半導体計測・分析機器 X線計測装置
リガク・ホールディングス
X線で半導体の膜と構造を測る分析機器メーカー
X線分析装置のリガクは、売上収益941億円のうち29.5%を半導体プロセス・コントロール機器で稼ぎます。
会社はYoleの調査をもとに半導体X線計測の世界シェアを38%としており、2026年12月期上期は他の2事業が減るなかでこの事業だけが18.2%伸びました。
リガクは 半導体の膜厚・組成を測るX線計測装置 を伸ばしています。 この事業の 2026年12月期上期の受注 は前年同期より86%増えました。
- 2025年12月期 売上収益 941億円 前期比3.9%増。 営業利益は9.0%減の167億円
- 2025年12月期 半導体プロセス・コントロール機器 278億円 前期比19.0%増で売上の29.5%
- 2026年12月期中間期 営業利益 25億円 前年同期比54.9%減、営業利益率6.5%
2025年12月期の製品別売上収益
- 多目的分析機器404億円
- 半導体プロセス・コントロール機器278億円
- 部品・サービス259億円
この会社の要点
01立ち位置
何の会社として比べるか
リガクはX線で物質を測る装置の専業メーカーです。 売上の4割強は研究所向けの多目的分析機器ですが、伸びているのは半導体の膜と構造を測るプロセス・コントロール機器です。 Yole Groupの調査をもとにした会社算出では、この分野の2024年の世界シェアは38%です。
2024年12月期から2026年12月期予想までの売上収益と営業利益
売上収益
営業利益
半導体プロセス・コントロール機器をどの地域へ売っているか
半導体プロセス・コントロール機器の仕向地別売上収益
製品別売上収益の前期比
半導体X線計測装置(インライン)
半導体ウェーハの汚染検査、薄膜評価、膜厚・密度測定、組成・結晶性評価、3次元形状測定に使うX線計測装置です。 X線反射率(XRR)は光学測定では難しい薄膜の膜厚を測り、透過型小角X線散乱(T-SAXS)は垂直メモリの高アスペクト比の穴や溝を非破壊で評価します。 2025年12月期の半導体プロセス・コントロール機器の売上は278億円でした。
- 薄膜評価用蛍光X線分析装置 WaferX310
- インラインX線膜厚・密度モニター XTRAIA MF-3000
- インラインHRXRD/XRR計測ツール XTRAIA XD-3300
- 透過X線CD計測ツール XTRAIA CD-3200T
ウェーハ・基板の汚染と欠陥の分析装置
全反射蛍光X線(TXRF)分析装置は基板表面上の汚染の分析に使われ、X線トポグラフィイメージングシステムXRTmicronは転位などの欠陥を非破壊で検出します。 ファブとニアファブで使う装置として事業領域ページに載ります。
- TXRFシリーズ
- XRTmicronシリーズ
- FSAS III
多目的分析機器
材料の研究開発や品質管理に使うX線回折装置、蛍光X線分析装置、X線CTです。 2025年12月期の売上は404億円で全社の42.9%を占めます。 主力のX線回折装置のシェアは、会社算出で国内76%(1位)、世界26%(2位)です。
- 全自動多目的X線回折装置 SmartLab
- 単結晶X線構造解析装置 XtaLAB Synergy-S
- 走査型蛍光X線分析装置 ZSX Primus IV
- 工業用デスクトップ3DマイクロX線CT CT Lab HX
02収益
どこで、どれくらい儲けているか
利益率が最も高いのは半導体プロセス・コントロール機器で、2025年12月期の営業利益率は29.0%でした。 2026年12月期上期は多目的分析機器が17.1%減り、全社の営業利益は前年同期比54.9%減の25億円になりました。
売上収益941億円 / 営業利益167億円
売上収益は前期比3.9%増、営業利益は9.0%減で、営業利益率は17.7%です。 親会社の所有者に帰属する当期利益は114億円で16.3%減りました。
売上収益395億円 / 営業利益25億円
売上収益は前年同期比2.9%減、営業利益は前年同期の57億円から54.9%減り、営業利益率は14.0%から6.5%に下がりました。
売上収益1,010億円 / 営業利益194億円
売上収益は前期比7.2%増、営業利益は16.1%増の予想です。 第2四半期の説明資料でも通期予想は変えていません。
2026年12月期中間期の製品別売上収益
半導体プロセス・コントロール機器の売上収益と目標
03強みとリスク
強みと、リスク・検討点
強みはX線の要素技術を半導体の膜計測に持ち込み、世界上位10社の半導体メーカー全社と取引していることです。 弱点は、最大の多目的分析機器が米国の大学予算に左右され、半導体事業も新製品の立ち上げ費用で利益率が下がっている点です。
強み
- メモリと装置メーカーの開発投資を取り込む半導体計測
半導体プロセス・コントロール機器の売上は2024年12月期233億円から2025年12月期278億円へ19.0%増えました。 DRAMと3D NAND向け、次世代技術開発案件を中心とした装置メーカー向けの販売が伸び、2026年12月期上期も売上は18.2%増、受注は86%増です。 第2四半期単独の受注は前年同期の3倍を超えました。
2026年12月期 第2四半期決算説明資料 - 世界の大手半導体メーカーとの取引網
半導体設備投資額で世界上位10社の全社と取引があります。 売上の10%以上を占める販売先はありません。 半導体プロセス・コントロール機器の売上の43.9%はアジア向けの122億円で、米国は72億円、日本は67億円です。
有価証券報告書 第5期 - X線の要素技術と研究用装置の厚い顧客基盤
1951年に国産X線装置の製造・販売を目的に設立された理学電機が前身です。 主力のX線回折装置のシェアは、会社算出で国内76%(1位)、世界26%(2位)です。 研究所向けの装置で培ったX線技術を半導体の計測に転用しています。
有価証券報告書 第5期 - 山梨工場の新製造棟で生産キャパシティの倍増を目指す
会社は生産キャパシティを2027年までに2022年度比で倍増させる目標を掲げています。 2025年5月に山梨工場で新しい製造棟が竣工し、大阪工場や外部パートナーの拡張とあわせて投資を進めています。 東京工場と山梨工場に分かれていたX線回折装置の製造・組立・出荷は山梨工場へ集約されます。
有価証券報告書 第5期
リスク・検討点
- 半導体メモリの景気変動と補助金政策
有価証券報告書は、半導体メモリ分野に代表される大幅な景気変動の影響を受ける可能性を挙げています。 日本や米国の半導体補助金が縮小・終了すれば製造設備開発が減り、半導体プロセス・コントロール機器の需要が減る可能性も記載しています。
有価証券報告書 第5期 - 米国アカデミア向けの落ち込み
最大の事業である多目的分析機器は、米国のアカデミア及びガバメント市場でトランプ政策の影響を受けました。 2026年12月期上期の売上は150億円で前年同期比17.1%減り、営業利益率は14.3%から0.2%まで下がりました。
2026年12月期 第2四半期決算説明資料 - EUV用ミラーの需要低迷
部品・サービス事業ではEUV用多層膜ミラーの需要低下で顧客の在庫調整が長引き、2025年12月期のEUV向け売上は10億円減りました。 利益率の高いEUV向けの減少が全社の営業利益を押し下げた要因の一つです。
2025年12月期 決算説明資料 - 利益率の低下と第4四半期への売上集中
2025年12月期は売上や高利益率の案件が第4四半期に集中しました。 半導体プロセス・コントロール機器の営業利益率は2024年12月期31.7%、2025年12月期29.0%と下がり、2026年12月期上期は売上が伸びても営業利益は19.0%減、営業利益率は22.7%から15.6%に下がりました。
2026年12月期 第2四半期決算説明資料 - 同業の計測会社が筆頭株主
2026年4月に資本業務提携を結び、半導体計測・検査装置をつくるOnto Innovationが2026年下半期に発行済株式の27.0%を取得して筆頭株主になりました。 保有株式の全部は、2026年10月1日付で完全子会社のオントゥ・イノベーション・ジャパンへ移す予定です。 製品開発や販売の方針に、提携相手の戦略が影響しうる株主構成です。
主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ
04待遇
給与、初任給、休日、手当
新卒の初任給は修士課程28万8,600円、学部26万5,400円で、年間休日は128日です。 リガクの30歳の平均年収は600万円以上です。
新卒初任給(月給)
- 新卒の初任給
- 2026年実績で博士課程31万2,910円、修士課程28万8,600円、学部26万5,400円、短大・高専23万4,920円です。 賞与は年2回、昇給は年1回で、条件は 新卒募集要項 に載ります。
- 勤務時間と休日
- 本社と工場の勤務時間は午前8時30分から午後5時10分で、時差出勤制度があります。 年間休日は128日で、有給休暇は入社日に17日、翌年19日、3年目以降は20日付与されます。
- 持株会社の平均年間給与
- 持株会社リガク・ホールディングスの従業員126名は平均48.4歳、平均勤続9.5年、平均年間給与は1,008.4万円です。 グループの連結従業員は1,971名です。 有価証券報告書 第5期 の従業員の状況に載ります。
- 研修と福利厚生
- 新入社員研修、階層別研修、設計・製造・品質の技術研修、英語学習支援制度、X線作業主任者の社内学習制度と受験費用補助があります。 退職金制度は確定拠出年金制度と前払退職金制度です。
- 人員計画
- 会社は2026年12月期の要員数を2,351人とし、臨時雇用を含む2025年12月期の2,226人から増やす計画です。 2025年12月期 決算説明資料 の業績予想に載ります。
05勤務地と職種
どこで、どんな仕事をするか
本社は東京都昭島市にあり、工場は昭島・高槻・北杜の3か所です。 生産拠点は国内4拠点、海外5か国8拠点で、日本以外の研究・生産拠点は米国・欧州・イスラエルにあります。
主な勤務地・拠点
- 本社
- 東京都昭島市松原町3-9-12東京工場とX線研究所も同所
- 工場
- 東京(昭島市)、大阪(高槻市)、山梨(北杜市)山梨工場は2025年5月に新製造棟が竣工
- 国内の支店・営業所
- 札幌、仙台、つくば、東京(渋谷区、立川市)、名古屋、大阪(高槻市)、北九州
- 海外の顧客支援拠点
- Rigaku Technology Center(シリコンバレー、台湾・新竹)2026年度中に上海に開設予定
新卒採用の職種
- 要素開発
- 開発設計
- 応用技術開発
- フィールドエンジニア
- セールスエンジニア
- 製造
- 管理部門
管理部門には人事・総務・法務・経理・情報システム・知的財産などが含まれます。 対象学部は全職種共通で、機械系、電気・電子系、物理系、化学系、情報系の各学部と文系学部です。 採用予定人員は若干名です。
06これから
会社が次に取りにいくもの
会社は半導体プロセス・コントロール機器で2030年に既存製品とあわせて1,000億円を目標にしています。 新製品の拡大、AI用途の比率向上、Onto Innovationとのハイブリッド計測が柱です。
2026年12月期の計画と2030年目標
- 半導体プロセス・コントロール機器の売上(2025年12月期実績) 278億円 2030年目標は1,000億円
- AI用途の半導体向け比率 71% 2026年12月期の計画
- 研究開発費比率 7.8% 2026年12月期の計画は8.5%
これからの材料
- 軽元素の超薄膜計測
- ONYX 3200は先端トランジスタのAl-Oダイポール層の膜厚を多層膜のまま計測でき、2026年に先端ロジック顧客2社へ出荷すると 2025年12月期 決算説明資料 に載ります。
- ハイブリッド計測
- リガクのCD-SAXSとOnto Innovationの解析ソフトウェアを組み合わせ、AI、先端ロジック、先端メモリ、先端パッケージ向けの計測ソリューションを共同開発します。
- 先端パッケージの検査
- マイクロバンプやTSVなど大型化・立体化する次世代パッケージの欠陥検査に向けて、測定技術とAI応用検査アルゴリズムの開発を進めています。
半導体計測で2030年に1,000億円
会社は半導体プロセス・コントロール機器で、既存製品とあわせて2030年に1,000億円を目標に掲げています。 2025年12月期実績278億円の約3.6倍です。 有価証券報告書では、市場成長を上回る平均年率約18%の売上成長を目指すと記載しています。 達成度は、AI向けのメモリとロジックの開発投資が2030年まで続くかと、光学・CD計測の領域へ広げられるかで決まります。
新製品とAI用途の比率拡大
2026年12月期は新製品の売上を2.2倍に、AI用途の半導体向け比率を71%に高める計画です。 軽元素のAlを多層膜のまま測れるONYX 3200は、2026年に先端ロジック顧客2社へ出荷し、メモリ顧客にも順次広げます。 新製品は顧客サイトでの共同評価(JEP)を経て売上になります。評価が購入に結びつく時期で売上の計上期がずれます。
Onto Innovationとのハイブリッド計測
2025年5月に、リガクのCD-SAXSとOnto Innovationの解析ソフトウェアを組み合わせるハイブリッド計測ソリューションの共同開発を始めました。 会社は資本業務提携で協業範囲を広げ、後工程への本格参入を加速する方針です。 共同開発品を顧客が量産ラインに採用するかと、提携相手と製品領域の分担をどう決めるかで成果が決まります。
07入口を選ぶ
専攻から、入口を1つに絞る
X線回折、蛍光X線、X線反射率のどれが自分の専攻と重なるかを決め、半導体向けの計測装置と研究所向けの分析装置のどちらに関わりたいかを選びます。
要素開発 / 開発設計
新卒募集要項の技術職です。 リガクの製品はX線回折、蛍光X線、X線反射率、小角X線散乱などのX線技術でできており、半導体向けにはXTRAIA CD-3200TやONYX 3200のような計測装置を開発しています。
公式採用情報応用技術開発
新卒募集要項の技術職です。 会社はシリコンバレーと台湾にRigaku Technology Centerを置き、2026年度中に上海へ開設する予定です。 センターは顧客の先端プロセス開発から量産立ち上げまでを顧客の近くで支援します。
公式採用情報フィールドエンジニア
新卒募集要項の職種です。 部品・サービス事業は2025年12月期に259億円の売上があり、消耗品・交換部品の供給、修理・点検、予防保守契約、装置の移設サポートを手がけます。
- Field Service
- Maintenance
- X-ray Safety
- Install
応募前の3手
- XTRAIA CD-3200T、ONYX 3200、SmartLabから1機種を選び、何をどの手法で測るかをノートへ書く
- 2025年12月期の製品別売上と2026年12月期上期の伸び率を書き出し、伸びている事業と落ちている事業を整理する
- 新卒募集要項の職種、勤務地、初任給を書き出す
面接で使う技術語
- X-ray
- XRF
- XRR
- SAXS
- Metrology
- Application
- Thin Film
- Memory
- Logic
- Customer Evaluation
対象学部は機械系、電気・電子系、物理系、化学系、情報系の各学部と文系学部です。
他社との違いを一言で
- 半導体向けX線計測
Bruker
Brukerの半導体ソリューションはAutomated X-ray Metrologyとして、エピ膜やhigh-k誘電体の前工程管理、金属膜やウェーハレベルパッケージのバンプの分析を掲げ、楕円偏光・反射率の膜計測や原子間力顕微鏡も扱います。リガクの第2四半期決算説明資料はYoleの膜厚・組成計測のシェア図にBrukerを並べ、リガクがこの市場で1位を獲得したと記載しています。
- 研究・品質管理用のX線回折装置
Malvern Panalytical
Malvern PanalyticalはX線回折を、粉末から固体、薄膜、ナノ材料までを分析する材料研究の手法として装置を販売しています。リガクのX線回折装置の世界シェアは会社算出で26%(2位)です。多目的分析機器の売上は2025年12月期に404億円でした。
- 半導体の膜・形状計測
Onto Innovation
Onto Innovationは光学式のOCD計測と膜計測の製品、検査装置、先端パッケージ向けステッパーを扱います。リガクはX線で膜と構造を測る装置をつくり、2026年4月にOnto Innovationと資本業務提携を結んで、X線と光学のハイブリッド計測を共同開発しています。
出典14件
- 公式 リガクHDについて(会社概要)
- 公式 リガクグループについて(沿革)
- 公式 事業領域
- IR 2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結) 2025年12月期
- IR 2025年12月期 決算説明資料 2025年12月期
- IR 有価証券報告書 第5期 2025年12月期
- IR 2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結) 2026年12月期中間期
- IR 2026年12月期 第2四半期決算説明資料 2026年12月期中間期
ほか6件
- IR Onto Innovation Inc.との資本業務提携の締結に関するお知らせ 公表 2026-04-21
- IR 主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ 公表 2026-09-30
- 採用 新卒募集要項
- 公式 Bruker Semiconductor Solutions
- 公式 Malvern Panalytical X-ray Diffraction
- 公式 Onto Innovation 公式サイト