計測・制御機器 半導体製造装置向け真空計・センサ
アズビル
半導体製造装置の真空度をサファイアのセンサで測る計測・制御メーカー
ビルと工場の計測・制御で稼ぐ会社で、半導体の入口は工業市場向けのAA事業です。
AA事業の受注高320億円は2027年3月期第1四半期に前年同期比32.8%増えました。 半導体市場の回復を受けたFA市場の需要増と、海外PA市場の回復が重なっています。
アズビルは ビル向けのBA事業 が売上の過半を占める計測・制御の会社です。 AA事業は半導体製造装置向けに サファイア隔膜真空計 形V8 などのMEMSセンサを作っています。
- 2026年3月期 AA事業売上高 1,107億円 前期比3.6%増。 PA市場が国内外で増え、FA市場は下期から増加
- 2026年3月期 AA事業セグメント利益 178億円 前期比11.3%増、利益率は15.0%から16.1%へ
- 2027年3月期第1四半期 AA事業受注高 320億円 前年同期比32.8%増。 FA市場の需要増と海外PA市場の回復による
2026年3月期の事業別売上高(外部顧客への売上高)BA事業 · AA事業 · LA事業
- ビルディングオートメーション(BA)1,559億円
- アドバンスオートメーション(AA)1,098億円
- ライフオートメーション(LA)330億円
この会社の要点
01立ち位置
何の会社として比べるか
アズビルは、ビル・工場・ライフラインの3市場で計測と制御の機器とサービスを売る会社です。 2026年3月期の連結売上高は2,989億円で、半導体製造装置向けの製品は工業市場のAA事業に入ります。
2025年3月期と2026年3月期の連結とAA事業
連結売上高
AA事業の売上高(セグメント間取引を含む)
どの事業が売上を作っているか
外部顧客への売上高
サファイア隔膜真空計 形V8
成膜・エッチング装置のチャンバー内の圧力を測る隔膜真空計です。 受圧部のダイアフラムと台座をサファイアで作り、フッ素系や塩素系の腐食性ガスに耐えます。 センサは約10mm角、ダイアフラムの直径は約8mmです。 MEMS加工で幅約6μmの溝を刻んで堆積膜を分断し、デポによるゼロ点シフト量を従来品の形SPGの1/10に抑えました。 応答速度(63%応答)は1ms以下で、形SPGの40ms以下より速くなりました。 圧力更新周期は0.27msです。
- 一体形 形V8C(自己加熱温度45~200℃可変)
- 分離形 形V8S(10~250℃対応)
- 形V8 ワイドレンジモデル(参考出展、計測範囲最大10000:1)
- サファイア隔膜真空計 形SPG5/6
AA事業の計測・制御機器
AA事業は、石油、化学、鉄鋼などの素材産業と、自動車、電気・電子、半導体、食品などの加工・組立産業へ製品とエンジニアリング、保守サービスを提供します。 主要製品には調節弁、グラフィカル調節計、デジタルマスフローコントローラ、差圧・圧力発信器、電磁流量計、熱式微小液体流量計があります。 事業はCP(FA向けプロダクト)、IAP(PA向けプロダクト)、SS(ソリューション&サービス)の3単位で運営しています。
- デジタルマスフローコントローラ
- 熱式微小液体流量計
- 差圧・圧力発信器
- グラフィカル調節計
02収益
どこで、どれくらい儲けているか
利益はBA事業とAA事業で稼いでいます。 AA事業のセグメント利益率は16.1%で、ガス・水道メーターなどのLA事業の1.9%を大きく上回ります。
売上高2,989億円 / 営業利益473億円
売上高は前期比0.5%減、営業利益は14.0%増で、売上高営業利益率は15.8%です。 前期はスペインのアズビルテルスターを売上に含んでいました。
売上高1,107億円 / セグメント利益178億円
受注高は1,062億円で前期と同水準でした。 セグメント利益率は16.1%で、BA事業の18.5%に次ぎます。
受注高320億円 / 売上収益263億円 / セグメント利益32億円
受注高は前年同期比32.8%増、売上収益は5.8%増、セグメント利益は25.0%減で、利益率は17.4%から12.4%へ下がりました。
売上収益3,150億円 / 事業利益482億円
2027年3月期第1四半期からIFRSへ移りました。 AA事業は半導体製造装置市場などFA市場の回復で増収、事業利益は前年度並みを見込みます。
2026年3月期のセグメント利益
AA事業の第1四半期(IFRS)
03強みとリスク
強みと、リスク・検討点
強みは、サファイアとMEMS加工でデポと腐食に向き合う真空計と、利益率16.1%のAA事業です。 弱点は、半導体が全社の一部の市場にとどまり、先行投資の減価償却が利益を先に削っている点です。
強み
- サファイアMEMSでデポとガス腐食に向き合う真空計
2006年に人工サファイアのチップを使う隔膜真空計の開発を始め、2011年に形SPG5/6を出しました。 新製品の形V8は、凸凹センサとモーメントバランス構造でデポによるゼロ点シフト量を従来品の1/10に抑え、分離形は250℃まで使えます。 従来品比で体積を40%小さくし、設置面積は現行品と同じなので置き換えも容易です。
ニュースリリース サファイア隔膜真空計 形V8 発売 - 利益率の高いAA事業
2026年3月期のAA事業はセグメント利益178億円で前期比11.3%増、利益率は16.1%でした。 価格転嫁を含む収益力強化施策と商品ミックスなどで改善し、連結の営業利益率15.8%を上回ります。
2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) - 研究開発と生産を神奈川に集めた体制
藤沢テクノセンター内にMEMS開発用の新しいクリーンルームを設け、2022年に竣工しました。 生産の中核は湘南工場で、技術開発機能との連携を強めています。 2026年3月期の研究開発費は127億円で売上高比4.3%、そのうちAA事業は63億円です。
第104期 有価証券報告書 - 顧客の現場から仕様を作る開発
およそ20年にわたり半導体市場向けに真空計を提供してきました。 研究開発部門の担当者が半導体製造の現場を訪れ、新しいプロセスガスによる堆積や腐食の課題を開発に戻しています。 形SPGではダイアフラムの手前におよそ4000本の通り道を設けるトラップ構造を作りました。
azbil MIND 顧客とともに半導体製造における課題解決に取り組む
リスク・検討点
- 半導体は全社の一部の市場
2026年3月期の外部顧客への売上は、ビル向けのBA事業が52.2%で、AA事業は36.7%です。 AA事業の顧客も素材産業から食品まで広く、半導体製造装置はFA市場の一角です。
2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) - 生産設備投資が利益を先に削る
2027年3月期第1四半期のAA事業は、受注高が32.8%増えたのにセグメント利益は25.0%減の32億円でした。 会社は理由に、半導体製造装置市場向けの将来の事業拡大に向けた生産設備投資に伴う減価償却費の増加を挙げています。 利益率は17.4%から12.4%へ下がりました。
2027年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結) - 海外勢が強い国内の真空計市場
会社は、国内の半導体市場向けの真空計で海外製品のシェアが高いと見ています。 アズビルは、海外製品に代わって国内の真空計市場で優位に立つことをめざしています。
azbil MIND 顧客とともに半導体製造における課題解決に取り組む - FA市場の回復時期のずれ
FA市場の市況回復は当初の想定より遅れ、2026年3月期の業績に響きました。 会社は2027年3月期も、部材価格の高騰と人件費の増加でAA事業の事業利益を前年度並みと見込んでいます。
2025年度(2026年3月期)決算説明会資料 - 地政学と調達コスト
会社は、中東の地政学的リスクや米中貿易摩擦が、サプライチェーンと製造業の設備投資に影響しうると見ています。
2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
04待遇
給与、初任給、休日、手当
新卒の初任給は修士了34万4,190円、学部卒32万1,600円で、年間休日は129日です。 提出会社の平均年間給与は918万2,109円、平均年齢は46.0歳、平均勤続年数は19.8年です。
新卒初任給(月給)
- 新卒の初任給と採用人数
- 修士了34万4,190円、学部卒32万1,600円、高専卒29万5,290円です。 採用実績は2024年卒115名、2025年卒111名、2026年卒124名です。 条件は 新卒採用 募集要項 に載っています。
- 勤務時間と休日
- 勤務時間は7時間55分で、始業と終業の時刻は事業所によって異なります。 年間休日は129日、2025年度の平均有給休暇取得日数は16.6日です。
- 平均年間給与
- 2026年3月期の提出会社の従業員は5,143人、平均年間給与は918万2,109円(約918.2万円)で、前事業年度比10.1%増えました。 第104期 有価証券報告書 の従業員の状況に載ります。
- AA事業の人員
- 連結従業員9,170人のうちAA事業は3,544人で、提出会社では5,143人のうち1,649人がAA事業に属します。
- 福利厚生と研修
- 社員持株制度、社員株式給付制度、独身寮、家賃補助があります。 新人研修と2~5年次の年次研修、社内検定制度(技術プロフェッショナル)を設けています。
05勤務地と職種
どこで、どんな仕事をするか
本社は東京都千代田区丸の内にあり、研究開発と生産は神奈川県の藤沢テクノセンターと湘南工場に集まります。 新卒の勤務地は東京本社、神奈川、札幌、仙台、名古屋、大阪、博多などです。
主な勤務地・拠点
- 本社
- 東京都千代田区丸の内東京本社
- 藤沢テクノセンター
- 神奈川県藤沢市の研究開発設備。 MEMS開発用の新しいクリーンルームが2022年に竣工
- 湘南工場
- 神奈川県高座郡寒川町。 生産機能の中核拠点で、工業計器等の生産設備を持つ
- 海外
- 米国シリコンバレーとシンガポールの研究開発拠点、ベトナムの生産子会社アズビルベトナムプロダクション
新卒採用の職種
- 研究開発
- 製品開発
- 生産技術
- セールス(技術営業)
- システムエンジニア
- プロジェクトエンジニア
- スタートアップエンジニア
- メンテナンス
- コーポレート業務
職種別採用で、応募できるのは1職種です。
06これから
会社が次に取りにいくもの
会社はAA事業のFA半導体製造装置市場向けMEMSセンサを成長事業に挙げ、2026年4月にMEMS・センシングデバイスを軸に開発組織を組み直しました。 中期経営計画は2027年度に売上高3,400億円を掲げます。
中期経営計画の2027年度目標と2026年3月期実績
- 売上高 2,989億円 2027年度目標は3,400億円
- 営業利益 473億円 2027年度目標は510億円
- 営業利益率 15.8% 2027年度目標は15.0%
これからの材料
- 半導体製造装置向けMEMSセンサ
- アズビルは、AA事業のFA半導体製造装置市場等向けMEMSセンサーを成長事業の例に挙げています。 出典は 2025年度 決算説明会資料 です。
- 形V8の次のモデル
- SEMICON Japan 2025で、計測範囲最大10000:1のワイドレンジモデルと、デポシフト量を減らすコーティングを参考出展しました。
FA半導体製造装置市場向けMEMSセンサを成長事業に
アズビルは、AA事業のFA半導体製造装置市場等向けMEMSセンサーを成長事業の例に挙げています。 2027年3月期第1四半期には、FA市場が半導体製造装置市場の需要拡大を主因に大きく回復しました。 同じ四半期のAA事業のセグメント利益は、生産設備投資に伴う減価償却費の増加などで25.0%減りました。
形V8のワイドレンジ化とプロセス別の対策
SEMICON Japan 2025では、1台で低真空から高真空まで最大10000:1の計測範囲をもつ形V8 ワイドレンジモデルと、特定のプロセスに有効なコーティングでデポシフト量を減らす技術を参考出展しました。 同じブースの形V8C/V8Sは発売済みの製品で、ワイドレンジモデルとデポ対策コーティングは参考出展の段階です。
MEMS・センシングデバイスを軸にした開発組織
2026年4月に、MEMS・センシングデバイス技術、アクチュエータ関連技術、AI技術、クラウド技術を開発力強化領域とし、開発組織体制を再構築しました。 組織の再構築は、顧客ニーズに基づく商品開発力を強めるためのものです。
中期経営計画の2027年度目標
中期経営計画(2025~2027年度)は最終年度に売上高3,400億円、営業利益510億円、営業利益率15.0%を掲げ、2030年度の長期目標は売上高4,200億円、営業利益650億円です。 目標は策定した当時の日本基準で算定しています。 会社は、IFRSへの移行と不透明な情勢を踏まえ、見通せる段階で目標の見直しを検討する方針です。
07入口を選ぶ
専攻から、入口を1つに絞る
半導体に関わりたいなら、AA事業の真空計やマスフローコントローラに近い研究開発・製品開発・生産技術から1職種を選んで応募します。
研究開発
azbilグループの次世代製品の根幹となるコア技術を開発する職種です。 会社は藤沢テクノセンターにMEMS開発用のクリーンルームを持ち、サファイア隔膜真空計のセンサチップもMEMS加工で作っています。
公式採用情報製品開発
事業部ごとのチームで、担当製品の新製品開発や不具合解析をする職種です。 AA事業の製品には隔膜真空計、デジタルマスフローコントローラ、差圧・圧力発信器、調節計があります。
公式採用情報生産技術
工法(プロセス)技術、設備化・自動化技術、生産ラインの構築を担う職種です。 生産の中核は湘南工場で、AA事業では半導体製造装置市場向けの生産設備投資が進んでいます。
- Production Engineering
- Automation
- Process
- Mother Factory
応募前の3手
- 形V8の技術報告を読み、デポ対策、高温対応、応答速度の3点を自分の専攻の言葉で説明できるようにする
- 決算短信でBA、AA、LAの3事業の売上と利益率を書き出し、AA事業の中のFA市場とPA市場の違いを整理する
- 募集要項の職種、勤務地、初任給、選考の流れを公式ページから書き出す
面接で使う技術語
- MEMS
- Sapphire
- Capacitance Diaphragm Gauge
- Sensor
- Clean Room
- Product Development
- Vacuum Gauge
- Mass Flow Controller
- Signal Processing
- Failure Analysis
理系の募集学科は電気、電子、通信、計測、制御、情報、機械、精密、応物、環境、化工、建築などで、文系は全学部全学科です。
他社との違いを一言で
- 半導体プロセス向けの隔膜真空計
MKS Instruments(Baratron)
MKSのBaratronはセンサをインコネルの全溶接構造で作り、100、125、150、200°Cの高温型でエッチングやCVDの副生成物の堆積を抑えると記載しています。アズビルの形V8はダイアフラムをサファイアで作り、MEMS加工の溝で堆積膜を分断し、分離形は10~250℃に対応します。
- 加熱型のセラミック隔膜真空計
INFICON(SKY CDG160D)
INFICONのSKY CDG160Dは160°Cに温度制御し、フルスケール1~1000 Torrで、アルミナセラミックを真空側に使い、応答時間は30 msです。アズビルの形V8は応答速度1ms以下、圧力更新周期0.27msで、一体形は自己加熱温度を45~200℃で変えられます。
- 国内の計測・制御メーカーの半導体向け事業
横河電機
横河電機は半導体製造装置・機器ソリューションとして、Siconnex社のBATCHSPRAY装置やリソテックジャパンのレジスト塗布/現像装置を提供しています。アズビルは装置そのものではなく、装置に組み込む真空計やデジタルマスフローコントローラなどのセンサ・機器を供給します。
出典15件
- 公式 事業概要
- IR 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) 2026年3月期
- IR 2027年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結) 2027年3月期第1四半期
- IR 2025年度(2026年3月期)決算説明会資料 2026年3月期
- IR 第104期 有価証券報告書 2026年3月期
- 公式 ニュースリリース サファイア隔膜真空計 形V8 発売
- 公式 azbil Technical Review サファイア隔膜真空計(形V8)の開発
- 公式 azbil MIND 顧客とともに半導体製造における課題解決に取り組む