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AEC-Q100とは

AEC-Q100とは、自動車に載せる集積回路が、故障のメカニズムごとに定められたストレス試験へ合格したことを示すための、車載電子部品の業界規格です。 試験の温度と時間は車の使われ方の想定から逆算され、合格はメーカーとお客様の合意で決まります。AEC-Q100準拠を最低限と位置づけ、その上に独自の試験を重ねるメーカーもあります。

自動車メーカーごとの注文を、1本の業界規格にまとめた

Section titled “自動車メーカーごとの注文を、1本の業界規格にまとめた”

AECはAutomotive Electronics Councilの略で、AEC規格は車載用信頼性の世界基準として、欧米では車載向け電子部品の規格に広く採用されています1。集積回路向けがAEC-Q100、トランジスタやダイオードなどのディスクリート半導体部品向けがAEC-Q101、抵抗やコンデンサなどの受動部品向けがAEC-Q200で、ほかに光半導体向けのAEC-Q102、MEMS向けのAEC-Q103、マルチチップモジュール向けのAEC-Q104があります2。

AEC-Q100の正式な題はFailure Mechanism Based Stress Test Qualification for Integrated Circuits in Automotive Applicationで、日本語にすると車載用集積回路の故障メカニズムに基づくストレス試験品質認定です。この本体の下に、細かい試験方法を規定したAEC-Q100-001から-012までの文書が付きます。

クルマは寒い土地から暑い土地まで運ばれ、振動も受けるため、民生品より使用環境が過酷です。自動車メーカーが部品メーカーへ個別の注文を重ねた結果、メーカーごとの要求が少しずつ食い違いました。そこで自動車メーカーと半導体・電子部品メーカーが一緒になって、JEDEC規格をもとにAEC-Q100を定めました。半導体・電子部品メーカーだけで決めたJEDEC規格に、車を作る側の要求が加わった形です。

AECやVDAなどの車載基準は、工業団体のガイドラインで、厳密には公的規格とは別の立場にあります3。ロームは、これらのガイドラインへの準拠に積極的に取り組んでいるとしています。

15年・12,000時間という前提から、125℃・1,000時間を逆算する

Section titled “15年・12,000時間という前提から、125℃・1,000時間を逆算する”

AEC-Q100は、車の使用期間を15年以上、使用温度条件の割合として平均温度を87℃、稼働時間を12,000時間と想定し、それに相当する加速条件として125℃で1,000時間、場合によってはそれ以上の時間をかけて試験します2。15年という数字の根拠は、規格書42ページから43ページの表にある記述です。試験は、温度を上げて劣化を速める加速試験です。

使われ方の想定と試験条件
0℃87℃125℃150℃市場での想定 15年以上平均87℃・稼働12,000時間試験 125℃・1,000時間01,00012,000稼働時間(時間)
平均87℃・稼働12,000時間という想定に相当する加速条件として、125℃で1,000時間などの試験を行います。1,000時間を12,000時間と比べると、試験時間は12分の1です。

想定の組み方は、ミッションプロファイルという考え方で整理されます。ミッションプロファイルは、半導体デバイスが製品寿命を通して受ける温度・湿度・温度変化・通電状態などの負荷条件と時間の関係をまとめたもので、この考え方はJEITA EDR-4708「半導体集積回路 信頼性認定ガイドライン」やAEC-Q100/Q101/Q102にも示されています。ロームの品質・信頼性ハンドブックは、動作温度保証範囲がTj = -40℃〜150℃、市場稼働15年(累積通電時間12,000時間)という製品仕様を、ミッションプロファイルの例に挙げています3。

湿度も負荷条件のひとつです。THB(Temperature Humidity Bias)は、高い温度と高い湿度のもとで電圧をかけ続ける寿命試験で、温度85℃・湿度85%といった条件が規定されています2。

使う温度の幅で、Grade 0から3に分かれる

Section titled “使う温度の幅で、Grade 0から3に分かれる”

AEC-Q100は、製品を使う温度範囲をGrade 0が-40℃~150℃、Grade 1が-40℃~125℃、Grade 2が-40℃~105℃、Grade 3が-40℃~85℃と決めています2。下限はどのグレードも-40℃で、グレードを分けるのは上限です。

AEC-Q100の温度グレード
Grade 0Grade 1Grade 2Grade 3150℃125℃105℃85℃-40℃0℃125℃使用温度範囲
4つのグレードは下限がそろい、上限だけが85℃から150℃まで違います。125℃を超えて使えるのはGrade 0だけです。

テキサス・インスツルメンツは、AEC-Q100で最も広い温度範囲であるGrade 0のデバイスを、48 VのHEVのような高温のシステム向けに設計するのが一般的だとしています4。エンジンを積むこうした車両では、温度がときに125℃を超えるためだとしています。

サンプル77個は、許容故障1個と信頼度90%から導いた数

Section titled “サンプル77個は、許容故障1個と信頼度90%から導いた数”

出荷する製品の電気的特性と外観の検査は全数で行い、1,000時間の信頼性試験は統計的に有意な数量を抜き取って行います2。AEC-Q100は試験サンプル数を77個や45個と試験ごとに定め、試験ロット数として3ロットを要求する場合もあります。

試験個数77個の中身
試験個数 77個信頼度 90%LTPD 5%許容故障 1個
77個は、許容故障を1個、信頼度を90%、LTPDを5%と置いたときに計算で決まる試験個数です。

規格などでよく設定される試験個数77個は計算で導いた数で、許容故障が1個、信頼度90%、LTPD5%のときの試験個数です3。AEC-Qのように特定の試験に対して試験個数・試験時間・試験条件があらかじめ規定された方法は、ノンパラメトリック手法と呼ばれます。対になるパラメトリック手法は、故障分布と加速率から、目標の累積故障確率を満たすようサンプル数と試験時間を導きます。

試験の範囲も広く、Test Group Aが環境ストレス加速試験、Test Group Bが製品寿命シミュレーション加速試験、Test Group Cがパッケージングの完全性試験にあたります。ほとんどの製品にあてはまる項目なので、ほぼ全ての試験群を実施します2。

合格を認めるのは、認証機関より先にお客様

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合格の決め手はQualification Test Plan(QTP)シートです。QTPシートは、AEC-Q100の要求事項に基づく評価・試験の計画内容と結果を示す文書で、対象製品、適用グレード、試験項目、試験条件、サンプル数、合否の基準、そして試験を実施したかどうかの根拠を記載します1。日清紡マイクロデバイスは、このシートで試験項目の網羅性と妥当性を確保し、各テストグループの試験計画と結果をお客様へ提出して承認を得ることで、両社間で合意されたAEC-Q100適合製品として扱っています。

AEC-Q100準拠という言葉を支えるのは、第三者機関の証書よりも、供給側と購入側が同じ書類の上で合意した記録です。寿命を裏づける文書も、量産の発表とは別の認定試験の合否表として出てきます。部品を選ぶ側が確かめるべきは「準拠」の一語より、QTPシートに載った試験項目と、実施しなかった試験の理由です。

AEC-Q100は最低条件で、初期故障は別の試験で確かめる

Section titled “AEC-Q100は最低条件で、初期故障は別の試験で確かめる”

ソニーセミコンダクタソリューションズは、車載品質規格への準拠を最低条件と位置づけ、AEC-Q100準拠を最低限として、イメージセンサーなど独自の故障メカニズムを検証できる摩耗不良・初期不良の確認評価を行っています5。車載製品に関わる全員が不具合の重さを踏まえ、ゼロディフェクトを目指すのが同社の方針です。

AEC-Q100の信頼性試験基準に規定された初期故障率試験は2,400個で行い、この規模の試験から初期故障率を正確に求めるのは困難です3。ロームは、初期故障の検証をバーンインスタディやHVS(High Voltage Stress)スタディで行います。AEC-Q100が引き受ける範囲と、メーカーが上乗せする範囲は、こうして地続きになります。

AEC-Q100とは何ですか?

車載部品の規格を定める団体Automotive Electronics Councilが作成した、集積回路に一定の品質と信頼性が期待できるかを判断するための規格です。故障メカニズムごとのストレス試験に合格することで認定します。

AEC-Q100とJEDEC規格はどう違いますか?

JEDEC規格は半導体・電子部品メーカーが集まって決めたもので、AEC-Q100は自動車メーカーと半導体・電子部品メーカーが一緒にJEDEC規格をもとに定めた、車載用部品に特化した規格です。AEC-Q100の中には、試験方法についてJEDECの規格を参照する記述もあります。

AEC-Qには何種類の規格がありますか?

集積回路向けのAEC-Q100のほか、ディスクリート半導体向けのAEC-Q101、光半導体向けのAEC-Q102、MEMS向けのAEC-Q103、マルチチップモジュール向けのAEC-Q104、抵抗やコンデンサなど受動部品向けのAEC-Q200があります。

試験にはどのくらいの時間をかけますか?

使用期間15年以上、平均温度87℃、稼働時間12,000時間という想定に相当する加速条件として、125℃で1,000時間、場合によってはそれ以上の時間をかけて試験します。試験ロット数が3ロットになる場合もあります。

試験は全数で行うのですか?

出荷する製品の電気的特性と外観の検査は全数で、1,000時間の信頼性試験は統計的に有意な数量を抜き取って行います。試験サンプル数は77個や45個と試験ごとに定められ、77個は許容故障1個・信頼度90%・LTPD5%から導いた数です。

AEC-Q100は公的な規格ですか?

AECやVDAなどの車載基準は工業団体のガイドラインで、厳密には公的規格とは別の立場にあります。ロームは、これらのガイドラインへの準拠に積極的に取り組んでいるとしています。

誰がAEC-Q100の合格を認めるのですか?

お客様です。半導体メーカーがQualification Test Plan(QTP)シートで試験計画と結果を示して承認を得ると、両社間で合意されたAEC-Q100適合製品になります。

  • JEDECとは── 半導体全般の公開規格を作る団体で、AEC-Q100はその規格を土台としています
  • 車載グレードとは── AEC-Q100は試験と認定の規格、車載グレードは製品側の区分です
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