- 2025年度 売上高 3,249億円 前年度3,318億円から2.1%減。 半導体向けが95.7%
- 2026年第2四半期 売上高 1,020億円 前年同期比24.3%増、前四半期比20.8%増。 営業利益率4.6%
- 2026年第2四半期 Lam Research向け比率 39.5% Applied Materials向け21.8%と合わせて61.3%
2025年度の出荷先地域別売上高億円 · 製品の出荷先・サービスの実施地で区分 · 合計3,249億円
- シンガポール1,193億円
- 米国783億円
- オーストリア350億円
- 中国226億円
- 韓国178億円
- マレーシア123億円
- 台湾92億円
- その他301億円
この会社の要点
01立ち位置
何の会社として比べるか
UCTは、半導体装置メーカーが外部に出すガス供給系やフレームなどの組立を請け負う会社です。 2025年度の売上高3,249億円の87.6%が製品で、売上の58.7%を装置大手2社が占めました。
製品とサービスの売上規模
セグメント別売上高
職能別の従業員数
売上の6割を占める顧客2社
顧客別の売上比率
ガス・薬液供給システム
装置の反応室へ、ガスや反応性の薬液を送る配管ユニットです。 ガス供給システムは溶接配管、フィルター、マスフローコントローラー(流量制御器)、レギュレーター、圧力センサー、バルブ、ヒーター、制御系で構成されます。
- ガス供給システム
- 薬液供給モジュール
- 流体供給システム
- プロセスモジュール
温度制御製品
ガス配管や原料容器を一定温度に保つヒーターと制御の製品群です。 装置の横に置く小型容器(アンプル)用のヒーターは、高価な原料(プリカーサー)を使い切るための温度分布をつくります。 社内の試験室では、毎秒最大80チャンネルの温度入力を測って顧客の装置筐体を再現します。
- アンプルヒーター
- ガスライン・部品ヒーター
- 温度センサー
- 温度コントローラー
装置部品の洗浄・コーティング
半導体工場で使われた装置のチャンバー部品を、超高純度に洗浄して返すサービスです。 会社によれば、分析で検証した超高純度洗浄に分析証明書(CoA)を付ける方式はUCTが最初に開発しました。 部品へのコーティングもあわせて請け負います。
- 超高純度チャンバー部品洗浄
- 分析証明書(CoA)付き納品
- 部品コーティング
ChemTrace 微量汚染分析
工場の歩留まりを落とす微量の汚染を測る分析サービスです。 ChemTraceの微量汚染管理の経験は、会社によれば25年以上です。 クリーンルーム空気中の分子状汚染(AMC)を、金属・イオン・有機物に分けて監視するプログラムを提供します。
- クリーンルームAMC監視
- 部品・ウェーハの汚染分析
02収益
どこで、どれくらい儲けているか
稼ぎの中心は売上の9割近い製品事業ですが、利幅はサービス事業のほうが厚い構造です。 2025年度の粗利率は製品14.0%、サービス27.7%でした。
売上高3,249億円 / 営業損失−169億円
売上高は前年度比2.1%減でした。 営業利益率はマイナス5.2%で、のれん減損239億円(製品122億円、サービス116億円)を含みます。 前年度は営業利益144億円でした。
製品2,846億円(粗利率14.0%) / サービス403億円(粗利率27.7%)
製品の売上は前年度比2.9%減、サービスは4.4%増でした。 サービスは売上の12.4%ですが、売上総利益510億円の21.9%を稼ぎました。 研究開発費は50億円で売上高の1.6%です。
売上高1,020億円 / 営業利益46億円
製品906億円は前年同期比25.9%増、サービス114億円は13.0%増でした。 営業利益率は4.6%で、前年同期は減損を含むマイナス27.3%でした。 米国外の売上が78.0%を占めます。
売上高1,107億円〜1,186億円
GAAPベースの希薄化後1株当たり純利益は106.01円〜137.65円を見込んでいます。 第2四半期の売上高は1,020億円でした。
2025年度のセグメント別粗利率
年度売上高の推移
03強みとリスク
強みと、リスク・検討点
強みは、装置大手2社の外部委託を長く受け続けてきた供給網と、利幅の厚い洗浄・分析事業です。 弱点はその裏返しで、2社への集中と製品の薄い粗利率です。
強み
- 装置大手2社の外部委託先
Applied MaterialsとLam Researchが2023年度から3年続けて売上上位2社で、2025年度は2社で売上の58.7%でした。 売上の95.7%が半導体向けです。 会社は、装置メーカーが増産にUCTのような協力会社を一段と頼るようになったと見ています。
2025年度 年次報告書(Form 10-K) - ガス供給系を設計から出荷まで一貫
会社は自らを業界初のターンキー型ガス供給システムメーカーと位置づけています。 設計から顧客への最終出荷までを扱い、最終組立はクラス100と1000のクリーンルームで行います。 超高純度の自動溶接と手溶接でも、自社を世界的な先導企業と位置づけています。
ガス・薬液供給システム 製品ページ - 利幅の厚いサービス事業
2025年度の粗利率は製品14.0%に対し、サービスは27.7%でした。 サービスの売上は全体の12.4%ですが、売上総利益では21.9%を占めます。 前年度(2024年度)もサービスの粗利率は29.6%で、製品の15.3%を上回りました。
2025年度 年次報告書(Form 10-K) - アジアに厚い製造網
製造拠点は米国のほか中国、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン、チェコなどにあります。 従業員7,411人のうち3,772人(50.9%)がアジア太平洋です。 2025年度の設備投資79億円は、主に米国・アイルランド・マレーシアの工場向けでした。
2025年度 年次報告書(Form 10-K)
リスク・検討点
- Lam Research 1社で売上の4割
2026年第2四半期はLam Research向けが売上の39.5%、Applied Materials向けが21.8%でした。 2社合計は61.3%で、前年同期の56.0%から上がりました。 売上の6割超が2社の発注で決まります。
2026年第2四半期 四半期報告書(Form 10-Q) - 2025年度は営業損失
2025年度の営業損益はマイナス169億円で、営業利益率はマイナス5.2%でした。 第2四半期に計上したのれん減損239億円のうち、116億円はサービス事業の分でした。
2025年度 年次報告書(Form 10-K) - 中国向け売上の減少と輸出規制
2025年度の中国向け売上は226億円で、前年度の339億円から33.3%減りました。 米商務省は2024年12月以降、輸出許可の対象を大きく広げました。
2025年度 年次報告書(Form 10-K) - 製品の薄い利幅と部品調達
製品事業の粗利率は2025年度に14.0%でした。 部品の多くは顧客が指定した単一・唯一の仕入先から買っています。 過去にはマスフローコントローラー、バルブ、レギュレーターの不足を経験しました。
2025年度 年次報告書(Form 10-K) - 特許より人のノウハウに依存
UCTの事業は設計・製造・化学処理・分析のノウハウに大きく依存し、会社は特許で守られた知財の立場を一般に持たないと認めています。 限られた技術者だけが持つ専門知識への依存も、会社が挙げるリスクです。
2025年度 年次報告書(Form 10-K)
04待遇
採用窓口
米国の従業員には、401(k)への会社拠出と、時価より15%安く自社株を買える持株購入制度があります。 医療保険、育児・家族休暇、学費補助も用意しています。
- 退職金積立(401(k))
- 米国の対象従業員には、本人拠出の50%を、給与の6%を上限に会社が上乗せします。 2025年度 年次報告書 の従業員給付の注記に載ります。
- 従業員持株購入制度
- 給与天引きで自社株を買え、購入価格は購入期間末の時価の85%です。
- 福利厚生
- 医療保険と退職給付、育児・家族休暇、養子縁組の支援、祝日と有給休暇、学費補助を用意しています。
- 雇用形態と勤務地
- オースティンのコーティング開発、台南のプロセスエンジニア、ヘイワードの温度センサー設計は、いずれも常勤の求人です。 求人 Process Engineer では台南の住所まで示しています。
05勤務地と職種
どこで、どんな仕事をするか
本社はカリフォルニア州ヘイワードで、ガス・薬液供給とシステム統合、温度制御を担います。 日本には東京都中央区新川に、流量制御・流体管理・計装の拠点があります。
主な勤務地・拠点
- ヘイワード(本社)
- 26462 Corporate Avenue、Hayward、CA 94545ガス・薬液供給、システム統合、温度制御
- アリゾナ州チャンドラー
- 17500 South 40th Street、Phoenix、AZ 85048金属加工、システム統合
- オレゴン州ヒルズボロ
- 5500 NE Moore Ct、Hillsboro、OR 97124サブファブ機器の供給・統合
- 台湾・台南
- No.7, Gongye 3rd Road、Annan District、Tainan 709
- 東京
- 東京都中央区新川1-16-4 Kayabacho East 8F(〒104-0033)流量制御・流体管理・計装
求人に出る技術語
- プラズマ溶射
- 膜特性評価
- 精密洗浄
- SPC
- 熱電対
- CAD設計
- ガス供給系
- 清浄度試験
掲載中の技術職3件の求人票に出る業務と技術です。
応募準備
- 製品(組立・溶接)とサービス(洗浄・分析)のどちらの工場で働きたいかを決める
- 志望拠点の求人票から、勤務地の住所と必須の学歴・経験年数を書き出す
- ガス供給システムの構成部品(マスフローコントローラー、バルブ、レギュレーター)の役割を説明できるようにする
06これから
会社が次に取りにいくもの
会社は2026年第3四半期の売上高を1,107億円〜1,186億円と予想しました。 経営方針「UCT 3.0」では、世界の製造能力の拡大、技術・運営力の強化、デジタル化を進める計画です。
これからの材料
- 会社予想
- 第3四半期の売上高は1,107億円〜1,186億円、GAAPベースの希薄化後1株当たり純利益は106.01円〜137.65円の見通しです。 2026年第2四半期 決算発表 で示されました。
- 資金調達
- 2026年3月に949億円の転換社債を発行し、一部をタームローンの返済に充てました。
- 需要の見通し
- 会社はGAA構造のトランジスタとHBMを、AI向けの複数年の需要源に挙げています。
2026年第3四半期は売上1,107億円〜1,186億円の予想
会社は第3四半期の売上高を1,107億円〜1,186億円と予想しました。 第2四半期の売上高1,020億円は、前四半期の844億円から20.8%増えました。 第2四半期は会社の予想レンジ上限を上回りました。同じ執行を第3四半期も続けられるかが焦点です。
「UCT 3.0」で世界の生産能力を広げる
CEOのJames Xiao氏は、世界の製造能力の拡大、技術・運営力の強化、デジタル化の加速を「UCT 3.0」の優先事項に挙げました。 計画は、AIが業界全体の投資を押し上げ続けるという会社の見通しに立っています。
GAAとHBMを長期の需要源に
会社は、GAA(ゲート・オール・アラウンド)構造の新しいトランジスタやHBM(広帯域メモリ)が、装置需要を複数年にわたり支えると見ています。 競争相手には同業だけでなく顧客の社内製造部門も含まれます。装置メーカーが外部委託をどこまで広げるかで成長の幅が決まります。
07入口を選ぶ
専攻から、入口を1つに絞る
入口は職種より先に工場を選ぶことです。 組立・溶接の製品工場か、洗浄・分析のサービス拠点かで、求められる専攻と経験が分かれます。
R&D Coatings Engineer III(コーティング開発)
大気圧プラズマ溶射(APS)とサスペンションプラズマ溶射(SPS)を中心に、半導体向けコーティングを開発する職種です。 膜厚、気孔率、密着性、耐摩耗性、耐食性などの膜特性を評価します。
求人 R&D Coatings Engineer IIIProcess Engineer(部品洗浄工場)
台南の量産型の部品洗浄工場で、ラインの不具合に即応し、歩留まりを維持・改善する職種です。 圧力・温度・濃度・汚染の工程管理をSPC(統計的工程管理)で監視し、月1回の清浄度試験も担います。
求人 Process EngineerDesign Engineer II(温度センサー製品)
ガス・液体供給システムに使う熱電対などの温度センサーと、その組立品の設計を支える職種です。 図面、部品表(BOM)、試作・試験・製品認定を担当します。
- 温度センサー
- CAD
- BOM
応募前の3手
- ガス供給システムの構成(溶接配管、マスフローコントローラー、圧力センサー、制御系)を図にしてノートへ書く
- Lam Research向け39.5%、サービス粗利率27.7%の2つの数字から、面接で聞きたい問いを1つずつ作る
- オースティン、台南、ヘイワードの求人票を読み、自分の専攻に合う1件の必須条件を書き出す
面接で使う技術語
- プラズマ溶射
- APS
- SPS
- 実験計画法
- 膜特性評価
- 精密洗浄
- SPC
- 根本原因分析
- CAPA
- ウェット化学
求人票が学歴を指定しているのはコーティング開発職で、化学工学・材料科学・冶金・機械工学の学士以上です。
他社との違いを一言で
- ガス・薬液供給システム
Ichor Systems
UCTの年次報告書はIchor Systemsをガス供給システムの主要競合に挙げています。Ichorによれば、同社の薬液供給システムIMSは洗浄・ウェーハトラック・電解めっき・成膜などのウェット工程の量産で使われています。UCTは2025年度に製品事業で2,846億円を売り上げました。
- ガス供給システムと供給部品
Fujikin
UCTの年次報告書は、Fujikinをガス供給システムとガス供給部品の両方で主要競合に挙げています。ガス供給部品では、Swagelok、Parker Hannifin、Watlowも主要競合に挙げています。
- 部品洗浄・コーティング
KoMiCo
UCTの年次報告書は、洗浄・コーティングの主要競合としてKoMiCo、SHT、EnPro、Pentagonを挙げています。UCTのサービス事業は2025年度に403億円を売り上げ、粗利率は27.7%でした。
出典15件
- 公式 UCT 会社トップページ
- IR 2025年度 年次報告書(Form 10-K) 2025年度(2025年12月26日終了) · Ultra Clean Holdings、Inc. 連結、米国会計基準
- IR 2026年第2四半期 四半期報告書(Form 10-Q) 2026年第2四半期(2026年6月26日終了) · Ultra Clean Holdings、Inc. 連結、米国会計基準
- IR 2026年第2四半期 決算発表 2026年第2四半期
- 公式 ガス・薬液供給システム 製品ページ
- 公式 温度制御製品 製品ページ
- 公式 半導体向けソリューション
- 公式 サービス事業 概要