半導体製造装置・理科学機器 電子ビーム描画装置・電子顕微鏡
日本電子
電子顕微鏡の老舗が電子ビーム描画装置で稼ぐ構造
電子顕微鏡で知られる会社ですが、全社費用を配賦する前のセグメント利益の59.6%は、電子ビーム描画装置を含む産業機器事業が稼ぎます。
産業機器の営業利益率40.2%の事業は、2027年3月期第1四半期に売上が65.6%減り、会社はマルチビームの一部案件の売上計上時期とシングルビームの輸出管理強化を理由に挙げています。
日本電子は 電子ビーム描画装置 を含む産業機器事業で 2026年3月期のセグメント利益 の59.6%を稼ぎました。 同事業の売上は全体の26.8%です。
- 2026年3月期 連結売上高 1,794億円 前期比8.8%減。 営業利益260億円、営業利益率14.5%
- 2026年3月期 産業機器事業 売上高 481億円 営業利益194億円、営業利益率40.2%。 前期は売上565億円、営業利益率46.6%
- 2027年3月期 第1四半期 産業機器事業 売上高 50億円 前年同期の145億円から65.6%減。 営業利益は72億円から2.0億円へ
2026年3月期のセグメント別売上高医用機器(2026年4月に譲渡)
- 理科学・計測機器事業1,163億円
- 産業機器事業481億円
- 医用機器事業149億円
この会社の要点
2027年3月期第1四半期の産業機器事業は売上が65.6%減の50億円、営業利益は96.9%減の2.0億円でした。 会社は、マルチビームマスク描画装置の一部案件の売上計上時期と、シングルビームマスク描画装置への輸出管理強化を理由に挙げ、上期・通期の予想は維持しています。 有価証券報告書は、産業機器事業が市況の急激な変動による設備投資動向に左右されると記載しています。
強みとリスク01立ち位置
何の会社として比べるか
日本電子は、電子顕微鏡やNMRなどの理科学・計測機器が売上の64.8%を占め、電子ビーム描画装置を含む産業機器事業が26.8%を占める会社です。 2026年3月期は売上高1,794億円で前期比8.8%減、2027年3月期は医用機器事業の譲渡で1,640億円を見込みます。
2025年3月期から2027年3月期予想までの売上高と営業利益
連結売上高
産業機器事業の営業利益
産業機器事業はどの地域へ売っているか
産業機器事業の地域別売上高
電子ビームマスク描画装置
半導体の回路原版であるフォトマスク・レチクルを描く装置です。 JBX-3200MVSは加速電圧50kVの可変成形ビームを使う32nm~28nmノードのマスク・レチクル制作用で、国内外のキャプティブマスクショップとマーチャントマスクショップに導入されています。 マルチビーム方式はIMS Nanofabrication社との協業で市場に導入しており、MBMW-401は量産用途の10A向けとしてHigh-NAに対応します。
- JBX-3200MVS
- JBX-3050MV/S
- マルチビームマスク描画装置 MBMW-401
スポットビーム型電子ビーム描画装置
ウエハへ直接パターンを描く装置です。 JBX-8100FSは最大走査スピード125MHzで、G1、G2、G3(200kVモデル)の3バージョンがあり、ナノ構造の作製から化合物半導体デバイス製造までを用途に挙げています。 AIデータセンター向け光トランシーバに使うDFBレーザーの製作工程で回折格子を描き、受注は2024年度を100として2025年度に129、売上は117へ伸びました。
- JBX-8100FS
- JBX-A9
半導体向けTEM・FIB・SEM
理科学・計測機器事業の半導体向け重点製品は、半導体向けTEMのJEM-ACE200F、FIB-SEMのJIB-PS500i、SEMのJSM-IT810シリーズです。 FIBで断面試料を作りTEMで構造を測る検査用途を狙い、会社はCD-SEM市場の一部がTEM/FIBを用いた検査に移るとみています。 中期経営計画では、これらを理科学・計測機器事業の収益性を上げる戦略製品に位置づけています。
- JEM-ACE200F
- JIB-PS500i
- JSM-IT810シリーズ
02収益
どこで、どれくらい儲けているか
利益の源泉は産業機器事業です。 2026年3月期の営業利益率は産業機器40.2%、理科学・計測機器11.2%で、売上の小さい事業が、全社費用を配賦する前のセグメント利益の59.6%を稼ぎました。
売上高1,794億円 / 営業利益260億円
売上高は前期比8.8%減、営業利益は26.7%減でした。 親会社株主に帰属する当期純利益は221億円で18.2%増え、ROEは15.7%です。
売上高481億円 / 営業利益194億円
前期は売上高565億円、営業利益263億円でした。 営業利益は26.4%減り、営業利益率は46.6%から40.2%へ下がりました。
売上高245億円 / 営業損失−20億円
売上高は前年同期比39.1%減です。 産業機器事業の売上は145億円から50億円へ減り、営業利益は72億円から2.0億円になりました。 会社は上期・通期の予想を維持しています。
売上高1,640億円 / 営業利益265億円
医用機器事業の譲渡で減収になる予想です。 産業機器事業は売上高426億円、営業利益167億円、営業利益率39.3%を見込み、前提為替は155円/USDです。
2026年3月期のセグメント別売上高
産業機器事業の営業利益の推移と目標
03強みとリスク
強みと、リスク・検討点
強みは3方式の電子ビーム描画装置と、そこから生まれる40.2%の営業利益率です。 弱点は同じ集中の裏返しで、マルチビームの売上は主要顧客の設備投資に左右され、産業機器事業の売上の34.2%は中国向けです。
強み
- 描画装置を含む事業の高い利益率
2026年3月期の産業機器事業は売上481億円、営業利益194億円で、営業利益率は40.2%でした。 全社の営業利益率14.5%を大きく上回り、売上の26.8%の事業が、全社費用を配賦する前のセグメント利益の59.6%を生んでいます。 会社は半導体分野の売上505億円を、2030年3月期に700億円へ伸ばす目標を掲げています。
2026年3月期 決算説明会資料 - 3方式の描画装置をそろえる
マスク用のシングルビーム(可変成形)とマルチビーム、ウエハ直接描画のスポットビームを持ちます。 マルチビームはIMS Nanofabrication社との協業で市場に導入し、日本電子はコンポーネントの開発と供給を担います。 新描画方式「Shift Passes Stripe Scheduling」はスループットを保ったままマスク面内のCD精度を上げる技術です。
有価証券報告書 第79期 - AI光通信という新しい需要
スポットビーム描画装置は、AIデータセンター向け光トランシーバに使うDFBレーザーの量産立ち上げで需要が増えています。 受注は2024年度を100として2025年度に129、2027年3月期第1四半期も光デバイスの生産用途を中心に好調でした。
2026年3月期 決算説明会資料 - 研究開発と財務の厚み
2026年3月期の研究開発費は総額114億円で、産業機器事業には23億円を充て、同事業の売上の5.0%にあたります。 自己資本比率は59.9%で、ニコンの株式売却に伴う118億円の自己株式取得を実施しました。 連結受注高は1,801億円、期末受注残は1,039億円です。
2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
リスク・検討点
- 売上計上時期と輸出管理で四半期が揺れる
2027年3月期第1四半期の産業機器事業は売上が65.6%減の50億円、営業利益は96.9%減の2.0億円でした。 会社は、マルチビームマスク描画装置の一部案件の売上計上時期と、シングルビームマスク描画装置への輸出管理強化を理由に挙げ、上期・通期の予想は維持しています。 有価証券報告書は、産業機器事業が市況の急激な変動による設備投資動向に左右されると記載しています。
2027年3月期 第1四半期 決算説明資料 - 中国向けと輸出管理
2026年3月期の産業機器事業の中国向け売上は164億円で、同事業の34.2%です。 シングルビームマスク描画装置は輸出管理強化と中国の需要の一巡感で軟調になり、会社は一時的な調整局面を想定しています。 有価証券報告書は安全保障に起因する輸出管理規制を事業リスクに挙げます。
2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) - マルチビームの回復待ち
マルチビームマスク描画装置は、主要顧客の設備投資の本格的な回復が想定より遅れ、需要の立ち上がりに時間がかかっています。 同方式は協業による製品で、販売の中心業務も協業先との交渉です。
2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) - 利益率は下がる計画
会社は中期経営計画で、産業機器事業の2030年3月期の目標を売上610億円、営業利益230億円、営業利益率37.7%に置きます。 2025年3月期の営業利益263億円からの年率は△2.6%で、利益の伸びは理科学・計測機器側に託されています。 半導体向けTEM・FIBは2027年3月期第1四半期も顧客評価の段階が続いています。
2026年3月期 決算説明会資料 - 為替と第4四半期への偏り
連結売上高の約7割は海外で、為替変動が業績に響きます。 四半期別の売上は第4四半期が高くなる傾向があり、2027年3月期第1四半期は営業損失−20億円でした。
有価証券報告書 第79期
04待遇
給与、初任給、休日、手当
新卒の給与(基本給)は博士32万1,500円、修士29.3万円、学士26.9万円です。 2026年3月期の提出会社の平均年間給与は857.5万円、平均年齢は44.6歳、平均勤続年数は15.9年です。
新卒の給与(基本給)
- 新卒の給与
- 基本給は博士32万1,500円、修士29.3万円、学士26.9万円、高専24.4万円で、手当は条件に基づき別途支給されます。 職種と給与は 新卒採用 募集概要 に載ります。
- 勤務時間と休日
- 勤務時間は8:30~17:20で、コアタイム10:30~15:20のフレックスタイム制があります。 年間休日は昨年度実績で128日、2026年度は130日です。 有給休暇は初年度20日です。
- 平均年間給与
- 有価証券報告書では、提出会社の従業員2,313名、平均年齢44.6歳、平均勤続年数15.9年、平均年間給与857.5万円です。 有価証券報告書 第79期 の従業員の状況に載ります。
- 数字で見る日本電子
- 採用サイトは離職率4.39%、平均残業時間12.5時間、定期採用39.8%・中間採用60.2%の構成を掲げています。 日本電子について で一覧できます。
- 福利厚生
- 独身寮、各種社宅、社員食堂、スポーツホール、保養所があります。 育児休業、介護休業、リフレッシュ休暇の制度も設けています。 福利厚生 に制度が並びます。
05勤務地と職種
どこで、どんな仕事をするか
本社と主力工場は東京都昭島市にあり、営業は東京都千代田区大手町のSI営業本部と全国の支店が担います。 連結従業員3,731名のうち659名が産業機器事業に属します。 新卒は試用期間中を東京で勤務し、その後は本社または国内外の事業所に配属されます。
主な勤務地・拠点
- 本社・昭島製作所
- 東京都昭島市武蔵野3丁目1番2号昭島第二製作所も昭島市武蔵野
- 東京事務所・東京支店
- 東京都千代田区大手町(SI営業本部、業務統括センター)
- 国内支店
- 札幌、仙台、筑波、名古屋、大阪、広島、高松、福岡の各支店と、大阪の西日本ソリューションセンター
- 海外
- 海外拠点27拠点。 台湾にJEOL-Taiwan Semiconductor Solution Center、韓国にJEOL Korea Solution Suite-X描画装置のサービス職はアメリカ・イタリア・中国・台湾・韓国が赴任地
新卒採用の募集職種
- 装置開発
- 電気設計
- 機械設計
- システム設計
- 製造・調整
- フィールドサービス
- 技術販促
- 営業
- 生産管理
- 情報システム
前半7つが技術系、後半3つが営業系/事務系の職種です。
06これから
会社が次に取りにいくもの
会社は中期経営計画「Evolving Growth 2.0 -A New Horizon-」で、2030年3月期に売上高2,050億円、営業利益440億円、営業利益率21.5%を目指します。 半導体分野は売上700億円、営業利益280億円が目標です。
中期経営計画の目標と2026年3月期実績
- 連結売上高 1,794億円 2030年3月期の目標は2,050億円
- 連結営業利益率 14.5% 目標は21.5%
- 半導体分野の売上高 505億円 目標は700億円
- 産業機器事業の営業利益率 40.2% 目標は37.7%
これからの材料
- 半導体向けTEM・FIB
- JEM-ACE200F、JIB-PS500i、JSM-IT810シリーズを半導体分野の重点製品とし、半導体分野全体で売上700億円、営業利益280億円を目指す計画が 2026年3月期 決算説明会資料 に載ります。
- マスク描画装置
- MBMW-401は量産用途の10A向けとしてHigh-NAに対応し、新描画方式「Shift Passes Stripe Scheduling」を開発しました。
- 足元の進み具合
- 2027年3月期第1四半期の売上高は245億円でした。 営業損失は−20億円で、会社は概ね計画どおりの進捗とみています。
半導体分野の売上700億円
会社は半導体業界の顧客向け売上を2026年3月期の505億円から2030年3月期に700億円、営業利益280億円へ伸ばす目標を掲げます。 対象は理科学・計測機器事業と産業機器事業の半導体業界向けで、2027年3月期は465億円の予想です。 半導体向けTEM・FIBは顧客評価の段階にあり、マルチビームは主要顧客の設備投資の本格的な回復が想定より遅れています。
High-NA世代のマスク描画
MBMW-401は量産用途の10A向けとしてHigh-NAに対応し、新描画方式「Shift Passes Stripe Scheduling」でマスク面内のCD精度を上げます。 中期経営計画は産業機器事業の施策に、マスク描画装置の競争力強化を挙げています。 マルチビームの市場には回復の兆しがある一方、主要顧客の設備投資の本格的な回復は想定より遅れています。
DFBレーザー向けスポットビーム
スポットビーム描画装置は、AIデータセンター向け光トランシーバのDFBレーザーの高性能化・多様化を背景に、量産立ち上げを含む製造工程向けの需要増加が見込まれています。 会社はスポットビームの旺盛な需要への対応力強化を施策に挙げます。 需要の増加は会社の見込みです。2027年3月期第1四半期の受注は、光デバイスの生産用途を中心に好調でした。
韓国・台湾・熊本の半導体拠点
台湾にJEOL-Taiwan Semiconductor Solution Centerを設け、韓国に新デモ場JEOL Korea Solution Suite-Xを開きました。 国内ではSIセミコンダクタービジネス本部を新設し、熊本大学と半導体顕微鏡・イノベーション共創研究所(SEMIC)を設置しています。 主要市場の韓国・台湾でJEM-ACE200FとJIB-PS500iの販促を続けており、デモ拠点が受注に結びつくかが問われます。
07入口を選ぶ
専攻から、入口を1つに絞る
マスク描画、スポットビーム描画、半導体向けTEM・FIBのうち自分の専攻と重なる装置を1つ選び、開発・サービス・営業のどこで関わるかを決めます。
半導体製造装置(電子ビーム描画装置)のフィールドサービスエンジニア
電子ビーム描画装置の納入とアフターフォローを担います。 据付は2週間程度、調整は1~3ヵ月程度で、納入先は半導体のマスクを製作する企業やウエハに直接描画する研究機関です。 SEサービス本部は描画装置の製品ごとに部を分けています。
公式採用情報電子ビームマスク描画装置の技術開発 / マルチ電子ビームマスク描画装置用プラットフォームの技術開発
マスク描画装置の性能向上、信頼性改善、用途拡張を目的にした技術開発と装置改良、マルチ電子ビームマスク描画装置用プラットフォームの開発と技術フォローを担います。
公式採用情報半導体業界向け透過型電子顕微鏡フィールドサービスエンジニア / 半導体向け電子顕微鏡(TEM/SEM)のテクニカルサポート
半導体関係会社に納入したTEMの保守・トラブル対応・立上げと、研修機を使ったフィールドサービスエンジニア向けトレーニングを担います。
- TEM
- FIB-SEM
- Metrology
応募前の3手
- JBX-3200MVS、JBX-8100FS、JEM-ACE200Fから1機種を選び、使われる工程と顧客をノートへ書く
- 産業機器事業の2026年3月期と2027年3月期第1四半期の売上・営業利益を書き出し、変動の理由を整理する
- 募集職種、勤務地、給与、選考の流れを新卒・キャリアの採用ページから書き出す
面接で使う技術語
- Field Service
- E-beam Lithography
- Photomask
- Installation
- Overseas
- Mask 更新処理
- Multi-beam
- High-NA
- Platform
- Precision Stage
新卒は技術系と営業系/事務系の2区分で、試用期間3ヶ月は東京勤務です。
他社との違いを一言で
- 電子ビームマスク描画装置
ニューフレアテクノロジー
ニューフレアは3nm+ノード対応のマルチ電子ビームマスク描画装置MBM-2000PLUSと、7nm+/5nmノード対応の可変成型電子ビームマスク描画装置EBM-9500PLUSを製品に並べています。日本電子の可変成形機JBX-3200MVSは32nm~28nmノード向けで、マルチビームはIMS Nanofabrication社との協業によるMBMW-401です。
- 半導体向けTEM・FIB-SEM
Thermo Fisher Scientific
Thermo Fisherは半導体デバイスの原子分解能の観察・解析用TEMと、断面のTEM試料を作るFIB-SEMをそろえ、TEM計測のワークフロー自動化を掲げています。日本電子は半導体向けTEMのJEM-ACE200FとFIB-SEMのJIB-PS500iを重点製品にし、韓国・台湾を中心に販売促進を続けています。
- 電子ビーム描画装置と光通信用途
Raith
Raithは電子ビーム描画装置EBPGなどを持ち、光通信を事業分野に挙げ、試作から量産までを支えると記載しています。日本電子のスポットビーム描画装置JBX-8100FSは最大125MHzの走査で、DFBレーザーの量産立ち上げ向けに受注を伸ばしています。
出典16件
- 公式 会社概要
- 公式 国内拠点
- 公式 電子ビーム描画装置(可変/スポット)
- 公式 JBX-8100FSシリーズ 電子ビーム描画装置
- 公式 JBX-3200MVS 電子ビーム描画装置
- IR 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) 2026年3月期
- IR 2026年3月期 決算説明会資料 2026年3月期
- IR 2027年3月期 第1四半期 決算説明資料 2027年3月期 第1四半期
ほか8件
- IR 有価証券報告書 第79期 2026年3月期
- 採用 新卒採用 募集概要
- 採用 日本電子について(数字で見る日本電子)
- 採用 福利厚生
- 採用 キャリア採用 募集職種
- 公式 ニューフレアテクノロジー 電子ビームマスク描画装置
- 公式 Thermo Fisher Scientific Semiconductor Analysis Solutions
- 公式 Raith 公式サイト