半導体デバイス・HDD パワー半導体とニアラインHDD
東芝デバイス&ストレージ
パワー半導体とデータセンター向けHDDを1社で持つ東芝の部品会社
パワー半導体とHDDの2事業部を持つ会社で、2026年3月期の単体売上高は7,638億円、営業利益率は5.3%でした。
300mmパワー半導体とニアラインHDDの需要をどこまで利益に変えられるかが入社後の論点です。
東芝デバイス&ストレージは パワー半導体 とデータセンター向けの 大容量ニアラインHDD を作る東芝の子会社です。 親会社の東芝では2026年度第1四半期もHDD・半導体等が好調でした。
- 2026年3月期 単体売上高 7,638億円 前期比15.4%増。 売上総利益は1,213億円、売上総利益率は15.9%
- 2026年3月期 単体営業利益 404億円 営業利益率5.3%。 前期の営業利益79億円(営業利益率1.2%)の約5.1倍
- 従業員数 17,400人 連結17,400人、単独3,200人(2026年3月)
2026年3月期の単体売上高の使われ方販管費
- 売上原価6,425億円
- 販売費及び一般管理費809億円
- 営業利益404億円
この会社の要点
01立ち位置
何の会社として比べるか
東芝デバイス&ストレージは、半導体事業部とストレージプロダクツ事業部の2事業部を持つ東芝グループの会社です。 自動車、産業/FA、データセンターの3領域に注力し、2026年3月期の単体売上高は7,638億円でした。
売上高から営業利益まで
損益の段階
単体の営業利益と経常利益
親会社の業績の中での位置
東芝グループの売上高
東芝グループの営業損益
ディスクリート半導体(パワー・小信号・フォトカプラー)
会社がもっとも力を入れる分野はパワー半導体です。 Siに加えてSiCやGaNの化合物半導体で高効率品を開発し、加賀東芝エレクトロニクスでは300mmシリコンパワー半導体の生産ライン新棟が2025年2月から稼働しています。 会社によると、フォトカプラーは13年連続で世界シェア1位です。
- パワー半導体(MOSFET、IGBT/IEGT)
- 小信号半導体
- フォトカプラー
- デジタルアイソレーター
ストレージプロダクツ(HDD)
データセンターやクラウドサービス向けの大容量ニアラインHDDが主力です。 会社によると、東芝デバイス&ストレージはHDDを手がける世界で唯一の日本企業です。 NAS向け3.5型HDD「N300シリーズ」には記憶容量24TB、回転数7,200rpmのモデルを2025年4月から加えました。
- データセンター向け大容量HDD
- NAS向けHDD N300シリーズ
- ポータブルハードディスク CANVIO
システムLSI
統合報告書はアナログIC、マイコン、車載用ICをシステムLSIとしてまとめています。 マイコンの代表製品は「TXZ+ファミリー」で、半導体事業部がパワー半導体やフォトカプラーと並べて提供します。
- マイコン TXZ+ファミリー
- アナログIC
- 車載用IC
02収益
どこで、どれくらい儲けているか
単体の2026年3月期は、営業利益が404億円、営業利益率が5.3%で、前期の1.2%から上がりました。 経常利益は494億円、当期純利益は517億円です。 製造を担う加賀東芝エレクトロニクスなどの子会社の損益は、この単体の決算に入りません。
売上高7,638億円 / 営業利益404億円
売上原価は6,425億円で売上の84.1%、販管費は809億円で10.6%です。 営業利益率は5.3%でした。 前期の2025年3月期は売上高6,617億円、営業利益79億円、営業利益率1.2%です。
経常利益494億円 / 当期純利益517億円
営業外収益は173億円、営業外費用は83億円でした。 法人税等の合計はマイナス23億円で、当期純利益は経常利益を上回りました。
総資産3,703億円 / 純資産861億円
純資産は総資産の23.3%です。 当期純利益517億円が加わり、繰越利益剰余金は前期末のマイナス385億円から131億円になりました。
売上高3兆7,091億円 / 営業損益3,008億円
売上高は前年度の3兆5,139億円から約5.6%増え、営業損益は1,985億円から増えました。 東芝はHDD事業を増益要因の1つに挙げ、売上高営業利益率は8.1%でした。
売上高9,371億円 / 営業損益1,119億円
前年同期の売上高7,379億円から27.0%増え、営業損益は401億円から約3倍になりました。 ROSは11.9%で、デバイス&テクノロジーBSではHDD・半導体等が好調でした。
2026年3月期の単体の利益
東芝グループの四半期の勢い
03強みとリスク
強みと、リスク・検討点
強みはフォトカプラーとパワー半導体の製品幅、そしてデータセンター需要を受けるHDDです。 弱点は原価率で大きく動く単体の利益と、製品保証引当金の重さです。
強み
- フォトカプラーとパワー半導体の製品幅
半導体事業部はパワー半導体、小信号半導体、フォトカプラー、デジタルアイソレーター、アナログIC、マイコンをそろえ、家電・通信から自動車、鉄道、電力まで売り先を持ちます。 会社によると、フォトカプラーは13年連続で世界シェア1位です。
採用情報 会社を知る-企業情報 - データセンター需要を受けるHDD
東芝の2025年度の増益要因の1つは、データセンター需要を背景とするHDD事業です。 2026年度第1四半期もデバイス&テクノロジーBSではHDD・半導体等が好調でした。 会社によると、東芝デバイス&ストレージはHDDを手がける世界で唯一の日本企業です。
東芝 2026年度第1四半期決算 - 前工程と後工程の両方で増産投資
加賀東芝エレクトロニクスの300mmウエハー対応パワー半導体新製造棟が2024年5月に竣工し、姫路半導体工場の車載向け後工程新製造棟は2025年度上期中に本格生産を始めました。 姫路の車載向けパワー半導体の生産能力は2022年度比2倍以上になります。
東芝 統合報告書2025 - 東芝の研究所と同じ場所で開発
本社のある小向地区のイノベーションパレットに、東芝の研究開発機能と半導体事業部を集めています。 専業メーカーと違い、東芝グループ内の研究所と連携して技術を開発できます。
会社を知る-会社の魅力
リスク・検討点
- 単体売上の94.7%が原価と販管費
2026年3月期の単体では売上原価が84.1%、販管費が10.6%を占め、営業利益率は5.3%でした。 前期は売上原価が88.3%、販管費が10.5%で、営業利益率は1.2%です。 販管費の比率はほぼ同じで、売上原価率が4.2ポイント動いた分が営業利益率の差になりました。
第9期決算公告 - 製品保証引当金の重さ
2026年3月期末の単体の製品保証引当金は313億円で、前期末の264億円から増えました。 純資産861億円の約36%にあたります。 東芝は2024年度の増益要因の1つに、HDD他の製品保証引当金の減少を挙げました。 品質問題が出れば利益が直接動きます。
第9期決算公告 - 東芝本体への統合検討
東芝は、東芝デバイス&ストレージも適切な時期に東芝へ統合することを検討しています。 2025年4月以降、東芝インフラシステムズなどほかの子会社は順に東芝へ統合されています。 入社後の所属会社や人事制度が変わる可能性があります。
東芝 統合報告書2025 - 為替とHDD競争
東芝デバイス&ストレージの海外売上比率は7割以上です。 東芝の2026年度第1四半期の期中平均為替は1米ドル160円で、前年同期の145円から円安に動きました。 HDDではSeagateが1台最大32TBのExosを出しており、東芝は容量でどこまで並べるかが問われます。
会社を知る-会社の魅力
04待遇
給与、初任給、休日、手当
2027年新卒の初任給は学部卒26.9万円、修士卒29.6万円、博士卒34万3,500円です。 本社の勤務時間は8:30~17:15で、フレックスタイム制をとります。
2027年新卒の初任給(月給)
- 初任給と昇給
- 初任給は学部卒26.9万円、修士卒29.6万円、博士卒34万3,500円です。 昇給は年1回、賞与は年2回 です。
- 勤務時間
- 本社は8:30~17:15、標準労働時間は7時間45分で、フレックスタイム制です。 勤務時間は事業所ごとに定めます。
- 休日と休暇
- 土日の完全週休2日制と祝日が休みで、年末年始休暇、年次有給休暇のほか、赴任休暇、ライフサポート休暇、ステップアップ休暇があります。
- 手当と住まい
- 住宅費補助、通勤手当(全額支給)、次世代育成手当があり、独身寮と家族社宅を用意しています。
05勤務地と職種
どこで、どんな仕事をするか
本社は川崎市幸区の小向地区にあり、東芝イノベーションパレットに東芝の研究開発機能と半導体事業部が集まります。 工場は姫路半導体工場のほか、石川、福岡、岩手、大分などの製造子会社にあります。
主な勤務地・拠点
- 本社・小向地区
- 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地東芝イノベーションパレット内
- 事業所・工場
- 横浜事業所(横浜市)、姫路半導体工場(兵庫県)、加賀分室(石川県)、豊前分室(福岡県)
- 製造子会社
- 加賀東芝エレクトロニクス(石川県)、豊前東芝エレクトロニクス(福岡県)、姫路東芝電子部品(兵庫県)、ジャパンセミコンダクター(岩手県、大分県、神奈川県)
- 営業拠点
- 名古屋、大阪の支社・支店・営業所販売会社の東芝デバイスは神奈川県
新卒採用の職種
- 研究開発
- 応用技術
- 設計技術
- 製品技術
- 生産技術
- 品質保証
- 営業(セールス&マーケティング)
- 事業企画
前半6つが技術系、後半2つが事務系の職種です。
06これから
会社が次に取りにいくもの
次の柱は車載向けSiC MOSFETの量産、300mmパワー半導体ラインの増強、AIデータセンター向けニアラインHDDです。 親会社の東芝は2026年度にROS10%を目標に掲げています。
東芝再興計画の目標と直近の実績
- 売上高 3兆7,091億円 2026年度目標は3兆7,500億円
- 営業損益 3,008億円 2026年度目標は3,800億円
- ROS(2026年度1Q) 11.9% 目標は10%
これからの材料
- SiC MOSFET
- 1200V耐圧の SiC MOSFETベアダイ X5M007E120 は、2026年度の量産開始に向けて開発が進んでいます。
- 300mmパワー半導体
- このラインの生産能力はさらに増強する計画です。
車載向けSiC MOSFETの量産
車載トラクションインバーター向けに、1200V耐圧のSiC MOSFETベアダイ「X5M007E120」を開発し、2026年度の量産開始に向けて進めています。 内蔵ショットキーバリアダイオードを市松模様に配置し、単位面積当たりのオン抵抗を20%~30%程度下げました。 量産開始の時期と、自動車メーカー側のインバーター採用が決まるかで売上への寄与が決まります。
300mmパワー半導体ラインの増強
加賀東芝エレクトロニクスの300mmシリコンパワー半導体生産ライン新棟は2025年2月から稼働しています。 東芝デバイス&ストレージは、300mmのSiウエハー対応製造棟の生産能力をさらに増強する計画です。
AIデータセンター向けニアラインHDD
AI技術の普及でデータ生成量が増え、データセンターやクラウドサービス向けの大容量ニアラインHDDの需要が増え続けていると会社は説明します。 東芝の総合研究所や社外の研究機関、他社との共同開発で製品化を進めています。 1台あたりの容量で競合に並べるかと、クラウド事業者の設備投資が続くかで出荷量が決まります。
東芝再興計画の最終年度
東芝は中期経営計画「東芝再興計画」で2026年度に売上高3兆7,500億円、営業利益3,800億円、ROS10%を掲げています。 2026年度第1四半期のROSは11.9%でした。 2025年度の実績は売上高3兆7,091億円、営業損益3,008億円でした。
07入口を選ぶ
専攻から、入口を1つに絞る
パワー半導体、システムLSI、HDDのうち自分の専攻に近い製品を1つ選び、研究開発、応用技術、設計技術、製品技術・生産技術・品質保証のどれで関わるかを決めます。
研究開発
東芝のコーポレート研究所や製品開発部門と連携し、次々世代製品に向けた先端技術と共通基盤技術を開発する職種です。 SiCやGaNの化合物半導体の開発がこの領域に入ります。
公式採用情報応用技術
市場調査から商品の企画・提案・仕様作成までを担い、システム評価や顧客への技術サポートも行う職種です。 会社が注力する自動車、産業/FA、データセンターの各領域が対象市場になります。
公式採用情報設計技術
開発製品の仕様にもとづいてハードウェアとソフトウェアを設計し、設計環境を整える職種です。 半導体とHDDの両方のエンジニア職種があります。
- Circuit Design
- Firmware
- HDD
- Analog
応募前の3手
- X5M007E120、TXZ+マイコン、N300シリーズから1つを選び、使われる機器と競合品をノートへ書く
- 第9期決算公告の売上高7,638億円と営業利益404億円を前期と比べ、営業利益率が1.2%から5.3%になった中身を自分の言葉で説明する
- 採用基本情報の応募コース、初任給、勤務地を公式ページから書き出す
面接で使う技術語
- SiC
- GaN
- Power Device
- Simulation
- Reliability
- Application
- Inverter
- Motor Control
- Customer
- Specification
技術系は学校推薦、自由応募、博士オープン、高専卒の4コースがあり、既卒3年以内は新卒採用の対象です。
他社との違いを一言で
- データセンター向け大容量HDD
Seagate
SeagateのExosはドライブあたり最大32TBを搭載し、Mozaicテクノロジーでプラッタあたり3TB以上の密度を掲げています。東芝デバイス&ストレージは大容量ニアラインHDDを主力とし、NAS向けN300シリーズに24TBモデルを加えました。
- 車載向けSiCパワーデバイス
ローム
ロームはSiC MOSFETのベアダイを製品に持ち、xEVの主機インバータ/トラクションインバータを用途に挙げています。東芝デバイス&ストレージは車載トラクションインバーター向けの1200V耐圧SiC MOSFETベアダイ X5M007E120を2026年度の量産開始に向けて開発しています。
- パワーMOSFETとSiCダイオード
インフィニオン テクノロジーズ
インフィニオンはCoolMOSの500V~950V NチャネルパワーMOSFETと、CoolSiCショットキーダイオード1200V G5を製品に並べています。東芝デバイス&ストレージはSiに加えSiCとGaNでパワー半導体を開発し、300mmのSiウエハーでパワー半導体を量産しています。
出典14件
- 公式 基本データ
- 公式 事業内容
- IR 第9期決算公告 2026年3月期 · 東芝デバイス&ストレージ株式会社 単体
- IR 第8期決算公告 2025年3月期 · 東芝デバイス&ストレージ株式会社 単体
- IR 東芝 2025年度決算 2026年3月期 · 株式会社東芝 連結
- IR 東芝 2026年度第1四半期決算 2027年3月期第1四半期 · 株式会社東芝 連結
- IR 東芝 統合報告書2025
- 採用 採用情報 会社を知る-企業情報