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歩留まりの基本、欠陥マップで原因を絞る|有効チップに占める良品の割合

歩留まりとは、ウェーハ上の全有効チップのうち良品チップが占める割合を指す。フィルテックの用語集1はこれを%で表すとし、DRAMのように1品種を作り続ける工程では、有効チップ領域の外でも良品が取れて100%を超えることがあると説明する。製造には数百〜数千の工程2が連なり、1つの工程のばらつきの悪影響が後の工程へ伝わる。最後の良品率はこの積み重ねの結果で、その数字だけでは不良が生まれた工程まで遡れない。

歩留まりが落ちたとき、最初の手がかりになるのは、不良がウェーハのどこに並んでいるかだ。露光の同じショット位置で繰り返す、外周に沿う、線状につながる、という形ごとに、論文や装置メーカーの資料は異なる発生源の候補を挙げている。これらの資料を並べると、形から疑う先を絞り、工場ごとの装置とロットの履歴で確かめる手順が組める。

歩留まりは、系統的な損失とランダムな欠陥の積で決まる

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2001年のITRS(国際半導体技術ロードマップ)の歩留まり向上の章は3、プローブ検査の歩留まりを2つの積で表す。1つは設計や工程条件で決まる系統的な歩留まり、もう1つはランダムな欠陥で決まる歩留まりだ。後者はチップ面積、電気的な欠陥密度D0、欠陥の固まり具合を表すクラスター係数の3つで決まり、ITRSは負の二項分布のモデルで計算する。チップが大きいほど、また欠陥密度が高いほど、良品の割合は下がる。この式から筆者が組む判断の順序はこうだ。歩留まりが落ちたら、まず系統的な損失かランダムな欠陥かを見分け、前者なら設計や条件を、後者なら欠陥の発生源を見直す。

ランダムな側の損失は、装置ごとの粒子の管理へ分けられる。ITRSは同じ章で、装置が1回の処理でウェーハに付ける粒子の数から欠陥の許容量を割り付け、装置メーカーに示す欠陥の目標値をこの計算から出している。

欠陥は検査装置で見つけ、種類と工程で分けて発生源へ近づく

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回路が細くなるほど、問題になる欠陥も小さくなる。日本電子の装置入門によれば4、歩留まり管理で問題となる欠陥の大きさはサブミクロンに下がった。可視光の光学式検査で見つけられるのは0.2 µm程度までなので、光学式で広い面積から欠陥を探し、走査電子顕微鏡(SEM)でその座標を拡大して形と成分を見る、という組み合わせが一般的だという。

SEM側では、自動欠陥レビュー(ADR)が欠陥を画面の中央に捉え、自動欠陥分類(ADC)が大きさと種類で分ける。分類した欠陥を工程やレイヤーごとに集計すると、欠陥が生まれた工程を絞れる。結果は歩留まり管理システム(YMS)へ送られ、判断材料として蓄積される。検査と計測の装置がどう分担するかは検査・計測・オーバーレイ装置の役割分担にまとめている。

欠陥マップの形は、最初に疑う装置や部材を絞る

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図1欠陥マップの形と、最初に疑う発生源
全面に散る 同じショット位置 外周に沿う 線状につながる 欠陥の種類 レチクル 装置の外周条件 搬送・研磨 ADCで分類 (筆者の整理) マスク上の欠陥 エッチング、熱処理 ロボット、CMP 欠陥・不良ダイ 露光ショット
同じショット位置、外周、線状の3列は論文や装置メーカーの資料が挙げる発生源の候補で、全面に散る列のADCでの分類は筆者の整理だ。最初に疑う先を絞り、装置とロットの履歴で確かめる。

マップの形を数える仕組みは、研究用のデータでも整っている。2015年の論文で公開されたWM-811Kは5、実際の量産で得たウェーハマップを集めたデータセットだ。Center、Donut、Scratch、Edge-Ring、Edge-Loc、Loc、Near-full、Random、Noneの9分類6が付いており、マップの形を自動で分類する研究の共通の土台になっている。

形ごとの発生源の候補は、次の資料が挙げている。

  • 同じショット位置で繰り返す形は、レチクル(露光の原版)を疑う。KLAの特許は、ウェーハ上の複数の場所でレチクルの同じ位置に当たる欠陥が繰り返し見つかれば、レチクル自体が原因の可能性がある7と書く。
  • 外周に沿う形は、装置がウェーハ外周に与える条件を疑う。Lam Researchは2019年、ウェーハのエッジは化学的、物理的、熱的な不連続性を制御しにくく、歩留まり損失のリスクが増える8と説明し、エッチング装置で外周の不連続性を平らにする機能と、ベベル(外周の斜面)から欠陥の原因を除く装置を出した。2026年のarXiv論文9がShinら(2024)を基にまとめた対応表は、外周全体のリング状の不良に急速熱処理(RTP)の温度制御の異常を、外周の一部の不良にアニールの温度の乱れやロードロック弁の汚れを対応させている。
  • 線状につながる形は、搬送と研磨を疑う。米オークリッジ国立研究所とSEMATECHが開発したマップ解析について、同研究所は1998年に、複数のダイにまたがる傷は、たいてい搬送ロボットによるウェーハの扱いの不具合を示す10と紹介した。前出の対応表も、Scratchの原因に搬送ロボット、ハンドリング、CMPによる機械的な損傷を挙げる。
  • 全面に散る形について、前出の対応表はRandomの原因に真空、ガス、液体の異常な噴出を挙げる。図1でこの形にADCでの分類を対応させたのは筆者の整理で、散った欠陥を種類で分けると発生源を絞り込める。

形を見たら、装置・チャンバー・ロットの履歴と突き合わせる

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形で候補を絞ったら、次はどのチャンバーやロードポートを通ったウェーハで出たかを突き合わせる。MicrochipとKLAの2011年の発表は、不良を出したチャンバーやロード位置を特定する作業は手間がかかると述べ、KLAのマップ解析ソフトを仕掛品(WIP)の履歴とつなぐことで、チャンバー間や装置間の欠陥数の差が見える11と報告した。同じ発表は、マップの形を工程装置、ハンドリング、材料のどれに由来するかと結び付けて監視すると説明している。

装置の点検、レシピの補正、材料ロットの切り分けのどれを選ぶかは、この突き合わせで決まる。前出のITRSの章も、設備、設計、工程、検査、仕掛品のデータを結び付けて原因を早く突き止める解析を、歩留まり向上の課題に挙げていた。直した条件は、前の工程の測定値で次の工程の条件を補正する制御(APC)2として工程に組み込む。工程の並びは半導体製造フロー全体像、工程ごとの装置は工程別の装置と材料で確かめられる。

CMPの凹凸は、後の工程の電気不良として現れる

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歩留まりを下げるのは、検査で見える異物や傷に加えて、表面の凹凸もある。CMPでは、研磨の後のウェーハに研磨材のカス、薬品のカス、削り屑が残り12、専用の洗浄装置で取り除く。配線が凹むディッシングや絶縁膜ごと削れるエロージョンは、配線抵抗を上げ、次の配線層の加工にも影響する。その経路と大きさはCMPの凹凸が電気不良になる経路で追っている。

歩留まりの数%は、工場の売上に直結する

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良品の数は、同じ投入枚数から得られる売上を決める。公開値を使って、歩留まりの差が売上やチップ1個あたりのコストをどれだけ動かすかを試算した記事は歩留まりの差を売上に換算するだ。

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