フォーカス補正後も残る局所段差GlobalFoundriesの実験で1か所が悪化
配線層のCMP後の段差は、次の層を露光するときの焦点をずらす。露光機は表面の起伏をなぞって焦点を補正するが、補正をかけても段差が悪化した箇所が残った実験がある。GlobalFoundriesの技術者らは2014年のSPIEの論文で、28 nm以下の世代を背景に、製造中の設計に露光機の焦点補正をかけた結果、3か所のうち2か所で段差が改善し、1か所で悪化した1と報告した。
著者らは、露光機の露光領域が設計上の局所の段差より広いという違いを挙げ、その差から焦点に弱い箇所が新たに生まれ、見逃されるおそれがある1と書く。ここでいう露光領域とは、論文がscanner exposure windowと呼ぶ、露光機が焦点を合わせる領域の大きさを指す。露光の条件の振れ幅を表す工程の余裕(process window)とは別の量だ。段差の元になるディッシングとは、CMPで太い配線の中央が周りより削れてへこむことを指し、エロージョンは配線の密な領域が絶縁膜ごと削れることを指す。どちらもパターン密度、線間、線幅に強く依存する1。配線層で取る値は膜厚、段差、ボイド、Cuのへこみで、検査・計測装置ごとに測り分ける。
段差は焦点のずれとして、次の層の露光の余裕を狭める
Section titled “段差は焦点のずれとして、次の層の露光の余裕を狭める”開口数(NA)の大きいレンズほど、解像度と引き換えに焦点深度が浅くなる。IBMの技術者らは2004年、設計の悪いチップと多層の配線構造が重なると、局所の段差が高NAのレンズの焦点の予算を超え、工程の余裕が大きく狭まり、線幅のばらつきが増える2と報告した。この論文は、スクライブ線と製品の領域の段差を原子間力顕微鏡で測り、焦点と露光量を振った評価で段差と焦点の問題を結びつけている。
上の配線層ほど、この影響は大きい。GlobalFoundriesの技術者らは2015年、上位の金属層ではCMPがつくる段差のばらつきが工程の余裕を狭める大きな要因になり、段差の違う構造ごとに最適な焦点が変わる3と書いた。従来の検証の手順は、CMP後の段差のばらつきを焦点のばらつきの一部としてまとめて扱っていたという。
露光機は起伏をなぞって焦点を合わせ、それでも局所の段差との差が残る
Section titled “露光機は起伏をなぞって焦点を合わせ、それでも局所の段差との差が残る”露光機は、ウェーハ表面の高さを測って焦点面を合わせる。2014年のGlobalFoundriesの論文は、露光機が与えられた起伏をなぞって段差のばらつきを補正する1と書く。2004年のIBMの論文も、多点の焦点合わせやダイごとの水平出し2で焦点の余裕を取り戻す方法として、ASMLの複数の水平出しの方式を比べた。
2014年の実験では、補正をかけた後も1か所で段差が悪化し、著者らは製造性の要求を満たすには補正に加えて別の改善が要る1と結論した。論文の題名は「Scanner correction capabilities aware CMP lithography hotspot analysis」で、露光機の補正能力を考慮したCMPと露光の弱点解析を扱う。
追い切れない段差は、設計の検証とCMPの側で扱われている
Section titled “追い切れない段差は、設計の検証とCMPの側で扱われている”2015年のGlobalFoundriesの論文は、段差による焦点のずれを光近接効果補正(OPC)の検証に入れる手順を示した。この手順で見つけた弱い箇所は、従来の手順より、ウェーハ上の結果との一致がよかった3と報告している。検証は、段差に応じて変えた焦点の条件で行い、そのマスクデータを使ってよいかを判断する。
段差の元のディッシングは、工程と設計の両方で抑えられる。2004年のUC Berkeleyの論文は、ディッシングの指標としてdishing radiusを定め、ディッシングの電気的な影響は工程と設計の両方の段で抑えられ、dishing radiusが50 µm未満のときに工程の改善が最も効き、設計では太い線を2〜4本に分けるのが効率と性能の両面でよいとした4。ディッシングを抑えるCMPの止めどきは終点検出と装置内計測で決まり、RuやMoの配線では測る値がエッチ後の線とビアへ広がる。