半導体材料 半導体用フッ素系特殊ガス
関東電化工業
フッ素を自社で精製し、半導体の特殊ガスをつくる化学メーカー
フッ素の精製から半導体用特殊ガスまでを一貫生産し、売上の80.3%を精密化学品事業が稼ぐ会社です。
営業利益113億円の会社予想は2026年3月期の2倍超です。 第1四半期は特殊ガスの数量増と価格修正効果で増収増益でした。
関東電化工業は フッ素の精製から特殊ガスまで を社内で一貫生産する化学メーカーです。 2026年3月期の売上高 は654億円で、精密化学品事業が80.3%、Samsung Electronicsとキオクシアの2社向けが40.9%を占めます。
- 2026年3月期 精密化学品事業の売上高 525億円 前期比6.2%増、セグメント利益49億円
- 2027年3月期第1四半期 営業利益 39億円 前年同期比410.7%増、売上高197億円
- 2027年3月期 営業利益の会社予想 113億円 期初の100億円から引き上げ、売上高予想は950億円
2026年3月期のセグメント別売上高外部顧客への売上高 · 連結
- 精密化学品(特殊ガス・電池材料)525億円
- 基礎化学品80億円
- 設備21億円
- 鉄系19億円
- 商事7.7億円
この会社の要点
01立ち位置
何の会社として比べるか
関東電化工業は、フッ素系の特殊ガスで稼ぐ化学メーカーです。 2026年3月期の売上高は654億円で、精密化学品事業が80.3%を占めます。 2027年3月期は売上高950億円、営業利益113億円を見込みます。
2025年3月期から2027年3月期予想までの売上高と営業利益
売上高
営業利益
誰に、どの地域へ売っているか
売上高の10%以上を占める顧客
地域別売上高
半導体用特殊ガス
三フッ化窒素(NF3)はクリーニングガス、六フッ化タングステン(WF6)はALD/CVD前駆体、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン(C4F6)や硫化カルボニル(COS)はエッチングガスとして売ります。 2026年3月期は三フッ化窒素が渋川工場火災で減収となり、六フッ化タングステンとKSG-14が増収でした。 2027年3月期第1四半期は六フッ化タングステンが販売数量の減少を価格修正効果で補って増収になりました。 AI半導体やHBM向けの高性能ガス開発にも力を入れています。
- 三フッ化窒素(NF3)
- 六フッ化タングステン(WF6)
- ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン(C4F6)
- 硫化カルボニル(COS)
リチウムイオン電池材料
六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO2F2)を製造します。 会社は自社を、これらの電解質・添加剤を日本国内で製造する唯一のメーカーと紹介しています。 2027年3月期第1四半期は北米向け需要の拡大で増収になりました。
- 六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)
- ホウフッ化リチウム(LiBF4)
- ジフルオロリン酸リチウム(LiPO2F2)
基礎化学品・鉄系製品
か性ソーダ、塩酸、トリクロールエチレン、塩化ビニリデンなどの基礎化学品と、複写機・プリンターの現像剤用キャリヤーをつくります。 2026年3月期の売上高は基礎化学品が80億円、鉄系が19億円で、合わせても全社の約15%です。
- か性ソーダ
- 塩酸
- トリクロールエチレン
- 塩化ビニリデン
02収益
どこで、どれくらい儲けているか
利益のほとんどは精密化学品事業から生まれます。 2026年3月期のセグメント利益は49億円で、利益率は9.3%でした。 2027年3月期第1四半期は売上高165億円に対して37億円で、利益率は22.7%まで上がりました。
売上高654億円 / 営業利益54億円
売上高は前期比4.9%増、営業利益は28.2%増で、売上高営業利益率は8.4%です。 2025年3月期は売上高623億円、営業利益42億円でした。
売上高197億円 / 営業利益39億円
精密化学品事業の売上高は165億円で前年同期比38.3%増、セグメント利益は前年同期の5.8億円から37億円に増えました。
売上高950億円 / 営業利益113億円
売上高は前期比45.3%増、営業利益は106.2%増の予想です。 精密化学品の営業利益予想を96億円から109億円へ引き上げました。
設備投資額68億円 / 研究開発費23億円
減価償却費は93億円、有利子負債は398億円です。 研究開発費は売上高の3.5%に当たります。
2026年3月期のセグメント利益
精密化学品事業の売上高
03強みとリスク
強みと、リスク・検討点
強みはフッ素の精製から製品までの一貫生産と、キオクシアに採用されたKSG-14とサムスン電子半導体社と共同開発したKSG-5です。 弱点は同じ集中の裏返しで、メモリ大手2社と渋川工場、タングステンなどの原料価格に業績が寄っています。
強み
- フッ素の精製から製品まで社内で一貫生産
原料となるフッ素の精製から特殊ガスの製造まで、すべての工程を社内で行います。
特殊ガス製品 - 1980年代から続く主力ガスの製造実績
六フッ化タングステンは1986年、三フッ化窒素は1987年に製造を始めました。 製品ページにはエッチング、クリーニング、成膜に使う16品目の特殊ガスが並びます。
有価証券報告書 第119期 - 顧客の量産ラインに採用された新規エッチングガス
KSG-14はキオクシアの3D-NANDのメモリチャネルホールエッチングに採用されました。 KSG-5はサムスン電子半導体社との共同開発で選ばれ、CF4代替ガス「G3」として2025年から使われています。 会社はKSGシリーズで特許網を築き、高い参入障壁にする方針です。
KSG-5 - 特殊ガスの値上げが利益に直結
単体の特殊ガス売上は2026年3月期に429億円で、2027年3月期は655億円を見込みます。 第1四半期の単体特殊ガスの営業利益は前年同期の7.0億円から42億円に増え。 会社は通期の増益要因に、半導体用特殊ガス類の価格修正効果を挙げています。
2027年3月期 第1四半期 決算補足説明資料 - 投資を続けられる財務
2026年3月期末の自己資本比率は55.1%です。 同期の設備投資額は68億円、減価償却費は93億円で、2027年3月期の年間配当予想は36円と前期の20円から増やします。
2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
リスク・検討点
- メモリ大手2社への売上集中
2026年3月期はSamsung Electronics向けが143億円で売上高の22.0%、キオクシア向けが123億円で18.9%でした。 2社で40.9%を占め、キオクシア向けは前期比28.2%増えました。 韓国向け売上は164億円で25.1%です。
2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) - 主力工場の事故が数量を直撃
2025年8月の渋川工場火災で、三フッ化窒素は販売数量が減って減収になりました。 製造プラントは復旧し、関係当局の許可を受けて操業を再開しています。 2027年3月期第1四半期も三フッ化窒素は販売数量の減少で減収でした。
2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) - タングステンと電力の価格に左右される原価
有価証券報告書は電力を最大の原材料とし、タングステン、無水フッ酸、エチレン、リチウム化合物などを購入すると記載しています。 2027年3月期第1四半期は原燃料価格の上昇が営業利益を28億円押し下げ、六フッ化タングステンはタングステンの調達先を多角化して生産を続けています。
2027年3月期 第1四半期 決算補足説明資料 - 中国工場の立ち上げ遅れ
中国の宣城KDKはコロナ禍で工期が延び、出資金の50%に当たる23億円を個別決算の特別損失に計上しました。 会社は2027年3月期の宣城KDKの売上高を約40億円と見込み、第4四半期からの黒字化を見込んでいます。
2026年3月期 決算説明会資料 - 市況の波、海外勢との価格競争、温暖化係数の規制
有価証券報告書は、半導体・液晶業界の循環的な市況変動、韓国・中国などのメーカーとの激しい競争、温暖化係数の高い特殊ガスの需要低下を事業リスクに挙げています。 会社は、技術・品質面の優位性がなくなり価格競争になった場合に、販売シェアの低下か販売価格の低下で業績に影響が出る可能性を挙げています。
有価証券報告書 第119期
04待遇
給与、初任給、休日、手当
2026年4月の初任給予定額は博士卒29万4,900円、修士卒27万300円、学士卒25万2,700円です。 2026年3月期の平均年間給与は737万5,922円で、前期比6.4%増えました。 平均年齢は40.8歳、平均勤続年数は16.7年です。
新卒初任給(月給)
- 新卒の初任給
- 2026年4月の初任給予定額は博士卒29万4,900円、修士卒27万300円、学士卒25万2,700円、高専卒22万3,200円です。 昇給は年1回(7月)、賞与は年2回(7月、12月)で、条件は 新卒総合職採用 募集要項 に載ります。
- 勤務時間と休日
- 本社・支店と渋川・水島地区の普通勤務者はフレックスタイム制です。 完全週休2日制(土日)で年間休日は122日、有給休暇は最高20日です。 製造部のオペレーターなど交代勤務者は休日日数や勤務時間が一部異なります。
- 平均年間給与
- 2026年3月期の提出会社の従業員は802名、平均年齢40.8歳、平均勤続年数16.7年、平均年間給与737万5,922円(約737.6万円)です。 有価証券報告書 第119期 の従業員の状況に載ります。
- 手当と福利厚生
- 子供手当、住宅手当、時間外勤務手当などがあり、社宅、独身寮、財形貯蓄、住宅資金利子補給、従業員持株会、新幹線通勤の制度があります。
- 中途採用の比率
- 正社員の採用者に占める中途採用者の割合は2022年度63.3%、2023年度67.5%、2024年度28.6%です。 中途採用 のページで公表しています。
05勤務地と職種
どこで、どんな仕事をするか
本社は東京・丸の内にあり、ものづくりの拠点は群馬県の渋川工場と岡山県の水島工場です。 連結従業員1,169名のうち636名が精密化学品事業に属します。 海外は韓国と中国に製造販売子会社、台湾とシンガポールに販売拠点があります。
主な勤務地・拠点
- 本社
- 東京都千代田区丸の内2-3-2(郵船ビルディング)大阪支店、名古屋営業所、熊本事業部も営業拠点
- 渋川工場
- 群馬県渋川市渋川1497従業員345名。 三フッ化窒素プラントと渋川開発室
- 水島工場
- 岡山県倉敷市松江4-4-8従業員282名。 水島開発室も同所
- 研究所
- 総合開発センター(群馬県渋川市金井425)、渋川開発室、水島開発室
- 海外
- 関東電化ファインプロダクツ韓国(忠清南道天安市、製造販売)、宣城科地克科技(中国安徽省、製造販売)、関東電化KOREA、台灣關東電化(新竹市、シンガポール支店)、科地克(上海)貿易
新卒総合職の募集職種
- 研究開発
- 生産・製造技術
- 品質保証・品質管理
- 分析技術開発
- 施設(エンジニアリング)
- 営業
- 経営企画
- 経理
- 財務
- 人事
- 法務・総務
- 資材
ほか1件
- 情報システム
前半5つが技術系職、後半が事務系職です。 勤務地は本社、大阪、名古屋、群馬・岡山の工場と開発室、韓国・台湾・中国・シンガポールの海外現地法人です。
応募の入口
- 新卒はマイナビ2027またはリクナビの企業画面から総合職採用にエントリーする
- 技術系職と事務系職のどちらで応募するかを決め、志望職種を絞る
- 中途は総合職がリクルートエージェントとDODA、水島工場の技術職がハローワーク倉敷中央から応募する
06これから
会社が次に取りにいくもの
会社は中期経営計画「Dominate 1000」の最終年である2026年度(2027年3月期)に、売上高1,000億円と営業利益150億円を目標にしています。 会社予想は売上高950億円、営業利益113億円で、特殊ガスが計画を超え、電池材料が届かない見込みです。
中期経営計画の2026年度目標と2027年3月期会社予想
- 売上高 950億円 目標は1,000億円、達成率95%の見込み
- 営業利益 113億円 目標は150億円
- ROE(2026年3月期実績) 5.5% 目標は12.0%以上
これからの材料
- 特殊ガスの成長目標
- 会社は 半導体エッチング・クリーニングガス市場 が2030年に3,600億円へ伸びると予想し、自社の年平均成長率11.0%、シェア25%以上を目標に掲げています。
- 海外の生産拠点
- 中国の宣城KDKはⅡ期設備でC4F6、CF4、WF6を生産し、2027年3月期の売上高は約40億円を見込みます。 韓国工場は生産拡張と品種拡大を進めます。
エッチング・クリーニングガスでシェア25%以上
会社の予想では、半導体エッチング・クリーニングガス市場は2024年の2,300億円から2030年に3,600億円へ広がります。 会社は自社の年平均成長率を市場平均7.2%に対して11.0%と想定し、2030年のシェア25%以上を目標に掲げています。 会社はこの目標に向けた施策として、渋川・水島工場の生産設備拡大とKSGシリーズの販売拡大を挙げています。
中国・韓国の製造拠点との連携生産
中国の宣城KDKはⅡ期設備でC4F6、CF4、WF6を生産し、中国向けに加えて日本向けにも販売を始めました。 韓国の関東電化ファインプロダクツは2017年に硫化カルボニルなどの生産を始め、2023年11月から研究開発も行っています。 会社は宣城KDKの2027年3月期の売上高を約40億円と想定し、第4四半期からの黒字化を見込んでいます。
電池材料は米国・日本市場とリサイクルへ
会社は米国と日本のLiPF6市場が2030年に50,000tへ伸びると予想し、技術供与先を含めたシェア50%を目標にします。 脱中国化の流れに沿った米国中心の需要を見込み、使用済み電池からリチウムを回収するプラントは2027年度下期の稼働開始を目指して建設中です。 電池材料は中期経営計画で未達の見込みです。
中期経営計画「Dominate 1000」の最終年
2026年度(2027年3月期)の目標は売上高1,000億円、営業利益150億円、ROE12.0%以上です。 会社予想は売上高950億円、営業利益113億円で、売上高の達成率は95%の見込みです。 特殊ガスは計画を超える一方、電池材料が届かない見込みです。
07入口を選ぶ
専攻から、入口を1つに絞る
特殊ガスの研究開発、渋川・水島工場の生産技術、高純度ガスの品質保証・分析のうち、自分の専攻と重なる仕事を1つ選び、技術系職と事務系職のどちらで応募するかを決めます。
研究開発
半導体材料は事業本部内の半導体材料開発部が担い、営業・開発・試作を一貫させた顧客密着型の体制です。 研究所は群馬県渋川市の総合開発センターと、渋川・水島の開発室にあります。
公式採用情報生産・製造技術
工場は群馬県の渋川工場(従業員345名)と岡山県の水島工場(従業員282名)です。 精密化学品事業の連結従業員は636名で、全体の54.4%を占めます。
公式採用情報品質保証・品質管理 / 分析技術開発
半導体メーカー向けの高純度ガスを出荷する部門です。 先輩社員紹介には総合職の分析技術と、工場地域で働く技術職の分析技術の両方が載っています。
- Analytical Chemistry
- Quality Assurance
- High Purity
- Impurity
応募前の3手
- NF3、WF6、C4F6、KSG-14から1品目を選び、半導体工程のどこで使われるかをノートへ書く
- Samsung Electronics向け22.0%、キオクシア向け18.9%の顧客構成と、2027年3月期の営業利益予想113億円の前提を書き出す
- 募集要項の職種、勤務地、初任給、勤務時間を公式ページから書き出す
面接で使う技術語
- Fluorine Chemistry
- Etching Gas
- Electrolysis
- 3D-NAND
- Low GWP
- Process Engineering
- Chemical Plant
- Safety
- Scale-up
- Electrolysis
技術系職は化学系、生物系、化学工学系、電気系、機械系、土木系の分野が対象です。
他社との違いを一言で
- 六フッ化タングステンとフッ素系クリーニングガス
セントラル硝子
セントラル硝子はメタル配線形成用の六フッ化タングステンを製品化し、希釈フッ素(20%F2/N2)や三フッ化塩素などのクリーニングガスで有力サプライヤーの地位を確立したと記載しています。環境負荷の少ないエッチングガスはCEGシリーズとして展開します。関東電化工業も六フッ化タングステンと三フッ化塩素を製造し、低GWPのエッチングガスはKSG-14・KSG-5です。
- 高純度のエッチング・クリーニングガス
レゾナック
レゾナックは高純度FC-2316(C4F6)、高純度20%フッ素窒素混合ガス、高純度六フッ化硫黄、高純度四フッ化ケイ素などを半導体前工程向けに扱います。関東電化工業もヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン、六フッ化硫黄、四フッ化ケイ素、フッ素混合ガスを製造し、品目の多くが重なります。
- 電子材料ガスと供給設備
日本酸素ホールディングス
日本酸素は電子材料ガスとバルクガスに加え、特殊ガス精製、半導体特殊ガス供給、排ガス処理システムなどの機器ソリューションと、顧客施設でのオンサイトサービスを提供しています。関東電化工業はフッ素系の特殊ガスそのものを電解から一貫生産するメーカーです。
出典20件
ほか12件
- IR 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) 2026年3月期
- IR 2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結) 2027年3月期第1四半期
- IR 2026年3月期 決算説明会資料 2026年3月期
- IR 2027年3月期 第1四半期 決算補足説明資料 2027年3月期第1四半期
- IR 有価証券報告書 第119期 2026年3月期
- 採用 新卒採用情報
- 採用 新卒総合職採用 募集要項
- 採用 中途採用
- 採用 先輩社員紹介
- 公式 セントラル硝子 電子材料
- 公式 レゾナック 半導体前工程材料・装置
- 公式 日本酸素 エレクトロニクス事業 取扱い製品・サービス