パワー半導体 / 総合電機 パワー半導体・化合物半導体デバイス
三菱電機
電力を変換して送るデバイスの会社
6部門で開示する総合電機。
半導体は部門売上高2,871億円で、全社5兆8,947億円の内側にあります。
三菱電機は パワー半導体モジュール とデータセンター向けの EMLチップ を作る総合電機です。 2025年度のセミコンダクター・デバイス部門は売上高2,871億円、営業利益率16.6%でした。
- 2025年度 連結売上高 5兆8,947億円 前年度比107%。 営業利益4,330億円、営業利益率7.3%、親会社株主に帰属する当期純利益4,077億円
- 2025年度 半導体・デバイス部門 売上高 2,871億円 営業利益475億円、営業利益率16.6%。 外部顧客に対する売上高は2,589億円
- 2030年度 半導体・デバイス事業目標 4,000億円 調整後営業利益率20%、ROIC 12%。 2026年5月29日公表の会社目標
2025年度 部門別売上高の構成セグメント間の内部売上高を含む部門値 · 決算短信
- ライフ2兆3,182億円
- インダストリー・モビリティ1兆6,738億円
- インフラ1兆4,634億円
- その他・デジタルイノベーション9,815億円
- セミコンダクター・デバイス2,871億円
この会社の要点
01立ち位置
何の会社として比べるか
三菱電機は、インフラ、インダストリー・モビリティ、ライフ、デジタルイノベーション、セミコンダクター・デバイス、その他の6部門で業績を開示します。 2025年度のセミコンダクター・デバイス部門の売上高は2,871億円で、部門合計の4.3%です。
全社の部門構成のなかで、半導体はどこにあるか
2025年度 部門別売上高
部門売上高はセグメント間の内部売上高を含みます。 部門合計6兆7,242億円から、消去又は全社の8,295億円を差し引いた額が連結売上高5兆8,947億円です。
2025年度 部門別営業利益
部門営業利益の合計5,690億円から、消去又は全社の1,359億円を差し引いた額が連結営業利益4,330億円です。
2025年度 事業区分別売上高
部門売上高2,871億円のうち、事業区分として公表されているのはこの2区分です。
事業区分別売上高の会社計画
2026年5月29日公表の会社目標と会社見通しです。 実績は左の図に載せています。
パワーデバイス(Si)
三菱電機は、IGBTを組み込んだパワーモジュール、駆動回路と保護機能を内蔵したIPM/DIPIPM、高耐圧のHVIGBTモジュール、ドライバIC、裸チップを作っています。 応用はエアコン・冷蔵庫・洗濯機、自動車、UPS・スイッチング電源、太陽光発電・風力発電、モーションコントロール、電力伝送、鉄道車両です。
- IPM / DIPIPM
- HVIGBTモジュール XBシリーズ
- 産業用LV100タイプ 1.2kV IGBTモジュール
- ドライバIC(HVIC)
SiCパワー半導体
SiC製品には、フルSiCパワーモジュール、ハイブリッドSiCパワーモジュール、SiC SLIMDIP、SiC DIPIPM、自動車用SiCパワーモジュール(J3シリーズ)があります。 熊本県菊池市泗水地区の新工場棟は2025年10月に竣工し、8インチウエハラインを立ち上げています。
- フルSiCパワーモジュール
- ハイブリッドSiCパワーモジュール
- SiC SLIMDIP
- 自動車用SiCパワーモジュール(J3シリーズ)
光デバイス
光デバイスには、EMLチップ、DFBレーザー、pin-PDチップ、光受信モジュール、マルチモード半導体レーザーがあります。 用途は大規模データセンター、家庭用光ファイバー通信(FTTH)、移動通信システム基地局、プロジェクター用光源です。
- EMLチップ
- DFBレーザー
- pin-PDチップ
- 光受信モジュール
高周波デバイス
高周波デバイスには、Ka帯GaN MMIC電力増幅器、5G基地局用GaN電力増幅器モジュール、シリコンRF高出力MOSFETがあります。 用途は衛星通信(SATCOM)、移動通信システム基地局、各種無線機です。
- Ka帯GaN MMIC電力増幅器
- 5G基地局用GaN電力増幅器モジュール
- シリコンRF高出力MOSFET
02収益
どこで、どれくらい儲けているか
2025年度の連結売上高は5兆8,947億円、営業利益は4,330億円で営業利益率は7.3%。 セミコンダクター・デバイス部門は売上高2,871億円に対し営業利益475億円で、部門の営業利益率16.6%が全部門で最も高い水準です。
5兆8,947億円
前年度比107%。 営業利益4,330億円(前年度比111%)、営業利益率7.3%、親会社株主に帰属する当期純利益4,077億円です。
売上高2,871億円 / 営業利益475億円
売上高は前年度比100%、営業利益は117%、営業利益率は16.6%。 外部顧客に対する売上高は2,589億円です。
連結6兆2,700億円 / 半導体・デバイス3,000億円
会社は連結の調整後営業利益を6,200億円へ上方修正しました。 半導体・デバイス部門の見通しは調整後営業利益430億円、調整後営業利益率14.3%で、4月の見通しと同じです。 2027年3月期第1四半期の部門売上高は788億円、調整後営業利益は162億円でした。
設備投資1,051億円 / 受注高3,204億円
設備投資は前年度比315%、受注高は119%、研究開発費は192億円で前年度比126%です。 連結の設備投資は3,107億円でした。
2025年度 部門別の営業利益率
連結合計は消去又は全社を含む値です。
セミコンダクター・デバイス部門の売上高
2026年度は会社計画で、調整後営業利益は430億円(前年度比93%)です。
03強みとリスク
強みと、リスク・検討点
電力変換のモジュールと化合物半導体で世界上位の順位を持つ一方、部門の規模は全社の一部にとどまり、直近はパワー半導体の需要停滞が続いています。
強み
- パワー半導体モジュールでの世界順位
パワー半導体モジュールのワールドワイドシェアは第2位、パワー半導体IPMは第1位(いずれも2024年度実績、当社調べ)。 DIPIPMの累計生産台数は1996年から2026年3月31日までで約15億台です。
半導体・デバイス 仕事・ひと(データ) - HVDCとデータセンター向けでの首位
VSC型HVDCシステム向けパワー半導体モジュールは2025年度実績で世界第1位、データセンター向けEMLは2024年度実績で世界第1位(いずれも当社調べ)です。
半導体・デバイス 仕事・ひと(データ) - 部門の利益率が連結を上回る
2025年度のセミコンダクター・デバイス部門は売上高2,871億円に対し営業利益475億円、営業利益率16.6%。 連結の営業利益率7.3%を9.3ポイント上回りました。
2026年3月期 決算説明会資料(2026年4月28日) - 前工程と後工程を自社拠点で持つ
パワーデバイスのウエハ工程は熊本県合志市と広島県福山市、組立工程は福岡市西区のパワーデバイス製作所が担当し、関係会社の組立工場が兵庫、島根、福岡、中国、ハンガリーに並びます。
パワーデバイス 開発・生産拠点 - 化合物半導体の出荷実績
データセンター向けEMLチップは2025年度までに累計1億個、5G基地局用GaNモジュールは累計300万個を出荷しました。
半導体・デバイス事業 新中期事業戦略(2026年5月29日)
リスク・検討点
- 全社に対する部門規模
2025年度の部門売上高2,871億円は、部門合計6兆7,242億円の4.3%です。 全社業績はライフ2兆3,182億円、インダストリー・モビリティ1兆6,738億円、インフラ1兆4,634億円が動かします。
2026年3月期 決算短信(2026年4月28日) - パワー半導体の需要停滞
2025年度の部門売上高は前年度比100%で横ばいでした。 2025年度の事業環境は、パワー半導体の需要停滞が続き、通信用光デバイスの需要は堅調でした。
2026年3月期 決算説明会資料(2026年4月28日) - 2026年度は部門減益の会社計画
セミコンダクター・デバイス部門の2026年度計画は売上高3,000億円(前年度比104%)に対し調整後営業利益430億円(93%)、調整後営業利益率14.3%。 増収でも減益の計画で、会社は理由に償却費の増加を挙げています。
2026年3月期 決算説明会資料(2026年4月28日) - パワー半導体事業の統合協議
2026年3月27日、当社のパワーデバイス事業とローム・東芝デバイス&ストレージの半導体事業の事業・経営統合について、協議開始に向けた基本合意を締結しました。 最終契約と競争法上のクリアランスは未了です。
パワー半導体事業・経営統合の協議開始に向けた基本合意(2026年3月27日) - SiC新工場棟の量産はこれから
熊本県菊池市泗水地区のSiC新工場棟は2025年10月に竣工しました。 8インチウエハラインは、量産開始へ向けた立ち上げの段階です。
SiCパワー半導体 製品・拠点情報
04待遇
給与、初任給、休日、手当
2026年度の初任給は修士了31.4万円、学部卒28.7万円です。 賃金改定は年1回、賞与は年2回で、休日は土日祝日と年末年始などです。
新卒初任給(2026年度)
技術系総合職と事務系総合職に共通の初任給です。
- 賃金改定・賞与
- 賃金改定は年1回、賞与は年2回です。 初任給と手当は 新卒採用 募集要項 に載ります。
- 勤務時間
- 就業時間は7時間45分、休憩時間は45分です。 始業・終業の時刻は事業所によって異なり、フレックスタイム制度の適用も事業所・部署によって異なります。
- 休日・休暇
- 休日は土曜日、日曜日、国民の祝日、労働祭、年末年始、会社創立記念日です。 休暇は年次有給休暇、結婚休暇、忌引休暇、転任休暇、配偶者出産休暇、チャージ休暇、セルフサポート休暇などが掲載されています。
- 諸手当・福利厚生
- 諸手当は時間外手当、扶養手当、通勤費補助。 福利厚生は寮・社宅、家賃補助、契約リゾート施設、社員持株会、セレクトプランポイント制度などです。 契約期間は期間の定めなし、試用期間は3か月です。
- 配属の決まり方
- 技術系総合職には配属先指定リクルート制度(配リク)があり、事業所とのマッチングを経て内々定に進む場合があります。
半導体・デバイスの国内拠点数
- 開発・製造拠点14拠点
- 営業拠点4拠点
開発・製造拠点は国内関係会社を含みます。 海外は営業拠点11ヶ国・地域、開発・製造拠点2ヶ国・地域です。 セミコンダクター・デバイス部門の連結従業員数は5,556人(2026年3月31日現在)です。
05勤務地と職種
どこで、どんな仕事をするか
半導体・デバイスの開発・製造拠点は、パワーデバイスが福岡・熊本・福山、光デバイスと高周波デバイスが兵庫県伊丹市にあります。 新卒採用の就業場所は全国の事業所のうち会社が指定した場所で、変更の範囲は会社の定める場所(国内外)です。
主な勤務地・拠点
- パワーデバイス製作所(福岡地区)
- 福岡県福岡市西区今宿東一丁目1番1号モジュール組立・検査工程
- パワーデバイス製作所(熊本拠点)
- 熊本県合志市御代志997番地パワーデバイスのウエハ工程
- SiC 8インチ新工場棟(泗水地区)
- 熊本県菊池市泗水町住吉1576-1SiCのウエハプロセス工程
- パワーデバイス製作所(福山拠点)
- 広島県福山市大門町旭1番地4パワーデバイスのウエハ工程
- 高周波光デバイス製作所
- 兵庫県伊丹市瑞原四丁目1番地光デバイスと高周波デバイスの研究開発・生産
- 本社
- 東京都千代田区丸の内二丁目7番3号
半導体・デバイスの技術区分
- IGBT
- IPM / DIPIPM
- SiC-MOSFET
- SiC 8インチウエハ
- HVIGBT
- HVDC向けパワーモジュール
- EMLチップ
- DFBレーザー
- pin-PDチップ
- GaN MMIC
- シリコンRF MOSFET
- モジュール組立・検査
パワー半導体と化合物半導体の主な製品と技術です。
06これから
会社が次に取りにいくもの
半導体・デバイス事業は、SiCの8インチ化と高耐圧製品でパワーデバイスを立て直し、データセンター向け光デバイスへ投資を振り向ける計画です。 2030年度目標は売上高4,000億円、調整後営業利益率20%、ROIC 12%です。
半導体・デバイス事業の2030年度目標と2025年度実績
- 売上高 2,871億円 2025年度実績2,871億円、2030年度目標4,000億円(4,000億円)
- 調整後営業利益率 16.1% 2025年度実績16.1%、2030年度目標20%。 2026年度見通しは14.3%
- ROIC 8.6% 2025年度実績8.6%、2030年度目標12%。 三菱電機版ROIC(資産項目に基づく算出)
- パワーデバイス事業 2030年度 3,000億円
- 高周波・光デバイス事業 2030年度 1,000億円
- 全社 調整後営業利益率 12%+
- 全社 ROE 12%
2026年5月29日公表の会社目標です。 2030年度の為替前提は140円/US$、160円/Euro、19.5円/人民元です。
これからの材料
- SiCの8インチ化
- 熊本県菊池市泗水町の新工場棟がSiCパワー半導体のウエハプロセス工程を担います。 SiCウエハへの投資額は約1,000億円、稼働開始は2026年4月予定と公表されました。 2023年3月14日の発表資料 に新工場棟の所在地と生産工程が載っています。
- 生産能力の増強計画
- パワーデバイスの生産能力は2023年度から2027年度で2.3倍へ増強し、福岡地区の新工場棟に高耐圧ラインを新設して2027年度以降の生産効率を上げる計画です。 EMLチップは2029年度までに2025年度比3倍超へ増強します。
- 直近の投資と受注の実績
- 2025年度のセミコンダクター・デバイス部門の設備投資は1,051億円で前年度比315%、研究開発費は192億円で前年度比126%、受注高は3,204億円で前年度比119%でした。
SiC 8インチウエハの新工場棟
2023年3月14日の発表で、SiCウエハへ約1,000億円を投じて熊本県菊池市泗水町住吉の新工場棟を建設し、稼働開始は2026年4月予定と公表されました。 パワーデバイス事業の2021〜2025年度の累計設備投資は従来計画の約1,300億円から約2,600億円へ倍増しています。 稼働開始の2026年4月は、2023年3月の発表時の予定です。新工場棟は2025年10月に竣工し、量産開始へ向けてウエハラインを立ち上げています。
福岡地区の後工程新工場棟
パワー半導体モジュールの組立・検査工程を担う新工場棟を福岡市西区のパワーデバイス製作所へ建設します。 投資額は約100億円、延床面積は約25,270m²、鉄骨造5階建てで、稼働開始は2026年10月予定です。 稼働開始の2026年10月は、2024年11月20日の発表時の予定です。
データセンター向け光デバイスへの投資シフト
2025年度にEMLチップの生産能力増強へ400億円の投資を決定し、2029年度までに2025年度比で3倍超(2020年度比20倍)へ増強する計画です。 会社は高周波・光デバイス事業の売上高を、2030年度に1,000億円とする目標を掲げています。 2025年度は554億円でした。 1,000億円は、会社が2026年5月29日に公表した目標です。
2030年度の部門財務目標
半導体・デバイス事業の2030年度目標は売上高4,000億円、調整後営業利益率20%、ROIC 12%です。 2025年度実績は売上高2,871億円、調整後営業利益463億円、調整後営業利益率16.1%、ROIC 8.6%でした。 2030年度の為替前提は140円/US$、160円/Euro、19.5円/人民元で、2025年度実績の前提(151円/US$、176円/Euro、21.4円/人民元)と異なります。
07入口を選ぶ
専攻から、入口を1つに絞る
パワーデバイス、SiC、光デバイス、高周波デバイスのうち、自分の専攻と重なる製品区分を1つ選び、そこから応募職種を1つに絞ります。
応募前の3手
- IGBT・IPM / SiCモジュール / EMLチップ / GaN MMICから担当したい製品区分を1つ選ぶ
- 研究・実務の測定値を1つ用意し、損失、耐圧、熱抵抗、伝送速度のどれと結ぶか1つ選ぶ
- 募集要項の就業場所と選考フロー、勤務地の製作所名を公式ページから書き出す
面接で使う技術語
- SiC
- MOSFET
- IGBT
- Wafer Process
- Reliability
- Power Module
- Thermal
- Packaging
- HVDC
- Inverter
他社との違いを一言で
- SiC / パワー半導体
ローム
2026年3月27日に、当社のパワーデバイス事業とロームの半導体事業の統合協議開始へ向けた基本合意を締結しています。ロームは今も別会社で、SiCデバイスと産業・車載向けで直接競合します。
- パワー半導体
東芝デバイス&ストレージ
親会社の東芝が同じ基本合意の当事者で、統合の対象は東芝デバイス&ストレージの半導体事業です。ディスクリートとパワーモジュールで重なり、統合は協議開始の段階で、最終契約の締結は今後です。
- パワーモジュール / 電力変換
富士電機
IGBTモジュールと産業用電力変換で重なります。三菱電機はFAシステム、鉄道、空調・家電といった社内の需要家事業を同じグループに持ちます。
- パワー半導体のグローバル順位
Infineon Technologies
パワー半導体モジュールのワールドワイドシェアで、三菱電機は2024年度実績の第2位です。この順位は三菱電機の調べによるものです。