分析計測機器・真空機器 ターボ分子ポンプ
島津製作所
半導体製造装置の真空をつくるターボ分子ポンプの島津製作所
売上の65.1%は分析計測機器ですが、半導体製造装置に直接つながる事業は、産業機器事業のターボ分子ポンプです。
TMP売上127億円、前年同期比34%増と、2027年3月期第1四半期は半導体製造装置向けが産業機器の利益を押し上げました。
島津製作所は ターボ分子ポンプ(TMP) を半導体製造装置メーカーへ納めています。 TMPの売上 が前年同期比34%増の127億円になりました。
- 2026年3月期 産業機器事業 売上高 715億円 前年度比1.1%減、全社売上の12.8%
- 2026年3月期 TMP売上高 378億円 産業機器の52.9%。 うちリカーリング92億円、比率24%
- 2027年3月期第1四半期 TMP売上高 127億円 前年同期比34%増。 半導体製造装置向けが日本・欧州・台湾・韓国で増加
2026年3月期の産業機器事業 製品別売上高TMP · 2026年3月期 通期決算説明会資料
- ターボ分子ポンプ378億円
- その他(工業炉など)180億円
- 油圧機器157億円
この会社の要点
01立ち位置
何の会社として比べるか
島津製作所は売上5,607億円の分析計測機器メーカーで、半導体との接点は産業機器事業のターボ分子ポンプです。 産業機器は全社の12.8%ですが、TMPは378億円まで育ち、第1四半期の増収をけん引しました。
全社のどこに半導体向けの事業があるか
セグメント別売上高(外部顧客)
産業機器事業の製品別売上高
産業機器事業はどの地域へ売っているか
産業機器事業の地域別売上高
ターボ分子ポンプ(TMP)
半導体・FPD製造プロセスを主な用途とする真空ポンプで、2026年3月期の売上は378億円です。 磁気軸受型の電源一体型Vシリーズ・Xシリーズと電源別置き型、磁気軸受とセラミック軸受を組み合わせた複合軸受型をそろえます。 用途別にはCVD・エッチング向けの大容量ケミカルタイプ、エッチングの反応生成物対応タイプ、イオン注入・CVD・エッチング向けの広域水冷ケミカルタイプがあります。
- 一体型Vシリーズ TMP-V1704〜TMP-V4404
- 一体型Xシリーズ TMP-X1205〜TMP-X3405
- 電源別置き型 TMP-203〜TMP-5305
- 複合軸受型 TMP-B300 / TMP-B70
半導体工場向けの計測・検査機器
島津製作所はTMPの顧客基盤・サービス網を使い、純水・ガス・表面分析・材料計測システムを半導体市場へ広げる計画です。 超純水用オンラインTOC計、Tescan社との共同ブランドの走査電子顕微鏡、自動車や半導体の製造に使うヘリウム・水素リークディテクタを発売しました。
- 超純水用オンラインTOC計 TOC-1000e S
- 走査電子顕微鏡 SUPERSCAN SS-3000
- ヘリウム・水素リークディテクタ MSE-2600シリーズ
02収益
どこで、どれくらい儲けているか
産業機器の利益はTMPとそのリカーリングが支えます。 2026年3月期は減収でも営業利益率が14.5%から14.8%に上がりました。 2027年3月期第1四半期はのれん等償却前営業利益ベースの利益率が前年同期の15.8%から18.4%に上がっています。
売上高5,607億円 / 営業利益737億円
売上高は前年度比4.0%増で過去最高、営業利益は2.8%増、営業利益率は13.1%です。 計測機器事業が売上の65.1%を占めます。
売上高715億円 / 営業利益106億円
売上は前年度比1.1%減、営業利益は1.2%増です。 TMP売上は378億円、TMPのリカーリング売上は92億円でした。
売上高207億円 / セグメント利益38億円
売上は前年同期比23.2%増、のれん等償却前営業利益ベースのセグメント利益は43.5%増で、利益率は前年同期の15.8%から18.4%に上がりました。 TMPのリカーリング売上は27億円で35%増えました。
売上高6,200億円 / 営業利益800億円
産業機器は売上高860億円、のれん等償却前営業利益160億円を見込みます。 半導体市況によるTMPの需要上振れとTescan社の連結を織り込んだ修正です。
産業機器事業の売上高と利益
産業機器事業の売上高
03強みとリスク
強みと、リスク・検討点
強みはTMPの工程別の品ぞろえと、保守・部品で稼ぐリカーリングの比率です。 弱点は、全社の中で小さな部門であることと、半導体製造装置の投資サイクルと中国向けに売上が寄っていることです。
強み
- TMPが産業機器の過半を稼ぐ
2026年3月期の産業機器事業の売上715億円のうち、TMPが378億円で52.9%を占めます。 TMPは前中期経営計画(2023〜2025年度)で、液体クロマト、質量分析、ガスクロマト、試験機と並ぶ5つの重点事業の1つでした。 会社は「半導体製造装置向けTMP ダントツNo1」を目標に掲げています。
2026年3月期 通期決算説明会資料 - 保守・部品のリカーリングが利益を支える
TMPのリカーリング売上は2026年3月期に92億円で、TMP売上に占める比率は24%と前期から4ポイント上がりました。 産業機器は工業炉の減少で減収でしたが、リカーリングの粗利率改善で営業利益率は14.8%に上がり、営業利益は過去最高になりました。
2026年3月期 通期決算説明会資料 - 第1四半期にTMPが34%増
2027年3月期第1四半期のTMP売上は127億円で前年同期比34%増え、半導体製造装置向けが日本・欧州・台湾・韓国で大きく増えました。 その他のアジア地域の産業機器売上は37億円で67.1%増です。 産業機器ののれん等償却前営業利益率は前年同期の15.8%から18.4%に上がりました。
2027年3月期 第1四半期決算説明会資料 - 用途別にそろえた磁気軸受型の品ぞろえ
TMPには、CVD・エッチング向けの大容量ケミカルタイプ、エッチングの反応生成物対応タイプ、イオン注入・CVD・エッチング向けの広域水冷ケミカルタイプがあります。 電源一体型のVシリーズとXシリーズはケーブル・ラックが要らない構成です。
ターボ分子ポンプ 製品情報
リスク・検討点
- 全社の中では小さい部門
産業機器は全社売上の12.8%で、研究開発費は13億円と全社234億円の5.7%です。 連結従業員1万4,649人のうち産業機器は1,282人です。 中期経営計画のコア事業は液体クロマト・ガスクロマト・質量分析とリカーリングです。
第163期 有価証券報告書 - 中国向けの比重と用途の偏り
2026年3月期の産業機器の中国売上は202億円で、産業機器全体の28.3%を占めます。 2027年3月期第1四半期の中国ではコーティング装置向けTMPが減りました。 地域別の伸びは半導体製造装置メーカーの投資先に連動します。
2027年3月期 第1四半期決算短信 - TMP以外の製品の落ち込み
2026年3月期の産業機器の日本売上は285億円で前年度比9.4%減りました。 車載用セラミックス製造向け工業炉が減少し、北米も油圧機器の減少で6.3%減です。 TMPが伸びても、工業炉と油圧機器の市況で事業全体の売上が減る構造です。
2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) - 海外比率60.2%と為替・地政学
産業機器の海外売上高比率は60.2%です。 期初の会社予想は中東情勢の悪化で産業機器の売上35億円、利益15億円の下押しを見込んでいました。 円高は事業に悪影響を与えるリスクの一つです。
2026年3月期 通期決算説明会資料
04待遇
給与、初任給、休日、手当
新卒の初任給は博士了32万9,200円、修士了30万9,300円、大学卒28.4万円です。 2026年3月期の有価証券報告書では、提出会社の平均年間給与は924万736円、平均年齢43.9歳、平均勤続年数18.5年です。
新卒初任給(月給)
- 新卒の初任給
- 博士了32万9,200円、修士了30万9,300円、大学卒28.4万円で、昇給は年1回、賞与は年2回で、いずれも 新卒採用 募集要項 の記載です。
- 休日と勤務時間
- 完全週休2日制で、年間休日は127日(2024年度)です。 年次有給休暇は初年18日、2年目から21日で、一部部門を除きフレックスタイム制を導入しています。
- 平均年間給与
- 提出会社の従業員3,779人の平均年間給与は924万736円(約924.1万円)、平均年齢43.9歳、平均勤続年数18.5年です。 提出会社で産業機器に属する従業員は162人です。 2026年3月期 有価証券報告書 の従業員の状況に載ります。
- 福利厚生
- 従業員持株制度、財形貯蓄制度、持家融資制度、退職年金制度があり、独身寮、家族社宅、保養施設などの施設を持ちます。
- キャリア採用の待遇
- キャリア採用の給与は年齢、経験、能力に応じて決まり、所定労働時間は7時間45分です。 キャリア採用 待遇 に就業時間と手当が載ります。
05勤務地と職種
どこで、どんな仕事をするか
本社は京都市中京区の三条工場にあり、TMPの生産は京都と神奈川県の秦野の2拠点体制です。 2026年3月期には中国にTMPの生産拠点を立ち上げ、サービス拠点は欧州と台湾に追加する計画です。
主な勤務地・拠点
- 本社
- 京都市中京区西ノ京桑原町1(三条工場)採用窓口の人事部採用グループも同所
- 秦野工場
- 神奈川県秦野市産業機器の生産設備・研究設備を持つ
- 国内の工場・営業拠点
- 三条工場、紫野工場、厚木工場、秦野工場、瀬田事業所の5か所と、支社・支店・営業所16ヶ所
- 海外
- 27の国・地域に拠点を持ち、中国にTMPの生産拠点を立ち上げ、欧州と台湾にTMPのサービス拠点を追加する計画
新卒採用の職種
- 研究開発
- 製品開発
- ソフトウェア開発
- アプリケーション開発
- 生産技術
- 生産管理
- 品質保証
- 国内営業
- 海外営業
- マーケティング
前半7つが技術系、後半3つが事務系の主な職種です。 理系は全系統から1つ、文系は事務系に応募できます。
06これから
会社が次に取りにいくもの
中期経営計画は半導体分野を成長市場に挙げ、真空技術と計測技術の組み合わせで売る方針です。 産業機器は2027年3月期に売上高860億円を見込み、TMPの生産とサービスの拠点を広げています。
2027年3月期の産業機器事業 会社予想
- 売上高 715億円 2027年3月期予想は860億円(前年度比20%増)
- のれん等償却前営業利益率 14.9% 2027年3月期予想は18.6%
これからの材料
- TMPの生産とサービス
- TMPは京都と秦野の2拠点を増強し、新たな拠点も探しています。 サービス拠点は欧州と台湾に追加する計画です。 拠点の計画は 2026年3月期 通期決算説明会資料 にまとまっています。
- 半導体向けの計測機器
- TMPの顧客基盤・サービス網を使い、純水・ガス・表面分析・材料計測システムを展開し、電子顕微鏡や非破壊検査装置で不良解析に入る計画です。
TMPの生産2拠点とサービス拠点の増強
TMPの生産は京都と秦野(神奈川県)の2拠点体制で、会社はこの2拠点を増強し、新たな拠点も探しています。 サービス拠点は欧州と台湾に追加する計画で、TMPのアップグレード提案も進めます。 2026年3月期には中国でTMPの生産拠点を立ち上げました。 増強は、拡大する半導体製造装置向けの需要に応えるための計画です。
真空と計測を組み合わせた半導体向け提案
中期経営計画は半導体分野を成長市場に挙げ、真空技術と計測技術を軸にAnalytical Intelligenceでトータルソリューションを提供する方針です。 TMPの顧客基盤を使って純水・ガス・表面分析の機器を売り、電子顕微鏡や非破壊検査装置で不良解析に入る計画です。 TMPの主な納入先は半導体製造装置メーカーで、超純水や不良解析の機器を使うのは半導体工場です。
2028年度に売上6,800億円の中期計画
2026年度-2028年度の中期経営計画は、2028年度に売上高6,800億円、営業利益1,000億円を目標にします。 研究開発・設備投資には3年で2,200億円を充て、その用途に半導体市場での開発投資を挙げています。 計画値で、Tescan社の買収完了を前提とし、2028年度の営業利益はIFRS適用後の数値です。
07入口を選ぶ
専攻から、入口を1つに絞る
TMPの設計・生産・保守、半導体工場向けの計測機器のどちらに関わりたいかを先に決め、技術系か事務系かの応募区分を選びます。
製品開発(技術系)
新製品の企画立案から設計、試作、テストまでを担い、多品種少量生産のため顧客の要望に応じた特注品の設計も行います。 産業機器ではTMPの電源一体型Vシリーズ・Xシリーズ、複合軸受型TMP-B300などが対象製品です。
公式採用情報生産技術 / 生産管理 / 品質保証
生産技術は生産計画の策定、製造ラインの最適化・自動化、設備導入を担い、海外工場への生産支援も行います。 TMPは京都と秦野の2拠点体制を増強中で、中国にも生産拠点を立ち上げました。
公式採用情報海外営業 / 国内営業
顧客の課題をつかんで製品・サービスを提案し、顧客の声を製品開発部門へ伝えます。 産業機器の海外売上高比率は60.2%で、中国、北米、その他のアジア地域が主な販売先です。
- Overseas Sales
- Semiconductor Equipment
- Recurring
- Service
応募前の3手
- TMP-V2304、TMP-X3405、TMP-B300から1機種を選び、軸受方式と想定工程をノートへ書く
- 産業機器の地域別売上と第1四半期のTMPの伸びを書き出し、担当したい地域を決める
- 募集要項の職種、初任給、勤務地、選考の流れを公式ページから書き出す
面接で使う技術語
- Turbomolecular Pump
- Magnetic Bearing
- Vacuum
- Rotor Design
- Motor Control
- Production Engineering
- Automation
- Quality Assurance
- Ramp-up
- Supply Chain
技術系は研究開発から品質保証まで、事務系は国内営業から調達までが対象です。
他社との違いを一言で
- 半導体向けを含むターボ分子ポンプ
Edwards Vacuum
Edwardsは窒素の排気速度55〜1250 l/sのnEXTシリーズを持ち、ターボポンプの大きな設置台数を掲げています。島津製作所は磁気軸受型の一体型Vシリーズ・Xシリーズと電源別置き型を工程別に分け、2026年3月期のTMP売上は378億円でした。
- 軸受方式と半導体製造用途
Pfeiffer Vacuum
Pfeifferは機械式・磁気・ハイブリッドの3種の軸受のターボ分子ポンプを持ち、磁気浮上型は半導体製造、コーティング、研究開発の高真空用途向けです。Pfeifferによると、ハイブリッド軸受は40年以上前に同社が発明したものです。島津製作所も磁気軸受型と、磁気軸受とセラミック軸受を組み合わせた複合軸受型TMP-B300・TMP-B70を持ちます。
- 国内のターボ分子ポンプ専業メーカー
大阪真空機器製作所
大阪真空機器製作所は1971年に同業他社に先駆けてターボ分子ポンプの販売を始めたとし、磁気軸受形のTGkineシリーズを掲げています。島津製作所のTMPは産業機器事業の一部で、2026年3月期はリカーリング売上92億円を含めて378億円でした。
出典15件
- IR 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) 2026年3月期
- IR 2027年3月期 第1四半期決算短信 2027年3月期第1四半期
- IR 2026年3月期 通期決算説明会資料 2026年3月期
- IR 2027年3月期 第1四半期決算説明会資料 2027年3月期第1四半期
- IR 第163期 有価証券報告書 2026年3月期
- IR 中期経営計画(2026年度-2028年度)
- 公式 ターボ分子ポンプ 製品情報
- 公式 真空機器/産業機械/海洋関連機器