錫ウィスカとは
錫ウィスカとは、錫めっきの表面から針のように伸びる結晶です。 伸びた針が隣の端子へ届くと、そこで短絡します。
鉛を抜けば環境の負荷は下がりますが、鉛は錫の針を抑える働きも担っていました。鉛を抜いたことで、めっきの信頼性という別の課題が生じました。
Cu6Sn5の体積増大が錫を押し、針として伸ばす
Section titled “Cu6Sn5の体積増大が錫を押し、針として伸ばす”リード母材がCuでSnめっきの場合、Cuの拡散により、金属間化合物のCu6Sn5とCu3Snの2種類が成長します1。常温ではCuに比して密度が低いCu6Sn5が主に生成し、体積増大によってSn層に圧縮応力が加わります。この圧縮応力が、Snを針状に成長させるウィスカの要因です。押された錫が、逃げ場として上へ伸びていきます。
ルネサスは、発生メカニズムの解明がなお途上だとしています。
温度・湿度・応力が加速し、4つの方法で抑える
Section titled “温度・湿度・応力が加速し、4つの方法で抑える”ウィスカ成長に関係のある環境加速因子として、温度・湿度・応力の3つが経験的に知られています1。防止例は、鉛の代替元素(Bi・Cu・Ag等)の添加、めっきの厚膜化、めっき後に熱を加えること、下地めっきを施すことです。
高温度下では密度が高いCu3Snの成長が増えるため、圧縮応力が抑えられます。めっき後に熱を加える対策は、この向きを利用したものです。
鉛フリー化には、許容値と試験条件を含めた対応が要る
Section titled “鉛フリー化には、許容値と試験条件を含めた対応が要る”環境対応のため、電子部品の基板実装に用いられるはんだの鉛フリー化が進められています1。めっきの信頼性の面では鉛が錫のウィスカを防止する効果が大きいことから、鉛フリー化には錫ウィスカに対する市場での許容値や試験条件を含めた対応が求められています。全容が明らかになる前から、許容値と試験条件で向き合うことになります。
守るための封止樹脂も、応力を加える
Section titled “守るための封止樹脂も、応力を加える”モールディングは、衝撃・温度・湿度などの要因から守るために、エポキシなどの樹脂で半導体デバイスの周囲を固めることです2。封止樹脂は守る一方で、温度が下がるたびに縮みます。縮みが部材を押せば、それも応力として加わります。応力は環境加速因子の1つで、守るための構造が別の劣化を後押しすることがあります。
鉛を抜く、厚くする、熱を加える、試験を厳しくする、それぞれに代償がある
Section titled “鉛を抜く、厚くする、熱を加える、試験を厳しくする、それぞれに代償がある”鉛を抜けば環境の負荷は下がりますが、錫の針を抑えていた働きも同時に失います。めっきを厚くすれば針は出にくくなるものの、材料費と寸法の余裕を払います。めっき後に熱を加えれば圧縮応力を抑えられる一方、工程が増え、部材によっては別の劣化が進みます。試験条件を厳しくすれば見落としは減りますが、合否に要する時間が長く伸びます。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”錫ウィスカとは何ですか?
錫めっきの表面から針のように伸びる結晶です。伸びて隣の端子へ届くと短絡します。
なぜ鉛フリー化で問題になったのですか?
めっきの信頼性の面では、鉛が錫のウィスカを防止する効果が大きいためです。
発生の仕組みは分かっているのですか?
発生メカニズムの解明はなお途上とされています。現在知られている考え方は、Cu6Sn5の体積増大が生む圧縮応力でSnが針状に伸びるというものです。
どう伸びるのですか?
Cuの拡散でCu6Sn5が生成し、体積増大によってSn層に圧縮応力が加わり、これがSnを針状に成長させる要因になります。
温度を上げるとどうなりますか?
高温度下では密度が高いCu3Snの成長が増えるため、体積増大による圧縮応力が抑えられます。
加速する条件は何ですか?
温度・湿度・応力の3つが、環境加速因子として経験的に知られています。
どう防ぐのですか?
鉛の代替元素の添加、めっきの厚膜化、めっき後に熱を加えること、下地めっきを施すことです。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”2件を表示
- 1ルネサス エレクトロニクス:半導体信頼性ハンドブック(R51ZZ0001JJ0250)renesas.com abc
- 2日本半導体製造装置協会(SEAJ):半導体製造装置用語集(組立:Assembly)seaj.or.jp ↩