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ウェーハマップとは

ウェーハマップとは、ウェーハ上でどのチップが不良となったかを示すデータです。 落ちた数が同じでも、ウェーハのどこが落ちたかは毎回異なります。歩留まりが先週より5ポイント落ちたという報告から、どの工程へ人を割り当てるかを決めるには、この「どこ」が要ります。

不良の並び方は、原因ごとに違う傾向を持つ

Section titled “不良の並び方は、原因ごとに違う傾向を持つ”

ウェハマップ傾向は、不良原因ごとにさまざまな傾向を持ちます1。キオクシアは、傾向別に原因分析を行うことで真の不良要因を特定して対策へ進められるとし、そのため品質改善ではウェハマップ傾向分類の精度が重要になるとしています。同じ数の不良チップでも、外周にそろうか、中心にまとまるか、全面に散らばるかで、原因の候補が変わります。

同じ不良数、違う並び方
外周にそろう中心にまとまる全面に散らばる良品チップ不良チップ
3枚とも不良チップの数は同じで歩留まりの数字は変わりませんが、外周、中心、全面という並び方は原因ごとに違う傾向として現れます。

中身は、行と列で番地の付いた合否の表

Section titled “中身は、行と列で番地の付いた合否の表”

ルネサスは、IGBTのウエハ製品について、不良領域の情報をe-wafer mapと称す電子データで提供しています2。書式に含まれるのは、Wafer ID、Lot No.、Wafer No.、チップ寸法、マップ領域の行数と列数、マップ領域の原点座標、Pass数、Fail数、マップデータです。マップデータの記号は、1がPass、0がFail、ピリオドが空白です。地図というより、行と列で番地の付いた合否の表です。

地図から表へ
Wafer ID・Lot No.・Wafer No.チップ寸法・行数・列数・原点Pass数・Fail数..11111...1101111.101111111111111101111111011.1110111...01111..1 Pass0 Fail. 空白PassFail
e-wafer mapでは、ウェーハ上の位置が行と列の番地になり、各番地にPassなら1、Failなら0、チップのない場所にはピリオドが入ります。

XMLで書くSEMI G85のウェーハマップも、いくつかの区画に分かれ、それぞれがウェーハマップを記述するのに要るデータの一部を受け持ちます3。ビンの区画はビンコードごとに1つずつあり、何も入らない空のビンには項目が要りません。マップ本体では各ROWの後ろにビンコードを並べ、その個数はデバイスの区画で定めた列数と、ROWの行数は同じく行数と一致させます。番地ごとに入るのは合否の2値ではなくビンコードで、ビン分けの区分がそのまま地図に並びます。

テストで作り、良品の選別と前工程への還流に使う

Section titled “テストで作り、良品の選別と前工程への還流に使う”

作る場所はウェーハのテストで、検査は通常、プローバ、プローブカード、テスタの3つの構成で行います。ウェーハ中間検査工程は、後工程へ不良チップを流さない役目と、前工程へ解析した特性を返す役目を持ちます4。プローバの基本的な役割は、チップの電極とプローブカードの針をきちんと合わせて当てる動作を、指定したエリアの全チップへ順に繰り返す搬送・位置決めです。

出口は2つあります。下流側では、組立の前に不良ダイを外し、良品だけを次へ送ります。プロービングは、チップをウェハから切り離す前の段階で電気的なテストを行うことで5、ボンディングパッドへ探針を当てて測り、不良と判明したチップには印を付けて以降の工程から外します。ルネサスのように不良領域を電子データで顧客へ渡す形もあり、印を付ける渡し方とデータで渡す渡し方が並んでいます。良品ダイを選ぶ判断も、この情報が土台です。

上流側では、原因のある工程へ伝えます。YMS(歩留まり管理システム)は、歩留まりモニタと欠陥検査から解析までを行い6、その結果を欠陥のある工程へ伝えたり、APCを通じて装置のレシピへ先回りで渡したりしながら、歩留まりを総合的に管理し引き上げる統合システムです。JEITAの半導体技術ロードマップ専門委員会は1999年度の欠陥低減の報告で7、フォトリソグラフィの側から出てくる欠陥低減の要求として並べた項目の1つに、ウェーハマップの自動空間分布の特徴分析を挙げています。並び方を自動で解析することは、この時点で課題として並んでいました。

歩留まりという数字そのものにも区分があります。歩留りは製造工程における良品率で、工程歩留りとチップ歩留りに分かれます5。前者は投入したウェハの枚数のうち完成した良品ウェハが占める割合、後者は1枚のウェハから取れるチップ数のうちウェハテストで良品として残った数が占める割合です。ウェーハマップが直に支えるのは、このチップ歩留りのほうです。

自動分類は日常の傾向を仕分け、まれな新顔を取りこぼす

Section titled “自動分類は日常の傾向を仕分け、まれな新顔を取りこぼす”

キオクシアは、これまでクラスタリングによる分類を行ってきました1。同社は、その手法では日々定常的に出て発生ウェハ数もある程度多い傾向(同社の呼び方で既知マップ)なら分けられる一方、新規トラブルや出る頻度の低い傾向(同社の呼び方で新顔マップ)はうまく分類できないという課題があるとしています。新顔マップを正確に分類することが品質異常の早期検知と早期解決につながるとして、同社は三重大学と共同で手法を研究しました。

手法は2つです。1つは、既知マップごとに2値分類器を作って直列につなぐ組み方です。2値分類器は、ある特定の面内傾向とそれ以外を分ける機械学習モデルで、一つひとつが濾過フィルターのように働きます。既知マップと新顔マップが混ざったデータを流すと、どの分類器にも反応しなかったマップが最後まで残り、そこへ新顔マップが集まります。もう1つは、GANベースの生成手法で疑似的な新顔マップを作り、各2値分類器の学習に使うデータセットを増やすやり方です。

直列の2値分類器
既知と新顔が混ざったマップ既知マップごとの2値分類器反応したマップは既知の傾向へどれにも反応せず残った群新顔(Donut)30%
既知マップごとの2値分類器を直列につなぐと、どれにも反応しなかったマップが最後に残ります。WM-811Kでの検証では、その群の30%が新顔のDonutでした。

検証には、Kaggleで公開されているWM-811Kデータセットを使いました。そこに入る7種類の傾向のうち、Donutだけを新顔マップ、残りを既知マップと設定して精度を確かめています。キオクシアの検証では、既知マップは従来手法と同等の精度で分けられ、最後に残ったマップ群のうち30%が実際に新顔(Donut)でした。データセットを増やしたあとは、新顔マップの分類精度を10%近く上げながら、既知マップのほうの精度も保てたとしています。

ここに取引が出ます。分類の自動化は、日々出る傾向を素早く仕分けるかわりに、まれな傾向ほど網から漏らします。そして、まれな傾向のほうが新規トラブルの側です。同社が新顔マップの検知を課題として挙げるのは、この向きです。

欠陥検査より遅く、記号は落ちた理由を持たない

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時間の取引があります。ウェーハマップに残るのは電気的な合否なので、ここへ届くまで工程を通し切る必要があります。欠陥検査がインラインで返す欠陥の座標と大きさは早く手に入りますが、そこに写った欠陥が電気的な不良につながったかどうかの見極めには、別のデータが要ります。実際に不良へつながった分だけを指す言い方がキラー欠陥です。SEAJの用語集がYMSを、歩留まりモニタと欠陥検査から解析までをまとめて行うシステムとしているのは、この2つを同じ場所でひとまとめにするためです。

粒度の取引もあります。ルネサスの書式では、マップデータの記号は1と0とピリオドの3つです。どの位置が落ちたかは記録されますが、何で落ちたかは記号に含まれません。落ちた理由は、テストの項目別の結果や故障解析といった別のデータから足すことになります。

渡し方の取引もあります。マーキングでは、ウェーハそのものに印が付いたままになります。ルネサスのe-wafer mapは、Wafer IDやLot No.を含む電子データなので、良品ダイを使う後工程や顧客側の装置がそのまま読めます。どちらを使うかは、次の工程が何を読める作りになっているかで決まります。

ウェーハマップとは何ですか?

ウェーハ上でどのチップが不良となったかを示すデータです。ウェハマップ傾向は不良原因ごとにさまざまな傾向を持ち、歩留まりが何%かという1つの数字から抜け落ちる、不良の並び方が浮かび上がります。

ウェーハマップはどこで作られますか?

ウェーハのテストで作られます。検査にはプローバとプローブカードとテスタの3つが要り、プローバはチップの電極とプローブカードの針を合わせて当てる動作を、指定したエリアの全チップへ順に繰り返す搬送・位置決めの装置です。

ウェーハマップには何が入っていますか?

座標の付いた合否です。ルネサスのIGBTウエハ製品向けe-wafer mapの書式には、Wafer ID、Lot No.、Wafer No.、チップ寸法、マップ領域の行数と列数、原点座標、Pass数、Fail数、マップデータが入り、マップデータの記号は1がPass、0がFail、ピリオドが空白です。XML形式のSEMI G85では、ビンコードごとに区画を持ち、各行にビンコードを列の数だけ並べます。

ウェーハマップは何に使いますか?

下流と上流の両方に使います。ウェーハ中間検査工程は不良チップを後工程へ流さない役目と、解析した特性を前工程へ返す役目を果たし、YMS(歩留まり管理システム)はその結果を欠陥の出た工程へ伝えたり、APCを通じて装置のレシピへ先回りで渡したりします。

不良の並び方から原因が分かるのですか?

原因を絞る手がかりになります。キオクシアは、ウェハマップ傾向が不良原因ごとにさまざまな傾向を持ち、傾向別に原因分析を行うことで真の不良要因を特定して対策へ進められるとし、品質改善ではウェハマップ傾向分類の精度が重要になるとしています。

傾向の分類は自動で行えますか?

日常的に出る傾向は自動で分類されます。キオクシアは、従来のクラスタリングでは新規トラブルや出る頻度の低い傾向がうまく分類できないという課題を挙げ、三重大学と共同で2値分類器を直列につなぐ手法を研究しました。

ウェーハマップと欠陥検査のマップはどう違いますか?

記録している中身が異なります。ウェーハマップに残るのは電気的なテストの合否で、そこへ届くまで工程を通し切る必要があります。欠陥検査がインラインで返すのは欠陥の座標と大きさで、電気的な不良につながったかの見極めには別のデータが要るため、YMSが歩留まりモニタと欠陥検査から解析までをまとめて行います。

  • ウェハプローバーとは── マップを作る側の装置で、測定位置の管理と針の当て方を受け持ちます
  • 欠陥検査とは── 工程の途中で欠陥の座標を返す側で、電気的な合否はウェーハのテストで付きます
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    JEITA:半導体用語集semicon.jeita.or.jp ab
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