寄生抵抗が生じるGAAのアクセス領域最大成分はimecとUCLAで見解が別
GAAナノシートは、ゲートがチャネルを四方から包むことで短チャネル効果を抑える。全周ゲートが良くするのは、チャネルの中の電流の制御だ。電流はチャネルに入る前と出た後に、スペーサーの下の領域、ソース/ドレイン(S/D)のエピタキシャル層、金属のコンタクトを直列に通る。アクセス領域とは、ゲートが囲まないこの区間を指す。アクセス領域の抵抗が大きいと、ゲートの制御が良くても駆動電流は下がる。
アクセス領域の中で最大の寄生抵抗がどこかについて、2つの公開資料は別の成分を挙げる。imecは2019年、先端のSi CMOS全般について、14 nm世代から接触抵抗の増え方が急になり、S/Dの接触抵抗が支配的な寄生抵抗になったとした1。一方、UCLAの2022年の学位論文は、接触抵抗率を1×10⁻⁹ Ωcm²の1点に置いたTCADシミュレーションで、ナノシートでもゲート端のスペーサー下の領域が寄生抵抗の最大成分になる2と示した。
全周ゲートで良くなるのは、チャネルの中の電流の制御だ
Section titled “全周ゲートで良くなるのは、チャネルの中の電流の制御だ”同じUCLAの学位論文は、ゲート長とチャネルの厚さをそろえて、サブ5 nm級のナノシートと5 nm級のFinFETをシミュレーションで比べた。サブスレッショルド係数はナノシートが68.5 mV/dec、FinFETが74.6 mV/decで、オフ電流をそろえると、面積あたりのオン電流はナノシートが20%高い2。全周ゲートが短チャネル効果を抑えた分だけ、スイッチの切れが良くなる。
その代わり、ナノシートにはFinFETにない部材が要る。imecによれば、ナノシートではゲートとS/Dを絶縁して容量を下げる追加の誘電体、inner spacerが必要になり3、その形成はナノシートの工程で最も複雑なモジュールだ。ナノシートの次に検討されている構造はGAAのロードマップと次の構造候補にまとめている。
アクセス領域は、inner spacer、S/Dの溝とエピ、ナノシートの表面、コンタクトの4工程で作られる
Section titled “アクセス領域は、inner spacer、S/Dの溝とエピ、ナノシートの表面、コンタクトの4工程で作られる”inner spacerについて、東京エレクトロン(TEL)は2025年2月の投資家向け説明会で、隣り合う構造にまたがる幅が45 nm未満の場所に均一な膜を付けると、縦の隙間が詰まり、横の隙間にseamが残る4ことを課題に挙げた。埋め込みの各工程はinner spacerの難所は横穴の埋め込みで掘り下げる。
S/Dの溝について、Applied Materialsは、GAAの溝には深さの均一さ、まっすぐな側壁、平らな長方形の底が要り、わずかなばらつきがトランジスタの速度と電力効率に響く5と説明する。溝の中で育てるエピの役割はソース/ドレインエピタキシーと歪み工学にまとめている。
ナノシートの表面は、電流が流れるシートそのものの質を決める。Applied Materialsは、原子レベルの粗さや汚れでもナノシートの電気特性が大きく変わり、清浄で均一な表面が電子移動度を高めるとして5、2026年2月に表面処理装置Vivaを発表した。
コンタクトについて、Applied Materialsは同じ発表で、2 nmより先では細くなったコンタクトがチップ全体の抵抗の大きな部分を占めるとし5、コンタクトをWからMoに替えて、自社の選択W成膜に比べ重要なコンタクトの抵抗を最大15%下げるとした。この数字の比較の基準はWからMoへのコンタクト抵抗の下げ幅で分解する。金属とSiの界面はコンタクト抵抗と真空一貫処理で扱う。
imecは接触抵抗を、UCLAのTCADはスペーサー下を最大の寄生抵抗とする
Section titled “imecは接触抵抗を、UCLAのTCADはスペーサー下を最大の寄生抵抗とする”imecは2019年、微細化で接触面積が縮むほど接触抵抗が増え、将来の世代ではS/Dのコンタクトに2×10⁻⁹ Ωcm²未満の接触抵抗率が要るとした1。
UCLAの学位論文は、寄生抵抗をコンタクト、S/D、スペーサー下の3成分の直列に分けた。接触抵抗率をレーザーアニールで届くと仮定した1×10⁻⁹ Ωcm²に置くと、10 nm級FinFET、5 nm級FinFET、サブ5 nm級ナノシートの3つすべてでスペーサー下の抵抗が最大になった2。FinFETを10 nm級から5 nm級へ縮めると、S/Dが小さくなってコンタクトの抵抗は2倍になる。
GAAへの移行は、この内訳を動かす。同じ計算では、ナノシートのスペーサー下の抵抗は、導電断面が広いため5 nm級FinFETより約50%小さい。コンタクトとS/Dの抵抗は、再成長させたS/Dの大きさに縛られて約20%しか下がらない。電流はS/Dから3枚のシートへ分かれて流れ込むので、S/Dの実効抵抗も高くなる。この結果、ナノシートでは寄生抵抗に占めるS/Dとコンタクトの割合が増える2。
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- 1imec:7 nm以降のS/D接触抵抗と2×10⁻⁹ Ωcm²の目標(2019年4月)imec-int.com ab
- 2UCLA:ナノシートとFinFETの寄生抵抗の内訳、X. Duan学位論文(2022年)escholarship.org abcd
- 3imec:ナノシート時代とinner spacerの工程(ナノシート解説)imec-int.com ↩
- 4
- 5Applied Materials:GAA向けのViva、Sym3 Z Magnum、Spectral(2026年2月)ir.appliedmaterials.com abc