14.5%を占め、電子材料事業の減価償却費20億円はセグメント利益の7割を超えます。
強み
- 電子材料が最大部門になった
2025年11月期の電子材料事業は売上高166億円で全社の46.0%、セグメント利益27億円で3事業合計の44.8%を占めます。 利益率は前期の13.0%から16.7%へ上がりました。 中身は半導体レジスト用のアクリルモノマーで、主力のArFレジスト用原料の回復が増益を支えました。
有価証券報告書 第79期(2025年11月期) - EUV向け原料の伸びが中間期で数字に出た
2026年11月期中間の電子材料事業は売上高96億円、セグメント利益21億円で、利益率は22.6%です。 前年同期の売上高78億円、利益13億円から大きく伸び、同じ期にEUVレジスト用原料の販売は大幅に増えました。
半期報告書 第80期(2026年11月期中間) - 多品種少量の合成と量産をつなぐ設備
同じ設備で多種類の製品を作るマルチパーパス生産設備で、多品種少量生産に対応しています。 半導体用モノマーは、2025年1月保存の製品ページでGBLAが少量生産ステージ、ADMAが量産ステージとされ、2025年11月期には中量実験室を完成させました。 研究開発費は19億円で売上高の5.2%です。
有価証券報告書 第79期(2025年11月期) - 投資余力の大きい財務
2025年11月期末の自己資本比率は78.0%です。 先端半導体用材料には約80億円を投じた生産設備がすでに稼働し、サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金31億円も受け取りました。
有価証券報告書 第79期(2025年11月期)
リスク・検討点
- 1社で売上の14.5%
2025年11月期のJSR向け売上は52億円で、連結売上高の14.5%を占めます。 前期の13.7%から比率が上がり、関連セグメントは化成品事業と電子材料事業です。
有価証券報告書 第79期(2025年11月期) - 長い製品検証と在庫の滞留
会社の製品には、顧客の品質要求を満たした後も長期の製品検証プロセスを経て販売できるものがあります。 会社は見込み生産を行い、長期間かけて製品を売ります。 EUV向け原料は2025年11月期に減り、2026年11月期中間に大幅に増えました。 一定の滞留期間を超えた棚卸資産は、規則的に帳簿価額を切り下げます。
有価証券報告書 第79期(2025年11月期) - 設備の重い電子材料事業
2025年11月期の電子材料事業の減価償却費は20億円で、セグメント利益27億円の7割を超えます。 設備投資額は5.9億円でしたが、酒田工場で約100億円の新設備を計画しています。
有価証券報告書 第79期(2025年11月期) - 売上が市況で上下する
連結売上高は2021年11月期の350億円から2023年11月期に289億円まで減り、2025年11月期に362億円へ戻りました。 2025年11月期の純利益68億円には補助金収入31億円が含まれ、営業利益は61億円でした。
有価証券報告書 第79期(2025年11月期)
04待遇
給与、初任給、休日、手当
有価証券報告書の平均年間給与は858万1,191円、平均年齢41.3歳、平均勤続年数17.4年です。 新卒の基本給は2023年実績で、修士課程修了24.5万円、学部卒23万500円です。
新卒の基本給(月額)
- 新卒の基本給(2025年の採用ページ)
- 研究職は博士26.4万円、修士24.5万円、学部23万500円です。 化学プラントオペレーター職は学部卒と高専卒(専攻科)が23万500円、高専卒(本科)が19.6万円です。 条件は 新卒採用情報 研究部門 に載ります。
- 平均年間給与
- 2025年11月期の提出会社は従業員405名、平均年齢41.3歳、平均勤続年数17.4年、平均年間給与858万1,191円(約858.1万円)です。 有価証券報告書 第79期 の従業員の状況にあります。
- 勤務形態(2025年の採用ページ)
- 研究職はフレックスタイム制で、コアタイムは10:00〜15:00です。 化学プラントオペレーター職は金沢工場の交替勤務制で、交替勤務手当と寒冷地手当がつきます。
- 福利厚生(2025年の採用ページ)
- 金沢工場周辺の社員寮、社員食堂、保養所、退職金、確定拠出年金、社員持株会があります。 賞与は年2回(6月、11月)、昇給は年1回です。
- 女性活躍と育休
- 2025年11月期の提出会社の管理職に占める女性労働者の割合は5.7%、男性労働者の育児休業の取得は100.0%です。
05勤務地と職種
どこで、どんな仕事をするか
生産の中心は石川県白山市の金沢工場で、提出会社の従業員405名のうち258名が働きます。 研究は金沢研究所と大阪府柏原市の大阪研究所の2か所、半導体関連材料の新設備は山形県の酒田工場に建てます。
主な勤務地・拠点
- 金沢工場
- 石川県白山市松本町。 会社がメイン工場と位置づける拠点で、2025年の採用ページでは研究職の勤務地の金沢研究所も白山市にある従業員258名、帳簿価額111億円
- 酒田工場
- 山形県飽海郡遊佐町。 半導体関連材料の新設備(約100億円)を2028年に完成させる予定従業員39名
- 大阪事業所・大阪研究所
- 大阪府柏原市。 生産設備と研究設備を持つ従業員44名
- 本社・東京オフィス
- 本社は大阪市中央区安土町、東京オフィスは東京都中央区本社34名、東京オフィス30名
2025年の採用ページにある職種と仕事
- 研究職
- 化学プラントオペレーター職
- 精密有機合成
- モノマー合成
- ポリマー合成
- パイロットプラント試作
- 合成・精製・充填
- 工程管理
2023年の新規採用数は18名で、うち新卒採用者は12名でした。
2026年度新卒の選考の流れ(2025年の採用ページ)
- エントリー後に会社説明会を予約し、エントリーシートを提出する
- 集団面接または個人面接を受ける(適性試験・専門試験を行う場合がある)
- 役員との個人面接を経て内定
06これから
会社が次に取りにいくもの
会社は中期経営計画P&D 2030で、最先端半導体材料の開発を加速して周辺材料へ広げ、半導体事業を拡大すると掲げています。 2030年度の目標は売上高500億円以上、営業利益75億円以上です。
P&D 2030の目標と2025年度実績
- 連結売上高 362億円 2030年度目標は500億円以上
- 連結営業利益 61億円 2030年度目標は75億円以上
- 連結営業利益率 17.1% 2030年度目標は15%以上
- ROE 14.5% 2030年度目標は12%以上
これからの材料
- 酒田工場の新設備
- 会社は半導体関連材料の新設備に約100億円を投じ、2026年に着工して2028年に完成させる計画です。 有価証券報告書 の重要な後発事象に詳細があります。
- 高純度化の提携
- 三宝化学研究所との資本業務提携で、高純度化技術や開発・製造基盤を相互に活用し、半導体・電子材料分野の開発力を強めます。 2026年11月期 半期報告書 の経営成績の項にあります。
- 新規材料
- LCD用レジスト設計技術の非ディスプレイ用途への展開、親水性ポリマー技術の新規電子材料用途への展開、有機圧電材料や伸縮性エラストマー材料の開発を重点領域に挙げています。
酒田工場に約100億円の半導体材料設備
2025年12月の取締役会で、酒田工場に半導体関連材料の新規設備を建設すると決めました。 投資総額は約100億円で、2026年に着工し2028年の完成を予定します。 会社は生産能力の拡充と高純度化技術の向上を狙い、金沢工場と酒田工場の2拠点生産体制でBCPを確実にする方針です。 完成は2028年の予定です。2025年11月期の電子材料事業の減価償却費は20億円でした。
三宝化学研究所との資本業務提携
2026年11月期中間に、株式会社三宝化学研究所との資本業務提携に合意しました。 両社は高純度化技術や開発・製造基盤を相互に活用し、半導体・電子材料分野の開発力と顧客提案力を強める方針です。 会社の製品には、顧客の品質要求を満たした後も長期の製品検証を経て販売に至るものがあります。
海外販売網の拡大
中国の光碩(上海)化工貿易、2024年設立の韓国大阪有機化学工業に続き、2025年に新中村化学工業との合弁で米国ニュージャージー州にVisnex Chemicals Corporationを設立しました。 2025年11月期の電子材料事業の売上は日本向けが143億円で86.1%を占めます。 電子材料の海外売上はアジア・豪州向け22億円が中心で、米州向けは0.9億円でした。
中期経営計画P&D 2030の数値目標
2030年度(2030年11月期)に連結売上高500億円以上、連結営業利益75億円以上、営業利益率15%以上、ROE12%以上を掲げます。 2026年度(2026年11月期)の目標は売上高400億円以上、営業利益56億円以上です。 戦略投資・事業投資は累積300億円以上を目標にしています。 2025年度の営業利益61億円は2026年度目標の56億円を上回りました。2025年度の売上高は362億円で、2026年度目標は400億円以上です。
07入口を選ぶ
専攻から、入口を1つに絞る
研究職か化学プラントオペレーター職かを先に決め、半導体レジスト原料、表示材料、化成品のどの製品群に関わりたいかを1つ選びます。
研究職(新卒)
2025年5月保存の2026年度新卒向け採用ページでは、精密有機合成・モノマー合成・ポリマー合成の3つの技術を融合し、市場へ提案できる機能材料を開発します。 研究室での処方の確立から大量生産の目処がつくところまでを担当し、勤務地は金沢研究所(石川県白山市)と大阪研究所(大阪府柏原市)です。
公式採用情報化学プラントオペレーター職(新卒)
2025年6月保存の2026年度新卒向け採用ページでは、原料の仕込みから合成、精製、充填まで、工程管理を含めた一連の業務に携わります。 勤務地は金沢工場(石川県白山市)で、交替勤務制です。 金沢工場は会社がメイン工場と位置づける拠点で、提出会社の従業員258名が働きます。
公式採用情報研究職(キャリア)
2025年5月保存のキャリア採用ページでは、電子材料原料や化成品原料の研究開発を担います。 チームミーティング、文献調査、顧客訪問を行い、製造条件をつかむためにパイロットプラントで試作もします。 勤務地は金沢研究所と大阪研究所です。
- Pilot Plant
- Analysis
- Customer Visit
応募前の2手
- ADMA、GBLA、MCPAなど製品ページのモノマーから1つ選び、構造と用途をノートにまとめる
- 電子材料事業の2025年11月期と2026年11月期中間の売上高・セグメント利益を書き出し、伸びの理由を1行で説明する
面接で使う技術語
- Organic Synthesis
- Monomer
- Polymer
- Photoresist
- Scale-up
- Plant Operation
- Distillation
- Batch Process
- Quality
- Shift Work
2026年度新卒向けの2025年の採用ページでは、研究職は化学系、薬学系、物理系、材料系の学科、化学プラントオペレーター職はこれに電気系、電子系、機械系を加えた学科が対象です。
他社との違いを一言で
- 半導体フォトレジスト向けの材料
東洋合成工業
東洋合成工業は1997年から化学増幅型レジスト用光酸発生剤(PAG)と化学増幅型レジスト用ポリマーを生産・販売し、自社をフォトレジスト材料No1メーカーとうたっています。大阪有機化学工業はレジストの原料になるアダマンチル系・ラクトン系などのアクリルモノマーを作り、2025年11月期の電子材料事業の売上高は166億円です。
- アクリルモノマー事業
東亞合成
東亞合成はアクリルモノマー事業をグループのコア事業の一つとし、モノマー事業を誘導品のコスト競争力を支える事業と位置づけています。大阪有機化学工業の化成品事業は塗料・粘接着剤・インキ向けの特殊アクリル酸エステルをマルチパーパス生産設備で多品種少量生産し、2025年11月期の売上高は133億円です。
- アクリル酸エステルとポリマー
新中村化学工業
新中村化学工業はNKエステル(アクリル酸エステル)を製品群に持ち、モノマー、オリゴマー、ポリマーの合成と配合技術で新材料を提供すると掲げています。大阪有機化学工業は2025年に新中村化学工業との合弁で米国にVisnex Chemicals Corporationを設立しており、両社は北米で組む関係でもあります。
出典16件
- IR 有価証券報告書 第79期(2025年11月期) 2025年11月期
- IR 半期報告書 第80期(2026年11月期中間) 2026年11月期中間
- 公式 事業・製品 電子材料(2025年4月保存の公式ページ)
- 公式 半導体用材料 ADMA(2025年1月保存の公式ページ)
- 公式 半導体用材料 GBLA(2025年1月保存の公式ページ)
- 公式 会社概要(2025年1月保存の公式ページ)
- 公式 事業所情報 金沢工場(2025年1月保存の公式ページ)
- 公式 事業所情報 酒田工場(2026年2月保存の公式ページ)