半導体材料 パッケージ基板用極薄銅箔
三井金属
半導体パッケージ基板の極薄銅箔を握る非鉄金属メーカー
亜鉛や銅の製錬と並んで、半導体パッケージ基板とAIサーバー基板に使う銅箔で稼ぐ会社です。
機能材料セグメントの経常利益665億円は前期比65.0%増え、2027年3月期の予想では金属セグメントの2.9倍になります。
三井金属の キャリア付き極薄銅箔MicroThin™ は会社推定で世界シェア95%以上の製品です。 この銅箔を含む 2027年3月期第1四半期の機能材料セグメントの売上高 は1,005億円でした。
- 2026年3月期 機能材料セグメント売上高 3,284億円 前期比33.4%増。 セグメント間取引を含む
- 2026年3月期 機能材料セグメント経常利益 665億円 前期比65.0%増、売上高に対して20.3%
- 2027年3月期 第1四半期 パッケージ基板向けMicroThin™販売量 3,520k-m2/月 2025年度の年間平均は2,820k-m2/月
2026年3月期のセグメント別外部顧客売上高
- 機能材料3,196億円
- 金属2,902億円
- その他の事業986億円
- 自動車部品(2025年9月まで)512億円
この会社の要点
01立ち位置
何の会社として比べるか
三井金属は、製錬の金属セグメントと銅箔を含む機能材料セグメントがほぼ同じ規模で並ぶ会社です。 2026年3月期は連結売上高7,585億円、営業利益1,309億円で過去最高を更新し、自動車用ドアロックの三井金属アクトは2025年11月4日に譲渡しました。
2025年3月期から2027年3月期予想までの売上高と営業利益
連結売上高
連結営業利益
半導体パッケージ基板とAIサーバー向けの銅箔がどれだけ伸びたか
パッケージ基板向けMicroThin™
高周波基板用VSP™
キャリア付極薄銅箔 MicroThin™
18μmか12μmのキャリア箔を支持体にして、剥離層を介して1.5~5μmの極薄銅箔を形成した製品です。 基板メーカーは極薄銅を樹脂基材に貼ってからキャリア箔を剥がし、MSAPで微細回路を作ります。 キャリア付き極薄銅箔での世界シェアは会社推定で95%以上です。 パッケージ基板向けの販売量は2025年度の年間平均2,820k-m2/月から、2027年3月期第1四半期に3,520k-m2/月まで増えました。
- MicroThin™シリーズ(パッケージ基板向け)
- MicroThin™シリーズ(HDI・スマートフォンのマザーボード向け)
- 高温対応MicroThin™
高周波基板用電解銅箔 VSP™
銅の析出形状を制御して表面を平滑にした電解銅箔で、サーバー・ルーター・スイッチなどの高周波信号用プリント基板に使われます。 販売量は2024年度の年間平均370t/月から2025年度は550t/月へ48.6%増えました。 会社推定でHVLP2以上のハイグレード品の市場シェアは60%、HVLP5では80%です。
- VSP™シリーズ(HVLP2〜HVLP4)
- SI3-VSP™(HVLP5)
次世代半導体パッケージ用キャリア HRDP®
キャリア材料の上に無機剥離層と銅+チタンのシード層をスパッタリングで積層した製品です。 剥離層を作り込んだ状態で納めるため、顧客は剥離層形成の設備投資を省けます。 2025年10月に事業創造本部から機能材料事業本部へ移り、ジオマテック社の第2ラインで生産能力を16万㎡に上げました。 国内の複合チップモジュールメーカーと海外のICチップ実装デバイスメーカーで量産が始まっています。
- HRDP®
半導体装置保護膜材料・SiCウェハ用CMPスラリー
レアマテリアル事業部の製品です。 半導体装置保護膜材料は、半導体の高密度化で成膜・焼結用部材向けの需要が堅調で、2026年3月期に販売量が増えました。 SiCウェハ用CMPスラリー「NANOBIX」は、2030年の市場規模を会社は300億円と推定し、そのうち数%のシェアを想定しています。 2026年3月に自社で研磨機を導入して開発を進めています。
- 半導体装置保護膜材料
- SiCウェハ用CMPスラリー NANOBIX
02収益
どこで、どれくらい儲けているか
2026年3月期の経常利益は、機能材料665億円と金属750億円が並びました。 2027年3月期予想では金属が265億円に下がり、機能材料の780億円が全社の稼ぎの中心になります。
売上高7,585億円 / 営業利益1,309億円
売上高は前期比6.5%増、営業利益は75.1%増で、営業利益率は17.3%です。 親会社株主に帰属する当期純利益は912億円でした。 2025年3月期は売上高7,123億円、営業利益747億円です。
売上高3,284億円 / 経常利益665億円
前期は売上高2,461億円、経常利益403億円でした。 増益262億円のうち226億円が銅箔で、MicroThin™とVSP™の増販によるものです。
売上高2,016億円 / 営業利益210億円
売上高は前年同期比19.3%増、営業利益は84.1%増です。 機能材料セグメントは売上高1,005億円(41.1%増)、経常利益182億円(73.8%増)でした。
売上高8,500億円 / 営業利益940億円
経常利益は1,000億円、当期純利益は800億円の予想です。 セグメント経常利益は機能材料780億円、金属265億円を見込みます。
2026年3月期のセグメント別経常利益
機能材料セグメントの売上高
03強みとリスク
強みと、リスク・検討点
強みは、パッケージ基板向けの極薄銅箔とAIサーバー向けの高周波銅箔で、会社が高いシェアを持つとする製品を2つ抱えていることです。 弱点は、その増益がAIサーバーと北米系スマートフォンの需要に偏り、残る半分の利益が金属相場に左右されることです。
強み
- 極薄銅箔で会社自身が世界シェア95%以上とする
MicroThin™は、キャリア箔に1.5~5μmの極薄銅箔を載せ、薄さと搬送のしやすさを両立させた製品です。 世界シェアは会社推定で95%以上です。 用途の筆頭は半導体パッケージ基板の微細回路で、パッケージ基板向けの販売量は2025年度に53.3%増えました。
キャリア付き極薄銅箔 MicroThin™シリーズ - AIサーバー向け銅箔でビッグテックに採用
VSP™は会社推定でハイグレード品の市場シェア60%、HVLP5で80%を持ちます。 会社は、生産能力・技術開発力・量産対応力を理由にビッグテック各社で優先的に採用が進んだとみています。 2025年度のVSP™販売量は年間平均550t/月でした。
機能材料事業説明会資料 - 機能材料の利益は銅箔が引っ張る
2026年3月期の機能材料セグメントは経常利益665億円で、売上高3,284億円に対して20.3%です。 2026年3月期は増益262億円のうち226億円が銅箔で、2027年3月期予想の機能材料の増益115億円では銅箔が151億円を占めます。
2027年3月期 第1四半期決算説明資料 - 投資余力のある財務
2026年3月期末の自己資本比率は59.1%で、営業キャッシュ・フローは875億円の収入でした。 2026年度はM&Aの予算枠を240億円から600億円へ広げ、銅箔の増産と新工場・M&Aの検討を並行させています。
2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
リスク・検討点
- 金属セグメントの利益は相場と在庫評価で大きく振れる
2026年3月期の金属セグメントの経常利益は750億円で、亜鉛などの相場上昇と在庫要因の好転が押し上げました。 2027年3月期予想は265億円で、64.7%減ります。 会社の試算では、亜鉛のLME価格が1トン当たり百ドル動くと経常損益が14億円、為替が1円動くと6.5億円変わります。
2026年3月期 決算説明資料 - AIサーバー向けの需要に増益が集中
機能材料の増益の大半はMicroThin™とVSP™の増販によるものです。 2026年5月の決算説明資料はVSP™の2026年度販売量を780t/月と見込み、8月の第1四半期資料は710t/月を見込みます。 会社は2028年9月までに1,200t/月体制へ増強する計画です。
2027年3月期 第1四半期決算説明資料 - 中国の競合品と代替技術
有価証券報告書は機能材料セグメントのリスクとして、中国等の競合品の台頭による価格競争の激化と、代替技術の進展による技術優位性の低下・市場シェアの減少を挙げています。 95%以上とするシェアは、守る側の立場でもあります。
有価証券報告書 第101期 - スマートフォン向けは伸びが小さい
HDI向けMicroThin™は北米系スマートフォンに支えられており、会社は北米系スマホ向けを微増で推移すると見込んでいます。 中華系スマートフォンへの採用は一部の機種に留まります。
機能材料事業説明会資料 - ディスプレイ用ターゲットは現地調達に押される
主力のディスプレイ用スパッタリングターゲットは、海外のパネルメーカーの現地調達が進み、2026年3月期は国内・海外とも販売量が減りました。 売上高の増加はインジウム価格の上昇によるものです。
2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
04待遇
給与、初任給、休日、手当
新卒の初任給は学部卒29万3,500円、修士了32.1万円、博士了35万5,500円です。 単体の平均年間給与は896万1,728円で前期比8.4%増え、平均年齢は42.88歳、平均勤続年数は13.90年です。
新卒初任給(月給)
- 新卒の初任給
- 2026年4月1日改定で学部卒29万3,500円、修士了32.1万円、博士了35万5,500円です。 家族手当、住宅手当、通勤手当があり、条件は 新卒採用情報・募集要項 に載ります。
- 勤務時間と休日
- 本社は9:00~18:00のフレックスタイム制で、事業所は事業所ごとに勤務時間を定めます。 年間休日は124日(25年度本社例)で、勤務する事業所により変わります。
- 平均年間給与
- 2026年3月期の有価証券報告書では、単体の従業員2,587名、平均年齢42.88歳、平均勤続年数13.90年、平均年間給与896万1,728円(約896.2万円)です。 有価証券報告書 第101期 の従業員の状況に載ります。
- 働き方
- 単体の平均残業時間は11.8時間/月で、年次有給休暇の取得は79.4%です。 数字で見る三井金属 で一覧できます。
- 住まいと福利厚生
- 社宅・独身寮、住宅手当、持ち家支援制度、財形貯蓄、社員持株会があります。
05勤務地と職種
どこで、どんな仕事をするか
銅箔の開発と量産の中心は埼玉県上尾市の上尾事業所で、台湾とマレーシアの工場がVSP™とMicroThin™の増産を担います。 機能材料セグメントの連結従業員は3,750人で、全社8,188人の中で最も多い部門です。
主な勤務地・拠点
- 本社
- 東京都品川区大崎
- 銅箔の国内拠点
- 銅箔事業部 上尾事業所(埼玉県上尾市)、総合研究所・基礎評価研究所(埼玉県上尾市)
- 九州の拠点
- レアマテリアル事業部の工場と薄膜材料事業部の三池ターゲット工場(福岡県大牟田市)、九州先端材料開発センター
- 海外の銅箔拠点
- 台湾銅箔股份有限公司(台湾・南投)、MITSUI COPPER FOIL (MALAYSIA)(マレーシア)、三井銅箔(蘇州)有限公司、三井銅箔(香港)有限公司、Oak-Mitsui Technologies(米国ケンタッキー)
新卒採用の職務
- 研究開発
- 開発設計
- 管理技術
- 生産技術
- プラント・エンジニアリング
- ICT
- セールス・エンジニアリング
- 営業
- 経理
前半7つが技術系、後半2つが事務系の職務です。 2025年は技術系35名、事務系13名を採用しました。
06これから
会社が次に取りにいくもの
会社は2030年に全社の経常利益1,500億円、うち機能材料1,300億円を目標にしています。 VSP™の1,200t/月体制、MicroThin™の能力増強、HRDP®とNANOBIXの事業化が柱です。
銅箔主力製品の生産能力計画
- VSP™ 840t/月 2028年は1,200t/月の計画
- MicroThin™ 4,900k-m2/月 2028年は6,000k-m2/月の計画
これからの材料
- AIサーバー向け銅箔
- 台湾とマレーシアの工場に約60億円を投じ、2028年9月までにVSP™を1,200t/月体制にすると 機能材料事業説明会資料 に載ります。
- 高温対応MicroThin™
- 350℃以上でも剥離できる耐熱剥離層を開発し、MPI、LCP、PTFEなど誘電特性に優れた基板材料へ用途を広げます。
- 九州先端材料開発センター
- 2026年4月に九州地域に設立し、事業部と連携した材料開発体制を作ります。
VSP™を1,200t/月体制へ
台湾とマレーシアの工場で約60億円を投じ、2028年9月までにVSP™の生産体制を1,200t/月にします。 2030年には1,400t/月までの能力を計画しています。 1,200t/月と1,400t/月は会社の能力計画です。2026年度の販売量見込みは、5月の780t/月から8月に710t/月へ下がりました。
MicroThin™の能力を8,000k-m2/月へ
上尾事業所とマレーシア工場の合計能力を、2026年の4,900k-m2/月から2028年に6,000k-m2/月へ増やし、2030年は8,000k-m2/月を計画します。 2030年以降の需要増に向けて、自社の新工場設立やM&Aも検討しています。 パッケージ基板向けの伸びが続くか、高温対応品でMPI・LCP・PTFEなどの基板材料に採用が広がるかが条件です。
HRDP®とNANOBIXの事業化
HRDP®は第2ラインで生産能力16万㎡になり、2030年の本格販売を目標にしています。 NANOBIXは日本で販売が好調で、中国・台湾の大手SiCメーカーへの提案を進めています。 会社はNANOBIXの2030年の期待売上を数億円と見込んでいます。HRDP®は国内の複合チップモジュールメーカーと海外のICチップ実装デバイスメーカーで量産を始めています。
2030年の経常利益1,500億円
会社は2030年に全社の経常利益1,500億円、うち機能材料1,300億円を目標にしています。 会社は銅箔主力製品の増産で目標へ順調に進んでいるとみています。 2026年4月には九州先端材料開発センターを設立しました。 2027年3月期予想の機能材料の経常利益780億円から、さらに500億円以上の上積みが必要です。
07入口を選ぶ
専攻から、入口を1つに絞る
MicroThin™、VSP™、HRDP®、NANOBIXのうち自分の専攻に近い製品を1つ選び、材料系・機械電気系・事務系のどの区分で応募するかを決めます。
材料系(機能材料)
機能材料事業に関わる技術系の職種で、研究開発、開発設計、生産技術などを担います。 機能材料部門の研究開発費は50億円で、先端半導体・情報通信分野向け材料が中心です。
公式採用情報機械電気系
採用サイトの職種区分のひとつで、新卒の技術系職務には生産技術、プラント・エンジニアリング、管理技術があります。 キャリア採用では生産技術が7件、設備技術が3件出ています。
公式採用情報事務系(営業ほか)
職務は営業、総務、法務、人事、経理、ICTなどです。 銅箔事業部は香港・中国・台湾・マレーシア・米国にも拠点を持ちます。
- Sales
- AI Server
- Global
応募前の3手
- MicroThin™の構造(キャリア箔・剥離層・極薄銅箔)とMSAPでの使われ方をノートに図で描く
- 機能材料と金属の2026年3月期実績と2027年3月期予想の経常利益を書き出し、利益の重心の移り方を1行で説明する
- 募集要項の職務内容、初任給、勤務地の範囲、選考方法を公式ページから書き出す
面接で使う技術語
- Copper Foil
- Electrodeposition
- MSAP
- Surface Treatment
- Package Substrate
- Plant Engineering
- Electrolysis
- Equipment
- Production Technology
- Control
技術系の関係が深い専攻は材料・物質系、化学系、物理系、金属系、機械系、電気・電子・制御系です。
他社との違いを一言で
- 電解銅箔
古河電気工業
古河電工は、半世紀にわたる製造技術で高品質な電解銅箔製品を提供すると記載し、生成AIサービスを支えるデータセンタ(AIサーバ)やスマートフォン、基地局、リチウムイオン電池の集電体を用途に挙げています。三井金属はキャリア付極薄銅箔MicroThin™と高周波基板用VSP™を主力にし、パッケージ基板向けとAIサーバー向けで販売量を伸ばしています。
- パッケージ基板・HDI向け電解銅箔
JX金属
JX金属の電解銅箔JDLCは、半導体パッケージ用基材で高いピール強度を持ちます。HLP-IIはHDI基板やモジュール基板の細線エッチング向けです。高周波用表面処理(BHM処理)も扱います。三井金属はキャリア箔に1.5~5μmの極薄銅箔を載せたMicroThin™をMSAP向けに供給しています。
- CMP用研磨材
フジミインコーポレーテッド
フジミは日本・アメリカ・台湾に開発拠点を置き、顧客と同じ研磨・評価装置で製品を開発できる環境を整えています。三井金属のSiCウェハ用CMPスラリーNANOBIXはレアマテリアル事業部の製品で、2026年3月に自社で研磨機を導入して開発を進めています。
出典20件
- 公式 会社概要
- 公式 銅箔事業部
- 公式 キャリア付き極薄銅箔 MicroThin™シリーズ
- 公式 高速信号用電解銅箔
- 公式 機能材料事業本部 事業所一覧
- IR 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) 2026年3月期
- IR 2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結) 2027年3月期 第1四半期
- IR 2026年3月期 決算説明資料 2026年3月期
ほか12件
- IR 2027年3月期 第1四半期決算説明資料 2027年3月期 第1四半期
- IR 有価証券報告書 第101期 2026年3月期
- IR 機能材料事業説明会資料
- 採用 採用サイト
- 採用 新卒採用情報・募集要項
- 採用 働く人々(専門領域と職種)
- 採用 数字で見る三井金属
- 採用 TOPメッセージ・事業紹介
- 採用 三井金属グループ キャリア採用
- 公式 古河電気工業 銅箔
- 公式 JX金属 電解銅箔
- 公式 フジミインコーポレーテッド 半導体デバイス