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ワイヤボンディングとは

ワイヤボンディングとは、細い金属線でチップ上の電極とパッケージの端子をつなぐ工程です。 線の両端をそれぞれ接合し、間を弧を描く形で渡します。

接合は熱と超音波と荷重の配分で決まり、強すぎれば電極の下の構造を傷め、弱すぎればつながりません。

熱と超音波と荷重の配分が、接合の強さと電極の傷みを決める

Section titled “熱と超音波と荷重の配分が、接合の強さと電極の傷みを決める”

チップを切り出して基板へ載せた段階では、電極どうしが電気的に絶縁されたままです。チップ表面の電極と、パッケージの外部端子へ続く配線を、何かで結ぶ必要があります。最も長く使われてきた方法が、細い金属線で1本ずつ結ぶワイヤボンディングです。

接合には熱、超音波、荷重の3つを使います。金属どうしを押しつけながら超音波で擦り合わせると、表面の酸化膜が破れて金属が直接触れ、原子どうしが結合します。熱はこの反応を助けます。ASMPTのAERO PROは、特許取得済みのX-Power熱超音波ボンディング技術を採用しています1。

3つの配分が結果を決めます。強く押しつけ長く超音波をかければ接合は強くなりますが、電極の下の構造を傷めます。弱すぎれば接合が不十分になります。線の材料でも最適な配分が変わり、銅は金より硬いため条件がより厳しくなります。

ボンディングワイヤの太さは、細いもので15μm、太いもので500μm程度です2。1パッケージ当たり2,000本以上のワイヤが30〜50μm間隔程度で張られ、髪の毛ほどの細さの線を、それより狭い間隔で1本ずつ順に渡していきます。

ボールボンディングの1本目の接合は、線の先端を放電で溶かすところから始まります。この球をフリーエアボールと呼び、ボールを半導体素子に熱・超音波・荷重で接合する側が1stボンド(ボールボンド)です2。線の反対側を端子へ付ける2つ目が2ndボンドで、この呼び分けは、接合の強さを測るときにもそのまま使います。

強くすれば接合しますが、下の構造を傷めます
熱・超音波・荷重の加え方弱すぎます接合が成り立ちます強すぎます断線したまま電極の下の構造を傷めます右へ行くほど強く加えます線の材料で最適な配分が変わります金の線銅の線条件がより厳しくなります接合に使う3つの要素熱超音波荷重押しつけながら超音波で擦り合わせます酸化膜が破れます金属が直接触れて原子どうしが結合します熱がこの反応を助けます
接合の結果は、熱と超音波と荷重の配分で決まります。弱すぎればつながらず、強すぎれば電極の下の構造を傷めます。銅は金より硬いため、金の線よりも条件がより厳しくなります。
ボールボンディング ─ 球を作り、押しつけ、渡す
① 球を作る線の先端を溶かす② 第1接合チップ熱・超音波・荷重で接合③ 弧を描いて移動ループ高さ低すぎれば触れ、高すぎれば厚みを超える④ 第2接合と切断端子押しつけて接合し、線を切る
線の先端を溶かして球を作り、チップの電極へ押しつけて第1接合を作ります。弧を描いて端子側へ移動し、押しつけて第2接合を作って線を切ります。弧の高さは、低すぎれば隣や下の構造と触れ、高すぎればパッケージの厚みを超えてしまいます。

線の太さは、信号用とパワー用で1桁違う

Section titled “線の太さは、信号用とパワー用で1桁違う”

ロジックやメモリのICと、電力そのものを流すパワー半導体とでは、線の太さが1桁違います。ワイヤボンドは素子とパッケージを電気的につなぐ工程で、主にφ20〜30μm程度の金属細線で繋ぎます3。一方、松田産業のアルミボンディングワイヤNL1の線径は125〜500μmで4、同社はアルミボンディングワイヤがパワー半導体製造用に多く使用されているとしています。

太さの差は、1本の線が受け持つ電流の差から来ます。断面積が大きいほど、同じ電流での発熱は小さくなります。アルミのリボン、つまり平たくつぶした線が使われるのも、断面積を稼ぐためです。

素材は金、銀、銅、アルミです2。日鉄マイクロメタルの製品情報は5、ボンディングワイヤをパラジウム被覆銅、銀、ベア銅、金、アルミに分けています。

銅は金より安価で、この価格差が材料選びを動かしてきました。日鉄マイクロメタルは、髪の毛の5分の1程度の細さ(15〜30μm)のワイヤの外側にナノレベルでパラジウムを被覆することで、従来の銅ワイヤでは不可能であった高い接合性と耐食性を実現したとし6、EX1を2009年に販売開始しています。銅そのものより、銅の表面をどう仕上げるかが、銅ワイヤを使えるかどうかを左右してきました。

150〜200℃で酸化膜を破り、界面に金属間化合物を作る

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接合では、ワイヤを押し付けつつ150〜200℃程度に加熱し、さらに超音波振動を加えて、アルミパッド表面の酸化膜を破壊します7。数百℃まで上げずに、金属どうしを直接くっつける温度帯です。

この温度が働く相手は、チップ側の電極です。電極はアルミ、線は金や銅なので、接合部では別々の金属が向き合います。ワイヤボンディングの基本原理は、ワイヤと電極のごく薄い界面に7金属間化合物を形成し、電気的にも機械的にも強固な接合を作ることです。酸化膜の下の無垢な金属面では、高温・高圧の作用で金ワイヤ側が塑性流動を起こし、アルミ電極との界面に金属間化合物ができます。金属間化合物(intermetallic compound)とは、2種類以上の金属が決まった比率で作る化合物です。

この層が接合の性格を決めます。薄く均一に育てば強く付き、厚く育ちすぎたり場所によって偏ったりすると、そこが弱い場所になります。だから熱と超音波と荷重には、それぞれ上限があります。1枚目の図の「強すぎます」側は、この上限を超えた状態です。

信号のICはボール、電力のパワー半導体はウェッジ

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ボールボンディングは、金や銅などのワイヤ先端を放電で溶融させ、ボール状に形成してから電極へつなぐ方法です7。ウェッジボンディングは、ボールを作らず、くさび型のツールでアルミワイヤを直接押し付けて接合します。球を作る側は、球が丸いおかげで次の接合をどの方向にも作れます。くさびで押し付ける側は、線を送る向きに沿って接合を作るかわりに、太いアルミ線や平たいリボンをそのまま押し付ける用途に向きます。

ウェッジボンディングが使われる現場はパワー半導体です。テクノアルファは、アルミ太線・細線/リボンワイヤ対応ウェッジボンダーを自動車用車載デバイスや各種パワー半導体メーカーへ多数納入・稼働しているとし8、用途にハイブリッドカー用モジュール、ECU、ABS、インバーター(IGBT等)、各種自動車用電装部品、HIC部品を挙げています。Kulicke & Soffaのウェッジボンダの用途も9、パワー半導体、車載パワーモジュール、産業用パワーハイブリッド向けのワイヤ・リボンボンディングです。

おおまかには、信号を伝えるICがボールボンディング、電力を流すパワー半導体がウェッジボンディングという使い分けです。

ループの形は、隣の線、パッケージの厚み、封止樹脂の流れで決まる

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弧の形をループと呼びます。低すぎれば隣の線や下の構造と触れて短絡し、高すぎればパッケージの厚みを超えてしまいます。積層した複数のチップから線を引く構成では、ループの設計がそのまま実装可能かどうかを決めます。ASMPTは、AERO PROがECPループ機能の強化を備え、品質保証のための知能的な監視システムと連携し、設置面積が20%小さく、単位時間あたりのボンディング数が最大38%向上するとしています1。

1本ずつ順に接合する方式なので、接合の速さが装置の生産性を直接決めます。1つのパッケージに数百本の線を引く製品もあり、1本あたりのわずかな時間差が積み上がります。

ワイヤボンディングの前段は、分割された素子をリードフレームや多層基板のチップ搭載部分に、接合材や接着剤を用いて貼り付けるダイボンド工程です。ワイヤボンド自体には、正しい位置とループ形状での接合、ループ同士や素子端部・周辺部品との接触の回避、ループ途中の傷や余計な変形の回避の3つが求められます3。

後段はモールド封止です。封止には、製品との十分な密着、充填エリアの気泡の排除、金線のループを押し流さずに樹脂を充填することが求められます10。粘りのある封止樹脂が金型の中を流れるとき、線の弧はその流れをまともに受けます。弧が押されて隣の線に触れれば短絡します。ループの高さと形は、ボンディング装置の都合と、この樹脂の流れに耐えるかどうかの両方で決まります。

接合の強さは、引くプルテストと押すシェアテストで測る

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どれくらい強く付いたかは、線を実際に引っぱって測ります。ワイヤプルテストは、ボンディングワイヤに上向きの力を加えて基板・ダイから引きはがすテストで、米軍Mil規格では1stボンド(ボール)と2ndボンド(ステッチ)の中間点にフックを位置合わせしてテストを実施すると規定されています11。米軍規格MIL-STD-883 2011.9は、このテストの目的を接合強度の測定、強度のばらつきの計測、合否の切り分けと規定しています。

もう1つは、接合部を横から押すシェアテストです。ボンドテスターSigma12の金線ボールシェアテストの対応規格はJESD22-B116とASTM F1269で、アルミ線(細線・太線)のウェッジシェアテストにも対応します。金ワイヤ、アルミワイヤ(細線・太線)、金リボンのプルテストの対応規格は、MIL 883 Method 2011.7(破壊)と2023.5(非破壊)です。

2つは力がかかる場所が違います。プルテストは弧と両端の接合をまとめて引き上げ、シェアテストはボールと電極の界面だけに力をかけます。金属間化合物の育ち方は、後者の値に強く出ます。破壊のプルテストは測った線をそのまま失い、非破壊のMIL 883 Method 2023.5は規定の力までで打ち切ります。

切れた場所が、疑う原因を決める

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どこで切れたかが、原因の場所を指します。破断モードはミッドスパン、ネック切れ、ヒール切れ、ボール剥離、ステッチ剥離、クレータリングで11、テクノアルファはミッドスパンを最も一般的な破壊モードとしています。

ミッドスパンは、弧の途中で線が切れる形です。両端の接合が線そのものより強かった結果です。

ネック切れは、ボールのすぐ上、線が首のように細くなった部分で切れる形で、海外では溶接用語のHAZ(Heat affected zone、熱影響部)と呼ばれることもあります。溶接でHAZと呼ぶのは、溶かした部分のとなりで熱を受けた帯です。放電でボールを作るときの熱が線の上まで伝わり、その帯が弱点になります。

ヒール切れは、2ndボンドの付け根、線が折れ曲がる踵の部分で切れる形です。折り曲げが強すぎると、ここに傷が入ります。

ボール剥離とステッチ剥離は、線が切れるかわりに、接合そのものが電極や端子から剥がれる形です。接合の条件が弱かったか、電極の表面の状態が原因側にあります。

クレータリングは、電極の下のシリコンがえぐれる形です。押しつけと超音波が強すぎた側の症状で、1枚目の図の「強すぎます」側に当たります。

同じ「切れた」でも、次の一手は変わります。線そのものを疑う場合、接合の条件を強める場合、強すぎた条件をゆるめる場合が、破断のかたちで切り分けられます。

どこで切れたかが、原因の場所を指します
フックは1stボンドと2ndボンドの中間点フック上向きに引きますチップ端子①②③④⑤⑥破断のかたちと、疑う場所① ネック切れ ─ ボールのすぐ上② ミッドスパン ─ 弧の途中(最も一般的)③ ヒール切れ ─ 2ndボンドの付け根④ ボール剥離 ─ 1stボンドが電極から⑤ ステッチ剥離 ─ 2ndボンドが端子から⑥ クレータリング ─ 電極の下の構造が傷む名称はテクノアルファの公式技術ページによります
プルテストのフックは1stボンドと2ndボンドの中間点に掛け、上向きに引きます。弧の途中で切れるミッドスパンは両端の接合が線より強かった形、ボールのすぐ上のネック切れは放電の熱を受けた帯の破断、剥離は接合の条件や電極表面、クレータリングは押しつけと超音波の強すぎを指します。

この用語に対応する装置と製造メーカー

Section titled “この用語に対応する装置と製造メーカー”

装置カタログDBから、この用語に一致する製品familyを持つメーカー 2社/3family を引いています。 各行は各社の公式製品ページを出典とします。 DBからの生成日: 2026-08-22

出典は各社の公式製品ページです。 装置カタログDB では、同じ製品familyを工程・メーカー横断で検索できます。

ワイヤボンディングとは何ですか?

細い金属線でチップ上の電極とパッケージの端子をつなぐ工程です。線の一端をチップの電極へ接合し、もう一端を端子側へ接合して、間を弧を描く形で渡します。

どんな線を使いますか?

金、銅、アルミニウムなどの細い線です。線の材料と直径は、流す電流、要る信頼性、費用から選ばれます。銅は金より安価な一方で硬いため、接合の条件がより厳しくなります。

ボールボンディングとウェッジボンディングの違いは何ですか?

最初の接合の作り方が違います。ボールボンディングは線の先端を溶かして球を作り、それを押しつぶして接合し、ウェッジボンディングは線を横から押しつけて接合します。前者は任意の方向へ次の接合を作れる利点があります。

何で接合するのですか?

熱、超音波、荷重の組み合わせです。ASMPTのAERO PROは、特許取得済みのX-Power熱超音波ボンディング技術を採用しています。3つの要素の配分が、接合強度と電極へのダメージを決めます。

ループとは何ですか?

2点の間で線が描く弧の形です。低すぎれば隣や下の構造と触れ、高すぎればパッケージの厚みを超えてしまいます。ASMPTはAERO PROでECPループ機能を強化しています。

ワイヤボンダのメーカーはどこですか?

当サイトの装置カタログDBでは、ワイヤボンディングに一致する製品familyを持つメーカーを公式製品ページ単位で引けます。ASMPT、Kulicke & Soffaが代表です。

ボンディングワイヤの太さはどれくらいですか?

細いもので15μm、太いもので500μm程度です。1パッケージ当たり2,000本以上のワイヤが30〜50μm間隔程度で張られています。主な細線はφ20〜30μm程度で、パワー半導体向けのアルミワイヤNL1の線径は125〜500μmです。

接合するときの温度はどれくらいですか?

ワイヤを押し付けつつ150〜200℃程度に加熱し、さらに超音波振動を加えて、アルミパッド表面の酸化膜を破壊します。

接合の強さはどうやって測りますか?

線を引っぱるプルテストと、接合部を横から押すシェアテストです。プルテストはボンディングワイヤに上向きの力を加えて基板・ダイから引きはがすテストで、1stボンドと2ndボンドの中間点にフックを合わせます。金線ボールシェアテストの対応規格にはJESD22-B116とASTM F1269があります。

銅ワイヤにパラジウムを被覆するのはなぜですか?

日鉄マイクロメタルは、髪の毛の5分の1程度の細さ(15〜30μm)のワイヤの外側にナノレベルでパラジウムを被覆することで、従来の銅ワイヤでは不可能であった高い接合性と耐食性を実現したとしています。同社はEX1を2009年に販売開始しました。

ワイヤボンディングの前後にはどの工程が来ますか?

前段がダイボンド工程、後段がモールド封止(樹脂封止)工程です。モールド封止には、製品との十分な密着、充填エリアの気泡の排除、金線のループを押し流さずに樹脂を充填することが求められます。

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    ASMPT:AERO PROsemi.asmpt.com ab
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