ビン分け(テスト結果の分類)とは
ビン分けとは、テストの結果を、あらかじめ番号を振った区分(ビン)へ仕分けて記録する作業です。 良品と不良品の2つに加えて、不良の種類ごとに番号を持たせます。不合格をひとまとめにすると、歩留まりが下がったときに手元へ届くのは「不良が増えた」という1つの数だけです。番号ごとに数と位置を残せば、増えた分がどの番号へ流れ、ウェーハのどこで増えたかまで追えます。ビン分けの設計で決めるのは、この情報を得るためにテスト時間と歩留まりをどれだけ差し出すかです。
総数だけでは、次に当たる工程が絞れない
Section titled “総数だけでは、次に当たる工程が絞れない”半導体のテストは、チップへ信号を入れ、返ってきた応答を測り、良否判定を下す工程です。アドバンテストのテスト・システムは、ウェーハを作る工程の最後と、パッケージ等を施した後の最終検査の工程で使われ1、機能どおりに動くかを調べるファンクション試験のほかに、タイミング試験や電気的特性試験も行います。ウェーハ検査は、配線と成膜を終えたウェーハへ電気を通して良否判定を下す工程で、後工程で不良チップへ無駄な加工費をかける事態を減らすと同時に、前工程プロセスへ特性を返す役割も担います2。ビン分けは、この2つの役割の両方に直接影響します。
37ダイのうち12個が不良というウェーハを考えます。良否だけを記録すると、手元に残るのは12個という数です。番号ごとにウェーハ上の位置まで残すと、ある番号は周辺に集まり、別の番号は面内に散らばる、という違いが見えます。同じ番号がウェーハの周辺だけで増えているのか、面内に散らばっているのかで、次に当たる工程の候補が入れ替わります。
テスト項目ごとに、不良の原因側の意味も違います。たとえばIDDQテストは、物理欠陥が引き起こす異常電流を検出して不良を選別する手法です2。CMOS回路は静止状態では微少なリーク電流しか流れないことを利用しますが、回路規模が大きくなると総合リーク電流が大きくなるため、IDDQ-Ratio方式やΔIDDQ方式も採用されています。どの項目で落ちたかを番号で残すことが、物理的な原因へさかのぼる手がかりになります。
歩留まりの解析は、ビンと欠陥の対応付けを必要とする
Section titled “歩留まりの解析は、ビンと欠陥の対応付けを必要とする”バッチ歩留りは、システマティック不良に起因する成分と、ランダムに分布する不良に起因する成分の積で表されます3。2005年の時点で技術課題に挙がっていたのは、欠陥と不良の対応付けやキラー率、不良個所の特定技術です。ビン番号ごとの個数と位置を保存しておけば、この対応付けを後から取る材料になります。
計測の側にも同じ考え方があります。自動欠陥分類(ADC)は、欠陥の画像情報をあらかじめ定めたルールで発生原因ごとにクラス分けし4、分類した情報を歩留り管理システム(YMS)や工場ホストへ上げて、発生原因の追求と解析に使います。欠陥検査で欠陥を分類してから流すか総数だけを流すかの違いは、テストのビン分けと同じ構図です。
ビン番号は、装置の次の動作を選ぶ入力にもなる
Section titled “ビン番号は、装置の次の動作を選ぶ入力にもなる”ビン番号を読むのは人だけではありません。再プロービングでは、測定した結果のビン情報をもとに、該当するデバイスをもう一度ウェーハ上で測り直します。ウェハプローバーとATEが測った結果は、ビン番号として工程側へ渡ります。パッケージ後の仕分けは、アドバンテストのテストハンドラ5のような装置が担います。テストハンドラは後工程の試験を自動化する装置で、デバイスの搬送、試験時の温度の印加、テスト結果に基づく選別を行います。
ビット救済は、メモリデバイスの歩留まりを上げる目的で、テストで不良と分かったメモリセルを直す動作です。救済に成功したチップは、次のテストで良品側の区分へ移ります。ビン番号は最終結果ではなく途中経過で、ビン分けの記録はロットごとの履歴としてトレーサビリティの一部にもなります。
細かく切るほど、テスト時間と歩留まりを差し出す
Section titled “細かく切るほど、テスト時間と歩留まりを差し出す”ビンを細かく切るほど手元の情報は増えますが、代償が2つあります。1つ目は時間です。区分を増やすには測る項目を増やす必要があり、そのぶん1個あたりのテスト時間が伸びます。テストコストはチップの検査のために生じる費用で、人件費、テスト機器の減価償却、ソフトウェア開発費などを含みます。テスト時間は、そのまま装置の占有時間として費用に乗ります。
2つ目は線の引き方です。テスト条件が過度に厳しいと、本来良品のデバイスを不良品と判定する2過剰検出が起きます。良品側の区分を狭めれば市場へ出る不良は減りますが、歩留まりは自分で削ることになります。
この取引をあえて選ぶ例が、PAT(Part Average Testing)です。PATは、製品の品質向上を目的に、基準の内側に収まっていても、測定値の分布の母集団から大きく外れた潜在的な不良品を選別する手法で2、米国自動車工業会のAEC-Q001でガイドラインが定められています。規格内の品物を落とすので歩留まりは下がりますが、それでも落とすのは市場での不良を減らすためです。車載グレードやAEC-Q100を要求される製品では、この取引が標準になります。線を内側へ動かすか外側へ動かすかは、その製品が使われる用途で決まります。
関連するデータ・ツール
Section titled “関連するデータ・ツール”- SLTだけが拾う不良、原因は3種類|最終テスト合格品でも実機動作で不良── 最終テストの区分をすり抜ける不良
- 欠陥検査を歩留まりに返すreview分類|AMATは0.001%のreviewで全候補分類── 欠陥側で分類して返す例
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”ビン分けとは何ですか?
テストの結果を、あらかじめ番号を振った区分へ仕分けて記録する作業です。良品と不良品の2つに加えて不良の種類ごとに番号を持たせ、この区分をビンと呼びます。
なぜ良品と不良品の2つより細かく分けるのですか?
歩留まりが下がったときに、次に当たる工程を絞るためです。不良を1つの数へまとめると手元に届くのは総数だけですが、区分ごとに数えておけば、増えた分がどの番号へ流れ、ウェーハのどこで増えたかまで追えます。
ビン番号は誰が使いますか?
人と装置の両方が使います。再プロービングでは、測定した結果のビン情報をもとに、該当するデバイスをもう一度ウェーハ上で測り直します。ビン番号は装置が次の動作を選ぶ入力にもなっています。
仕分けは物理的にどこで行われますか?
パッケージ後はテストハンドラが担います。後工程の試験を自動化し、デバイスを運び、試験時の温度を加え、テストの結果に応じて仕分ける装置です。
ビンを細かくすると何が増えますか?
テストの時間と費用です。区分を増やすには測る項目を増やす必要があり、1個あたりのテスト時間が伸びます。テストコストには、人件費、テスト機器の減価償却、ソフトウェア開発費などが含まれます。
過剰検出とは何ですか?
テスト条件が過度に厳しいために、本来良品のデバイスを不良品と判定する事態です。良品側の区分を狭めるほど市場へ出る不良は減りますが、歩留まりは自分で削ることになります。
規格の内側なのに落とすことがありますか?
あります。PAT(Part Average Testing)は、基準の内側でも測定値の分布から大きく外れた品物を潜在的な不良品として選別する手法で、米国自動車工業会のAEC-Q001でガイドラインが定められています。歩留まりを削るかわりに市場での不良を減らす取引です。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- 半導体テストとは── 測る側の装置と2段構えの流れ
- 歩留まり(イールド)とは── ビン分けの結果を1つの割合へまとめた指標
- 歩留まりの立ち上げとは── ビン番号を工程へ返す速さが問われる期間
5件を表示
- 1アドバンテスト:解説 半導体テストadvantest.com ↩
- 2SEAJ:半導体製造装置用語集(検査 : Test)seaj.or.jp abcd
- 3JEITA STRJ:歩留まり改善(ITRS 2005 日本語版)semicon.jeita.or.jp ↩
- 4SEAJ:半導体製造装置用語集(計測 : Metrology)seaj.or.jp ↩
- 5アドバンテスト:テストハンドラadvantest.com ↩