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アンダーフィルとは

アンダーフィルとは、フリップチップ実装したチップと基板の隙間へ流し込む樹脂です。 バンプ1点に集中していた熱応力を面全体へ分散させ、バンプ接合部の寿命を延ばします。

チップと基板の伸びの差を、バンプの代わりに樹脂が面で受ける

Section titled “チップと基板の伸びの差を、バンプの代わりに樹脂が面で受ける”

アンダーフィルが必要になる理由は、材料の違いにあります。チップはシリコン、基板は有機材料で、温度が変わったときに両者が伸びる量には差が出ます。この差は、両者を結んでいる部分へ力として集まります。

隙間が空いたままだと、その力はバンプだけが受け止めます。バンプは小さく、断面積も限られるので、温度が上下するたびに変形の差を吸収し続ければ、やがて亀裂が入ります。半導体製品は動作中に発熱し、停止すれば冷えるため、この上下は使用期間を通じて繰り返されます。

隙間を樹脂で埋めると、力の受け手が増えます。チップと基板が面で結ばれて変形の差が広い面積へ分散し、バンプ1点あたりにかかる力が下がって、接合部の寿命が延びます。

アンダーフィル ─ 力の受け手を面へ広げる
アンダーフィルなしチップ基板熱膨張差をバンプだけが受ける繰り返すと亀裂が入るアンダーフィルありチップ樹脂基板面で結ばれ、力が分散する接合部の寿命が延びるキャピラリ式接合後に縁から毛細管現象で吸わせるノーフロー式接合前に置き、押しつけと同時に埋める
隙間が空いていると、チップと基板の熱膨張差をバンプだけが受け止めます。樹脂で埋めると両者が面で結ばれ、力が広い面積へ分散します。充填方法は、接合後に縁から吸わせるキャピラリ式と、接合前に載せて同時に埋めるノーフロー式の2つです。

シリコンは2.6 ppm/℃、FR-4基板は14×10⁻⁶/℃で、5倍以上離れている

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シリコンの熱膨張係数は2.6 ppm/℃です1。ppmは百万分の1のことなので、温度が1℃上がるごとに長さが百万分の2.6ずつ伸びるという意味です。実装ボードの代表的な材料であるFR-4(ガラスエポキシ樹脂)は14×10⁻⁶/℃、厚膜チップ抵抗器の支持体であるアルミナは7.1×10⁻⁶/℃です2。10⁻⁶/℃はppm/℃と同じ量の別の書き方で、14を2.6で割ると、有機基板側はチップ側の5倍以上の開きになります。

一辺10 mmのチップと基板が100℃の温度差を受けるとして計算すると、端から端までの伸びの差は10 mm×(14−2.6) ppm×100℃で、およそ11マイクロメートル(µm)です。バンプの高さは数十µmの桁なので、11µmのずれは、バンプを横へ大きくせん断する量になります。

ロームは、この伸びの差が温度サイクルを繰り返すうちにストレスとなり、2つを接合している半田フィレット部にクラックを生じることがあるとしています。収縮によって生じる応力なので、電極間距離が長い、つまりチップサイズが大きくなるほど不利になるとも述べています。チップの中心から遠い点ほど、ずれが大きくなるという関係です。

同社の温度サイクル試験の条件は、JIS C 5201-1 sec4.9に準拠し、−40℃で30分と+125℃で30分を気層で3000サイクル、試験基板はFR-4、はんだはSn/3.0Ag/0.5Cuで厚さ0.100 mmです。チップ抵抗器の例ですが、伸びの差が接合部へ集まるという筋道は、フリップチップでも同じです。

アンダーフィル材は、粘度で流し込み、硬化後の弾性率と熱膨張係数で力を受ける

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ナミックスのフリップチップ用アンダーフィル剤は3、キャピラリーフロータイプで注入封止する絶縁材料です。掲載された8製品の特性は、粘度10〜60 Pa・s、ガラス転移温度(Tg)70〜135℃、弾性率6.5〜12 GPa、Tg以下の熱膨張係数22〜42 ppmの範囲です。ガラス転移温度とは、樹脂が硬いガラス状からゴム状へ移る温度のことです。

粘度は、狭い隙間へ吸い込ませるときの流れやすさを表します。弾性率とTg以下の熱膨張係数は、硬化したあとに力をどう受けるかを表し、Tgはその硬化後の性質がどこまでの温度で保たれるかを表します。

Tgをまたぐと、熱膨張係数は別の値になる

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Tgの数値が材料選びに関わるのは、Tgをまたいだ前後で熱膨張係数が別の値になるからです。CSP/BGAボードレベル用の製品4ではTg以上の値も併記されており、SUF 1589-1はTg 120℃で、Tg以下が23 ppm、Tg以上が80 ppmです。SUF 1570-2はTg 135℃で32 ppmと100 ppm、XSUF1594-16はTg 120℃で53 ppmと175 ppmです。Tg以上の値をTg以下の値で割ると、3製品とも3倍以上になります。製品が通る温度の上限がTgを超えるなら、設計で使う数値は大きいほうの側になります。

同じページのXSUF1594-16は、粘度が0.3 Pa・sです。フリップチップ用の10〜60 Pa・sと比べると、1桁から2桁低い値です。同じ「アンダーフィル」という名前でも、流し込む隙間の広さに応じて材料が作り分けられていることが、この数字に出ています。

樹脂が入る場所は、チップと基板の間と、パッケージとマザーボードの間の2か所

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フリップチップ用は、金属バンプ電極を形成したICチップの回路面を実装基板側へ向ける実装技術に対して、隙間へ注入封止する絶縁材料です。CSP/BGAボードレベル用は、パッケージ化されたベアチップをマザーボードへ2次実装する際に、耐衝撃強度と耐ヒートサイクル性の向上を目的とした補強材です。

つまり樹脂が入る場所は、チップと基板の間(1次実装)と、パッケージとマザーボードの間(2次実装)の2か所です。2次実装では、温度サイクルへの強さに加えて落下衝撃への強さも目的に入ります。同じ言葉で呼ばれていても、材料に求める性質は場所ごとに別です。

スミコン EMEは、ナミックスのアンダーフィルよりTgが高く、膨張の度合いが小さい

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封止材(モールド樹脂)との違いも、数値で線が引けます。住友ベークライトのエポキシ樹脂成形材料スミコン EMEは5、ガラス転移温度145〜230、線膨張係数がTg以下で6〜13、Tg以上で24〜49、熱伝導率0.8〜3.0 W/m Kです。役目は、チップ保護、外部環境からの絶縁性の確保、チップからの熱拡散性の確保、実装時のハンドリング性の確保です。

アンダーフィルのTg 70〜135℃、Tg以下の熱膨張係数22〜42 ppmと比べると、スミコン EMEのほうがTgが高く、膨張の度合いが小さい側にあります。封止材はチップの外側を覆って守る材料、アンダーフィルは数十µmの隙間へ入って力を分け合う材料で、要る性質が異なるためです。

熱膨張係数の並び ─ どの材料が、どれだけ伸びるか
温度が1℃上がるごとに伸びる割合(ppm/℃、各社の公開値)シリコン(チップ)2.6FR-4基板14アンダーフィル(Tg以下)22〜42アンダーフィル(Tg以上)80〜175050100150ppm/℃*アンダーフィルのTg以上の値は、CSP/BGAボードレベル用3製品の掲載値ですチップのシリコンに対し、隙間を埋める樹脂は一桁大きく伸びます
同じ温度差でも、材料によって伸びる量は桁で異なります。シリコンは2.6 ppm/℃、FR-4は14×10⁻⁶/℃、アンダーフィルはTg以下で22〜42、Tg以上で80〜175です。Tg以上の値は、CSP/BGAボードレベル用3製品のものです。淡い部分は各社が示す範囲の下限までを表します。

狭ピッチになるほど、樹脂が奥まで届かずに空隙が残る

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バンプの間隔が狭くなるほど、隙間も狭くなります。樹脂が奥まで届きにくくなり、樹脂が止まった先は空隙のままです。空隙はそこ自体が応力の集中点になるため、埋めたつもりでかえって信頼性を下げます。

樹脂に混ぜるフィラーの粒径の上限も、隙間の高さで決まります。フィラーは熱膨張の度合いを調整し、機械的な強度を上げる役目を持ちますが、粒が隙間より大きければ入口で詰まります。狭ピッチ化は、材料側の設計にも影響します。

京セラの標準品のFC-BGA(フリップチップBGA)用パッケージは、フリップチップピッチの最小値が100µm、ビルドアップ配線の線幅/線間が9µm/12µm、ビアランド径の最小値が85µmです6。100µmは1ミリメートルの10分の1です。その間隔で並ぶバンプの列を縫うように、樹脂は端から中央へ進みます。

隙間が狭くなるほど、樹脂は奥まで届かなくなる
隙間が広ければ、奥まで届くチップ基板樹脂樹脂縁から吸い込まれ、全面が埋まる隙間が狭いと、途中で止まるチップ空隙基板樹脂が止まった先が空隙として残る粒が隙間より大きければ入口で詰まる埋めたつもりで、逆に弱くなる空隙はそこ自体が応力の集中点になるかえって信頼性を下げる材料側の設計にも影響するフィラーは熱膨張の度合いを調整し、機械的な強度を上げるその粒径の上限は隙間の高さ
バンプの間隔が狭くなるほど隙間も狭くなり、樹脂が奥まで届かなくなります。届かなかった部分は空隙として残り、そこが応力の集中点になります。隙間より大きいフィラーの粒は、入口で詰まります。

ハイブリッドボンディングのようにバンプを省く方式では、隙間そのものが無くなるため、アンダーフィルの工程も省けます。接合方式の選択が、そのまま材料工程の有無を決めます。Besiは、ダイアタッチ装置の製品群7を持っています。

充填の状態は、超音波映像で空隙からの反射を見て確かめる

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樹脂が奥まで届いたかどうかは、チップと基板に挟まれた場所の話なので、外から判断しにくいところです。そこで超音波映像装置(SAT)が使われます。日立パワーソリューションズの超音波映像装置FineSATでは、音波が物質の続いている部分をゆっくり減衰しながら伝わる一方、空隙のあるところでは大部分が反射し8、この反射の差が画像の濃淡になります。同社は、これまでの例では厚さ5 nmの隙間も明確に検出できるとしています。

低めの超音波は深いところまで届き、高めの超音波は微小なものを判別できる代わりに、届く深さが浅くなります。分解能の例として同社は、ビーム径8µmの場合に、理想的な条件下では10µmピッチで並ぶパターンを独立したパターンとして認識できることもある、としています。

同社の検出事例では9、FineSATはCSPのアンダーフィルの剥離やボイドの検出に有効で、バンプ間および周辺部までボイドの有無を観察でき、条件によっては10µm径の未接合部も検出できるとしています。チップ右側の白い剥離、チップ周りの大きなクラック、チップとチップの間にあるダイアタッチフィルムの剥離も映像化されています。

測った結果は、材料と条件の側へ返ります。空隙がいつも同じ場所に出るなら、樹脂を入れる位置や量、基板の温度、樹脂の粘度が見直しの候補になります。剥離が出るなら、界面の状態や硬化の条件です。どちらにしても、粘度・Tg・弾性率・熱膨張係数の数値が、材料を選び直すときの手がかりになります。

アンダーフィルとは何ですか?

フリップチップ実装したチップと基板の隙間へ流し込む樹脂です。バンプ1点に集中していた熱応力を面全体へ分散させ、バンプ接合部の寿命を延ばします。

なぜ樹脂を入れるのですか?

チップと基板が熱で伸びる量に差があるためです。シリコンと有機基板では膨張の度合いが異なり、温度が上下するたびにその差がバンプへ力として集中します。繰り返せばバンプに亀裂が入ります。

隙間を埋めるとなぜバンプの寿命が延びるのですか?

力の受け手が増えるためです。隙間が空いていればバンプだけが両者を結んでいるため、変形の差はすべてバンプが受け止めます。樹脂で埋めればチップと基板が面で結ばれ、力が広い面積へ分散します。

キャピラリ式とは何ですか?

接合したあとで隙間の縁へ樹脂を置き、毛細管現象で吸い込ませる方式です。接合とは別の工程になりますが、材料と条件を独立に選べます。

ノーフロー式とは何ですか?

接合の前に樹脂を先に載せておき、チップを押しつけて接合すると同時に隙間を埋める方式です。工程数が減る一方、接合と両立する樹脂の設計が難しくなります。

狭ピッチ化で何が問題になりますか?

隙間が狭くなり、樹脂が奥まで届きにくくなります。樹脂の届いた縁から先が空隙として残ると、そこが応力の集中点になり、かえって信頼性を下げます。樹脂に混ぜるフィラーの粒径の上限も、隙間の高さで決まります。

チップと基板の熱膨張係数は、どれくらい離れていますか?

シリコンは2.6 ppm/℃、実装ボードの代表的な材料であるFR-4は14×10⁻⁶/℃です。ppm/℃と10⁻⁶/℃は同じ量の別表記なので、14を2.6で割ると、有機基板側はチップ側の5倍以上です。

アンダーフィル材のガラス転移温度(Tg)は、なぜ気にするのですか?

Tgをまたぐと熱膨張係数が別の値になるためです。ナミックスのCSP/BGAボードレベル用3製品では、Tg以下が23〜53 ppm、Tg以上が80〜175 ppmで、Tg以上の値をTg以下の値で割ると3製品とも3倍以上です。製品が通る温度の上限がTgを超えるなら、設計で使うのは大きいほうの数値です。

封止材(モールド樹脂)とアンダーフィルは、どこが異なるのですか?

数値の水準です。住友ベークライトのスミコン EMEはTg 145〜230℃、Tg以下の線膨張係数6〜13。ナミックスのフリップチップ用アンダーフィルはTg 70〜135℃、Tg以下の熱膨張係数22〜42 ppm。封止材はチップの外側を覆って守る材料、アンダーフィルは数十マイクロメートルの隙間へ入って力を分け合う材料で、要る性質が異なります。

充填の状態は、どうやって測るのですか?

超音波映像装置(SAT)が使われます。音波は物質の続いている部分をゆっくり減衰しながら伝わり、空隙のあるところで大部分が反射します。日立パワーソリューションズは、これまでの例では厚さ5 nmの隙間も明確に検出でき、CSPのアンダーフィルの剥離やボイド、条件によっては10 µm径の未接合部も検出できるとしています。

パッケージとマザーボードの間にもアンダーフィルを入れますか?

入れます。ナミックスは、パッケージ化されたベアチップをマザーボードへ2次実装する際の、耐衝撃強度と耐ヒートサイクル性の向上を目的とした補強材として、CSP/BGAボードレベル用の製品を出しています。樹脂が入る場所は、チップと基板の間(1次実装)と、パッケージとマザーボードの間(2次実装)の2か所です。

フリップチップのバンプ間隔は、どこまで狭いのですか?

京セラの標準品のFC-BGA用パッケージでは、フリップチップピッチの最小値が100 µmで、1ミリメートルの10分の1です。同じパッケージのビルドアップ配線は線幅/線間が9 µm/12 µm、ビアランド径の最小値は85 µmです。

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