半導体製造装置 ALD・エピタキシー装置
ASM International
原子1層ずつ膜を積むALD装置の首位メーカー
ALD(原子層堆積)とエピタキシーの成膜装置で稼ぐオランダの装置メーカーで、2025年12月期の
営業利益率は29.6%でした。 ALDは装置売上の半分超を占めます。
ASMは ALDとエピタキシーの成膜装置 の採用を2nm世代の先端ロジック向けに広げ 2026年4〜6月期の売上高 は過去最高の1,775億円でした。
- 2025年12月期 売上高 5,616億円 前期比8%増。 為替の影響を除くと12%増で、9年連続の2桁成長
- 2025年12月期 営業利益 1,660億円 前期比17%増。 営業利益率は27.4%から29.6%へ上昇
- 2025年末 受注残 2,206億円 前期末から20%減。 年間売上の39.3%に当たる
2025年12月期の売上構成
- 装置4,349億円
- スペア・サービス1,266億円
この会社の要点
01立ち位置
何の会社として比べるか
ASMは、ウェーハに極薄の膜を付ける前工程の成膜装置メーカーです。 2025年12月期の売上高は5,616億円、2026年4〜6月期は四半期で過去最高の1,775億円でした。
2024年12月期から2026年7〜9月期見通しまでの売上高
通期の売上高と営業利益
四半期の売上高
どの地域の顧客へ売り、どの国で人が働いているか
地域別売上高
従業員数の多い5か国
ALD装置(熱ALD・PEALD)
ALD(原子層堆積)は、原料ガスを交互に流して膜を1原子層ずつ積む成膜法です。 トランジスタのhigh-kメタルゲート、パターニング用のスペーサー膜、MIMキャパシタ、高アスペクト比の溝埋めに使われます。 PEALDはプラズマで反応のエネルギーを与えるため、低い温度で成膜できます。 2025年はALDが装置売上の半分超を占めました。
- XP4 EmerALD
- XP4 Pulsar
- XP8 Synergis
- XP8 DCM PEALD
エピタキシー装置(Si・SiGe・SiC)
エピタキシーは、ウェーハの結晶にそろえて単結晶の膜を成長させる工程です。 Si、SiGe、リンをドープしたSiを使い、先端トランジスタのチャネルやソース・ドレインを作ります。 シリコンのエピは2025年に装置売上で2番目の製品ラインでした。 SiC向けは2022年に買収したLPEの装置です。
- Intrepid ES / Intrepid ESA
- Epsilon 2000
- Previum(前洗浄モジュール)
- PE1O6A / PE1O8
PECVD装置
PECVDは、プラズマで原料ガスを反応させて低温で絶縁膜を付ける装置です。 XP8 DCM PECVDは1台に8つの反応室を持ち、ハイブリッド接合用のSiCN膜も付けます。 XP8 Vertosは、流動性のある炭素膜で深い溝を埋めながら表面を平らにします。 多摩はPECVDの製品開発を担う拠点です。
- XP8 DCM PECVD
- XP8 Vertos
縦型炉(バッチ式)
縦型炉は、多数のウェーハを一度に加熱して減圧CVD、拡散、酸化を行うバッチ式装置です。 SONORAは300mmのロジック・メモリ・パワー向け、A400 DUOは200mm以下のパワー、アナログ、RF、MEMS向けです。 2025年はパワー・アナログ市場の低迷で売上が2桁減りました。
- SONORA
- A400 DUO
スペア部品・サービス
納入済み装置の予防保全、部品のドライ洗浄、ALDコーティングによる部品再生、保守ロボットPM-botを提供します。 ドライ洗浄は湿式洗浄に比べ選択性が10倍あると、ASMは公表しています。 2025年のスペア・サービス売上は1,266億円で、前期比14%増えました。
- 予防保全プログラム
- ドライ洗浄
- 表面処理(ALDコーティング)
- PM-bot
02収益
どこで、どれくらい儲けているか
ASMの装置売上は先端ロジック・ファウンドリ向けが中心です。 2026年1〜6月の装置売上の77%をロジック・ファウンドリが占め、メモリは15%でした。
売上高5,616億円 / 営業利益1,660億円
売上高は前期比8%増、営業利益は17%増です。 粗利率は50.5%から51.8%へ上がりました。
純利益1,280億円 / 1株当たり純利益(希薄化後)2,601.76円
純利益率は22.8%です。 1株当たり配当は575.22円で、前期の530.97円から増えました。
受注高5,267億円 / 期末受注残2,206億円
受注高は前期比1%減で、受注高を売上高で割った値は0.9でした。 期末受注残は前期末の2,771億円から20%減っています。
売上高1,775億円 / 営業利益571億円
売上高は前年同期比20%増で過去最高です。 粗利率は51.9%、調整後営業利益率は33.0%でした。
売上高1,946億円(±5%)
4〜6月期から9.7%増える見通しです。 2027年の売上高は、2025年に示した目標(6,548億円から8,141億円)の上限を超えると見込んでいます。
2026年1〜6月の顧客分野別の装置売上
売上高の推移と2030年目標
03強みとリスク
強みと、リスク・検討点
強みは、枚葉ALDの首位と、29.6%の営業利益率です。 弱点は顧客と地域の偏りで、上位5社が売上の53.6%、中国向け装置が全社売上の30%超を占めます。
強み
- 枚葉ALDで会社推計55%超のシェア
会社は枚葉ALD市場で55%超のシェアを持つと推計しています。 ALDは2025年に装置売上の半分超を占め、2026年4〜6月期にはALD売上が過去最高になりました。 1999年と2004年の買収でALDの技術基盤を築いています。
2025年 年次報告書 - 2nm世代のGAAで工程数が増えた
GAA(ゲートを全周から囲むトランジスタ)はALDを使う工程を増やしました。 会社の推計では、2nmで自社が狙える市場が月産10万枚あたり約632億円広がりました。 先端エピのシェアもIntrepid ESで約2倍の25%に高めました。
2025年 年次報告書 - 前期より上がった利益率
2025年12月期の営業利益率は29.6%で、前期の27.4%から上がりました。 研究開発費(純額)は売上の12.9%に当たる723億円で、利益を出しながら開発を続けています。
2025年 年次報告書 - 伸び続けるスペア・サービス
2025年のスペア・サービス売上は1,266億円で、売上全体の22.6%です。 前期比14%増(2024年は28%増)で、成果に応じて対価を受け取るサービス契約が伸びています。
2025年 年次報告書
リスク・検討点
- 上位5社で売上の53.6%
2025年は上位10社の顧客で売上の72.3%、上位5社で53.6%を占めました。 売上の10%を超える顧客は2社で、前年の3社から減りました。
2025年 年次報告書 - 中国向けと輸出規制
2025年は中国向けの装置売上が全社売上の30%を超えました。 中国の売上は主に成熟ロジック・ファウンドリの顧客向けです。 会社は、輸出規制の追加で中国の市場がさらに狭まる可能性をリスクに挙げています。
2025年 年次報告書 - ドル建て売上とユーロ決算のずれ
売上の80%超は米ドル建てで、決算はユーロで報告します。 2025年の売上は為替を除けば12%増でしたが、ドル安で8%増にとどまりました。
2025年 年次報告書 - SiCと成熟市場の落ち込み
SiCエピの売上は2025年に50%超減り、縦型炉の売上も2桁減りました。 どちらも自動車・産業向けのパワー・アナログ市場の低迷が理由です。 SiCエピは2022年に買収したLPEの装置が担います。
2025年 年次報告書 - 自社より大きな競合
年次報告書は、主な競合を米国とアジアのより大きな会社と書いています。 2025年の受注高は5,267億円で前期比1%減、期末受注残は20%減でした。
2025年 年次報告書
04待遇
給与、初任給、休日、手当
多摩の求人票は、働き方の条件を職種ごとに具体的に書いています。 装置エンジニアは平均残業20時間程度で出張は原則なし、プロセス職は年間20〜30%の海外出張があります。
- 残業と出張(装置エンジニア)
- 多摩のシニア装置エンジニアは平均残業20時間程度で、出張は原則ありません。 本人が希望すれば出張もできます。 条件は 多摩の求人 シニア装置エンジニア に載ります。
- 出張の多い職種
- PEALDのプロセスエンジニアは米国・台湾・韓国などへの出張が年間20〜30%あり、連続滞在は最長3か月です。
- 休日出勤(設備保全)
- デモラボの設備保全職は出張がなく、平均残業は月30時間程度、休日出勤は年3回(4・8・12月に1週間程度)です。 未経験者向けの育成体制を設けています。 多摩の求人 デモラボ設備保全 に載ります。
- 株式報酬
- 2025年は全世界の従業員の54%が制限付株式制度の対象でした。 権利確定日に会社の株式を受け取る制度です。 2025年 年次報告書 の報酬の章に載ります。
- 専門職のキャリア
- 機械設計職には、管理職とは別に技術の専門家として現場で働き続けるキャリアパスがあります。 多摩の求人 機械設計 に記載があります。
- 新卒・インターンの支援
- 2027年のインターンでは、選ばれた人に転居の支援と、米国・アジア・欧州をまたぐローテーションの機会があります。
05勤務地と職種
どこで、どんな仕事をするか
本社はオランダのアルメレにあり、日本の拠点は東京都多摩市のASM Japan KKです。 多摩は1982年からプラズマCVDを開発し、今はPECVDとPEALDの製品開発を韓国の華城と分担しています。
主な勤務地・拠点
- 本社
- オランダ・アルメレ(Versterkerstraat 8)縦型炉の製品開発も担当
- 日本(ASM Japan KK)
- 東京都多摩市。 PECVDとPEALDの製品開発拠点で、日本の従業員は325人韓国・華城と連携
- 製品開発拠点
- 米国・フェニックス(熱ALDとエピ)、韓国・華城(PEALD)、イタリア(SiCエピ)
- 全社研究開発
- フィンランド・ヘルシンキ、ベルギー・ルーベン4〜8年先の材料とプロセスを開発
- 拠点の規模
- 主要拠点15、製造拠点3、研究開発拠点8シンガポール、華城、米国スコッツデールに投資
日本の求人勤務地
- 東京都多摩市
- 川崎
- 四日市
- 北上
- 熊本
- 東広島
- 千歳
- 苫小牧
求人サイトの勤務地の絞り込みに出る日本の地名です。
応募の入口
- 採用ページの「Roles in Asia」から求人一覧へ進み、勤務地を「Japan > Tokyo (Tama-shi)」に絞る
- 学生は「2027 Internships Japan」、経験者は職種別の求人票から応募する
- すぐ応募しない人は「Join our talent community」に登録して募集を待つ
06これから
会社が次に取りにいくもの
会社は2030年に売上高1兆88億円超、営業利益率30%超を目標にしています。 足元では1.4nm世代、HBM向けDRAM、先端パッケージの3つが伸びしろです。
2030年の財務目標と2025年実績
- 売上高 5,616億円 2030年目標は1兆88億円超
- 営業利益率 29.6% 目標は30%超
- 粗利率 51.8% 目標は47〜51%
- 調整後販管費率 9.2% 目標は7%未満
これからの材料
- 1.4nm世代
- 1.4nm世代は2026年下期に初めて本格的に売上へ寄与する予定で、モリブデンのALDで受注を得ています。 2026年4〜6月期 決算発表 に載ります。
- 2027年の売上
- 会社は、2027年の売上高が2025年の投資家説明会で示した目標(6,548億円から8,141億円)の上限を超えると見込んでいます。 2026年4〜6月期 決算発表 の見通しの節にあります。
- 先端パッケージ
- 先端パッケージは新しい中期の戦略領域です。 ハイブリッド接合用SiCN膜を付けるXP8 DCM PECVDを製品ページに掲げています。 PECVD製品 で仕様の概要を読めます。
1.4nm世代とモリブデンのALD
1.4nm世代は2026年下期に初めて本格的に売上へ寄与する予定です。 会社は1.4nm向けにモリブデン(Mo)のALDで受注を得たと発表しました。 会社はALDとエピの両方でシェアを伸ばしたと発表しました。 顧客が1.4nmの量産ラインへ投資する時期と規模で、寄与の大きさが決まります。
HBM向けDRAMでのシェア拡大
2025年の装置売上に占めるメモリは16%で、HBM(AI向けの積層DRAM)が伸びました。 2026年4〜6月期には、別のDRAM顧客がASMのエピ装置を採用しました。 メモリの売上は2026年下期に偏る見通しです。 DRAMメーカー各社がHBMの増産投資を続けるかで、メモリ比率の上がり方が決まります。
先端パッケージ向けのPECVD
先端パッケージ向けのウェーハ装置市場は2030年までにほぼ2倍、年15%で伸びる見通しで、会社はこれを新しい中期の成長領域に位置づけています。 主要顧客と開発を進めており、売上への寄与は今後数年のうちに始まる見込みです。 認定が量産採用へ進むかで、先端パッケージ向けの売上規模が決まります。
2030年に売上1兆88億円超
2030年の目標は売上高1兆88億円超、営業利益率30%超、フリーキャッシュフロー1,769億円以上です。 売上目標は2025年実績の約1.8倍で、2024〜2030年に年12%以上の成長が必要です。
07入口を選ぶ
専攻から、入口を1つに絞る
ALD、PEALD、PECVD、エピのうち自分の研究や経験と重なる工程を1つ選び、多摩の求人のどの職種に当たるかを決めます。
プロセスエンジニア(プラズマ)
多摩のGlobal Key Product UnitでPEALDのプロセス開発チームに入ります。 実験を設計し、プロセスウィンドウを決め、装置とプロセスの相互作用を解析します。 米国・台湾・韓国への出張が年間20〜30%あります。
多摩の求人 プロセスエンジニア(プラズマ)シニア装置エンジニア(半導体装置)
多摩の研究開発拠点にあるPEALDやPECVDの開発装置を、設置・改造・保守します。 真空系、ガス供給系、RFプラズマ系の保守と改善が中心です。 顧客工場に常駐しない働き方です。
多摩の求人 シニア装置エンジニア機械設計(Senior Engineer II)
リアクター、真空チャンバー、ガス供給系、水冷回路などの機械系を研究開発から設計します。 構造・熱・流体の計算と、Creo ParametricでのCAD作成を担います。 米国や韓国の開発チームと日常的に会議をします。
- 3D CAD
応募前の3手
- XP8 DCM PECVD、XP8 QCM PEALD、Intrepid ESから1機種を選び、付ける膜と使う工程をノートに書く
- 多摩の求人はプロセス、装置、設計、設備の職種に分かれ、英語要件にTOEIC600点程度を挙げる求人がある
- 2nm世代のGAAでALDとエピの工程が増えた理由を、年次報告書の数字(シェア55%超、25%)を使って1分で話せるようにする
面接で使う技術語
- PEALD
- プラズマ
- プロセスウィンドウ
- 根本原因解析
- 真空系
- ガス供給
- RFプラズマ
- 予防保全
- 真空チャンバー
- 熱流体解析
プロセス職は材料工学・化学工学・化学・物理、設計職は機械工学・電気電子工学を求人票が挙げています。
他社との違いを一言で
- バッチ式の成膜とALD
KOKUSAI ELECTRIC
KOKUSAI ELECTRICはLP-CVD、酸化、アニール、拡散、ALDに対応する成膜装置を提供し、最上位機はミニバッチ成膜装置のAdvanced TSURUGI Plus-Ⅲです。
- 成膜・熱処理装置の品ぞろえ
東京エレクトロン
東京エレクトロンは酸化・熱処理、CVD、ALD、PVDなどの成膜装置を提供し、300mmのバッチ式熱処理装置TELINDY PLUSや、最大8プロセスモジュールの枚葉成膜装置Episode 1を持ちます。ASMも縦型炉SONORAを持ちますが、2025年の装置売上の半分超はALDです。
- ALDとPECVDの装置群
Lam Research
Lam ResearchはALDで絶縁膜を付けるStriker、タングステン配線向けのALTUS、PECVDのVECTORを持ちます。ASMのPECVDはXP8 DCM PECVDとXP8 Vertosで、ハイブリッド接合用のSiCN膜や溝埋めを狙います。
出典22件
元データ: グローバルネット(株)「世界半導体製造装置・試験/検査装置市場年鑑2024」を基に経済産業省が作成。
- 公式 会社概要
- 公式 所在地とお問い合わせ
- 公式 ALD製品
- 公式 エピタキシー製品
- 公式 PECVD製品
- 公式 縦型炉製品
- 公式 サービス製品
- IR 2025年 年次報告書 ASM Annual Report 2025 · 2025年12月期
ほか14件
- IR 2026年4〜6月期 決算発表 ASM reports second quarter 2026 results · 2026年4〜6月期 · 公表 2026-07-28
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- 公式 KOKUSAI ELECTRIC 製品情報
- 公式 東京エレクトロン 製品情報
- 公式 Lam Research 成膜製品
- 第三者 経済産業省「半導体・デジタル産業戦略の現状と今後」 p.5(2023年値)