化学・半導体材料 半導体パッケージ用エポキシ樹脂
DIC
印刷インキの会社がAI半導体の基板樹脂で利益を伸ばす
売上1兆522億円の大半は印刷インキと顔料ですが、伸びているのは半導体パッケージ基板向けのエポキシ樹脂です。
ケミトロニクスの上期営業利益は2.5倍の81億円で、利益率は21.6%に達しました。
DICは AI半導体向けエポキシ樹脂 の出荷増で、ケミトロニクス事業の2026年上期営業利益を2.5倍に伸ばしました。 会社は千葉工場で 半導体用エポキシ樹脂の生産能力 を約59%増やし、2029年7月に供給を始める計画です。
- 2026年上期 ケミトロニクス売上高 376億円 前年同期300億円から25.5%増
- 2026年上期 ケミトロニクス営業利益 81億円 前年同期33億円の2.5倍、利益率21.6%
- 半導体用エポキシ樹脂の増強 59% 千葉工場の新プラントで約59%増強、2029年7月に供給開始
2025年12月期のセグメント別売上高3セグメント合計1兆880億円(セグメント間消去前) · 決算短信
- パッケージング&グラフィック5,497億円
- ファンクショナルプロダクツ2,909億円
- カラー&ディスプレイ2,475億円
この会社の要点
01立ち位置
何の会社として比べるか
DICは印刷インキと顔料を主力とする売上1兆522億円の化学メーカーで、半導体材料はファンクショナルプロダクツの中のケミトロニクス事業本部が担います。 2026年上期は、この事業本部の売上が25.5%、営業利益が2.5倍に伸びました。
半導体材料を含む事業本部の売上高と営業利益
通期の売上高
上期の売上高
上期の営業利益
エポキシ樹脂を含むセグメントの国内と海外(地域間の取引を含む売上)
2025年12月期 地域別売上高
2026年上期 地域別売上高
半導体・電子基板向けエポキシ樹脂
ブランドは「EPICLON」です。 半導体・電子基板向けの製品ページには、ビスフェノールA型・F型やナフタレン型の液状品と、トリフェニルメタン型、変性ノボラック型、ナフタレン型、ジシクロペンタジエン型などの固形品を並べています。 2026年上期のエポキシ樹脂の売上高は前年同期比23%増、2025年通期は3%増でした。
- 850-S
- EXA-850CRP
- EXA-830LVP
- HP-A-4032L
エポキシ樹脂用硬化剤
エポキシ樹脂と組み合わせて超高速通信、溶解性、吸湿性、耐熱性の課題に対応します。 2026年上期は、半導体のパッケージ基板や封止材に使う絶縁材料向けの活性エステル型硬化剤などの出荷が好調でした。
- 活性エステル型 HPC-8000 シリーズ
- フェノールノボラック型 TD-2XXX シリーズ
- クレゾールノボラック型 KA-116X シリーズ
中空糸膜モジュール
SEPARELは中空糸膜で液体中の気体や気泡を除去するモジュールで、半導体製造などの分野で使われます。 2025年は半導体製造装置向けの生産設備を増強し、売上高は9%増えました。
- 脱気・吸気モジュール SEPAREL
フォトレジストポリマー
カナダ・ケベック州の子会社Innovation DIC Chimitroniquesが半導体フォトレジスト樹脂の生産設備を持ち、精製技術と自社の合成技術を組み合わせてフォトレジストポリマーを開発しています。
- フォトレジストポリマー
02収益
どこで、どれくらい儲けているか
全社の営業利益522億円のうち、ファンクショナルプロダクツは231億円を稼ぎ、営業利益率は7.9%でした。 2026年上期は同セグメントの営業利益が96.4%増の213億円になり、利益率は13.2%まで上がりました。
売上高1兆522億円 / 営業利益522億円
売上高は前年同期比1.8%減、営業利益は17.2%増でした。 ファンクショナルプロダクツは売上高2,909億円、営業利益231億円で、営業利益率は7.9%です。
売上高653億円 / 営業利益78億円
売上高は前年の610億円から7.0%増、営業利益率は12.0%でした。 エポキシ樹脂は生成AIサーバー、PC、スマートフォン関連の高付加価値製品の出荷が好調でした。
売上高376億円 / 営業利益81億円
売上高は前年同期比25.5%増、営業利益は2.5倍で、営業利益率は10.9%から21.6%に上がりました。 AI半導体需要の増加で、エポキシ樹脂の出荷が大幅に増えました。
売上高1兆1,400億円 / 営業利益780億円
期初見通しの売上高1兆1,000億円・営業利益560億円から引き上げました。 上期は売上高5,930億円、営業利益518億円(前年同期比92.2%増)です。
2025年12月期のセグメント別営業利益
連結売上高の推移と計画
03強みとリスク
強みと、リスク・検討点
強みは、AI半導体のパッケージ基板に使うエポキシ樹脂と硬化剤を原料から分子設計できることです。 この製品群を含むケミトロニクス事業本部は、2026年上期に営業利益率21.6%を出しました。 弱点は、その事業本部が全社のごく一部で、新プラントが動く2029年7月までは既存プラントで供給する点です。
強み
- 利益率の高いケミトロニクス事業本部を全社の中に持つ
ケミトロニクス事業本部の営業利益率は2025年が12.0%、2026年上期が21.6%で、全社の2025年12月期の営業利益率5.0%を大きく上回ります。 ファンクショナルプロダクツの上期営業利益213億円のうち、81億円をこの事業本部が稼ぎました。
2026年12月期 第2四半期決算説明資料 - AI半導体の基板材料に直結した製品
2026年上期はAI半導体需要でエポキシ樹脂の出荷が大幅に増え、パッケージ基板や封止材の絶縁材料に使う活性エステル型硬化剤も好調でした。 2025年も生成AIサーバー、PC、スマートフォン関連の高付加価値品が伸びています。
2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信 - 原料から製品までの一貫した分子設計
1968年からエポキシ樹脂を製造・販売し、原料から製品まで一貫して分子設計する開発体制と量産化ノウハウを強みに掲げています。 高耐熱化、寸法安定性、伝送損失の低減が求められる半導体用途で、会社は自社のエポキシ樹脂を不可欠な素材と位置づけています。
千葉工場にエポキシ樹脂プラントを新設することを決定 - 国の認定を受けた増産投資
千葉工場の新プラントは経済安全保障推進法の供給確保計画に認定され、最大30億円の助成を受けます。 2026〜2030年の累計で戦略投資とCVCに900億円以上を充てる計画で、投資の一例として半導体用エポキシ樹脂プラントの新設を挙げています。
2026年12月期 第2四半期決算説明資料
リスク・検討点
- 半導体材料は全社の一部
ケミトロニクスの2025年の売上高653億円は、連結売上高1兆522億円の一部にとどまり、しかも工業用テープやUV硬化型樹脂などスマートフォン向けの製品を含みます。 売上の半分はパッケージング&グラフィックで、全社の業績は印刷インキや顔料の需要にも大きく左右されます。
2025年12月期 決算説明資料 - 石油化学原料の価格と調達
製品の原料の約7割が石油化学製品で、中東情勢の悪化は調達制約と価格高騰として直接響きます。 会社は下期に高コストの製品在庫が出荷されてスプレッドが縮小すると見込んでいます。
2026年12月期 第2四半期決算説明資料 - 既存プラントの供給能力
会社は、千葉工場の既存プラントだけでは将来の需要増加に対して供給能力が不足すると見ています。 新プラントの供給開始は2029年7月の予定です。
千葉工場にエポキシ樹脂プラントを新設することを決定 - フォトレジストポリマーの立ち上げの遅れ
カナダのInnovation DIC Chimitroniquesは、半導体フォトレジスト材料の市況回復の遅れと主要顧客の在庫調整で販売拡大が買収時の想定より遅れ、継続的な営業損失を計上しています。 有価証券報告書は、事業計画を修正して評価した結果、のれんと固定資産の減損損失は不要と判断しています。
有価証券報告書 第128期 - 円安が押し上げた伸び率
2026年上期のファンクショナルプロダクツの売上高は円ベースで13.0%増ですが、現地通貨ベースでは7.6%増です。 上期の平均レートは1米ドル148.58円から158.32円へ円安になりました。
2026年12月期 第2四半期決算説明資料
04待遇
給与、初任給、休日、手当
新卒の初任給は博士了35万1,260円、修士了30万1,830円、学部了27万6,830円で、2026年度の年間休日は126日です。 2025年12月期の単体の平均年間給与は799万933円(約799.1万円)、平均年齢は44.3歳、平均勤続年数は18.3年です。
新卒初任給(月給)
- 新卒の初任給と休日
- 博士了35万1,260円、修士了30万1,830円、学部了27万6,830円で、年間休日は126日です。 昇給は年1回、賞与は年4回で、条件は 募集要項 に載ります。
- 平均年間給与
- 2025年12月期の単体従業員は3,880名、平均年齢44.3歳、平均勤続年数18.3年、平均年間給与799万933円です。 有価証券報告書 第128期 の従業員の状況に載ります。
- 住まいの補助
- 入社時の住居から片道2時間以上の拠点に配属されると、賃料の20〜30%の本人負担で借り上げ社宅・独身寮に住めます。 寮を使わない人には住宅手当を最大月4万円支給します。 福利厚生・制度
- 勤務時間
- 工場は8時30分〜17時00分、総合研究所と本社・支店は8時45分〜17時15分で、フレックスタイム制度とテレワーク勤務制度があります。
単体従業員3,880名のセグメント別配置(2025年12月末)
- ファンクショナルプロダクツ1,684名
- 全社(共通)1,399名
- パッケージング&グラフィック465名
- カラー&ディスプレイ332名
単体ではファンクショナルプロダクツの所属が43.4%で最大です。
05勤務地と職種
どこで、どんな仕事をするか
本社は東京・日本橋にあり、国内に2支店、10工場、総合研究所を持ちます。 半導体用エポキシ樹脂は千葉工場で生産し、2029年7月には同工場の新プラントが加わります。
主な勤務地・拠点
- 本社
- 東京都中央区日本橋3-7-20 ディーアイシービル
- 千葉工場
- 千葉県市原市八幡海岸通12エポキシ樹脂の既存プラントと新プラントの建設地
- 総合研究所
- 千葉県佐倉市坂戸631
- フォトレジスト樹脂の生産
- Innovation DIC Chimitroniques(カナダ・ケベック州)半導体フォトレジスト樹脂の生産設備
採用ページの職種
- 研究・開発
- 知的財産
- データサイエンス・計算科学
- プロセス開発
- 生産技術
- 設備・プラント設計・建設
- 品質管理・品質保証
- 営業・マーケティング
新卒の勤務地は東京、千葉、埼玉、茨城、大阪、愛知、石川、三重、群馬、滋賀です。
06これから
会社が次に取りにいくもの
会社は2026年12月期の営業利益見通しを780億円へ引き上げ、2030年に営業利益800億円以上を目指します。 半導体材料では、千葉工場にエポキシ樹脂の新プラントを建てます。
DIC Vision 2030 Phase2の2030年計画と足元
- 売上高 1兆1,400億円 2026年見通し。 2030年計画は1兆2,400億円以上
- 営業利益 780億円 2026年見通し。 2030年計画は800億円以上
- ROE 7.4% 2025年実績。 2030年計画は10.0%
これからの材料
- エポキシ樹脂新プラント
- DICは千葉工場の既存プラントの隣接地に新プラントを建て、半導体用エポキシ樹脂の生産能力を約59%増強します。 供給開始は2029年7月の予定で、経済産業省から最大30億円の助成を受けます。 新設決定のお知らせ (2025年8月1日)
- 成長事業
- Phase2では半導体、バッテリー、フィジカルAIを成長事業とし、2026〜2030年に戦略投資とCVCへ900億円以上を充てます。
- 低誘電樹脂
- 高周波回路基板向けに低誘電特性の樹脂の量産を始め、密着性を改善した樹脂も少量生産に入りました。
千葉工場の半導体用エポキシ樹脂プラント
既存プラントの隣接地に新プラントを建て、半導体用エポキシ樹脂の生産能力を約59%増強します。 新規生産プロセスの導入で品質と生産性を高める計画で、供給開始は2029年7月です。 増強の前提は、半導体需要の拡大が続くという会社の見通しです。
DIC Vision 2030 Phase2
2026〜2030年度のPhase2計画は、2030年に売上高1兆2,400億円以上、営業利益800億円以上、ROE10.0%を掲げます。 ケミトロニクスとコンポジット/デバイスを、AI融合社会を支える成長事業と位置づけています。 2026年の営業利益見通し780億円は、2030年計画の800億円以上に近い水準です。
07入口を選ぶ
専攻から、入口を1つに絞る
エポキシ樹脂、硬化剤、中空糸膜、フォトレジストポリマーのうち自分の専攻と重なる製品を1つ選び、技術系・生産系・事務系のどれで応募するかを決めます。
基礎・開発研究 / 応用・改良研究
新卒の技術系職種で、勤務は研究開発拠点を想定しています。 総合研究所は千葉県佐倉市にあり、半導体向けではEPICLONのエポキシ樹脂、活性エステル型硬化剤、低誘電樹脂が対象製品です。
公式採用情報生産技術 / 生産プロセス開発
新卒の生産系職種で、勤務は生産拠点を想定しています。 キャリア採用にも生産技術・プラントエンジニアの区分があります。 千葉工場では2029年7月稼働のエポキシ樹脂新プラントの建設が進みます。
- Plant
- Scale-up
- Quality
応募前の3手
- 半導体・電子基板向けの製品ページからHP-4700やHPC-8000シリーズなど1品目を選び、パッケージ基板で求められる耐熱性・伝送損失との関係をノートに書く
- ケミトロニクスの2025年通期と2026年上期の売上・利益を書き出し、伸びの理由を自分の言葉で説明する
- 募集要項の職種、勤務地、初任給、提出書類(テクニカルヒアリングシート)を公式ページから書き出す
面接で使う技術語
- Epoxy
- Polymer Synthesis
- Low Dk/Df
- Substrate
- Curing Agent
- Materials Informatics
- Analysis
- Simulation
- Data Science
- Process Engineering
新卒の募集対象は全学部全学科で、技術系・生産系の希望者は研究概要をプレゼンする技術面接があります。
他社との違いを一言で
- 半導体パッケージ向け高純度エポキシ樹脂
日本化薬
日本化薬は半導体の封止材や基板といったパッケージ周辺の材料向けを中心にエポキシ樹脂を開発し、ノボラック状の固形樹脂と、ハロゲンフリーで難燃性を出すNC-3000シリーズを製品ページに載せています。DICは液状と固形の両方のエポキシ樹脂に加え、活性エステル型など硬化剤も同じページで扱います。
- 国産エポキシ樹脂と硬化剤
三菱ケミカル
jERは、三菱油化(現:三菱ケミカル)が最も早く国産化したエポキシ樹脂です。jERは塗料、プリント配線基板などの電気絶縁材料、CFRPなどの複合材料、接着剤に使われ、硬化剤jERキュアも扱います。DICはエポキシ樹脂をケミトロニクス事業本部に置き、2026年上期は同事業本部の売上高が376億円でした。
- 電子材料用エポキシ樹脂
日鉄ケミカル&マテリアル
日鉄ケミカル&マテリアルは電子材料用エポキシ樹脂の用途にプリント配線基板、半導体封止材、トランス用注型材を挙げ、ハロゲンフリー難燃エポキシ樹脂も持ちます。DICは半導体用エポキシ樹脂の生産能力を千葉工場で約59%増強します。
出典21件
- 公式 会社概要
- 公式 エポキシ樹脂
- 公式 エポキシ樹脂 用途別:半導体・電子基板・電材アプリケーション用途
- 公式 用途から探す:エレクトロニクス
- 公式 ファンクショナルプロダクツ
- IR 2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結) 2025年12月期
- IR 2025年12月期 決算説明資料 2025年12月期
- IR 有価証券報告書 第128期 2025年12月期
ほか13件
- IR 2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信 2026年12月期 上期
- IR 2026年12月期 第2四半期決算説明資料 2026年12月期 上期
- ニュース 千葉工場にエポキシ樹脂プラントを新設することを決定 公表 2025-08-01
- IR 2026年度 個人投資家向け会社説明会資料(2026年8月24日)
- 採用 新卒採用
- 採用 キャリア採用
- 採用 募集要項・よくある質問
- 採用 DICの職種
- 採用 福利厚生・制度
- 採用 DIC株式会社 採用情報(キャリア採用求人一覧)
- 公式 日本化薬 エポキシ樹脂・エポキシ樹脂硬化剤
- 公式 三菱ケミカル 高機能・パッケージ材料事業部(エポキシ樹脂)
- 公式 日鉄ケミカル&マテリアル エポキシ樹脂