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半導体製造装置 半導体露光装置・ナノインプリント

キヤノン

i線とKrFの露光装置で稼ぎ、ナノインプリントに賭けるキヤノン

半導体の事業は、回路を写す露光装置です。 2025年は234台を売り、その80.3%がi線でした。
インダストリアル売上3,611億円は連結の7.8%ですが、AI向けの先端後工程で業界標準の地位を持ちます。

キヤノンは 半導体露光装置 を2025年に234台売り、露光装置を含むインダストリアルの営業利益率は17.3%でした。 会社は 2026年の販売台数 を227台と見込んでいます。

  • 2025年12月期 インダストリアル売上高 3,611億円 前期比2.7%増。 連結売上高4兆6,247億円の7.8%
  • 2025年12月期 インダストリアル営業利益 625億円 前期比9.3%減。 営業利益率は19.6%から17.3%へ低下
  • 2026年第2四半期 インダストリアル売上高 783億円 前年同期比15.3%減。 営業利益126億円は28.7%減

2025年の半導体露光装置 販売台数の内訳KrF(合計234台)

  • i線露光装置188台
  • KrF露光装置46台

この会社の要点

向いている入口 光学システム設計技術者(半導体露光装置/ディスプレイ露光装置)

産業機器、精密機器、光学機器メーカーで光学設計や光学系評価をしてきた人。

入口を選ぶ
主なリスク 利益率が下がる方向

インダストリアルの営業利益率は2024年の19.6%から2025年は17.3%に下がり、2026年第2四半期は16.1%でした。 第2四半期の営業利益は126億円で、前年同期比28.7%減っています。 通期の見通しも17.0%にとどまります。

強みとリスク
出典 出典一覧(30件)

公式 12件 / IR 5件 / 採用 12件 / 第三者 1件

01立ち位置

何の会社として比べるか

キヤノンの半導体事業は露光装置で、i線とKrFの装置を2025年に234台売りました。 露光装置を含むインダストリアルの売上高は3,611億円で、会社全体の7.8%です。

インダストリアルの実績と見通し

2024年から2026年見通しまでの売上高と営業利益

2025年12月期 決算説明資料

売上高

億円 · 決算説明資料
  • 2024年 実績 3,517億円
  • 2025年 実績 3,611億円
  • 2026年 見通し 3,537億円

営業利益

億円 · 決算説明資料
  • 2024年 実績 689億円
  • 2025年 実績 625億円
  • 2026年 見通し 603億円
台数

半導体露光装置を何台売っているか

2026年12月期 第2四半期 決算説明資料

半導体露光装置の販売台数

台 · 決算説明資料
  • 2025年 i線 実績 188台
  • 2026年 i線 見通し 157台
  • 2025年 KrF 実績 46台
  • 2026年 KrF 見通し 70台

半導体露光装置の合計台数

台 · 決算説明資料
  • 2025年 実績 234台
  • 2026年 期初見通し 224台
  • 2026年 最新見通し 227台
露光装置(前工程)

KrFスキャナー

ウエハーに塗ったレジストへ、回路パターンを光で写すリソグラフィ(露光)工程の装置です。 波長248nmのKrF光源を使い、解像力は90nm以下です。 FPA-6300ES6aはオプション適用時に1時間あたり300枚以上のウエハーを露光でき、KrFスキャナーで業界最高水準の重ね合わせ精度5nm以下をうたいます。

  • FPA-6300ES6a
露光装置(前工程)

i線ステッパー(前工程)

波長365nmのi線で回路を写す装置です。 FPA-5550iZ2は解像力350nm以下で、ロジック、メモリー、イメージセンサーの製造に対応します。 従来機FPA-5550iZの初号機よりスループットが約20%上がりました。 ショット形状補正機能「SSC」で、下地の層に合わせて重ね合わせの精度を高めます。

  • FPA-5550iZ2
露光装置(後工程)

i線ステッパー(後工程・先端パッケージ)

半導体パッケージの配線パターンを、大きな四角い基板に写す露光装置です。 FPA-8000iWは515×510mmの基板に対応し、四角基板向けで最高の解像力1.0マイクロメートルを実現しました。 52x68mmの広い画面を一括で露光できます。 基板の反りは10mmまで扱えます。

  • FPA-8000iW
パターン形成装置

ナノインプリントリソグラフィ

光で焼き付ける代わりに、回路を刻んだマスク(型)をハンコのようにレジストへ押し付けて回路を作る装置です。 FPA-1200NZ2Cは、5ナノノードにあたる最小線幅14nmのパターンを形成できます。 マスクを改良すれば、2ナノノードにあたる10nmへの対応も期待されています。 300mmウエハーに対応します。

  • FPA-1200NZ2C
計測装置

ウエハー計測装置

露光の前にウエハーの変形を測り、そのデータを露光装置へ送って位置合わせを補正する装置です。 グループ内では成膜をキヤノンアネルバ、チップ接合をキヤノンマシナリーが担い、キヤノン本体は露光と計測を受け持ちます。

  • ウエハー計測装置

02収益

どこで、どれくらい儲けているか

インダストリアルの売上の7割は、会社が光学機器と区分する製品群です。 2026年第2四半期は産業機器が47.3%減り、ユニット全体の売上が15.3%落ちました。

2025年12月期 インダストリアル売上高・営業利益

売上高3,611億円 / 営業利益625億円

売上高は前期比2.7%増えましたが、営業利益は9.3%減りました。 営業利益率は19.6%から17.3%へ下がっています。

2026年12月期 中間期 インダストリアル

売上高1,452億円 / 営業利益174億円

売上高は前年同期比9.1%減、営業利益は33.1%減です。 上期だけで前年の伸びを打ち消しました。

2025年12月期 インダストリアル研究開発費

322億円

インダストリアル売上高の8.9%にあたり、前期の305億円から5.7%増えました。

2025年12月期 連結(会社全体)

売上高4兆6,247億円 / 営業利益4,554億円

売上高は前期比2.5%増で2期連続の過去最高です。 インダストリアルの売上高はこのうち7.8%です。

2025年のインダストリアル 区分別売上高

億円 · 決算説明資料
  • 光学機器 2,564億円 構成比71.0%、前期比1.2%増
  • 産業機器 1,047億円 構成比29.0%、前期比6.5%増

インダストリアルの四半期売上高

億円 · 決算説明資料
  • 2025年 第2四半期 924億円
  • 2025年 第4四半期 1,158億円
  • 2026年 第2四半期 783億円

03強みとリスク

強みと、リスク・検討点

強みはAI向け先端パッケージの露光装置で業界標準を握っていることです。 弱みは最先端の前工程を持たず、i線の台数減と利益率の低下が同時に進んでいることです。

強み

  • AI向け先端パッケージの露光で業界標準

    2025年はメモリやパワー半導体向けが弱いなか、AI向け需要は高水準を保ち、先端後工程向け露光装置の販売台数が前期を上回りました。 会社はこの装置を業界標準と位置づけています。

    2025年12月期 決算短信
  • パッケージ基板市場のi線シェア

    キヤノンは、急拡大するパッケージ基板市場でi線露光装置の圧倒的な市場シェアを盤石にする方針です。 基板加工装置の新製品も投入します。

    有価証券報告書 第125期
  • TSMCからの評価

    2025年12月24日、TSMCの「2025 Excellent Performance Award」で「Excellent Production Support」を受賞しました。 受賞部門の名称は量産支援(Production Support)です。

    半導体露光装置 製品ページ
  • 売上の8.9%を研究開発へ

    インダストリアルの研究開発費は2025年12月期に322億円で、ユニット売上高の8.9%です。 前期より5.7%増やし、営業利益が9.3%減った年でも開発費を削っていません。

    2025年12月期 決算短信

リスク・検討点

  • 利益率が下がる方向

    インダストリアルの営業利益率は2024年の19.6%から2025年は17.3%に下がり、2026年第2四半期は16.1%でした。 第2四半期の営業利益は126億円で、前年同期比28.7%減っています。 通期の見通しも17.0%にとどまります。

    2026年12月期 第2四半期 決算説明資料
  • 市況の波が読みにくい

    半導体・FPD業界の景気循環は、振れ幅も時期も予測しづらいとキヤノン自身がリスクに挙げます。 デバイスが供給過剰になると、露光装置への投資は大きく減ります。 市況の下降局面では、研究開発費を回収できない場合があります。

    有価証券報告書 第125期
  • i線の台数が減る計画

    期初の2026年見通しで、i線露光装置は153台でした。 2025年の188台から18.6%減る計画です。 KrFを71台に増やしても合計は224台で、2025年の234台に届きません。

    2025年12月期 決算説明資料
  • 微細化の最前線はこれから

    半導体露光装置の主力はi線とKrFで、ArF露光装置は参入を計画する段階です。 最先端の回路を作る手段として、ナノインプリントを主力事業に育てる計画も掲げています。 どちらも売上の柱になるのはこれからです。

    有価証券報告書 第125期

04待遇

給与、初任給、休日、手当

新卒の初任給は修士了30.9万円、大学卒28.5万円で、年間休日は125日です。 キヤノン本体の平均年間給与は881万7,253円、平均年齢は44.3歳です。

新卒初任給(基本給)

円 · 2026年改定
  • 博士了 36.1万円
  • 修士了 30.9万円
  • 大学卒 28.5万円
  • 高専・専門学校卒 25.9万円
新卒の初任給
2026年改定の基本給は博士了36.1万円、修士了30.9万円、大学卒28.5万円、高専・専門学校卒25.9万円です。 金額は 新卒採用 よくある質問 に載っています。
休日と勤務時間
年間休日は125日で、土日の週休2日に5月連休、夏期、年末年始が加わります。 就業時間は事業所により8:30〜17:00か8:00〜16:30で、有給休暇は入社翌年から年20日です。 新卒採用 よくある質問 の回答です。
平均年間給与
2025年12月末のキヤノン本体は従業員22,921人、平均年齢44.3歳、平均勤続年数18.9年、平均年間給与881万7,253円です。 有価証券報告書 第125期 の従業員の状況が出典です。
賞与と手当
賞与は6月と12月の年2回、昇給は年1回です。 通勤が難しい勤務地へ配属されると入社時支度金50万円が出て、引越代は会社が持ちます。 持株会、財形貯蓄、積立年金、住宅融資の制度があります。 新卒採用 よくある質問 に詳しい説明があります。

05勤務地と職種

どこで、どんな仕事をするか

露光装置の技術者の募集は、栃木県の宇都宮光学機器事業所に集まっています。 インダストリアルの従業員は連結で7,757人、全社の4.7%です。

主な勤務地・拠点

本社
東京都大田区下丸子三丁目30番2号露光装置のセールス職の勤務地
宇都宮事業所
栃木県宇都宮市イメージングとインダストリアルの研究開発用設備及び生産設備
阿見事業所
茨城県稲敷郡阿見町インダストリアルの拠点
有価証券報告書 第125期

露光装置のキャリア採用職種

  • 光学システム設計
  • 機械設計
  • 電気設計
  • ソフトウェア開発
  • 物理プロセス開発
  • フィールドエンジニア
  • アプリケーションエンジニア
  • 生産技術
  • セールス

セールスは本社、ほかの8職種は宇都宮光学機器事業所が勤務地です。

応募の入口

  1. 新卒は2027年卒・2028年卒向けのマイページからエントリーする
  2. 職種別採用を選ぶ場合は、マイページの募集要項で技術系の募集職種を見る
  3. キャリア採用は職種検索から露光装置の職種を選んで応募する
公式採用へ

06これから

会社が次に取りにいくもの

会社は露光装置の次の柱として、ArF露光装置への参入とナノインプリントの主力事業化を掲げています。 宇都宮には半導体製造装置の新工場を建てました。

半導体露光装置の販売台数 2025年実績と2026年見通し

台 · 2026年12月期 第2四半期 決算説明資料
  • KrF露光装置 70台 2025年実績は46台。 52.2%増の見通し
  • i線露光装置 157台 2025年実績は188台。 16.5%減の見通し

これからの材料

ArF露光装置
キヤノンは、i線とKrFの精度と生産性を高めてシェアを上げ、ArF露光装置への参入で事業を広げる方針です。 この方針は 有価証券報告書 第125期 に載っています。
ナノインプリント
キヤノンは、マスクとウエハーの位置ずれを1nm以下の精度で測って補正できるようにしました。 消費電力は既存の先端露光の約10分の1まで減らせます。 ナノインプリントリソグラフィ 技術解説 に仕組みの図があります。
2026年の市場見通し
半導体露光装置は旺盛なAI向け需要を背景に堅調に推移する見通しです。 FPD露光装置は米国の関税影響による投資延伸で市場の縮小を想定しています。 2025年12月期 決算短信 の次期の見通しに載っています。

ArF露光装置への参入

キヤノンは、i線とKrFの精度と生産性を高めてシェアを上げると同時に、ArF露光装置へ参入して事業を広げる方針です。 2025年に売った半導体露光装置234台は、i線とKrFだけです。

ナノインプリントを主力事業に

ナノインプリントは戦略顧客やパートナーと協業して生態系を作り、パターン形成装置と、同じ技術を使うウェーハー平坦化装置の両輪で主力事業に育てる計画です。 現行のFPA-1200NZ2Cは、5ナノノードにあたる最小線幅14nmのパターンを形成できます。

宇都宮の新工場

2025年は宇都宮事業所に新設した半導体製造装置の新工場へ投資しました。 阿見・宇都宮地区の建物及び構築物の増加額は420億円、同地区のインダストリアルビジネスユニットの機械及び装置の増加額は52億円です。 会社は、半導体市場は浮き沈みを繰り返しつつもAI需要が成長を牽引すると見ています。

露光装置以外への拡大

成膜装置では新プラットフォームAdastraの製品展開を進めます。 M&Aも使い、現行の製造装置以外へ事業領域を広げることも目指しています。 グループ内では、成膜のスパッタリング装置をキヤノンアネルバが手がけています。

07入口を選ぶ

専攻から、入口を1つに絞る

前工程のi線・KrF、後工程の先端パッケージ、ナノインプリントのどれに関わりたいかを先に決めると、志望職種と面接の話題がそろいます。

キャリア採用・技術系

光学システム設計技術者(半導体露光装置/ディスプレイ露光装置)

露光装置の心臓部である光学系を設計します。 μm〜nmのパターンを結ぶ投影光学系、nm精度の計測光学系、照明光学系の3つが業務に挙がっています。

キャリア採用 光学システム設計技術者
キャリア採用・技術系

機械設計・機構設計技術者(半導体露光装置/ディスプレイ露光装置)

製品と各ユニットの機械設計、振動・構造体・熱流体のシミュレーション、次世代の要素技術開発、量産化と顧客先の技術支援を担います。

キャリア採用 機械設計・機構設計技術者
キャリア採用・技術系

電気設計技術者(半導体露光装置/ディスプレイ露光装置)

装置の電気システム開発、ユニットの電気設計、高速駆動ステージの位置決めなどの超精密制御、nm精度の計測に使う画像処理を担当します。

  • 画像処理
  • 電源設計
キャリア採用 電気設計技術者

応募前の3手

  1. FPA-6300ES6a、FPA-8000iW、FPA-1200NZ2Cの製品ページを読み、それぞれが前工程・後工程・次世代のどこを担うかを1行で書く
  2. 2025年の台数234台と2026年見通し227台を、i線とKrFに分けて表にし、増減の理由を自分の言葉で書く
  3. 光学・機械・電気・ソフトウェアのどの職種で、宇都宮光学機器事業所のどの業務に関わりたいかを決める
公式採用へ

面接で使う技術語

  • 投影光学系
  • 照明光学系
  • 開口数
  • 収差
  • ウエハーステージ
  • 制振
  • 熱流体解析
  • 3D-CAD
  • 位置決め制御
  • リアルタイム制御

キャリア採用の技術職は、半導体業界の経験がなくても応募できる職種が多くあります。

他社との違いを一言で

  • 前工程の露光装置

    ASML

    ASMLは量産で最も高い解像度を出すEUV露光装置と、ロジックやメモリの最先端量産に使うドライ・液浸のDUV露光装置を持ちます。キヤノンの前工程向けはi線とKrFで、2025年の半導体露光装置234台のうち188台がi線でした。

  • 国内の半導体露光装置メーカー

    ニコン

    ニコンは半導体露光装置のほか、アライメントステーションと計測・検査装置を品ぞろえに挙げています。キヤノンも露光前にウエハー変形を測るウエハー計測装置を持ち、測定データを露光装置へ送って位置合わせを補正します。

  • パワー半導体・電子部品向けの投影露光装置

    ウシオ電機

    ウシオ電機の投影露光装置UX-4シリーズは、パワー半導体やMEMS、SAWフィルタなどを用途に挙げ、パワー半導体用の8インチ一括投影露光装置を販売してきました。キヤノンはパワーデバイス向けに、200mm以下の小型基板に対応するi線ステッパーFPA-3030iWaを出しています。

比較の出典:経済産業省「半導体・デジタル産業戦略の現状と今後」 p.5(2023年値) このページの出典一覧へ

出典30件

元データ: グローバルネット(株)「世界半導体製造装置・試験/検査装置市場年鑑2024」を基に経済産業省が作成。

ほか22件

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