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はんだとは

はんだとは、比較的低い温度で溶ける金属の合金で、電子部品と基板の電極を電気的にも機械的にも結ぶ接合材です。 選ぶ基準は、溶かしてつける温度と、つけたあとに何度も浴びる温度という、性質の異なる2つの温度です。

1つの接合部が、電気の接点と構造材を兼ねる

Section titled “1つの接合部が、電気の接点と構造材を兼ねる”

プリント基板は、絶縁基板の上へ抵抗器やIC、コンデンサなどをはんだ付けなどによって取り付け、部品どうしを電気の通る道で結びます1。この取り付けを担う金属がはんだです。はんだの接合部は電気を通すだけでなく、部品をその場へ保持する力も受け持ちます。この二役が、はんだの選定を難しくしています。

界面に合金層が育ち、金属どうしが一体になる

Section titled “界面に合金層が育ち、金属どうしが一体になる”

はんだ付けでは、溶けた金属が電極へ乗ると同時に、接した面で金属どうしが混ざり合います。日本スペリア社の鉛フリーはんだSN100Cでは、銅箔とはんだの界面に安定した合金層2(IMC)ができ、この層で金属どうしが一体になります。

銅の電極ははんだへ溶け込むため、その進み方を抑える工夫が要ります。日本スペリア社は、ニッケルのバリア効果で合金層の成長と、はんだ付け時に生じる銅パターンや銅線の食われを抑え、銅ランドへの影響を最小限にすることが接合後の信頼性向上に寄与するとしています。

界面に合金の層が育ちます
触れているだけの形はんだ銅のランド接しているだけの状態です力がかかると剥がれます加熱します合金層で結ばれた形はんだ合金層銅のランド界面に合金の層が育ちます金属どうしが一体になります日本スペリア社は、銅箔とはんだの界面に安定した合金層を形成するとしています
はんだ付けでは、はんだが電極へ乗ったあと、界面に合金の層が育ちます。この層が金属どうしを結びます。

鉛フリー化は、EUの規制でSn-Pb共晶が使えなくなったことから始まった

Section titled “鉛フリー化は、EUの規制でSn-Pb共晶が使えなくなったことから始まった”

長いあいだ、はんだの主流はSn-Pb共晶でした。鉛の有毒性が明らかになってEUが有害物質の使用規制に乗り出し、WEEE指令が2005年8月13日、RoHS指令が2006年7月1日に施行されました2。施行後は当時一般的に使用されていたSn-Pb共晶はんだが規制の対象になるため、代わりの鉛フリーはんだの開発が急務になりました。

日本では、その前から準備が進んでいました。NEDOの委託事業「鉛フリーはんだ規格化のための研究開発」が1999年1月から2000年3月にかけて行われ3、フローはんだ付けの試験では、いずれの鉛フリーはんだ材料も通常のはんだ付け品質で従来のSn-Pb共晶はんだと同等の結果を示したと報告されています。

SN100Cは、この時期に生まれた合金の一つです。日本スペリア社によると、組成はSn-Cu-Ni-Geで、基本組成のSn-Cu-Niは国際規格ISOに登録されています。1999年3月に松下電器のビデオ用基板の製造ラインへ初採用され、高価な銀を含む合金と比べて資材の低コスト化に貢献し、採用製品の累計台数は24億台以上に上るとしています。

融点が上がると、炉から部品、基板まで耐熱を見直すことになる

Section titled “融点が上がると、炉から部品、基板まで耐熱を見直すことになる”

はんだの融点が上がると、リフロー炉の設定温度だけでなく、部品やコネクタの耐熱、基板の耐熱まで見直しが要ります。千住金属工業の合金では、無銀のSn-Cu系であるM20が融点227〜229℃4、古くから高温はんだとして採用実績のあるSn-Sb系のM10が融点240〜243℃です。

同社は低銀合金のM40について、Ag3%品と同等以上の接合信頼性を確保しつつ、汎用のSn-Ag-Cu系であるM705と同じ温度プロファイルで実装できる点を利点としています。合金を変えるときは、温度プロファイルを保てるかどうかが選定の条件になります。

つけたあとの温度サイクルでは、伸び方の差が接合部を割る

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はんだ付けを終えたあとも、接合部は温度の上下を浴び続けます。機器が動けば発熱し、止まれば冷えるからです。

ロームの厚膜チップ抵抗器では、支持体のアルミナの熱膨張係数が7.1×10⁻⁶/℃、実装ボードの代表的な材料であるFR-4(ガラス-エポキシ樹脂)が14×10⁻⁶/℃です5。温度サイクルを繰り返すと、この伸び方の差がストレスとなり、2つを接合している半田フィレット部にクラックを生じることがあります。ロームは、電極間距離が長い、つまりチップサイズが大きくなるほど不利になるとしています。

ロームの温度サイクル試験は、JIS C 5201-1 sec4.9に準拠し、−40℃で30分と+125℃で30分を気層で3000サイクル繰り返します。試験基板はFR-4、はんだはSn/3.0Ag/0.5Cuを厚さ0.100mmとした条件です。長辺電極タイプの製品では、この試験で半田クラックが発生しなかったと報告されています。

銀を減らすと、温度サイクルに耐える回数が減る

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JEITAは、2005年7月から2007年2月まで実施した第2世代フロー用はんだ標準化プロジェクトで、−40℃で30分と90℃で30分を1サイクルとするヒートサイクル試験を行い、故障率が1%に達したサイクル数を組成ごとに比べました。Sn-3Ag-0.5CuとSn-1Ag-0.7Cuは400サイクル以上でしたが、Sn-0.3Ag-0.7CuとSn-0.7Cu-0.05Niは320サイクルでした3。銀を減らすとコストは下がる一方、繰り返しの温度変化に耐える回数は減ります。

クリープ試験の破断寿命では、1%のBiを添加すると破断寿命を格段に長くできるものの、最も優れた組成はSn-3Ag-0.5Cuでした。引き剥がし強度でもSn-3Ag-0.5Cuはすべての引っ張り速度でSn-Pb共晶より優れ、85℃85%の高温高湿環境でもSn-Pb共晶と同等以上でした。JEITAはこれらの結果から、鉛フリー化後の接合信頼性を同等かそれ以上と総括しています。

はんだは2つの温度で選ばれます
つけるときの温度(溶ける温度)200℃260℃227〜229℃240〜243℃Sn-Cu系Sn-Sb系千住金属工業が示す合金例ですつけたあとの温度(耐えた回数)400サイクル以上320サイクルSn-3Ag-0.5CuSn-0.3Ag-0.7CuJEITAが公表した、−40℃と90℃を各30分で繰り返す試験の結果です故障率が1%に達したサイクル数を示します
上段は溶ける温度、下段は温度の上下に耐えた回数です。2つは別の基準で、片方を下げるともう片方が犠牲になることがあります。

微量の添加元素で、作業性も変わる

Section titled “微量の添加元素で、作業性も変わる”

現場で問われるのは、信頼性と作業性の両方です。日本スペリア社は、SN100Cへ微量に添加したニッケルとゲルマニウムがはんだの流動性を高め、はんだの切れ性を向上させ、つらら・ブリッジの発生を抑えるとしています。ぬれ上がりとぬれ広がりに優れて美しいフィレットを形成し、ぬれ上がり時間が短いこと、ニッケルの効果で化合物が微細化して引け巣の発生も抑えられることも、同社が示す特長です。

千住金属工業は、こて先食われへの対策として鉄とジルコニウムを添加したM705RKとM20RKで、こて先の消耗を大幅に改善し、こて先交換頻度の低減によるコストダウンが可能だとしています。合金へ微量の元素を添加すると、接合の質と作業の手間の両方が変わります。

はんだとは何ですか?

比較的低い温度で溶ける金属の合金で、電子部品と基板の電極を電気的にも機械的にも結ぶ接合材です。プリント基板では、絶縁基板の上へ部品をはんだ付けなどで取り付け、電気の通る道で結びます。

はんだは接着剤と同じですか?

働きが異なります。接着剤では境目に別の物質が挟まりますが、はんだでは界面で金属どうしが混ざり合った層が育ちます。日本スペリア社は、SN100Cが銅箔とはんだの界面に安定した合金層を形成するとしています。

合金層とは何ですか?

銅の電極とはんだが接した界面に育つ、両方の金属が結びついた層です。日本スペリア社は、ニッケルのバリア効果でこの層の成長を抑えることが、接合後の信頼性向上に寄与するとしています。

鉛フリーはんだはなぜ必要になったのですか?

鉛の有毒性が問題になったためです。EUのWEEE指令が2005年8月13日、RoHS指令が2006年7月1日に施行され、当時一般的に使用されていたSn-Pb共晶はんだが規制の対象になったため、代わりの鉛フリーはんだの開発が急務になりました。

鉛フリーにすると何が変わりますか?

溶ける温度が上がるため、装置の温度設定から部品の耐熱まで工程全体が動きます。千住金属工業の無銀Sn-Cu系M20は融点227〜229℃、Sn-Sb系M10は融点240〜243℃です。

銀を減らしたはんだは使えますか?

用途によります。JEITAの第2世代フロー用はんだの結果では、−40℃と90℃を各30分で繰り返す試験で、Sn-3Ag-0.5Cuが400サイクル以上だったのに対し、Sn-0.3Ag-0.7Cuは320サイクルで故障率1%に達しました。

はんだクラックはなぜ起きますか?

結んでいる2つの材料の伸び方が異なるためです。厚膜チップ抵抗器の支持体であるアルミナと実装ボードのFR-4では熱膨張係数に差があり、温度サイクルを繰り返すとその差がストレスとなって、半田フィレット部にクラックを生じることがあります。

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