パワー半導体 IPM・パワーデバイス
サンケン電気
白物家電と自動車のモータを動かすIPMのメーカー
エアコンや車の電動コンプレッサを回すIPMとパワーデバイスで売上801億円を稼ぐ会社で
白物家電向けが45.5%を占めます。 その中国顧客が自国製半導体へ切り替え、2期続けて営業赤字になりました。
サンケン電気の 2026年3月期の白物家電向け売上高 は中国での自国製半導体への切り替えで21.5%減りました。 2027年3月期第1四半期の自動車向け売上高 は前年同期比1.7%増え、白物家電向けは19.1%減りました。
- 2026年3月期 売上高 801億円 前期比34.1%減。 本体事業のサンケンコアは786億円
- 2026年3月期 白物家電向け売上高 364億円 前期464億円から21.5%減。 中国顧客の自国製半導体への切り替えが響きました
- 2027年3月期 会社予想 営業利益 14億円 2026年3月期の営業損失−47億円からの黒字転換を見込みます
2026年3月期の市場別売上高
- 白物家電364億円
- 自動車313億円
- 産機・民生107億円
- その他(アレグロ製品・旧ユニット事業)15億円
この会社の要点
アナログ回路開発は、CMOS、DMOS、バイポーラなどのデバイスを縦構造や寄生素子まで含めて扱うと職種紹介に書かれています。
入口を選ぶ2026年3月期の白物家電向けは364億円で、前期比21.5%減りました。 中国市場で自国製半導体への切り替えが進み、第2四半期以降の売上が大きく減っています。 2027年3月期第1四半期も韓国顧客向けは伸びたものの、中国向けのシェア減で白物家電は19.1%減でした。 売上の45.5%を占める市場で、主要顧客の調達方針の変化が直接響く構造です。
強みとリスク01立ち位置
何の会社として比べるか
サンケン電気は、家電と自動車のモータ駆動に使うIPMとパワーデバイスの専業メーカーです。 Allegro MicroSystemsを持分法適用会社にしたことで連結売上は801億円に縮み、本体事業のサンケンコアも中国の白物家電の減少で786億円へ減りました。
サンケンコアの売上高と営業損益
サンケンコアの売上高
サンケンコアの営業損益
どの地域の顧客へ売っているか
地域別売上高
パワーモジュール・IPM
2026年3月期の売上高は405億円で、売上の50.6%を占めます。 前期の500億円から19.0%減りました。 エアコン・洗濯機向けのIPM、車載用IPM、48V系マイルドハイブリッド車の電動コンプレッサ向け100V低圧三相MOSFETモジュール、汎用ポンプ用1200V高耐圧ケースモジュールなどを扱います。
- インテリジェントパワーモジュール(IPM)
- 車載用 インテリジェントパワーモジュール(IPM)
- 100V低圧三相MOSFETモジュール(48V系マイルドハイブリッド車の電動コンプレッサ向け)
- 1200V高耐圧ケースモジュール(汎用ポンプ向け)
パワーデバイス(ディスクリート)
2026年3月期の売上高は380億円で、売上の47.5%です。 前期比4.8%減でした。 パワーMOSFET、IGBT、バイポーラトランジスタ、整流用・ショットキ・オルタネータ用などのダイオードを製品に並べています。
- パワーMOSFET
- IGBT
- バイポーラトランジスタ
- ショットキダイオード
パワーマネージメントIC・デジタル制御
AC/DCコンバータIC、力率改善(PFC)IC、DC/DCコンバータIC、LEDドライバ、モータドライバをそろえます。 2026年3月期は、RISC-VのCPUコアと22nm超低リークプロセス、ReRAMを使うパワエレ制御用マイコンMD6605を開発しました。 22nmMCUを載せたデジタル電源ICの新製品は韓国のOLED-TV向けに採用されています。
- AC/DCコンバータIC
- 力率改善(PFC)IC
- DC/DCコンバータIC
- デジタルパワーマネージメントIC
02収益
どこで、どれくらい儲けているか
売上はパワーモジュールとパワーデバイスでほぼ半分ずつです。 2026年3月期は白物家電向けIPMが中心のパワーモジュールが19.0%減り、パワーデバイスは4.8%減でした。
売上高801億円 / 営業損失−47億円
前期は売上高1,216億円、営業損失−37億円です。 経常損失は−88億円、親会社株主に帰属する当期純損失は−98億円でした。 売上高営業利益率はマイナス5.9%です。
売上高186億円 / 営業損失−20億円
前年同期は売上高222億円、営業損失−3.9億円です。 自動車が70億円で1.7%増えた一方、白物家電は87億円で19.1%減、産機・民生は29億円で11.3%減りました。
売上高865億円 / 営業利益14億円
売上高は前期比7.9%増、親会社株主に帰属する当期純利益は10億円の予想です。 上期は売上高393億円、営業損失−24億円を見込み、下期で挽回する計画です。 第1四半期決算でも予想を変えていません。
研究開発費54億円 / 設備投資62億円
研究開発費は売上高の6.74%です。 設備投資の主なものは生産設備と試験研究設備の購入です。
2026年3月期の製品別売上高
2027年3月期第1四半期の市場別売上高
03強みとリスク
強みと、リスク・検討点
強みはIPMで世界5位とされる製品力と、素子からパッケージまで自社で開発する体制です。 弱点は同じIPMの売上が中国の白物家電に寄っていた点で、そこが国産品に置き換わり、2期続けて営業赤字になりました。
強み
- IPMで世界5位の地位
会社が決算説明会資料で引用する富士経済の調査では、サンケン電気はIPMで世界5位・国内3位、シェアは10%です。 製品別売上でもパワーモジュールが405億円と最大で、エアコン、洗濯機、冷蔵庫などの民生品と産業品に使うIPMが中心です。
2026年3月期 決算説明会資料 - 自動車向けの底堅さと顧客の分散
2026年3月期の自動車向け売上は313億円で、前期比0.9%減にとどまりました。 バッテリーEVの成長は鈍ったものの、ハイブリッド車を含むエンジン車向けが安定し、2027年3月期第1四半期は1.7%増えています。 有価証券報告書では、売上高の10%以上を占める販売先はありません。
2026年3月期 有価証券報告書 - 素子からパッケージまでの自社開発
研究開発費は54億円で売上高の6.74%です。 前工程の素子プロセスから後工程の実装・パッケージまでをSPP(Sanken Power-electronics Platform)として共通化し、2021年に開設したものづくり開発センターへ各工場の生産技術開発を集めました。 パイロットラインで量産設備を検証できます。
開発施設紹介 - 赤字でも自己資本比率50.1%
2026年3月期末の自己資本比率は50.1%、デット・エクイティ・レシオは0.67倍です。 2024年12月からの自己株式取得では417万株、299億円を買い付け、2025年10月に消却しました。
2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
リスク・検討点
- 中国の白物家電で国産品への置き換え
2026年3月期の白物家電向けは364億円で、前期比21.5%減りました。 中国市場で自国製半導体への切り替えが進み、第2四半期以降の売上が大きく減っています。 2027年3月期第1四半期も韓国顧客向けは伸びたものの、中国向けのシェア減で白物家電は19.1%減でした。 売上の45.5%を占める市場で、主要顧客の調達方針の変化が直接響く構造です。
2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結) - 金属建値と価格競争が利益を削る
金属建値の高騰と中国の売上減で、2026年3月期の営業損失は−47億円に広がりました。 会社は適正売価の交渉と、ワイヤを金から銅へ替える材料変更交渉を顧客と進めています。 有価証券報告書は、競合製品の投入や顧客の調達先見直しによる販売価格の低下を事業リスクに挙げています。
2026年3月期 有価証券報告書 - 工場再編と人員削減が続く
石川サンケンの志賀工場は2026年4月末に閉鎖を終え、2026年3月期に特別退職金24億円を計上しました。 山形サンケンでは65名程度の希望退職を募り、2027年3月期に約7.0億円の特別損失を見込みます。 生産調整の影響で上期は赤字の予想です。
2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) - 営業キャッシュ・フローの赤字と借入の増加
2026年3月期の営業キャッシュ・フローはマイナス89億円で、2期続けてマイナスです。 期末の現金及び現金同等物は348億円で、短期借入金は211億円増えました。 下期の生産回復が遅れると、自己資本比率50.1%の財務にも負担が移ります。
2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) - Allegroの持分法損益と為替
サンケン電気はAllegro MicroSystemsの議決権の32.2%を持ち、同社を持分法適用関連会社としています。 2026年3月期の持分法投資損失は21億円でした。 2027年3月期の想定では、対ドルで1円変動すると年間で売上高が約4.0億円、営業利益が約1.3億円動き、円高はマイナスに働きます。
2026年3月期 決算説明会資料
04待遇
給与、初任給、休日、手当
新卒の初任給は修士了31.4万円、大卒28.9万円です。 2026年3月期の有価証券報告書では、提出会社の従業員842名の平均年間給与は711.4万円、平均年齢は44.0歳、平均勤続年数は17.5年です。
新卒初任給(月給)
- 新卒の初任給と採用人数
- 2026年4月の実績で修士了31.4万円、大卒28.9万円です。 2027年4月入社の採用予定は20名程度で、条件は 新卒募集要項 に載ります。
- 平均年間給与
- 提出会社の従業員842名の平均年間給与は711.4万円、平均年齢44.0歳、平均勤続年数17.5年です。 連結の従業員数は2,683名です。 2026年3月期 有価証券報告書 の従業員の状況に載ります。
- 休日と勤務時間
- 年間休日は例年約130日です。 中途採用の募集要項では、勤務時間はフレックスタイム制(コアタイムなし)、有給休暇は初年度20日、最高24日です。
- キャリアの分かれ方
- 管理職へ上がるときに、部下を持ってマネジメントを行う「ライン職」と、部下を持たずに専門性を高める「プロフェッショナル職」を本人の希望と面談で選べます。 職種紹介 で説明されています。
05勤務地と職種
どこで、どんな仕事をするか
本社は埼玉県新座市にあり、研究開発と製造の設備を持ちます。 量産は石川・山形・福島・新潟の国内子会社と、中国大連、韓国天安の子会社が担います。
主な勤務地・拠点
- 本社
- 埼玉県新座市北野本社事務統括・製造及び研究開発設備、従業員689名
- 営業拠点
- 東京都豊島区ほか販売及び渉外業務
- 国内の製造子会社
- 石川サンケン(石川県志賀町、堀松工場ほか、731名)、山形サンケン(山形県東根市、330名)、福島サンケン(福島県二本松市、260名)、新潟サンケン(新潟県小千谷市)
- 海外の製造子会社
- 大連三墾電気有限公司(中国遼寧省大連市、289名)、EK Co.、Ltd.(韓国忠清南道天安市)
新卒採用の職種
- 回路設計
- 素子開発
- パッケージ開発
- 量産加工技術
- 製造ライン構築
- 国内営業
- 海外営業
- 知財
- 資材調達
前半5つが技術系、後半4つが事務職の職種です。 2027年4月入社の採用予定は20名程度です。
06これから
会社が次に取りにいくもの
会社は24中計の最終年度にあたる2028年3月期のサンケンコアの計画を売上高875億円、営業利益率4%以上に引き下げました。 2027年3月期は売上高865億円、営業利益14億円で黒字転換を見込みます。
24中計のサンケンコア計画と2026年3月期実績
- サンケンコア売上高 786億円 2028年3月期計画は875億円
- サンケンコア営業利益率 △5.7% 2028年3月期計画は4%以上
これからの材料
- 後工程の協業
- ミネベアパワーデバイスと民生・産業向けIPMの後工程生産協業と共同開発で合意し、2027年度の量産開始を目標にミネベアパワーデバイスの原町工場内へ後工程ラインを新設すると 協業開始のお知らせ に載ります。
- GaN・SiC
- パウデックのPSJ技術でGaNデバイスの早期上市を進め、SiCでは超低損失SiCモジュールの事業化を検討しています。
- 新市場
- データセンターのチラー冷却水循環ポンプ、業務用空調、韓国OLED-TV向けデジタル電源ICなど、白物家電と自動車以外の用途を広げています。
車載空調用IPMとミネベアとの後工程協業
電動コンプレッサー向けIPMは国内のBEV/PHEV新モデルに搭載され、会社は自動車空調向けパワーモジュールの拡販を掲げます。 民生・産業向けIPMでは、ミネベアパワーデバイスと後工程の生産協業と共同開発で合意し、2027年度の量産開始を目標にミネベアパワーデバイスの原町工場(福島県南相馬市)内へ後工程ラインを新設します。 EVトラクションモータ用パワーモジュールは伸び悩んでおり、車載空調向けIPMの搭載車種がどこまで増えるかで自動車向けの伸びが決まります。
白物家電の顧客を中国から広げる
会社は中国の輸出モデル向けを維持しつつ、韓国顧客でのシェア拡大を進めます。 インドのエアコン3社と欧州の洗濯機向けにIPMが採用され、2026年1月にはアジア戦略室を新設しました。 韓国・インド・欧州の新規案件が、中国で失った白物家電の売上をどの速さで埋めるかで、2027年3月期の下期回復が決まります。
GaNとSiCの次世代デバイス
2025年4月にパウデックを買収し、同社のPSJ技術をNEDO事業で得たGaN on Si技術と組み合わせて独自のデバイス構造を開発しています。 SiCでは産業技術研究所と共同で実施したSiC-IC技術の開発検証を終え、超低損失SiCモジュールの事業化を検討しています。
産機・データセンター・モビリティの新用途
データセンターのチラー冷却水循環ポンプ向けにEVトラクションモータ用パワーモジュールを応用し、海外顧客で評価が続いています。 汎用ポンプ用1200V高耐圧ケースモジュールは海外大手顧客に採用されました。 新たにモビリティ戦略室を設け、新市場への拡販を始めています。 産機・民生向けは2026年3月期に107億円で前期比9.8%減でした。評価中の案件が量産受注へ移るかが伸びの条件です。
24中計の下方修正と次期中計
24中計の最終年度にあたる2028年3月期のサンケンコアの計画は売上高875億円、営業利益率4%以上です。 当初の目標だったサンケンコア売上高1,000億円以上、営業利益率10%から引き下げ、1,000億円以上は次期中計のイメージに移しました。 サンケンコアの2026年3月期実績786億円、営業利益率△5.7%から875億円、4%以上へ戻すには、白物家電の中国減を他地域で補うことが前提になります。
07入口を選ぶ
専攻から、入口を1つに絞る
IPM、パワーデバイス、電源ICのうち自分の専攻と重なる製品を1つ選び、技術系と事務職のどちらで応募するかを決めます。
研究・設計開発(回路設計・素子開発・パッケージ開発)
新卒募集要項の技術系職種です。 職種紹介では、システム開発、アナログ回路開発、デジタル回路開発、ソフトウェア設計、製品設計に分かれ、アナログ回路開発はパワー制御用モジュール製品、アナログIC、車載向けIC、ディスクリート製品を担当します。
公式採用情報パワーデバイス開発
職種紹介では、MOS-FETやIGBTといったパワー半導体チップを担当し、主力のシリコンに加えてSiCも対象です。 自らデザインする開発と、顧客要求に沿ったチップ開発の2タイプがあります。
公式採用情報生産技術(量産加工技術・製造ライン構築)
新卒募集要項の技術系職種です。 製造は石川・山形・福島・新潟の国内子会社と、中国大連・韓国天安の海外子会社が担い、後工程の生産再編と志賀工場の閉鎖を経て工場配置が変わっています。
- Back-end Process
- Wire Bonding
- Production Line
- Yield
応募前の3手
- IPM、パワーMOSFET、AC/DCコンバータICから1製品を選び、使われる家電や車の部位をノートへ書く
- 2026年3月期の白物家電・自動車・産機・民生の売上と増減率を書き出し、担当したい市場を決める
- 新卒募集要項の職種、採用学科、初任給、選考方法を公式ページから書き出す
面接で使う技術語
- IPM
- Analog IC
- Gate Driver
- Motor Control
- Package Design
- Power MOSFET
- IGBT
- SiC
- GaN
- Device Physics
技術職は電気、電子、通信、情報、物理、応物、材料、化学、応化、機械などの学科が対象です。
他社との違いを一言で
- 白物家電・産業用のIPM
三菱電機
三菱電機の製品ページは、SLIMDIP、超小型DIPIPM、大型DIPIPM、G1シリーズIPMなどのシリコン品に加え、フルSiC超小型DIPIPMやSiC SLIMDIPを並べています。サンケン電気はIPMを含むパワーモジュールの売上が2026年3月期に405億円で、SiCは超低損失SiCモジュールの事業化を検討している段階です。
- 産業機器・エアコン向けIPM
富士電機
富士電機はIPMをNC・サーボ、エアコンなどに適用でき、小容量向けのSmall IPMと中容量向けのIPMを系列化し、Xシリーズで650V、1200Vクラスをそろえると記載しています。サンケン電気は売上の45.5%が白物家電向けで、産機・民生向けは13.4%です。
- 家電・産業用IPMの製品群
Infineon Technologies
InfineonはIPMをCIPOS Micro、Mini、Nano、Maxiの各ファミリーに分けて展開しています。サンケン電気は自動車向けが売上の39.2%を占め、車載用IPMや電動コンプレッサ向けモジュールも製品に持ちます。
出典17件
- 公式 会社概要
- 公式 製品一覧(半導体デバイス)
- IR 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) 2026年3月期
- IR 2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結) 2027年3月期第1四半期
- IR 2026年3月期 決算説明会資料 2026年3月期
- IR 2026年3月期 決算補足資料(データ) 2026年3月期
- IR 2026年3月期 有価証券報告書 2026年3月期
- IR ミネベアパワーデバイスとサンケン電気、民生・産業向けパワーモジュール事業で協業開始
ほか9件
- 採用 採用情報
- 採用 新卒募集要項
- 採用 職種紹介
- 採用 データで見るサンケン電気
- 採用 中途採用
- 採用 開発施設紹介
- 公式 三菱電機 IPM/DIPIPM
- 公式 富士電機 IGBTモジュール IPM
- 公式 Infineon Intelligent power modules (IPM)