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MUFのボイド、上下の流れの合流点に|隙間をそろえると減少、UTACの解析

シンガポールのOSATであるUTACが2011年に調べたトランスファー成形のモールドアンダーフィル(MUF)の試験品では、チップの下のボイドは、ダイの上と下を流れる樹脂の合流点に残った。UTACは流動解析と超音波像の突き合わせで1、ダイの上の広い隙間を先に進んだ樹脂が、バンプの並ぶ狭い隙間で遅れた樹脂と合流する所にボイドが残ることを示した。ダイの上と下の隙間をそろえると、解析上は両方の流れがそろって進み、ボイドが減った。

MUFとは、フリップチップのバンプの隙間とダイの周囲を、モールド工程の1回で同時に埋める封止方式を指す。2011年の封止材料の総説は2、MUFの課題として細かいフィラー、フラックスの汚れによる密着低下、チップ下の未充填ボイドを並べていた。一方でUTACは隙間、バンプ、充填時間、金型温度を、Henkelは2024年の液状MUFの試験で配合の粘度とゲル化、成形条件を変えた。フラックスとフィラー径は、どちらの試験でも変えていない。

MUFは、アンダーフィルとオーバーモールドの二工程を一つにする

Section titled “MUFは、アンダーフィルとオーバーモールドの二工程を一つにする”

フリップチップのパッケージは、ダイと基板の隙間をキャピラリーアンダーフィル(CUF、材料はアンダーフィル材料で比べている)で埋めてから、全体を封止材でオーバーモールドする方式が多い。総説によれば2、この方式が主流なのは反りを矯正でき、パッケージとして扱いやすいからだ。ただし封止が2回になるので、モールドだけで隙間まで埋めるMUFが開発された。総説は、工程のコストが下がり、ダイの上と下を同じ材料で封止するので信頼性も確保できると説明する。

Henkelは2024年の液状MUFの開発報告で3、CUFはダイ1個ずつ塗布して毛細管力で流すため、ダイが大きくなり、1つのパッケージに載るダイが増えると、ボイドの閉じ込めと処理量が問題になると述べている。固形のMUFはフィラーが多く粘度が高いので高い成形圧が要り、液状のMUFは低い圧力で隙間とダイの上を同時に埋められる。京セラもMUF用のEMCを4、FC-CSPやFC-SiPの狭い隙間を少ないボイドで埋める材料として、トランスファー成形とコンプレッション成形の両方に出している。

UTACの試験品では、ダイの上を先に進んだ樹脂がダイの下の流れと出会う所にボイドが残った

Section titled “UTACの試験品では、ダイの上を先に進んだ樹脂がダイの下の流れと出会う所にボイドが残った”

UTACが調べたのは、トランスファー成形でMUFを使う1種類のフリップチップの試験品だ。ダイ厚0.15 mm、ダイと基板の隙間0.1 mm、金型の高さ0.53 mmで、ダイの上には0.28 mmの隙間がある。解析でも成形の途中で止めたサンプルでも、樹脂はダイの上の広い隙間を速く進み、バンプのある狭い隙間では遅れた。超音波像で見たボイドの位置は解析の予測とほぼ一致し、UTACは2つの流れが再び合流する所を、この試験品でのボイドの主な要因の候補に挙げた。UTACは、結果は材料によって変わるとも書いている。

MUFの断面を2段で比べた図。上段はダイ厚0.15 mmで、ダイの上の隙間0.28 mmを流れる樹脂が先に進み、遅れて進むダイの下の流れと合流する所にボイドが残る模式図。下段はダイ厚0.33 mmでダイの上の隙間が0.10 mmになり、上と下の流れがそろって進む。
UTACの試験品では、ダイの上の隙間が下より広く、上を先に進んだ樹脂と下の遅れた流れの合流点にボイドが残った。解析では、上下の隙間をそろえると流れがそろい、ボイドが減った。

UTACは、金型の高さとバンプを変えずにダイを0.33 mmへ厚くし、ダイの上の隙間を0.10 mmに狭めた。解析では上下の流れの抵抗がそろい、合流点で生じるボイドが減った。解析では、バンプの配置も効いた。ピッチ約0.1 mmの密な領域が、ピッチ約0.6 mmの疎な領域の隣にあると、ボイドは密な領域へ寄った。バンプを均等に並べると、ボイドは中央寄りに集まった。バンプの高さを0.1 mmから0.06 mmへ下げると、ダイの下の流れがさらに遅れ、ボイドはゲートに近い側へ移った。

液状MUFについて、Henkelの報告は3、試験チップの上に残った流れの跡から、抵抗の小さいチップの周囲が先に埋まり、狭い隙間が後から埋まったと読んでいる。Henkelがまとめた先行研究によれば、ボイドはチップの中央にできることが多く、その大きさは塗布の形、圧縮の力、真空度で変わる。ウェーハの中央に1点で塗布すると中央に空気が閉じ込められやすく、渦巻きや蛇行の形に塗るとボイドが減った。

Henkelの比較では、M5の高粘度と短いゲル化時間が全面ボイドと重なった

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樹脂は、流れている間にも硬化が進んで粘度が上がる。UTACの解析では、充填時間を0.5〜2秒と、ゲル化までの時間より十分短くした範囲では、ボイドの位置はほとんど動かなかった。充填時間を10〜30秒とゲル化に近づけると、ボイドはゲート側へ寄った。2秒で充填する条件では、金型温度を130〜210 °Cで変えても位置はほとんど動かなかった。

Henkelは、5種類の配合の液状MUFで反りを比べ、反りの小さかったM3、M4、M5をHBM2Eの試験チップで充填した。配合はCTE、弾性率、Tg、硬化の速さが少しずつ違う。チップは7×11 mm、厚さ0.15 mmで、バンプは27,190個、隙間は20 µm、ピッチは30〜66 µmである。反りの最も小さかった配合M5は、超音波像でチップ全体が白くなり、ボイドが全面に出た。M5はM3より粘度が高く、ゲル化が速かった。Henkelは、流れの抵抗が大きく流れる時間が短いことが、充填の悪さに関係したとみている。粘度とボイドの関係は、このM3とM5の1組の比較から読んだものだ。反りを決める物性は半導体封止材の記事で扱っている。

成形条件でもボイドは変わった。M3では、型を閉じる速度を遅くするとボイドが減り、成形温度を下げるとボイドが増えた。Henkelは前者を流れの先端がそろい材料が温まる時間が延びたため、後者を低温で粘度が上がったためと推定している。M3より反りの小さい配合M4は、120 °Cで型を遅く閉じる条件でボイドなしに埋まり、並べて成形した試験でもM3よりボイドなしの率が高かった。M3とM4は粘度の推移が近く、HenkelはM4が埋まりやすかった理由を、強靱化剤が他の樹脂となじみやすく高温で流れやすいためとみている。反りが最小のM5は全面ボイドになり、反りを抑えたM4はボイドなしで埋まった。Henkelは、低い反りとボイドのない充填を同じ材料で両立できたとまとめている。

隙間20 µmの試験では、フィラーの上限を隙間の4分の1にした

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MUFのフィラーは、通常の封止材より細かい。2011年の総説は2、MUFでは最大粒径20〜30 µmと、従来より小さいシリカフィラーを使うとしていた。総説に載った未充填ボイドの例は、隙間40 µmのフリップチップに、30 µmカットのフィラーの封止材を流したものだ。この2つの値から計算すると、フィラーの上限は隙間の4分の3にあたる。

Henkelの2024年の試験では、隙間20 µmに対して上限5 µmのフィラーを使った。計算すると隙間の4分の1だ。Henkelが2025年1月に出した液状コンプレッション成形材LCM 1000AG-15のデータシートでも、フィラーは平均3 µm、最大10 µmである。

フィラーを細かくすると、反りの対策がしにくくなる。Henkelによれば、シリカのCTEは約3 ppm/°Cと小さく、フィラーを増やせば封止材のCTEが下がって反りが減る。しかしフィラーを増やすと粘度が大きく上がる。Henkelは、隙間が狭くピッチが細かくなるほど、ボイドをなくすには超微細なフィラーが要り、フィラーを増やしにくくなると述べている。

総説が挙げたフラックスの汚れは、密着の低下として効く

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総説は2、フリップチップ実装のときに残るフラックスなどの汚れで、ダイと基板の間の密着性が下がることをMUFの課題に挙げている。チップ下の未充填ボイドは、それとは別の課題として並べている。総説の筆者は、これらの課題がパッケージの設計とユーザーの工程で違い、個別に対応して解決していると書いている。

バンプの種類も界面に効く。総説によれば、Cuピラーのバンプでははんだバンプよりバンプ部の応力が大きく、バンプ周辺のクラックや封止材との剥離が課題になる。総説の筆者らは、封止材の低応力化と高密着化でこれを解決したとしている。

ボイドの見え方は、UTACとHenkelの条件では要因ごとに違った

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超音波像での見え方そのとき変えた要因出典と条件
ダイの上下の流れの合流点に残るダイの上下の隙間の比、バンプの密度と高さUTAC、トランスファー成形、解析
充填時間をゲル化に近づけるとゲート側へ寄る充填時間UTAC、トランスファー成形、解析
チップ全体に広がる配合の粘度とゲル化の速さHenkel、液状コンプレッション成形、配合M5の1例
チップの中央に残る塗布の形、真空度、圧縮の力Henkelがまとめた先行研究、液状コンプレッション成形

成形直後にボイドのなかったユニットでも、吸湿とリフローの後に白い部分が現れることがある。Henkelの試験では、ボイドなしで埋まったM3のチップを、MSL3の吸湿と260 °C・3回のリフローにかけると、バンプの密な領域が白くなった。断面を見ると、そこは界面の剥離と、Cuピラーの根元のボイドだった。M4は同じ試験で白くならず、Henkelはその理由を反りとCTEの小ささとみている。不良をロットとウェーハ上の位置で追う方法は歩留まりと欠陥管理、封止の前後の工程の並びは先端パッケージにある。

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