Tokyo Electron
CLEAN TRACK LITHIUS Pro DICE
TELの発売発表。High-NA EUVとDUVの塗布現像で、塗布不良による欠陥を旧機種比50%以上減らすとTELは試算する。
公式発表へ東京エレクトロン(TEL)、Applied Materials(AMAT)、Lam Researchが2024年から2026年に発表・発売した装置から、本記事は下の表の10件を選んだ。働く層ごとに並べると、6件がGAAトランジスタとそのコンタクトに入り、どちらの層にも3社の装置がある。コンタクトとは、トランジスタと銅配線をつなぐ細い金属の柱を指す。この層でAMATとLamはタングステン(W)に代わるモリブデン(Mo)を成膜し、TELは自然酸化膜を除いてTiを成膜する工程を1台にまとめた。
コンタクトでの3社の違いは、抵抗を下げる対象にある。AMATとLamは穴を埋める金属の抵抗を下げ、TELは酸化膜を除いてTiシリサイドを作り、シリコンとの界面の抵抗を下げる。残る4件は、枚葉成膜のEpisode 2、High-NA EUVの塗布現像、EUVのパターン整形、3D NANDの深穴エッチだ。
| 会社 | 装置 | 発表・発売 | 働く層 | 何をするか |
|---|---|---|---|---|
| TEL | Episode 1 | 2024年7月 | GAAトランジスタ、コンタクト | 自然酸化膜の除去とTi成膜を真空のまま続ける。inner spacerの横方向の埋め込みにも使う |
| TEL | Episode 2 DMR・QMR | DMRは2024年7月、QMRは2026年予定 | 枚葉の成膜 | DMRは1つの処理室で2枚を処理する |
| TEL | LITHIUS Pro DICE | 2025年12月 | High-NA EUVとDUVの塗布現像 | 塗布不良による欠陥を旧機種比で50%以上減らす(TELの試算) |
| AMAT | Sculpta、Pioneer | 2024年2月(Sculptaは2023年発表) | EUVのパターニング | パターンの先端を伸ばし、EUVの2回露光の工程を減らす |
| AMAT | Viva | 2026年2月 | GAAトランジスタ | ナノシートの表面をラジカルで整える |
| AMAT | Sym3 Z Magnum | 2026年2月 | GAAトランジスタ | 溝の深さと側壁の形をそろえる |
| AMAT | Spectral | 2026年2月 | コンタクト | WのコンタクトをMoに替える |
| Lam | Akara | 2025年2月 | GAAトランジスタ、DRAM | 導電膜をエッチングする |
| Lam | ALTUS Halo | 2025年2月 | コンタクト、3D NANDのワード線 | MoをALDで成膜する |
| Lam | Cryo 3.0 | 2024年7月 | 3D NANDのメモリチャネル | 極低温で深い穴を掘る |
表の発表時期と働く層は、各社の発表資料とTELの2025年IR Dayによる1。このほか2026年3月には、LamとIBMが1 nm未満のロジックに向けた5年間の共同開発2を発表した。
コンタクトは、トランジスタのソース・ドレインと上の銅配線をつなぐ。AMATは、2 nmより先ではこの柱が細くなり、チップ全体の抵抗に占める割合が大きくなる3と説明する。そのうえで、WからMoへの切り替えを狙う装置を2社が出した。
AMATのSpectralは3、単結晶のMoを選択的に成膜する。AMATは、自社の選択Wの装置Volta Selective Tungstenと比べて接触抵抗が最大15%下がるとし、2 nm以下のロジックで大手メーカーが採用していると発表した。LamのALTUS HaloはMoをALDで成膜する。Lamは、Moは細い配線でWより抵抗が低く、密着層やバリア層が要らないと説明し、多くの場合で従来のWより抵抗が50%以上改善するとする4。Lamは用途に3D NANDのワード線、DRAM、GAAロジックを挙げる。
2社の数字は、比べる相手のWが違う。AMATの15%は自社の選択Wとの比較で、Lamの50%は従来のWとの比較だ。基準をそろえた読み方はMoのコンタクト抵抗の改善幅、2社の量産段階の違いはMo ALDのApplied対Lamにまとめた。
TELは2025年2月のIR Dayで、2024年7月に発売したEpisode 1でコンタクトを作る流れ1を示した。エピタキシャル成長したシリコンの上の自然酸化膜を化学的に除き(COR)、熱処理(PHT)をしてから、CVDでTiを成膜してシリサイドを作る。TELは、高真空の搬送室に種類の違う処理室を複数つなぎ、酸化膜の除去と金属の成膜を続けて処理することで低抵抗のコンタクトを作ると説明する。
TELの資料が示すのはエピタキシャル成長したシリコンの上にTiシリサイドを作るところまでで、AMATとLamの発表はMoで穴を埋める工程を示す。本記事はこの違いを、同じコンタクトの中で界面と埋め込み金属という別の部分を扱うものと読む。界面の酸化膜については、imecもMoのコンタクトの試験で、それを除けば抵抗がさらに下がると見込んでいる。その試験の中身はMoコンタクトの検証にまとめた。
TELはEpisode 1を、GAAのinner spacer(ゲートとソース・ドレインを隔てる絶縁膜)にも使う。IR Dayのスライドは、横方向の細いすき間を継ぎ目なく埋めるために、薄い膜の成膜と新しい高密度プラズマでの膜の改質を組み合わせたとする。同じ資料によれば、Episode 21は枚葉の成膜プラットフォームで、1つの処理室で2枚を処理するDMRをEpisode 1と同じ2024年7月に発売し、QMRを2026年に出す予定だ。TELは、4つの処理室に4つの反応室を持つTriase+を1として、3つの処理室に6つの反応室を持つDMRの処理能力を2.31とする。
AMATは2026年2月、ナノシートを作る装置を2つ発表した。Vivaは3、遠隔プラズマから高いエネルギーのイオンを除き、中性のラジカルだけでナノシートの表面を処理する。AMATは、原子の大きさの凹凸や汚れでも電子の移動度が下がると説明する。Sym3 Z Magnumは、イオンの角度とエネルギーを別々に調整する第2世代のパルス電圧技術で、深さと側壁と底面のそろった溝を掘る。
LamのAkaraは導電膜のエッチング装置で、LamはGAA、6F²のDRAM、3D NANDに使えるとする5。Lamの発表文は、Akaraがすでにプレーナ型DRAMとファウンドリーのGAAの複数の工程で量産装置に選ばれていると書く。AMATは2026年4月に、STIとメタルゲートの成膜装置6も発表しており、その中身はAMATのオングストローム世代の成膜装置とメタルゲート向けALDの各社比較にまとめた。
TELは2025年12月、LITHIUS Pro DICE7を発売した。TELは旧機種と比べて、レジストの塗布不良による欠陥とそのコストを50%以上減らし、処理能力・床面積・排気量で見た生産性と環境性能を25%以上上げると試算する。対象はHigh-NA EUVとDUVの工程で、ロジック、DRAM、NANDに使える。製品群としてはLITHIUSシリーズ8のコータ・デベロッパの一つだ。
AMATは露光の後の工程から同じ課題に入る。2024年2月の発表で、AMATはSculptaでパターンの先端を伸ばし、EUVの2回露光の工程を減らせる9と説明し、高密度の炭素でできたパターニング膜Pioneerを組み合わせた。High-NA EUVの量産で何が律速になるかはHigh-NA EUVの量産ボトルネック、材料の比較はHigh-NA EUVレジスト比較で扱う。
3D NANDは、層を積むほど深く細い穴を掘る必要がある。Lamは2024年7月、Cryo 3.010で深さ最大10 µmのメモリチャネルを、上端から下端までの径の差を深さの0.1%未満に抑えて掘れると発表した。従来の絶縁膜エッチングと比べて速さは2.5倍で、ウェーハ1枚あたりの消費エネルギーは40%減、排出は最大90%減とLamは試算する。
TELも極低温のエッチングを開発しており、2社の量産段階の違いは3D NANDの極低温エッチ、Lam対TELで比べた。深い穴でエッチ装置が何をそろえようとしているかは、3D NANDの深穴エッチで装置メーカーが挙げる要件で掘り下げる。
2026年3月のLamとIBMの提携は、Albanyの研究拠点でナノシートとその先のデバイス、裏面電源の工程を組んで確かめる25年間の共同開発だ。一方、2025年2月のAkaraの発表文は、すでに量産装置に選ばれていると書いていた。3社の発表文が採用をどの段階まで書いているかは、装置発表が書く採用の段階で比べた。
工程ごとの各社のシェアは工程別の装置シェアと競争構造、エッチング装置を機種単位で並べた比較はAMAT・Lam・TELのエッチング装置分類にある。
Tokyo Electron
TELの発売発表。High-NA EUVとDUVの塗布現像で、塗布不良による欠陥を旧機種比50%以上減らすとTELは試算する。
公式発表へApplied Materials
AMATの製品ページ。Ta(N)のバリアとCuのシードを高真空のまま続けて成膜する装置で、3x/2xノード以降のロジックとメモリ向け。
公式ページApplied Materials
AMATの2026年2月の発表。ナノシートの表面処理Viva、溝のエッチングSym3 Z Magnum、Moのコンタクトを作るSpectralを発表した。
公式発表へAMATのEndura CuBS RF XTは、Ta(N)のバリアとCuのシードを高真空のまま続けて成膜する装置で、AMATの製品ページでは3x/2xノード以降のロジックとメモリ向けとされる11。AMATは2026年のViva発表で、Vivaを熱処理装置Pyraと組み合わせると銅配線の抵抗がさらに下がり、最先端ノードの下層の配線で銅を使い続けられる見込みだとした。