電子材料 MLCC用誘電体粉末・封止材用球状シリカ
堺化学工業
水熱合成のチタン酸バリウムでMLCCを支える堺の化学メーカー
11の事業を持つ化学メーカーで、半導体に近い稼ぎ頭は積層セラミックコンデンサ向けの電子材料です。
売上の14.0%でセグメント利益合計の20.3%を生み、AIサーバー向けの需要が全社の利益を支えています。
堺化学工業は チタン酸バリウムなどの誘電体粉末 をMLCC向けにつくる化学メーカーです。 2026年3月期の 電子材料セグメント は売上高113億円、利益率16.0%で、セグメント利益は全社最大の18億円でした。
- 2026年3月期 電子材料売上高 113億円 前期比13.6%増。 連結売上の14.0%
- 2026年3月期 電子材料セグメント利益 18億円 前期比21.7%増。 セグメント利益合計89億円の20.3%
- 2027年3月期第1四半期 電子材料売上高 33億円 前年同期比17.2%増。 営業利益は5.8億円で22.1%増
2026年3月期のセグメント別売上高(外部顧客向け)11の報告セグメント · 連結売上814億円
- 樹脂添加剤115億円
- 電子材料113億円
- その他104億円
- 酸化チタン・亜鉛製品102億円
- 医療事業83億円
- 有機化学品71億円
- 受託加工66億円
- 衛生材料53億円
- 無機材料51億円
- 触媒34億円
- 化粧品材料17億円
この会社の要点
01立ち位置
何の会社として比べるか
堺化学工業は11の報告セグメントを持つ化学メーカーで、半導体に最も近いのは電子材料セグメントです。 2026年3月期の電子材料は売上高113億円、利益18億円で、2027年3月期第1四半期も売上を17.2%伸ばしました。
2025年3月期から2027年3月期計画までの電子材料の売上と利益
電子材料 売上高
電子材料 セグメント利益
直近四半期の電子材料
電子材料 第1四半期売上高
電子材料 第1四半期営業利益
誘電体粉末(チタン酸バリウムほか)
チタン酸バリウムをはじめとする高純度誘電体粉末は、積層セラミックコンデンサのメイン材料です。 独自技術の水熱合成法で、超微細・高純度・高結晶性のペロブスカイト誘電体粉末をそろえています。 電子材料事業の研究開発費は4.5億円で、AIサーバーや先端スマートフォン向けの高性能MLCC用に、微粒子・高結晶・粒度均一な水熱合成法のチタン酸バリウムを開発しました。
- チタン酸バリウム BTシリーズ
- チタン酸ジルコン酸バリウム BTZシリーズ
- チタン酸ストロンチウム STシリーズ
- チタン酸カルシウム CTシリーズ
誘電体材料(バリウム・ストロンチウム塩類、酸化チタン)
誘電体粉末の原料として、バリウム・ストロンチウム塩類や酸化チタンを提供します。 会社は誘電体材料について豊富な製品ラインナップと高いシェアを強みに挙げ、易分散性を兼ね備えたさらなる微粒子化を進めています。 2026年3月期はハイエンド品とミドルエンド品で販売数量が増えました。
- バリウム塩類
- ストロンチウム塩類
- 酸化チタン
球状シリカ
粒径0.05μm、0.1μm、0.4μm、0.7μmの球状シリカをそろえ、粒子表面へのシラン処理にも対応します。 半導体封止材料、フィルム材料、トナー用材料、歯科材料などに使われます。 粒度分布幅が非常に狭く吸湿性が低い点を会社は特長に挙げ、問い合わせ先は無機材料営業部です。
- 球状シリカ Sciqasシリーズ
- 球状シリカ分散体 MSDシリーズ
02収益
どこで、どれくらい儲けているか
2026年3月期のセグメント利益は電子材料が18億円で最大です。 化粧品材料は−4.4億円の営業損失で、酸化チタン・亜鉛製品は顔料級酸化チタンの生産終了で売上が21.9%減りました。
売上高113億円 / セグメント利益18億円
売上高は前期比13.6%増、利益は21.7%増で、利益率は16.0%です。 2025年3月期は売上高100億円、利益14億円でした。
売上高814億円 / 営業利益64億円
売上高は前期比3.5%減、営業利益は5.9%増で、売上高営業利益率は7.9%です。 化粧品材料用設備などの減損損失29億円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は27億円でした。
売上高33億円 / 営業利益5.8億円
前年同期の売上高28億円、営業利益4.8億円から、売上は17.2%、利益は22.1%増えました。 利益率は17.3%です。 連結の売上高214億円のうち15.7%を占めます。
連結売上高817億円 / 電子材料営業利益24億円
連結営業利益は60億円で前期比7.0%減の予想です。 電子材料は売上高115億円、営業利益率20.9%を計画しています。
2026年3月期のセグメント利益
連結売上高の推移と予想
03強みとリスク
強みと、リスク・検討点
強みは水熱合成法の誘電体粉末と、その原料の両方を持つことです。 弱点は誘電体を内製するメーカーとの競争と、半導体・スマートフォンの市況への連動です。
強み
- 電子材料が全社で最も稼ぐ事業になった
2026年3月期の電子材料のセグメント利益は18億円で、11セグメントの中で最大です。 売上は連結の14.0%ですが、セグメント利益合計89億円の20.3%を占めます。 誘電体はAIサーバー関連・車載向けが好調に推移しました。
2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) - 水熱合成法という製法の違い
会社は、MLCCの薄層多層化ニーズに適する水熱合成法で誘電体をつくっています。 粒子径のそろった球状粒子、高純度、高結晶性、A/B比の調整を製品の特徴に挙げ、BTシリーズなど6系列の誘電体粉末を持ちます。
2026年3月期 本決算説明会スライド - 粉末と原料の両方を売れる
誘電体粉末と、その原料になる誘電体材料の2種類を提供できる点を、会社は競争環境の分析で自社の特徴に挙げています。 誘電体材料の強みとして、会社は豊富な製品ラインナップと高いシェアを挙げます。
2026年3月期 本決算説明会スライド - 高付加価値品へのシフトが利益率に出た
電子材料の利益率は2025年3月期の14.9%から2026年3月期の16.0%に上がり、2027年3月期第1四半期は17.3%でした。 誘電体のハイエンド品は採用が決まり、下期から販売数量が増えました。
第131期 有価証券報告書
リスク・検討点
- 誘電体を内製するメーカーとも競う
会社は誘電体の競合を外販メーカーと内製メーカーに分けています。 外販の誘電体粉末は、誘電体を自社でつくるメーカーとも採用を争います。 会社は村田製作所の株式を、積層セラミックコンデンサ向け電子材料の販売先として保有しています。
2026年3月期 本決算説明会スライド - 半導体とスマートフォンの市況に連動する
会社はMLCC市場を半導体市場と相関性が強いと分析しています。 2026年3月期には電子材料で第3四半期に一時的な調整局面があり、2027年3月期の計画はスマートフォン向けなどの落ち込みをAIサーバー関連でカバーする前提です。
2026年3月期 本決算説明会スライド - ハイエンド品の増産投資はまだ検討段階
2026年3月期の電子材料の設備投資は4.9億円、2027年3月期の計画は3.5億円です。 会社はハイエンド品の増産に向けた設備投資を検討しています。
第131期 有価証券報告書 - 原料調達とレアアース
会社は、カントリーリスクの比較的高い地域から輸入する原料の価格高騰や供給逼迫を事業リスクに挙げます。 輸入原料は極力複数の国と調達先を確保しています。 電子材料の事業環境では、中国の景気低迷やレアアース不足の影響も挙げています。
第131期 有価証券報告書 - 化粧品材料の減損と構造改革が続く
2026年3月期は化粧品材料用設備などで減損損失29億円を計上しました。 中期経営計画の目標営業利益90億円に対し、最終年度の計画は60億円です。 電子材料と化粧品材料は2021年3月期にも減損の対象になっています。
2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
04待遇
給与、初任給、休日、手当
新卒の初任給は院了29万7,500円、大卒28万1,600円で、年間休日は121日です。 2026年3月期の提出会社の平均年間給与は654万4,836円で前期比5.0%増え、平均年齢は41.7歳、平均勤続年数は16.5年です。
新卒初任給(月給・基幹職)
- 新卒の初任給
- 基幹職の初任給は院了29万7,500円、大卒28万1,600円、高専卒24万6,100円です。 昇給は年1回、賞与は年2回で 2028年新卒募集要項 に載る条件です。
- 勤務時間と休日
- 本社・営業は9:00〜17:40、大阪エリアの研究所・工場は8:30〜17:10、福島エリアの工場は8:00〜16:40です。 休日は土日祝日、夏期、年末年始、メーデーなどで年間121日です。
- 平均年間給与
- 2026年3月期の提出会社の従業員は769名で、平均年齢41.7歳、平均勤続年数16.5年、平均年間給与654万4,836円(約654.5万円)です。 出所は 第131期 有価証券報告書 の従業員の状況です。
- 電子材料の人員
- 連結従業員1,942名のうち電子材料セグメントは169名で、8.7%にあたります。 この人数で全社最大のセグメント利益18億円を生んでいます。
- 福利厚生
- 社会保険、持株会、財形、時間単位有給、確定拠出年金、勤務エリア選択制度、アニバーサリー休暇制度などがあり、転勤者用社宅と独身寮もあります。
05勤務地と職種
どこで、どんな仕事をするか
本社と堺事業所・中央研究所は堺市堺区戎島町にあり、工場は大阪の泉北・石津・忠岡と、福島県いわき市の小名浜事業所・大剣工場・湯本工場に分かれます。
主な勤務地・拠点
- 本社
- 堺市堺区戎島町5丁2番地隣接して堺事業所・中央研究所
- 大阪の工場
- 泉北工場(大阪府泉大津市)、石津工場(堺市西区)、忠岡工場(大阪府泉北郡忠岡町)
- 福島の事業所
- 小名浜事業所・大剣工場・湯本工場(福島県いわき市)電子材料事業部に大剣工場の技術課がある
- 営業拠点
- 東京支店(東京都千代田区)機能材営業部と無機材料営業部の窓口が東京と大阪にある
新卒採用(基幹職)の職種
- 研究
- 開発
- 技術
- 製造
- 知的財産
- 営業
- 資材
- 経理
- 総務
- 人事
- 情報システム
理系は工学・理学・農学関係、文系は法学・経済学・商学・経営学などが募集学科です。
06これから
会社が次に取りにいくもの
会社は電子材料で、ハイエンド品の増産投資の検討と、高周波伝送向け誘電体の開発を進めています。 会社の推計ではMLCC市場は年8%で伸び、2027年3月期の電子材料は利益率20.9%を計画しています。
電子材料の2027年3月期計画と2026年3月期実績
- 売上高 113億円 2027年3月期計画は115億円
- 営業利益 18億円 2027年3月期計画は24億円
- 営業利益率 16.0% 2027年3月期計画は20.9%
これからの材料
- 増産投資
- 誘電体・誘電体材料ともにハイエンド品の増産に向けた設備投資を検討し、MLCC市場の変化に対応した開発品と高付加価値製品でシェアを広げる方針です。 出所は 2026年3月期 本決算説明会スライド です。
- 新しい誘電体
- 高周波伝送向け誘電体と、カルシウムを含むチタン酸バリウムカルシウムを開発しています。 誘電体材料も易分散性を兼ね備えた微粒子化を進めています。
- 球状シリカ
- 中期経営計画のロードマップは、球状シリカSciqasを将来の事業の種に挙げています。
ハイエンド品の増産投資
会社は誘電体・誘電体材料ともにハイエンド品の増産に向けた設備投資を検討しています。 2027年3月期の電子材料は売上高115億円、営業利益24億円の計画で、利益は前期比32.2%増を見込みます。 会社の計画は、スマートフォン向けなどの落ち込みをAIサーバー関連でカバーする前提です。
高周波伝送向け誘電体とチタン酸バリウムカルシウム
電子材料の研究開発は高周波伝送向け誘電体に注力し、粒子合成技術と表面処理技術を核に低誘電率から高誘電率までの材料を開発しています。 信頼性が求められる分野向けに、カルシウムを所定の比率で含むチタン酸バリウムカルシウムの開発も進めています。 電子材料の研究開発費は4.5億円で、グループ全体28億円の15.9%です。
球状シリカSciqasを将来の種に
中期経営計画のロードマップは、球状シリカSciqasを将来の高収益事業の種の一つに挙げています。 製品ページでは半導体封止材料向けの用途を示し、粒径0.05μmからの品ぞろえとシラン処理を打ち出しています。 Sciqasは0.05μmから0.7μmまで4つの粒径をそろえ、問い合わせ先は無機材料営業部です。
次の中期経営計画とROE
2027年3月期は中期経営計画「変革・BEYOND2030」の最終年度で、会社はROE8%の達成に力を入れる方針です。 成長事業の営業利益計画は当初65億円に対し30億円で、電子材料は概ね計画通り、化粧品材料は大きく未達と自己評価しています。 2026年3月期の化粧品材料は−4.4億円の営業損失で、化粧品材料用設備などに減損損失29億円を計上しました。
07入口を選ぶ
専攻から、入口を1つに絞る
電子材料に関わりたいなら、誘電体粉末、誘電体材料、球状シリカのどれに自分の専攻が近いかを決め、研究・開発、技術・製造、営業のどの入口から入るかを選びます。
研究・開発
電子材料事業の研究開発は、誘電体と誘電体材料の開発を担い、高周波伝送向け誘電体やチタン酸バリウムカルシウムに取り組んでいます。 堺事業所・中央研究所は堺市堺区にあります。
公式採用情報営業
誘電体材料の問い合わせ先は機能材営業部(東京・大阪)、球状シリカは無機材料営業部です。 顧客にはMLCCメーカーがあり、会社は村田製作所を電子材料の販売先として記載しています。
- Technical Sales
- Electronic Components
- Silica Filler
応募前の3手
- BTシリーズの製品ページを読み、水熱合成法の特徴を粒子径・純度・結晶性の3語で説明できるようにする
- 2026年3月期の電子材料の売上高113億円と利益18億円、2027年3月期の計画を書き出し、伸びの理由を1行でまとめる
- 2028年新卒募集要項の職種、勤務地、初任給、選考書類を公式ページから書き出す
面接で使う技術語
- Barium Titanate
- Hydrothermal Synthesis
- MLCC
- Dielectric
- Particle Design
- Process Engineering
- Powder
- Quality Control
- Plant Operation
- Scale-up
基幹職の勤務地は、堺市の本社、東京支店、大阪の事業所・工場、福島県いわき市の事業所・工場です。
他社との違いを一言で
- MLCC用チタン酸バリウム
富士チタン工業
富士チタン工業は蓚酸法チタン酸バリウムを積層セラミックコンデンサの材料として電子部品メーカーに提供し、誘電体の薄層化への対応を掲げています。堺化学工業は水熱合成法でチタン酸バリウムを合成し、BTシリーズなど6系列の誘電体粉末を持ちます。
- ナノサイズ誘電体材料
戸田工業
戸田工業は小型高性能の積層セラミックコンデンサー向けにナノサイズの微粒子誘電体材料を拡販し、チタン酸バリウム分散体も扱います。堺化学工業は水熱合成法の誘電体粉末に加え、原料のバリウム・ストロンチウム塩類や酸化チタンも供給します。
- 封止材料用の球状シリカ
アドマテックス
アドマテックスの高純度合成球状シリカは平均粒径0.2〜2.0µmで、封止材料用フィラーやプリント基板用フィラーに使われます。堺化学工業の球状シリカSciqasは0.05μm、0.1μm、0.4μm、0.7μmの粒径をそろえ、半導体封止材料を用途に挙げています。
出典14件
- 公式 基本情報・沿革
- 公式 拠点紹介
- 公式 電子材料 製品ページ
- IR 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) 2026年3月期
- IR 2026年3月期 本決算説明会スライド 2026年3月期
- IR 第131期 有価証券報告書 2026年3月期
- IR 2027年3月期 第1四半期決算短信 2027年3月期第1四半期
- IR 2027年3月期 第1四半期決算説明会資料 2027年3月期第1四半期
ほか6件
- IR 中期経営計画「変革・BEYOND2030」
- 採用 2028年新卒募集要項
- 採用 経験者募集要項
- 公式 富士チタン工業 蓚酸法チタン酸バリウム
- 公式 戸田工業 誘電体材料
- 公式 アドマテックス アドマファイン シリカ