CUFのボイド、粘度に加え濡れと辺の流れダイの辺を先行する流れが空気を閉じ込める例
フリップチップのダイと基板の隙間へ毛細管力で樹脂を流し込むキャピラリーアンダーフィル(CUF)は、粘度を下げると速く埋まる。ボイドの発生は、粘度のほか、基板の濡れ、ダイの辺に沿った流れ、流れどうしの合流でも変わる。FCBGAの研究では、ダイの辺を先に進んだ流れが、空気を閉じ込めることがあった。狭いギャップでは、フィラーの粒径も流れ先端の形を左右する。
Intelの研究者は、ディスペンス温度での粘度と基板ごとの濡れ角を測り、流れを動画で観察して、粘度と基板の濡れの両方がボイドの発生に強く効く1と報告した。石英の試験チップで市販品と試作品を比べた2000年の研究では、流れの良し悪しを粘度と接触角に加えてフィラーの粒径と分布が決め、ギャップ25 µmではほぼすべての材料が筋状の流れを示した2。
アンダーフィルは、はんだ接合の後に流すか前に置くかで分かれる
Section titled “アンダーフィルは、はんだ接合の後に流すか前に置くかで分かれる”アンダーフィルとは、ダイと有機基板の熱膨張差ではんだバンプに集まるひずみを、ダイの下で硬化した樹脂に分け持たせる材料を指す。方式は、樹脂を入れる時点で分かれる。CUFは、はんだ接合を終えてからダイの辺に樹脂を置き、毛細管力で隙間を満たしたあと、別に硬化する。ノーフローアンダーフィル(NUF)は、ダイを載せる前に基板へ樹脂を塗り、搭載で押し広げ、リフローではんだ接合と硬化を一度に進める。
NCPとNCFは、ペーストかフィルムを接合前に置き、熱圧着(TCB)で接合する。HenkelのNCP 52093は基板に先塗りするペーストで、7 mm角・1,048バンプのダイを250 °C・2.8秒で接合し、160 °Cで2時間の後硬化をかける例を示す。モールドアンダーフィル(MUF)は、封止の金型の中でバンプの隙間とダイの周りを一度に埋める。MUFの材料と反りは封止材(EMC・MUF)で扱う。
NUFでは、搭載の速さと、はんだ濡れと硬化の反応で出るガスがボイドの起点になる。
平行平板のニュートン流体なら、充填時間は粘度と流動距離の二乗に比例する
Section titled “平行平板のニュートン流体なら、充填時間は粘度と流動距離の二乗に比例する”平行な2枚の板の間を毛細管力で進むニュートン流体では、距離を流れる時間は で表せる。は粘度、はギャップ、は表面張力、は接触角だ。Hewlett-PackardのSchwiebertとLeongは1996年、この関係をアンダーフィルの流れに当てはめ、実測の流動距離とよく合うことを確かめた4。式から計算すると、粘度を半分にすれば充填時間は半分になり、流す距離が2倍になれば4倍になる。
実際の隙間にはバンプが並ぶ。YoungとYangは2002年、バンプによる流れの抵抗を加えたモデルで、ピッチ、バンプ径、ギャップが充填時間を変え、全面配列では細かいピッチの方が速く流れる配置もある5と示した。韓国・中央大学の実験は、直径80 µmと100 µmのはんだボールをピッチ150 µmと180 µmで並べたチップを使い、バンプが密になるほど流れの抵抗が増えて充填が遅くなる6ことを確かめた。バンプの抵抗は配置で増えも減りもする。そのため、平板の式で出る充填時間は概算にとどまる。
フィラーを入れたエポキシは、せん断の速さで粘度が変わる非ニュートン流体でもある。Youngは2011年、非ニュートン性は流れの模様をほとんど変えないが、充填時間を大きく変える7と報告した。Siemensが2023年に発表した、パワーモジュールの非ニュートン性アンダーフィルのシミュレーション研究では8、粘度を20%上げると充填時間が28.9%延び、比例で見積もる20%を上回った。同じ研究は、WashburnとWanの解析式が、シミュレーションより粘度の変化に鈍いとしている。低せん断域の粘度をべき乗則の近似で置き換えると、流速を実測の粘度データを使った場合の2倍に見積もった。Siemensはこの結果から、低せん断域の粘度の変化を測ることが流れの予測に欠かせないとしている。
ボイドは、先に進んだ流れが空気を囲んだ所にできる
Section titled “ボイドは、先に進んだ流れが空気を囲んだ所にできる”FCBGAのアンダーフィルでは、ダイの辺に沿った流れが速くなる現象が観察されている。Siemensの研究はFCBGAの先行研究を引き、このレーシング効果は外周のバンプとダイ端の距離が広いほど強く出て、流れの形が不揃いになると空気を閉じ込めることがある8とまとめている。同じ研究は、複数の流れ先端が合流すると、ダイの近くで空気が閉じ込められる危険が高まるとしている。
この現象は、透明なダイで流れを見ると分かる。Nguyenらは1999年、石英の試験ダイで周辺配列、混在配列、全面配列のバンプと複数の基板表面を組み合わせ、流れ先端の揃い方、筋状の流れ、ボイド、フィラーの偏りを観察し、ダイ端とバンプを入れた二相流の計算と比べた9。Intelの研究者も、ボイドを観察するために流れの動画計測を開発し、材料と基板の両方の性質を最適化してボイドを減らす方法1を論じている。
塗り方の工夫だけでは防げない配置もある。IGBTを縦方向に集積するパワーモジュールの試作で、Siemensは複数のチップが流れを分ける配置では塗布パターンを変えるだけではボイドを防げない場合があるとし8、基板の間に堰や弧状の仕切りを入れて流れを導いた。実験では、仕切りで流れを分けた設計でボイドを防げた。
狭いギャップでは、フィラーの粒径が流れ先端を乱す
Section titled “狭いギャップでは、フィラーの粒径が流れ先端を乱す”毛細管流れの式には、フィラーの大きさが入っていない。Fineらは2000年、石英の試験チップを有機基板に接合し、市販品と試作品の流れを比べた。粒径5 µm未満のフィラーを使う材料は、大きな粒子の材料より速く、揃った先端で流れた。流れの良い材料はギャップ50〜75 µmで問題なく流れ、流れの悪い材料は同じギャップで筋状の流れ、ボイド、指状の流れを示した2。ギャップ25 µmでは、ほぼすべての材料が筋状の流れを再現性よく示した。
ナミックスはフリップチップ用アンダーフィルのうち10、粘度10 Pa·sと15 Pa·sの2品番を低粘度・狭ピッチ対応と書く。パナソニックの基板実装用CV5794は11、最小流動ギャップを20 µm、25 °Cの粘度を1 Pa·s以下としている。こうした公開値は、Tgの測定法や粘度の測定温度が各社で違う。
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- 3Henkel:LOCTITE ECCOBOND NCP 5209の技術データシート(2013年11月)datasheets.tdx.henkel.com ↩
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- 8Siemens(Micromachines):パワーモジュールのCUF流動シミュレーションとボイド対策の設計(2023年9月)pmc.ncbi.nlm.nih.gov abc
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- 10ナミックス:フリップチップ用アンダーフィルの特性データnamics.co.jp ↩
- 11パナソニック:高耐熱アンダーフィルCV5794の製品化(2018年9月)news.panasonic.com ↩