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リソグラフィ不良は4ブロックで切り分け|塗布・露光・現像・計測へ測定値を返す

リソグラフィとは、ウェーハに塗った感光性の膜(レジスト)へ、マスクを通した光で回路の形を写し、現像して、エッチングやイオン注入が使う型を作る工程だ。主な工程は、レジストを塗る塗布、光を当てる露光、溶ける部分を除く現像、そして重ね合わせや欠陥を測って補正へ返す計測の4つになる。できたパターンの良し悪しは、露光機だけで決まらない。

塗布や計測の装置も、歩留まりを数字で動かす。塗布現像装置を作る東京エレクトロン(TEL)は、塗布の不具合に由来するウェーハ欠陥が、新機種では同社の従来機より50%以上少ない1と試算する。ASMLは、ウェーハ上で測った重ね合わせと焦点の値を露光機へ戻して補正する2計測装置を売っている。エッチ後の線幅ばらつきや opens / shorts を追うときに露光の条件を振るだけでは足りないのは、このためだ。この記事では4ブロックの役割を説明したうえで、不良の起点を4つに分けて追う。

露光が変えるのはレジストの化学状態で、下地の形を変えるのはエッチングだ

Section titled “露光が変えるのはレジストの化学状態で、下地の形を変えるのはエッチングだ”

リソグラフィは4つの動作でできている。ウェーハに下層膜とレジストを塗る。マスクを通した光でレジストの化学状態を変える。現像3で溶ける部分を取り除く。残ったレジストを型にして、エッチングやイオン注入が下地を加工する。

図1レジストが形を運ぶ4段階
① 膜と表面の準備 レジスト 下層膜・BARC 下地 膜厚をそろえる ② 露光 マスク レジスト 下層膜・BARC 下地 化学状態が変わる ③ 現像 レジスト 下層膜・BARC 下地 溶けた部分を除く ④ 次工程へ受け渡し レジスト 下層膜・BARC 下地 下地を加工する
露光で変わるのはレジストの化学状態で、下地を加工するのは残ったレジストを型にするエッチングやイオン注入だ。エッチ後の線幅は、この型の形とエッチングの写し方の両方で決まる。

レジストは形を次の工程へ運ぶ一時的な型だ。エッチ後の線幅は、この型の形と、エッチングがその形をどれだけ忠実に写すかの両方で決まる。だから、エッチ後の線幅だけを見ていると、露光、現像、エッチングのどこで崩れたかが分からない。

4ブロックに分けると、測った値の返し先が決まる

Section titled “4ブロックに分けると、測った値の返し先が決まる”

リソグラフィを、膜と表面の準備、露光と像形成、現像とパターン残し、計測と補正の4ブロックに分けて見る。露光機が受け持つのは2番目のブロックだけだ。

ブロック何をするか崩れると出る不良
膜と表面の準備下層膜、反射防止膜、レジストを塗り、表面をそろえる密着不良、膜厚むら、パターン倒れ
露光と像形成光学像をレジストへ写す解像不足、焦点余裕の低下、重ね合わせの悪化
現像とパターン残し溶けやすさの差で必要な形だけ残す線の縁の荒れ、残渣、欠け、ブリッジ
計測と補正重ね合わせ、欠陥、線幅(CD)を測り、補正条件へ返す異常の発見の遅れ、装置間の差
図24ブロックと補正条件の返し先
patterning cluster 膜と表面の準備 密着不良 膜厚むら パターン倒れ 成膜・洗浄・塗布 露光と像形成 解像不足 焦点余裕の低下 重ね合わせ悪化 露光機はここ 現像とパターン残し 線の縁の荒れ 残渣・欠け bridging 現像・エッチング 計測と補正 欠陥・CDを測る 異常の発見遅れ 装置間の差 検査・計測装置 測定値を補正条件へ返す
露光機は4ブロックのうち像形成の1装置にすぎない。計測で得た重ね合わせ・欠陥・線幅の値は前の3ブロックへ返り、どこへ返すかで原因の候補が絞られる。

露光の良し悪しを示す指標も、ブロックごとに効き方が違う。解像度は単一露光で作れる最小の線や穴、depth of focus(DOF)は焦点がずれても許せる高さの幅、dose は必要な露光量だ。overlay は前の層と今の層の重なりの正確さ、defectivity は欠け、ブリッジ、粒子起点の不良、確率的な欠陥がどれだけ残るかを表す。dose を下げると欠陥が増えやすい。Lam Researchは、EUVでは露光量(コスト)と欠陥(歩留まり)の間にトレードオフがある4と説明する。

エッチ後の線幅ばらつきは、4つの起点に分けて追う

Section titled “エッチ後の線幅ばらつきは、4つの起点に分けて追う”

露光機の解像度が足りているのに、エッチ後の線幅がばらつき、コンタクトの opens / shorts が出ることがある。この記事では、その起点をレジストの膜厚、下地からの反射、塗布の欠陥、前の層との重ね合わせの4つに分けて追う。4つは、測った値を返す先のブロックがそれぞれ違う。

レジストの膜厚がずれると、線幅が周期的に振れる

Section titled “レジストの膜厚がずれると、線幅が周期的に振れる”

露光の光はレジストの表面と下の膜の境目で反射し、薄膜の中で干渉する。そのため、レジストに入る光の量は膜厚に対して正弦波のように増減し、膜厚に対して線幅が周期的に振れる5。この現象を swing curve と呼ぶ。この特許は、swing curve による線幅のずれが小さい条件で工程を運用することが望ましいとし、レジストの反射率から振れ幅を比べる方法を示している。

下地からの反射は、定在波とノッチングを起こす

Section titled “下地からの反射は、定在波とノッチングを起こす”

Brewer Scienceは、磨かれたシリコンウェーハで反射した光がレジストへ戻り、定在波や反射によるノッチングを起こしてパターンの忠実度を損なう6と説明する。反射防止膜(BARC)はこの反射を吸収するために塗る。下地の膜の種類や厚さが変わる場所で線幅がずれるなら、反射防止膜と下地の組み合わせを確かめる。

塗布の欠陥は、露光の前に生まれる

Section titled “塗布の欠陥は、露光の前に生まれる”

塗布現像装置も欠陥の量を左右する。TELは、新機種LITHIUS Pro DICEで塗布の不具合に由来するウェーハ欠陥と関連コストが、同社の従来機より50%以上少ない1と試算する。この装置は内部に多数のセンサーを持ち、異常を検知すると警告を出すか装置を止める。薬液の供給系も大きく改良したという。装置の詳しい機能はTEL LITHIUS Pro DICEの解説にまとめている。

opens / shorts が層の重なる場所で出るなら、重ね合わせを測る

Section titled “opens / shorts が層の重なる場所で出るなら、重ね合わせを測る”

コンタクトやビアは、下の層の配線や素子の上に穴を開けて電気をつなぐ。ASMLは overlay を2つの層がどれだけ正確に重なっているか2と定義する。穴が下の層からずれれば接触が足りずに opens になり、隣の配線にかかれば shorts になる。線幅が規格内に入っているのに opens / shorts が出るなら、まず前の層との重ね合わせを測る。ASMLは、層を重ねる間に露光機の中で集めたデータを解析し、位置合わせと重ね合わせを最適化する2ソフトウェアも用意している。

EUVでは、これに確率的な欠陥が加わる。少ない光子の数のばらつきが断線やブリッジを作る仕組みは、EUVリソグラフィの光子と確率的欠陥で扱う。

測る時点と速さで、原因を絞れる範囲が変わる

Section titled “測る時点と速さで、原因を絞れる範囲が変わる”

計測と補正のブロックは、測った値をどのブロックへ返すかを決める。ASMLの YieldStar は、光の回折で重ね合わせと焦点を測る装置で、塗布現像ラインに組み込まれ、測った値を露光機へリアルタイムで戻す2。一方、電子線検査は分解能が1 nmと高いが測定が遅く、主にエッチングの後に使う2。

この速さの差を使って、この記事では切り分けを次のように組み立てる。現像後の重ね合わせと焦点の値が規格内で、エッチ後の検査だけで不良が出るなら、エッチングを先に調べる。現像後の値がすでに外れているなら、膜の準備、露光、現像のどれかへ戻る。どの段階で何を測った値として記録するかは、フォトレジスト材料とパターン品質で扱う。

High-NAに替えても、この切り分けは同じだ

Section titled “High-NAに替えても、この切り分けは同じだ”

露光機の開口数(NA)を0.33から0.55へ上げたHigh-NA EUVは、単一露光で作れる寸法を小さくする7。膜厚、反射、塗布欠陥、重ね合わせ、確率的な欠陥は、NAを上げた後も残る。High-NAの効果を工程数と電気的な歩留まりのデータからたどると、効果が出たのは従来の露光機では露光を何回にも分けていた層だと読める。High-NAの量産に要る塗布現像、レジスト、マスク、ペリクル、検査の供給元も、それぞれ別の会社だ。

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