ファブレス半導体 / 通信・エッジAI / 知財ライセンス QCT半導体とQTL特許ライセンスを併営するファブレス企業
Qualcomm
スマホ向けチップと通信特許、その次の柱
スマホ向けチップが稼ぎ頭で、通信特許が高い利益率を持つ会社。
2026年9月期第3四半期のHandsets売上は前年同期比20%減車載は61%増でした。 車載・IoTがHandsetsの減少を埋められるかが焦点です。
Qualcommは SnapdragonとDragonwingのチップ を設計し、製造を主にTSMCなどの外部ファウンドリへ委託する会社です。 2026年9月期第3四半期の売上 は1兆5,738億円で、前年同期より4%減りました。
- 2026年9月期第3四半期 売上 1兆5,738億円 前年同期比4%減
- 同 営業利益 2,572億円 前年同期は4,370億円。 研究開発費は3,522億円から4,124億円へ増えました
- 同 純利益 3,167億円 投資その他の利益1,604億円を含みます
2026年9月期第3四半期 QCT売上の内訳
- Handsets8,047億円
- IoT2,895億円
- Automotive2,512億円
この会社の要点
01立ち位置
何の会社として比べるか
Qualcommの売上の大半はQCTのチップで、QTLの特許ライセンスは売上が小さく利益率が高い事業です。 2023年9月期から2025年9月期まで、売上と営業利益はともに増え続けました。
連結売上と営業利益の推移
連結売上
営業利益
QCT売上の用途別内訳
QCTの用途別売上
Snapdragon(スマートフォン・PC・音響)
アプリケーションプロセッサに、セルラーモデム、Wi-FiやBluetooth、測位機能を組み合わせたプラットフォームです。 CPUはQualcomm OryonとKryo、AI処理はHexagon NPU、グラフィックスはAdreno GPUが担います。 PC向けにはSnapdragon X Seriesがあります。
- Snapdragon mobile
- Snapdragon compute(Snapdragon X Series)
- Snapdragon sound
- Qualcomm RFFE
Snapdragon Digital Chassis(車載)
車載のコネクティビティ、デジタルコックピット、先進運転支援・自動運転(ADAS/AD)をまとめたプラットフォーム群です。 QCTのAutomotive売上に入ります。
- Snapdragon automotive platforms
Qualcomm Dragonwing
産業機器とエッジネットワーク向けのプラットフォームです。 対象は小売、物流、公益事業の業務用端末などです。 QCTのIoT売上に入ります。
- Dragonwing industrial
- Dragonwing edge networking
QTL(技術ライセンス)
LTEなど無線製品の製造・販売に必須な特許を含む知財を許諾する事業です。 収入の中心は台数連動のロイヤルティで、端末の卸売価格に対する割合で決まります。
- Cellular patent portfolio
02収益
どこで、どれくらい儲けているか
2026年9月期第3四半期は、Handsetsが減り、車載とIoTが伸びました。 QCTの税引前利益率は26%、QTLは69%でした。
売上7兆69億円 / 営業利益1兆9,549億円
売上は5兆6,677億円、6兆1,648億円と続けて増えました。 営業利益も1兆2,322億円、1兆5,935億円から増えています。 純利益は8,767億円、研究開発費は1兆4,306億円です。
QCT売上6兆707億円 / QTL売上8,832億円
税引前利益はQCTが1兆8,465億円(売上比30%)、QTLが6,397億円(売上比72%)です。
QCT売上1兆3,455億円 / QTL売上2,022億円
税引前利益はQCTが3,468億円(売上比26%)、QTLが1,393億円(売上比69%)です。
売上1兆5,348億円〜1兆6,613億円
会社はQCTを1兆3,291億円〜1兆4,240億円、QTLを1,898億円〜2,215億円と見込んでいます。
2026年9月期第3四半期 QCTの用途別売上
QCTとQTLの税引前利益率
03強みとリスク
強みと、リスク・検討点
強みは利益率の高い特許ライセンスと、車載・IoTへ広がるチップ事業です。 弱みはAppleなど少数の大口顧客と中国への売上集中です。
強み
- 利益率の高い特許ライセンス
2025年9月期のQTLは売上8,832億円に対し税引前利益6,397億円で、売上比72%でした。 QCTの30%を大きく上回ります。
Qualcomm 2025 Form 10-K(連結財務諸表・QCT/QTL) - 車載が長く二桁成長を続けている
2026年9月期第3四半期のQCT Automotive売上は2,512億円で、前年同期比61%増でした。 会社は23四半期連続の二桁成長としています。 IoTと合わせた売上は28%増えました。
Qualcomm Q3 FY2026 Results(SEC Exhibit 99.1) - 同じ基盤技術を車載・IoTへ広げる
会社はプロセッサ、モデム、Wi-Fi、Bluetooth、測位の技術を、携帯端末、車載、IoTに共通して使うとしています。 2025年9月期は車載売上が前期比36%増、IoTが22%増でした。
Qualcomm 2025 Form 10-K(連結財務諸表・QCT/QTL)
リスク・検討点
- Appleの自社モデム移行
AppleはQualcommのモデム単体製品を買っています。 会社は、Appleが今後の端末で自社モデムの使用を増やし、QCTの売上と利益に大きなマイナスになると見込んでいます。
Qualcomm 2025 Form 10-K(連結財務諸表・QCT/QTL) - 少数の大口顧客と中国への集中
2025年9月期は、Apple、Samsung、Xiaomiがそれぞれ連結売上の10%以上を占めました。 顧客の本社所在地で見ると、中国(香港を含む)が連結売上の46%です。
Qualcomm 2025 Form 10-K(連結財務諸表・QCT/QTL) - Huaweiからの収入がなくなった
米商務省は2024年5月に、QualcommがHuaweiへ4G製品などを売るための輸出許可を取り消しました。 会社はHuaweiからの製品売上を今後見込んでいません。 QTLも、Huaweiの契約が切れたためFY2025の第2四半期からHuaweiのロイヤルティを含んでいません。
Qualcomm 2025 Form 10-K(連結財務諸表・QCT/QTL) - 製造コストの上昇
会社は、ウェハ製造、組立、テスト、先端パッケージ、メモリなどの投入コストが業界全体で上がっているとしています。 会社は製品価格に反映する対応を進め、粗利率に徐々に効くと見込んでいます。
Qualcomm Q3 FY2026 Results(SEC Exhibit 99.1)
04待遇
給与、初任給、休日、手当
従業員は38か国の200か所を超える拠点で働いています。 大半がエンジニアリング職・技術職です。
- 人員規模
- 2025年9月期末の従業員は約52,000人です。 インドにエンジニアを含む多くの人員がいます。 2025年9月期 年次報告書
- 定着
- 2025年9月期の自発的離職率は約6%でした。 2025年9月期 年次報告書
05勤務地と職種
どこで、どんな仕事をするか
本社と研究開発の一部はサンディエゴにあります。 研究開発・営業の拠点は主に米国、インド、中国です。
主な勤務地・拠点
- 米国サンディエゴ
- 本社と研究開発の一部。
- インド・中国
- 米国と並ぶ主な研究開発・営業拠点。
- シンガポール・ドイツ・中国
- RFFE・RF製品の製造拠点。 前工程はドイツとシンガポールです。
職務を絞る技術語
- SoC
- CPU
- NPU
- Modem
- RFFE
- 5G
- Embedded Linux
- Android
- Automotive
- IoT
06これから
会社が次に取りにいくもの
会社は非ハンドセット(車載、IoT、Data Center)を伸ばす計画です。 2029年9月期に非ハンドセット売上6兆3,291億円を目指しています。
これからの材料
- 第4四半期の見通し
- 会社は2026年9月期第4四半期の売上を1兆5,348億円〜1兆6,613億円と見込んでいます。 第3四半期決算
非ハンドセット売上を2029年9月期に6兆3,291億円へ
会社はInvestor Dayで、2029年9月期に非ハンドセット売上を6兆3,291億円に伸ばす目標を示しました。 Data Centerを含む非ハンドセット売上の伸びは、2026年9月期の24%から2027年9月期に60%超へ加速すると見込んでいます。 どちらも会社の目標と見通しです。
生成AI向けソフトウェア基盤
会社はModular Incの買収を完了しました。 生成AIとエージェント型AIのためのオープンなソフトウェア基盤をつくるとしています。 買収の効果は会社の見通しです。
データセンター事業
データセンター事業は、次世代のデータセンター向け製品を開発・事業化している部門です。 報告セグメントではなく、政府向けのQGOVと同じ非報告セグメントに入ります。 売上はQCTやQTLとは別に計上されます。
07入口を選ぶ
専攻から、入口を1つに絞る
QCTかQTLかを選び、SoC、モデム・RF、組込みAI、車載・標準化から担当領域を一つに絞ります。
モデム・RF・無線システム
セルラーモデム、RFトランシーバ、RFFE、Wi-Fi、Bluetoothを扱う領域です。 RFFEの前工程はドイツとシンガポールの自社工場で行います。
公式採用情報面接で使う技術語
- SoC
- CPU
- NPU
- RTL
- Low power
- 5G
- RF
- Modem
- RFFE
- 3GPP
他社との違いを一言で
- 低電力計算・無線接続のIC
MediaTek
会社が競合に挙げる企業です。QualcommはチップのQCTに加え、端末の卸売価格に応じたロイヤルティを受け取るQTLを持ちます。
- 顧客・製造委託先・競合
Samsung
会社が競合に挙げる一方、2025年9月期に連結売上の10%以上を占めた顧客であり、主要なファウンドリ委託先でもあります。
- 顧客によるモデム内製
Apple
Appleはアプリケーションプロセッサを含まないモデム単体製品を買う大口顧客です。会社はAppleが自社モデムへ移ると見込んでいます。
- 会社が挙げる競合
Qorvo / Skyworks
QualcommはRFFE部品とRFフィルタに限って自社工場を持ち、ウェハ製造の前工程をドイツとシンガポールで行います。