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信頼性試験とは

信頼性試験とは、製品が使用環境と時間に耐えるかを確かめる試験の体系です。 狙う故障機構ごとに分けた、複数の試験の集まりです。結果は「故障数 / 試験数」の組で書かれ、分子と分母を組にしてはじめて情報になります。故障0件の重みは分母の試験数で決まり、試験に通った事実から寿命を語るには、加速の前提がもう一つ要ります。

既知のストレスで、実装から稼働までに受けるストレスを模擬し加速する

Section titled “既知のストレスで、実装から稼働までに受けるストレスを模擬し加速する”

ルネサスは信頼性試験を、デバイスやシステムの寿命を評価するために、既知のストレス条件で行う一連の実験室の試験1と位置づけています。狙いは、半導体デバイスが実装、経年、現場への設置、稼働という一生の各段階で受けるストレスを模擬し、あるいは加速することです。

試験は再現できなければ意味がありません。そのため標準化された方法を選び、公開されている試験規格に沿って行います。試験の前に被試験品の特性を明らかにして故障判定基準を決め、試験前後の特性の変化が許容範囲に収まるかをその基準で判定します。

加速に使うストレスについて、TIは温度、湿度、電圧、電流がよく使われ、加速試験はたいてい故障の物理を変えずに、観察までの時間をずらすとしています2。TIが示す試験はJEDECのJESD47に基づく強い加速条件で、これに通れば大半の用途で使えるとTIは説明しています。

故障機構ごとにストレスが違うので、試験は寿命・環境・機械の3系統に分かれる

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故障機構ごとに、劣化を進めるストレスは別です。温度で進むもの、湿度で進むもの、機械的な力で起きるものがあります。だから試験も、ストレスの種類だけ要ります。

ルネサス エレクトロニクスは、あるマイコンの信頼性試験の結果1を例として公開しています。区分は寿命試験・環境試験・機械試験の3系統です。

区分試験項目試験条件結果(故障数/試験数)
寿命試験高温動作寿命Ta = 125℃、VCC = 5.5 V、1000時間0 / 45
高温保存寿命Ta = 150℃、1000時間0 / 22
低温保存寿命Ta = −55℃、1000時間0 / 22
温度湿度保存Ta = 65℃、RH = 95%、1000時間0 / 77
高温高湿バイアスTa = 85℃、RH = 85%、VCC = 5.0 V、1000時間0 / 22
環境試験温度サイクル−55℃ 〜 150℃、200サイクル0 / 45
熱衝撃0℃ 〜 150℃、15サイクル0 / 22
はんだ付け性230℃、5秒、ロジン系フラックス0 / 22
耐はんだ熱性赤外線リフロー 260℃、10秒0 / 22
プレッシャークッカーTa = 121℃、RH = 100%、100時間0 / 22
機械試験端子強度(引張試験)2.5 N、10秒、1回0 / 22
試験条件の温度と電圧・湿度
寿命試験高温動作寿命高温保存寿命低温保存寿命温度湿度保存高温高湿バイアス環境試験温度サイクル熱衝撃はんだ付け性耐はんだ熱性プレッシャークッカー−550150260温度(℃)電圧をかけるかけない湿度をかける
同じマイコンの試験でも、温度は−55℃から260℃まで散らばり、電圧をかけるか、湿度をかけるかが試験ごとに違います。温度サイクルと熱衝撃は、一点ではなく幅を往復します。

条件を見ると、試験ごとに別の壊れ方を狙っていることが分かります。高温動作寿命は電圧をかけたまま温度で劣化を進める試験で、TIによればJESD22-A108に沿って、動作状態のまま高温で、通常は長時間2行います。高温保存は同じ高温でも動作させずに置く試験です。温度サイクルは膨張と収縮の繰り返しで剥がれや割れを検出する試験で、JESD22-A104では高温と低温の間の移り変わりを決めた回数だけ繰り返します。はんだ付け性と耐はんだ熱性は実装の工程そのものに耐えるかを測る試験で、端子を2.5 Nで引っ張る端子強度は、実装や搬送の力に耐えるかを見ます。

TIによれば、湿度をかけるTHB、BHAST、オートクレーブ、uHASTは、どれもデバイス内部の腐食を加速するための試験です。JESD22-A110の高温高湿バイアス(THB)とBHASTは、電圧をかけたまま高温高湿にさらします。両者の目的は同じで、BHASTのほうがずっと速く試験を終えられるとTIはしています。オートクレーブとバイアスなしのHAST(uHAST)も腐食を加速しますが、電圧はかけません。Infineonは表面実装品の製品認定で、信頼性のストレス試験の前にプリコンディショニング試験を行っています3。

「0 / 45」の分母が、故障ゼロの重みを決める

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同じ0件、違う試験数
0 / 22高温高湿バイアス0 / 45高温動作寿命0 / 77温度湿度保存
点1つが試験したサンプル1個です。どの試験も故障は0件ですが、22個と77個では、そこから推定できる故障率の上限が違います。

このマイコンの結果は、高温動作寿命の 0 / 45 も、高温高湿バイアスの 0 / 22 も、温度湿度保存の 0 / 77 も、分子だけを見ればどれも「0件」です。しかし、言えることの強さは試験数で決まります。22個試して0個と、77個試して0個では、そこから推定できる故障率の上限が違い、試験数が多いほど「低い」と言える水準が下がります。「故障ゼロ」という言葉は、何個試したかと並んではじめて故障率の上限を示します。これは歩留まりや故障率の数字を読み解くときと同じ作法です。

試験に通った結果は、故障率を推定する入力になる

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試験に通ったという事実が言っているのは、その条件で、その試験数のもとで、壊れなかったということだけです。10年の寿命の保証と、あらゆる使い方での安全は、この事実に含まれません。ルネサスのハンドブックは、この試験データをもとに故障率を予測する一般的な手順へ進みます。試験結果は、その推定の入力にあたります。

信頼性試験で得た寿命の解析にはワイブル分布が広く使われ、パラメータmとηはワイブル確率紙を使えば簡単に推定できます1。MOSデバイスで代表的な初期故障の機構は酸化膜の経時劣化で、これを狙った試験の結果から、電界と温度による加速のデータが得られます。高温動作寿命が測るのも、絶縁膜やチャネルの劣化です。

推定には加速の度合いが要ります。活性化エネルギーをどの値と仮定するかで、外挿の答えが動くためです。寿命を語るには、試験の条件表に加えて外挿の前提が要り、その前提が揃ってはじめて「10年もつ」という言葉になります。

同じ工程から多品種が出るかどうかで、結果を広げられる範囲が変わる

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ロジックとメモリの作られ方
ロジック製品メモリ製品同じ工程パッケージ特性・機能の違う設計工程・パッケージ機能設計工程・パッケージ機能設計工程・パッケージ機能設計工程ごとに単一の設計
ロジック製品は1つの工程とパッケージ設計から特性や機能の違う設計を多く出し、メモリ製品は工程とパッケージ設計ごとに1つの機能設計を出します。

製品の性格によっても、試験の意味が変わります。ルネサスのハンドブックによると、ロジック製品は、同じウェーハ工程と同じパッケージ設計から、さまざまな特性・機能の設計を提供します。いっぽうメモリ製品は、ウェーハ工程とパッケージ設計ごとに単一の機能設計を提供します。

信頼性試験は通常、設計ルールと製造工程が同じ範囲の母集団からサンプルを抜き取って1行います。同じ工程から多品種が出るのか、工程と製品がほぼ1対1なのかという差は、1つの試験結果をどこまで他の品種へ広げて言えるかに関わります。Infineonの製品認定でも、サンプルは標準の量産工程で製造・テストされ、定めた要件を満たす量産ロットから選んでいます。

信頼性試験とは何ですか?

製品が使用環境と時間に耐えるかを、既知のストレス条件で確かめる試験の体系です。ルネサスが公開しているマイコンの例では、寿命試験・環境試験・機械試験の3区分に分かれています。

どんな条件で行うのですか?

ルネサスが公開しているマイコンの例では、高温動作寿命がTa = 125℃・VCC = 5.5V・1000時間、温度サイクルが−55℃から150℃・200サイクル、高温高湿バイアスがTa = 85℃・RH = 85%・VCC = 5.0V・1000時間などです。

結果はどう書かれますか?

故障数と試験数の組で書かれます。高温動作寿命が0/45、高温高湿バイアスが0/22、温度湿度保存が0/77というように、分子が故障数、分母が試験したサンプル数です。

なぜ分母が要るのですか?

故障0という結果の重みが、試験数で上下するためです。22個で0個と77個で0個では、そこから推定できる故障率の上限が違います。分母が揃ってはじめて、その0がどれだけ確からしいかを判断する材料になります。

なぜ試験が何種類もあるのですか?

故障機構ごとに、劣化を進めるストレスが別だからです。温度で進むもの、湿度で進むもの、機械的な力で起きるものがあり、1種類の試験で分かるのは1種類の壊れ方までです。

試験を通れば安心なのですか?

通ったことは「その条件で壊れなかった」という事実です。この試験データをもとに故障率を予測する手順へ進み、試験結果はその故障率を推定するための入力にあたります。寿命の解析にはワイブル分布が広く使われます。

製品の種類で違いはありますか?

あります。ルネサスのハンドブックによると、ロジック製品は同じウェーハ工程と同じパッケージ設計からさまざまな特性・機能の設計を提供し、メモリ製品はウェーハ工程とパッケージ設計ごとに単一の機能設計を提供します。

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