コンタクト抵抗、Mo化でさらに約15%低減Applied Materialsの試験構造で選択W比
GAAのコンタクト金属をWからMoに替えると、接触抵抗はApplied Materialsの試験構造で自社の選択Wより約15%下がる1。2026年2月の製品発表では、同じ比較を最大15%2と書いている。比べている相手は従来のWではなく、同社の選択Wだ。選択Wとは、穴の内側のライナー/バリアと核形成層を省き、Wを穴の底から選択的に埋める方式を指す。
その選択W自体が、すでに従来のWから大きく抵抗を下げていた。同社は、2020年に発表した選択Wを初期に入れたビアで従来のWより接触抵抗が40%を超えて下がった1と報告している。2つの数字を並べると、従来のWからMoまでの下げ幅は、選択Wで構造を変えた段と、Moで材料を替えた段の2段に分かれる。
1段目は、ライナー/バリアを抜いて導電断面を取り戻した選択W
Section titled “1段目は、ライナー/バリアを抜いて導電断面を取り戻した選択W”従来のWコンタクトは、穴の内側にTiNの密着・バリア層を付け、核形成層を重ねてからWで埋める。Applied Materialsによれば、7 nm世代のファウンドリーではコンタクトの穴の直径が約20 nmまで縮み、ライナー/バリアと核形成層が穴の体積の約75%を占め、Wは約25%しか残らない3。
同社は2020年7月、表面処理と選択成膜を真空中でつなぎ、バリアなしでWを穴の底から育てるEndura Volta Selective Tungstenを発表した。発表の時点で複数の大手顧客が採用を決めた3。同社は40%を超える低下を、バリアなしで導電金属を最大限に詰めた結果と説明する。選択成膜を量産に乗せる前処理、核形成、CMPの条件はMo contactとselective depositionの量産条件で扱う。
2段目のMoは、細い穴の側壁散乱に強い材料の差
Section titled “2段目のMoは、細い穴の側壁散乱に強い材料の差”選択Wでバリアを抜いた後も、穴が細くなるほどW自体の抵抗が上がる。Applied Materialsは、極端に狭い空間では電子が側壁にぶつかる回数が増え、抵抗が急に上がる1と説明する。Moは側壁での散乱の影響を受けにくく、寸法が縮んでも抵抗率が低く保たれる。
同社のブログによれば、先端の試験構造で、選択成膜したMoは選択Wより接触抵抗が約15%低い。2026年2月の発表では、単結晶のMoを選択成膜するALD装置Spectralで、業界の基準である自社のEndura Volta Selective Tungstenより、重要なコンタクトの抵抗を最大15%下げるとした2。比較の基準は、2020年に発表した選択Wと同じ製品名の装置だ。
Moの利点を引き出す条件も、同社は挙げている。極めて清浄な界面、下地の結晶格子との原子レベルの整合、密度や形の違う無数の穴で途切れない結晶粒の成長1の3つで、同社はこれらが長年、業界の前進を止めてきたとする。金属とSiの界面の作り方はコンタクト抵抗と真空一貫処理にまとめている。
2つの数字を掛けた値は、従来のWを100として51以下の上限になる
Section titled “2つの数字を掛けた値は、従来のWを100として51以下の上限になる”2段の数字を掛け合わせると、従来のWに対するMoの抵抗の目安になる。選択Wの40%超の低下は、従来のWを100として60以下を意味する。ここにブログの約15%を掛けると、Moは51以下という計算になる(60×0.85)。
この値は、年も構造も違う2つの報告値を掛けた計算で、同じ穴でMoとWを測った値ではない。選択Wの40%超は7 nm世代前後の初期のビア、Moの約15%は先端の試験構造の結果だ。
15%はコンタクトの1段の数字で、トランジスタ全体の改善はその一部になる
Section titled “15%はコンタクトの1段の数字で、トランジスタ全体の改善はその一部になる”GAAの電流は、ゲートが囲まないスペーサー下の領域、ソース/ドレイン、コンタクトを直列に通る。Moが下げるのはこのうちコンタクトの抵抗だけだ。この直列抵抗の内訳はGAAナノシートで駆動電流を下げる寄生抵抗で扱う。
Applied Materialsは、2 nmより先では細いコンタクトがチップ全体の抵抗の大きな部分を占めるとし2、Viva、Sym3 Z Magnum、Spectralの3装置を合わせた効果が、GAA世代の移行で得る電力性能の改善の大きな部分を占めると説明する。同社のブログは、15%の低下が数十億個のコンタクトに積み重なり、システムの速度と効率の改善につながるとする1。
Moのコンタクトは、2 nm級ロジックで量産装置の採用が始まっている
Section titled “Moのコンタクトは、2 nm級ロジックで量産装置の採用が始まっている”Applied Materialsは2026年2月、Spectralが2 nm以下のロジックで大手メーカーに採用されつつある2と発表し、ブログでは先端ロジックの生産向けに複数の顧客へ出荷済みとした1。Lam Researchは2025年2月、Mo ALD装置ALTUS Haloがすべての大手チップメーカーで認定と立ち上げの段階にあるとした4。
ロジックのコンタクトでは、選択成膜という作り方を保ったまま、金属をWからMoに替える形で置き換えが進んでいる。3D NANDのワード線を含むMo成膜の採用の広がりと、固体の前駆体という新しい需要はMoは3D NANDのワード線から量産に入るにまとめている。
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- 2Applied Materials:Spectral Mo ALDなどGAA向け3装置(2026年2月)ir.appliedmaterials.com abcd
- 3Applied Materials:選択Wでライナー/バリアを除く(2020年7月)ir.appliedmaterials.com ab
- 4Lam Research:Mo ALD装置ALTUS Halo(2025年2月)newsroom.lamresearch.com ↩