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半導体製造装置 マルチビーム・マスク描画装置

IMS Nanofabrication

26万本の電子ビームでフォトマスクを描くオーストリアの装置メーカー

フォトマスクを電子ビームで描く装置の専業メーカーで、1台が262,144本のビームを同時に操ります。
評価額約6,803億円でIntelは2023年に計32%の少数持分を売り(Bain Capital約20%、TSMC約10%の発表)、IMSを連結子会社として持ち続けています。

IMS Nanofabricationは 262,144本の電子ビーム で先端マスクを10時間未満で描く装置メーカーです。 Intelが 持分68% を持ち、連結子会社にしています。

  • 2023年 持分売却時の評価額 6,803億円 Bain Capitalへ約20%、TSMCへ約10%を売る2件とも同じ評価額
  • 2026年6月末 Intelの持分 68% 残る32%は少数株主の持分。 Intelは「その他」区分で連結
  • 2022年3月 チームの人数 500人 2015年の買収後、人員と生産能力は4倍に拡大

2026年6月末のIMSの持分構成

  • Intel68%
  • 少数株主(2023年に売却した計32%)32%

この会社の要点

向いている入口 ソフトウェア統合エンジニア

情報科学、電気工学、物理の学位か3年以上の技術経験がある人。 Linuxに精通し、ネットワークの基礎を理解していることが求められます。

入口を選ぶ
主なリスク 顧客と人材を失うリスクをIntel自身が挙げる

TSMCへの持分売却の発表で、Intelは主要人材と顧客の維持、半導体製造装置の需要変化、激しい競争と速い技術変化をリスクに並べました。 Intelの競合であるTSMCへ少数持分を売ったことがIMSやIntelに悪影響を与えうる点も記しています。

強みとリスク
出典 出典一覧(26件)

公式 9件 / IR 4件 / 採用 12件 / 第三者 1件

01立ち位置

何の会社として比べるか

IMS Nanofabricationは、先端フォトマスクを電子ビームで描く装置の専業メーカーです。 2023年の持分売却で約6,803億円と評価され、2026年6月末もIntelが68%を持つ連結子会社です。

Intelの年次報告書と報道発表

誰がIMSを持ち、少数株主の持分残高はどう動いたか

Intel 2025年度 年次報告書

IMSの持分の内訳

% · Intelは2025年末、他の2社は2023年の売却発表
  • Intel 68%
  • Bain Capital 約20%
  • TSMC 約10%

IMSの少数株主(持分32%)の持分残高

億円 · 各年の期末
  • 2023年末 281億円
  • 2024年末 223億円
  • 2025年末 178億円
拠点一覧

どの地域に拠点を置いているか

拠点一覧

拠点のある都市の数

都市 · 公式サイトの所在地一覧(計13都市)
  • 欧州(オーストリア・ドイツ) 3都市
  • 米国 3都市
  • 台湾 3都市
  • 韓国 3都市
  • 日本 1都市
電子ビームマスク描画装置

マルチビーム・マスク描画装置 MBMW-101

フォトマスク(ウェーハへ回路を焼き付ける原版)に、電子ビームで直接パターンを描く装置です。 512×512の配列に並ぶ262,144本のプログラマブルなビームを使い、50keVの電子を82µm角の領域へ当てます。 解像度は14nm、位置精度は0.1nmです。 2016年から7nmノード向けの量産機として出荷され、同じ年にデータ転送速度を10倍の120Gbit/sへ上げました。

  • MBMW-101
  • MBMW Alpha(2014年の最初の商用機)
電子ビームマスク描画装置

第2世代機 MBMW-201

5nmノードのマスク向けに2019年第1四半期に市場へ入った第2世代機です。 第1世代のMBMW-101はすでに世界中で稼働しています。 顧客は世界最大級のチップメーカーで、現行と次の世代のチップ製造にIMSの装置を使っています。

  • MBMW-201
電子ビームマスク描画装置

第4世代機 MBMW-301

2023年に投入を始めた第4世代のマルチビーム・マスク描画装置です。 Intelの発表文は、EUV(極端紫外線)露光の先端マスクを作るのにマルチビーム描画装置が必要だと位置づけています。 2015年の買収以降、IMSは製品を3世代追加しました。

  • MBMW-301

02収益

どこで、どれくらい儲けているか

IMSの業績はIntelの「その他」区分に含まれ、IMSの32%を持つ少数株主に帰属する損益が収益力の手がかりになります。 2023年の利益17億円から、2024年と2025年は損失に転じ、2026年1〜6月は15億円の利益でした。

2023年 持分売却時の評価額

約6,803億円

TSMCへの約10%売却は、直前のBain Capitalへの約20%売却と同じ約6,803億円の評価でした。 Intelは過半を持ち続けています。

2026年6月末 IMSの少数株主の持分比率

32%

2025年6月末も32%で、Intelの持分は68%です。 IMSの業績は「その他」区分でIntelの連結決算に入ります。

IMSの少数株主(持分32%)に帰属する純損益

2024年 -58億円 / 2025年 -44億円 / 2026年1〜6月 15億円

IMSの32%を持つ少数株主の取り分です。 2023年の17億円の利益から2年続けて損失になり、2026年4〜6月は22億円の利益でした。

IMSの少数株主(持分32%)の持分残高

2023年末 281億円 / 2025年末 178億円 / 2026年6月末 194億円

IMSの32%を持つ少数株主の持分です。 2023年末から2025年末までに36.5%減り、2026年6月末は194億円に増えました。

IMSの少数株主(持分32%)に帰属する純損益

億円 · Intel年次報告書の注記
  • 2023年 17億円 利益
  • 2024年 -58億円 損失
  • 2025年 -44億円 損失

1台が制御するビーム数の推移

本 · 沿革
  • 2008年 電子ビーム試作 2,500本
  • 2008年 イオンビーム試作 43,000本
  • 2011年 MBMW試作機 262,144本

03強みとリスク

強みと、リスク・検討点

強みは262,144本のビームで複雑なマスクを10時間未満で描く速さと、IntelやTSMCと共同で育てた顧客基盤です。 危うさは製品がマスク描画装置に集中し、少数株主分の損益が2年続けて赤字だった点です。

強み

  • 26万本のビームで描画時間を10時間未満に抑える

    従来方式の可変成形ビーム(VSB、1本のビームの形を変えて描く方式)に対し、マスク1枚を10時間未満で描きます。 曲線を多用する逆リソグラフィ技術(曲線ILT)のマスクでも描画時間が延びない点を、会社は決定的な利点に挙げています。

    製品情報(マルチビーム・マスク描画装置)
  • 大手顧客と共同で育った装置

    TSMCは2012年から、先端ノード向けのマルチビーム・マスク描画装置をIMSと共同開発してきました。 2023年にはIntelからIMSの約10%を取得し、長期の協業を加速させる狙いを掲げました。

    Intel 報道発表 TSMCへのIMS持分売却(2023年9月)
  • 1985年から続くビーム技術

    1985年2月にウィーンで、ベンチャー資本により創業しました。 翌1986年からイオン投影露光の研究装置を開発しています。 2001年に業界がEUVへ絞ってイオン投影露光の開発が終わり、同じ2001年に社名をIMS Nanofabricationへ変えました。 2011年の262,144本ビームの試作機は、Intel、TSMC、大日本印刷(DNP)、Photronicsとのコンソーシアムの土台になりました。

    沿革
  • 買収後に人員と生産能力が4倍

    Intelは2009年に最初の出資をし、2015年に残りの株式を取得しました。 買収後、IMSは人員と生産能力を4倍にし、製品を3世代追加しています。 IMSがIntelに大きな投資リターンをもたらしたとIntel自身が記しています。

    Intel 報道発表 TSMCへのIMS持分売却(2023年9月)

リスク・検討点

  • 顧客と人材を失うリスクをIntel自身が挙げる

    TSMCへの持分売却の発表で、Intelは主要人材と顧客の維持、半導体製造装置の需要変化、激しい競争と速い技術変化をリスクに並べました。 Intelの競合であるTSMCへ少数持分を売ったことがIMSやIntelに悪影響を与えうる点も記しています。

    Intel 報道発表 TSMCへのIMS持分売却(2023年9月)
  • 少数株主分の損益が2年続けて赤字

    IMSの32%を持つ少数株主に帰属する純損益は、2023年が17億円の利益でした。 損失は2024年が58億円、2025年が44億円です。 その持分残高も2023年末の281億円から2025年末は178億円へ減っています。

    Intel 2025年度 年次報告書(Form 10-K)非支配持分の注記
  • 輸出管理の実務を抱える装置

    本社では通関・輸出管理の専任者を募集し、デュアルユース(軍民両用)品目の判定、取引制限対象者のチェック、輸出許可の申請と更新を担わせます。 関税分類や通関申告から輸出許可まで、日々の輸出入の実務を本社で独立して回す職種です。

    募集要項 通関・輸出管理スペシャリスト
  • 日本勢にもマルチビーム機がある

    ニューフレアテクノロジーは3nm+ノード対応のMBM-2000PLUSと3nmノード対応のMBM-2000を製品に並べています。 7nmノード世代向けには可変成型ビームのEBM-9500もあります。 IMSの製品はマルチビーム機のMBMWに絞られています。

    ニューフレアテクノロジー 電子ビームマスク描画装置

04待遇

給与、初任給、休日、手当

オーストリアの募集要項は年収の下限を職種ごとに示し、884.9万円から1,238.9万円の幅です。 ボーナスは別に付き、給与は金属業の労働協約(KV Metallgewerbe)に基づきます。 社員の平均年齢は36.7歳です。

募集要項の年収下限(オーストリア)

万円 · 税込年収、ボーナス別
  • 上級プロジェクトマネージャー 1,238.9万円
  • 品質エンジニア(受入検査) 1,061.9万円
  • テクノロジーアプリケーション(FLEX) 1,061.9万円
  • ソフトウェア統合エンジニア 884.9万円
  • 通関・輸出管理スペシャリスト 884.9万円
  • ハイテク組立 884.9万円
年収の決まり方
オーストリアの募集は税込年収の下限を示し、ボーナスは別に付きます。 給与は金属業の労働協約(KV Metallgewerbe)に基づき、経験に応じて下限より高くなります。 年収下限884.9万円は ソフトウェア統合エンジニアの募集 の金額です。
オーストリアの福利厚生
フレックスタイム、在宅勤務、ワーケーション、補助つき社員食堂、送迎バスがあります。 産業医と心理士の相談窓口と、全社員が対象のボーナス制度も用意しています。
台湾と米国の待遇
新竹の募集は年1回の健康診断、会社負担の団体保険、休暇手当、オーストリアでの技術研修を挙げます。 米国のフィールドサービスは有給休暇、医療・歯科・眼科保険、会社拠出つきの401Kです。
社員の構成
14の法人に社員がいて、平均年齢は36.7歳、国籍は51か国です。 130人が海外駐在を定期的に経験しています。 採用トップ の数字です。

05勤務地と職種

どこで、どんな仕事をするか

経験者の職場はオーストリアのブルン・アム・ゲビルゲとウィーンです。 海外は台湾・韓国・米国に各3都市、日本に東京の拠点があり、ヒルズボロや新竹では顧客工場で装置を支える職種を募集しています。

主な勤務地・拠点

本社
ブルン・アム・ゲビルゲ(Wolfholzgasse 20-24)同じ町のRennwegにも拠点
ウィーン
Dresdner Straße 47
ドイツ
ドレスデン
米国
IMS Nanofabrication LLC(サンタクララ)、ヒルズボロ、ボイシ
台湾
台湾支店(南部サイエンスパーク・台南)、新竹サイエンスパーク、台中
韓国・日本
東灘、清州、平沢の各オフィスと、東京・西新宿の新宿野村ビル
拠点一覧・お問い合わせ

募集中の職種(2026年10月)

  • ソフトウェア統合エンジニア
  • 品質エンジニア
  • ハイテク組立
  • フィールドサービスエンジニア
  • アプリケーションエンジニア
  • テクノロジーアプリケーション(FLEX)
  • 上級プロジェクトマネージャー
  • 通関・輸出管理

オーストリアの職種は開発・製造・品質・管理、台湾と米国の職種は顧客工場での装置支援が中心です。

入社後の立ち上がり

  1. 上司とは別に、先輩社員が1人つくバディ制度で仕事を覚える
  2. 研修と人材育成のプログラムを受けながら仕事の幅を広げる
  3. 職種によってはアジアや米国への出張・駐在で顧客工場を経験する
公式採用へ

06これから

会社が次に取りにいくもの

次の焦点はhigh-NA EUVの量産移行です。 第4世代機MBMW-301の展開、新しいFLEX製品ライン、次世代機の試作が並行して進んでいます。

これからの材料

high-NA EUV
CEOは2023年、high-NA EUVが2020年代後半に開発から量産へ移ると Intelの報道発表(2023年6月) で述べました。
FLEX製品ライン
ウィーンでFLEX製品ライン担当を募り、顧客の用途を製品機能に落とし込む体制をつくっています。
次世代機の試作
上級プロジェクトマネージャーが、次世代機の設計を試作機にし、顧客デモまで仕上げます。

high-NA EUVへの移行

Intelは、high-NA EUVのような新しい露光方式への移行でマスク描画が中心的な役割を担うとみています。 CEOのPlatzgummer氏は2023年、high-NA EUVが2020年代後半に開発から量産へ移ると述べました。 2020年代後半という量産移行の時期は、CEOが2023年のBain Capitalとの提携発表で示した見通しです。

第4世代MBMW-301の普及

2023年に第4世代機のMBMW-301を投入し、前例のない性能をうたっています。 2015年の買収以降に追加した製品は3世代です。 「前例のない性能」は、2023年のIntelの発表文に載ったIMSの会社紹介の表現です。

FLEX製品ライン

ウィーンでFLEX製品ラインのテクノロジーアプリケーション担当を募集しています。 顧客の使い方を製品機能へ落とし込み、顧客向けデモの準備と検証を担う職種です。 FLEX製品ラインの名が出てくるのは、ウィーン勤務のテクノロジーアプリケーション担当の募集要項です。

次世代機の試作と顧客デモ

上級プロジェクトマネージャーの募集は、次世代機の設計を動く試作機に仕上げ、顧客デモまで持っていく役割です。 調達、組立、ハードとソフトの統合、試験を一つの計画で束ねます。 募集要項は、顧客デモに出せる試作機を仕上げることをこの職種の目標に置いています。

07入口を選ぶ

専攻から、入口を1つに絞る

電子光学・真空・高電圧の装置側か、描画ソフトと顧客支援の側か、自分の専攻に近い入口を1つ選びます。

ソフトウェア

ソフトウェア統合エンジニア

MBMWの描画ソフトを世界の顧客工場とIMS社内の装置へ導入し、構成の準備と更新、工場出荷試験(FAT)を担います。 待機は2か月に1回の週末で、出張は年数回、1回最長1か月です。

募集要項 ソフトウェア統合エンジニア
品質

品質エンジニア(受入検査)

外部から届く部品・組立品・システムを受入とクリーンルームで検査し、不適合の評価と原因解析を担います。 調達、エンジニアリング、仕入先と組んで品質問題を解きます。

募集要項 品質エンジニア(受入検査)
製造

ハイテク組立

高精度の機械部品を図面と手順書どおりに組み上げ、電気試験と真空リーク試験まで行います。 クリーンルームと静電気対策の規定を守る仕事です。

  • クリーンルーム
  • 静電気対策
募集要項 ハイテク組立

応募前の3手

  1. MBMW-101の仕様(262,144本、50keV、位置精度0.1nm)を読み、自分の研究で使った精度の数字と並べてノートに書く
  2. ブルン・アム・ゲビルゲ、ウィーン、ヒルズボロ、新竹の募集から1件選び、年収下限と待機・出張の条件を書き出す
  3. 可変成形ビームとマルチビームの描画時間の違いを、曲線ILTのマスクを例に1分で説明できるようにする
公式採用へ

面接で使う技術語

  • 装置ソフト導入
  • 工場出荷試験
  • Linux
  • 障害解析
  • 受入検査
  • 不適合管理
  • 原因解析
  • 仕入先品質
  • 精密組立
  • 真空リーク試験

若手の対象は電気工学、電子、機械、メカトロニクス、物理、情報、ソフトウェアの専攻です。

他社との違いを一言で

  • マルチ電子ビームと可変成型ビームのマスク描画装置

    ニューフレアテクノロジー

    3nm+ノード対応のMBM-2000PLUSと3nmノード対応のMBM-2000というマルチ電子ビーム機に加え、可変成型ビームのEBM-9500を製品に並べます。IMSの製品はマルチビーム機のMBMWだけで、262,144本のビームで描画時間を10時間未満に抑えます。

  • レーザー方式のマスク描画装置

    Mycronic

    フォトマスクの70〜75%がレーザー方式で作られるとし、SLX 3 e2は約90nmノードまで対応します。IMSは電子ビーム方式で、28〜5nmのマスク技術ノードに対応します。

  • 電子ビーム描画装置

    日本電子(JEOL)

    半導体関連製品に可変・スポット方式の電子ビーム描画装置を掲げています。IMSが2014年に完成させた最初の商用マルチビーム機MBMW Alphaは、日本電子が提供した産業用プラットフォームを組み込んでいます。

比較の出典:経済産業省「半導体・デジタル産業戦略の現状と今後」 p.5(2023年値) このページの出典一覧へ

出典26件

元データ: グローバルネット(株)「世界半導体製造装置・試験/検査装置市場年鑑2024」を基に経済産業省が作成。

ほか18件

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