デバイスメーカー パワー・アナログ半導体
ローム
電気を変換して制御する半導体を作る会社
パワーとアナログを自社工場で作るIDM。
売上の88%がLSIと半導体素子の2区分から出ています。
ロームは パワーとアナログの半導体 を自社工場で作るIDMです。 2026年3月期の連結売上高 は4,811億円で、SiC事業の固定資産を中心に1,936億円の減損損失を計上しました。
- FY2026/03 連結売上高 4,811億円 前期比7.3%増。 品目別はLSI2,183億円、半導体素子2,052億円、モジュール315億円、その他259億円
- FY2026/03 連結営業利益 108億円 前期は営業損失−400億円。 売上高営業利益率2.3%
- FY2027/03 会社予想 5,100億円 営業利益300億円。 2026年8月5日の第1四半期決算短信でも同じ数値です
FY2026/03 品目別の外部顧客売上高
- LSI2,183億円
- 半導体素子2,052億円
- モジュール315億円
- その他(抵抗器等)259億円
この会社の要点
01立ち位置
何の会社として比べるか
ロームは、半導体を自社で設計し自社工場で作るIDM型のデバイスメーカーです。 公式の報告セグメントはLSI、半導体素子、モジュールの3つです。
4つの品目区分
FY2026/03 外部顧客への売上高
4区分の合計が連結売上高4,811億円です。 セグメント間の内部売上高を除いた外部顧客への売上高です。
FY2026/03 セグメント利益
4区分の合計94億円に調整額14億円を加えた108億円が連結営業利益です。
直近四半期で、どの区分が改善したか
外部顧客への売上高
連結売上高は1,357億円で前年同期比16.8%増、営業利益は96億円です。
セグメント利益
半導体素子の損失は前年同期の62億円から9.4億円へ縮小しました。 経常利益は112億円、四半期純利益は90億円です。
LSI(アナログ・電源・モータドライバ)
FY2026/03の外部顧客売上高は2,183億円、セグメント利益245億円で、4区分のうち売上・利益とも最大です。 公式ページは電源やモータ向けICに加えてSiC、Si-MOSFET、Si-IGBT、GaN-HEMTを保有し、自社パワーデバイスと組み合わせて最適化したLSIを開発する点を強みに挙げています。
- 電源IC
- モータドライバIC
- センサIC
- マイコン
パワーデバイス(SiC / Si / GaN)
ベアチップ、ディスクリート、モジュールまでを公式にラインアップしています。 第5世代SiC MOSFETは単位面積当たりのオン抵抗を第4世代より30%改善する見込みと記載があり、8インチウエハは量産認証サンプルの出荷を開始しています。
- SiC MOSFET
- SiC ショットキーバリアダイオード
- TRCDRIVE pack
- SiパワーMOSFET
小信号デバイス・オプトデバイス
消費電力1W未満の小信号トランジスタ・ダイオードと、発光ダイオード、半導体レーザーを持ちます。 ロームは2024年の世界小信号デバイス市場で3位・シェア9.8%です。 この事業はキャッシュカウとして高いシェアを維持する方針です。
- 小信号トランジスタ
- 小信号ダイオード
- 発光ダイオード(LED)
- 半導体レーザー
モジュール・抵抗器
FY2026/03の外部顧客売上高はモジュール315億円(セグメント利益35億円)、その他(抵抗器等)259億円(セグメント利益41億円)です。 公式ページはセンサ関連技術、AIサーバー市場向けの光モジュール、バーコードラベルプリンタ用サーマルプリントヘッドへの注力を挙げています。
- サーマルプリントヘッド
- センサモジュール
- シャント抵抗器
- MCRxシリーズ
02収益
どこで、どれくらい儲けているか
FY2026/03は連結売上高4,811億円に対し営業利益108億円。 営業段階では黒字で、同じ期にSiC事業の固定資産を中心とする1,936億円の減損損失を特別損失へ計上し、当期純損失は−1,584億円です。
4,811億円
前期比7.3%増。 自動車市場と民生機器市場の増収に加え、産業機器市場でも在庫調整の解消が進んで増収となりました。
減損1,936億円 / 当期純損失−1,584億円
BEV市場の成長見通しが従来想定を下回り、SiC事業の固定資産を中心に減損を計上しました。 半導体素子セグメント分が1,916億円です。
売上高5,100億円 / 営業利益300億円
経常利益360億円、当期純利益290億円。 為替は1米ドル153円前提で、第1四半期決算短信でも同じ数値です。
FY2026/03 損益の内訳
連結売上高の推移
FY2027/03は2026年8月5日の第1四半期決算短信でも同じ数値の会社予想です。
03強みとリスク
強みと、リスク・検討点
4区分を自社工場で持つ範囲の広さと、SiC事業の減損と赤字が、同じ決算に出ています。 強みは製品の幅とSiCの世代交代、検討点は減損後の収益力と統合協議です。
強み
- 4つの品目区分を自社で持つ範囲
報告セグメントはLSI、半導体素子、モジュールの3つに、抵抗器等を含む「その他」を加えた4区分です。 FY2026/03の外部顧客売上高はそれぞれ2,183億円、2,052億円、315億円、259億円です。
2026年3月期 決算短信(2026年5月12日) - パワーとアナログを組み合わせる製品構成
公式LSIページは、電源・モータ向けICに加えてSiC、Si-MOSFET、Si-IGBT、GaN-HEMTを保有し、両者を組み合わせたソリューションとしてLSIを開発できる点を競争力に挙げています。
LSI事業 - SiCの世代交代と8インチ化
第5世代SiC MOSFETは単位面積当たりのオン抵抗を第4世代より30%改善する見込み、8インチウエハは量産認証サンプルの出荷を開始と公式に記載があります。 TRCDRIVE packは2024年に量産開始し、複数の電気自動車メーカーが採用しています。
半導体素子事業 パワーデバイス - 小信号デバイスの順位
ロームは2024年の世界小信号デバイス市場で3位・9.8%、小信号トランジスタで4位・10.0%、小信号ダイオードで5位・9.6%です。 出所はCompetitive Landscaping Tool CLT、Annual 2Q24です。
半導体素子事業 汎用デバイス - SiC製品の公式ラインアップ
SiCショットキーバリアダイオード、SiC MOSFET、SiCパワーモジュールと、それぞれのベアダイを製品ファミリーとして掲載しています。 ブランド名はEcoSiCです。
SiCパワーデバイス 製品情報
リスク・検討点
- SiC事業の減損と半導体素子の赤字
FY2026/03はBEV市場の成長見通し下振れを受けて、SiC事業の固定資産を中心に1,936億円の減損損失を計上しました。 半導体素子セグメントはFY2026/03も−227億円のセグメント損失です。
2026年3月期 決算短信(2026年5月12日) - 減価償却方法の変更が入った利益
FY2026/03から有形固定資産の減価償却を定率法から定額法へ改めた結果、減価償却費が171億円減少し、営業利益と経常利益が155億円増加しました。
2026年3月期 決算短信(2026年5月12日) - 営業利益率の水準と目標の差
FY2026/03の売上高営業利益率は2.3%。 第2期中期経営計画が掲げる2028年度の財務目標「営業利益20%以上」との間に17.7ポイントの差があります。
第2期中期経営計画“MOVING FORWARD to 2028”(2025年11月6日) - 統合協議は基本合意段階
2026年3月27日に東芝デバイス&ストレージの半導体事業および三菱電機のパワーデバイス事業との統合に向けた基本合意書を締結しました。 取引スキーム、対価、効力発生日はいずれも未定と公式に記載があります。
東芝デバイス&ストレージ・三菱電機との事業統合に関する基本合意書の締結(2026年3月27日)
04待遇
給与、初任給、休日、手当
新卒初任給(技術系 / 2025年度実績)
営業・管理系は修士26.3万円、学士・高専専攻科24.9万円、高専本科・短大22.9万円。 エリア限定職は学士・高専専攻科19.5万円、高専本科・短大18.5万円です。
- 給与改定・賞与
- 給与改定は年1回(4月)、賞与は年2回(6月・12月)です。 条件は 新卒採用 募集要項 に載ります。
- 勤務時間
- 京都本社と国内工場拠点は8:15〜17:15、京都駅前・新横浜・その他営業拠点は8:30〜17:30です。
- 休日・休暇
- 年間休日は124日(2025年度実績)で、土曜、日曜、国民の祝日、夏期休暇、年末年始を含みます。 年次有給休暇は入社時10日、2年目15日、以降1年ごとに1日加算で最高20日です。
- 諸手当・社会保険
- 通勤手当と住宅補助などがあります。 社会保険は雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金保険です。 営業職には別途営業手当があります。
- 採用人員
- 2025年入社実績は技術124名、営業・管理15名です。 募集職種は年度によって異なります。
- 営業・管理系の勤務地
- 営業・管理系の勤務地は京都本社、京都駅前、東京、新横浜、名古屋などです。
05勤務地と職種
どこで、どんな仕事をするか
技術系の勤務予定地は京都本社、京都駅前、新横浜、滋賀、浜松、岡山、福岡、宮崎などです。 公式拠点ページでSiCを製造品目に挙げる国内工場は、本社工場、筑後工場、ラピスセミコンダクタ宮崎工場です。 海外拠点73ヶ所、国内拠点24ヶ所と記載があります。
主な勤務地・拠点
- 本社・本社工場
- 京都市右京区西院溝崎町21製造品目はIC、センサ、トランジスタ、SiC、LED、半導体レーザー
- 滋賀工場
- 滋賀県大津市晴嵐トランジスタ、ダイオード、IGBT
- 前工程の国内工場
- 筑後工場(福岡県筑後市)、浜松工場(静岡県浜松市)、笠岡工場(岡山県笠岡市)筑後はIC、トランジスタ、ダイオード、SiC。 2026年4月1日の再編で前工程の製造会社へ移りました
- 後工程の国内工場
- 広川工場(福岡県八女郡広川町)、行橋工場(福岡県行橋市)、笠岡工場(岡山県笠岡市)広川はセンサ、トランジスタ、ダイオード、プリントヘッド
- ラピスセミコンダクタ
- 宮崎工場(宮崎県宮崎市清武町)、宮崎第二工場(宮崎県東諸県郡国富町)、宮城工場(宮城県黒川郡大衡村)宮崎はIC、センサ、ダイオード、SiC、IGBT
- 海外の製造拠点
- ROHM Korea 大田工場(SiC、IGBT)、ROHM Integrated Systems(タイ。 SiC、IGBT)、SiCrystal GmbH(ドイツ・ニュルンベルク。 SiCウエハ)
新卒 技術系の職務内容区分
- 研究開発
- LSI商品・技術開発
- FAE
- 個別半導体技術開発
- 製造技術開発
- 生産設備技術
- 情報システム開発
- 品質保証
- 技術オープンコース
営業・管理系は営業、生産管理、人事、総務、調達、経理・IR、法務、知的財産の8区分です。 エリア限定職として事務・受付があります。
06これから
会社が次に取りにいくもの
第2期中期経営計画“MOVING FORWARD to 2028”は、2028年度に売上高5,000億円以上、営業利益20%以上、ROE9%以上を掲げます。 FY2026/03の実績は、いずれもこの水準の手前にあります。
MOVING FORWARD to 2028(2028年度 財務目標)と、FY2026/03実績
- 売上高 4,811億円 実績はFY2026/03の4,811億円、目標は2028年度の5,000億円以上
- 営業利益率 2.3% 実績はFY2026/03の売上高営業利益率2.3%、目標は公式資料の財務目標「営業利益20%以上」
- ROE 9%以上
- 2035年 パワー・アナログ半導体で世界トップ10
- AIサーバー 2030年度売上300億円
2028年度の目標値です。 第1期中期経営計画(2021〜2025年度)の財務目標はいずれも未達となる見込みと公式に記載があります。
これからの材料
- 構造改革の進捗
- SiC事業の収益性改善(第5世代デバイス投入、歩留まり改善、6インチから8インチ生産への早期移行)、生産拠点再編、事業ポートフォリオ適正化、製造コストダウン、価格適正化を柱に掲げます。 第1期中期経営計画期間の設備投資累計は6,082億円で、先行投資期間は終了したと記載があります。 詳細は 2026年3月期 決算説明会資料 にあります。
- 国内製造拠点の再編
- 2025年10月10日の開示で、滋賀工場と国内の製造関連4社を前工程・後工程の製造会社2社へ再編する方針を公表しました。 2026年4月1日にローム・アポロ、ローム・ワコー、ローム浜松の3社が前工程・後工程の2社へ移り、2027年4月1日にラピスセミコンダクタの再編と滋賀工場の承継を予定しています。 日程は 会社分割等のお知らせ に載ります。
- 統合協議の位置
- 2026年3月27日の基本合意は、東芝デバイス&ストレージの半導体事業との統合と、同事業および三菱電機のパワーデバイス事業を統合した事業体の設立を対象にしています。 FY2027/03の連結業績への影響は軽微と見込む旨を公式に記載しています。
第2期中期経営計画“MOVING FORWARD to 2028”
2028年度の財務目標は売上高5,000億円以上、営業利益20%以上、ROE9%以上。 2035年の目指す姿として「半導体技術で存在感を示すグローバル企業へ 〜パワー・アナログ半導体の分野で世界トップ10〜」を掲げます。 2028年度の目標値です。第1期中期経営計画(2021〜2025年度)の財務目標はいずれも未達となる見込みと公式に記載があります。
SiC事業の収益化と8インチ移行
収益性改善策として、次世代デバイス開発、高付加価値モジュールによるシェア向上、6インチから8インチ生産への早期移行、歩留まり向上と投資適正化を挙げています。 半導体素子セグメントの損失はFY2026/03で227億円、FY2027/03第1四半期で9.4億円です。
東芝・三菱電機との事業統合協議
2026年3月27日、東芝デバイス&ストレージの半導体事業との統合、および同事業と三菱電機のパワーデバイス事業を統合した事業体の設立に向けて、基本合意書を締結しました。 基本合意段階です。スキーム、取引対価、効力発生日はいずれも未定で、最終契約の締結に至った場合は中期経営計画を改定する可能性があると記載があります。
AIサーバー向けの売上目標
ロームは中期経営計画で、AIサーバー関連の売上を2030年度に300億円とする目標を掲げています。 LSI事業ページもAIサーバー向けソリューションを注力分野に挙げています。 2030年度の目標値です。2026年度は、AIサーバー電源向けを含むコンピュータ・ストレージ分野のSiC売上を前年比2.5倍にする計画です。
07入口を選ぶ
専攻から、入口を1つに絞る
LSI、パワーデバイス、小信号・オプトデバイス、モジュール・抵抗器のうち、自分の専攻と重なる製品区分を1つ選び、そこから応募職種を1つに絞ります。
FAE / 品質保証
FAEは顧客システムへのLSI・パワーデバイス適合提案、品質保証は市場不具合品の調査・報告と変更管理を担う入口です。
- Quality
- AEC-Q
- Customer
応募前の3手
- 電源IC・モータドライバIC / SiC・SiパワーデバイスとTRCDRIVE pack / 小信号デバイス・LED・半導体レーザー / プリントヘッド・抵抗器から、担当したい区分を1つ選ぶ
- 研究や実務の測定値を1つ用意し、オン抵抗、変換効率、歩留まり、車載信頼性規格のどれに当てるか1つ選ぶ
- 募集要項の職務内容表から、希望職種の勤務予定地と対象専攻を公式ページから書き出す
面接で使う技術語
- SiC
- Process
- Reliability
- Yield
- Wafer
- Analog
- Power IC
- Motor Driver
- Layout
- Mixed Signal
他社との違いを一言で
- パワーデバイス
Infineon Technologies
ロームは2024年の世界パワーデバイス市場で10位・3.0%です。上位のパワー半導体大手とは事業規模に差があり、ロームが力を入れるのはSiCと車載向けです。
- SiC / 車載アナログ
STMicroelectronics
SiCとアナログICの双方で重なります。ロームは第5世代SiC MOSFET、8インチ化、TRCDRIVE packまでを公式に掲げ、SiCを素子からモジュールまで手がけます。
- パワーデバイス
三菱電機(パワーデバイス事業)
2026年3月27日の基本合意により、パワーデバイス事業の統合協議の相手になりました。パワーデバイスの競合が、そのまま統合の協議相手でもあります。
- 半導体事業
東芝デバイス&ストレージ
ディスクリートとアナログで重なります。2026年3月27日に事業・経営統合に向けた基本合意書を締結済みで、最終契約は未締結です。
- 車載半導体
ルネサス エレクトロニクス
ルネサスは車載用を含むマイコン(MCU)とマイクロプロセッサを製品群の先頭に並べます。ロームの主力はパワーデバイス、アナログLSI、小信号デバイス、抵抗器の4区分です。
出典16件
- 公式 会社概要
- 公式 ロームグループ・拠点
- 公式 LSI事業
- 公式 半導体素子事業 パワーデバイス
- 公式 半導体素子事業 汎用デバイス
- 公式 モジュール・その他事業
- 公式 SiCパワーデバイス 製品情報
- IR 2026年3月期 決算短信(2026年5月12日)