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封止材メーカーの発表は液状とSiC向け|住友ベークライトのEME-G785はTg 230 °C

住友ベークライト、NAMICS、Henkelが2024〜2026年に出した封止材の発表を並べると、この記事の整理では2つに分かれる。1つはウェーハやパネルの上でダイの間と上を埋める液状封止材で、もう1つはSiCパワーモジュール向けにTgを上げた固形のEMCだ。住友ベークライトは、SiC向けではTg 230 °CのEME-G785の量産を2026年に始めた1。液状ではEME-Lの試作品の出荷を2026年4月に始めた2段階で、認定と採用の目標は2027年だ。NAMICSは2024年6月の発表で、液状のモールドアンダーフィル(MUF)を量産向けに商品化したと述べていた。住友ベークライトは世界の封止材市場で約4割のシェアを持つと自社推定している(EE Times Japan、2024年10月3)。

液状封止材とは、低粘度の液状の樹脂をウェーハやパネルの上に置き、コンプレッション成形でダイの間と上を埋める材料を指す。2つの方向では、材料に求められる性質の組み合わせに違いがある。SiC向けでは高いTgと低い応力の両立が課題になり、液状封止材では低い反りと狭い隙間への流れやすさの両立が課題になる。住友ベークライトはG785の売上を2030年度に100億円にする目標を掲げている。この目標を2025年度の半導体材料セグメントの売上で割ると、約9.4%になる。

住友ベークライトは、大型パッケージの反りを液状封止材の開発の理由に挙げる

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住友ベークライトはEME-Lの発表で2、生成AIの普及で2.xD・3D構造やチップレットの採用が進み、パッケージが大きくなったことを開発の背景に挙げた。大きなパッケージを経済的に作るには、反りが小さく加工しやすい液状封止材が要るという。EME-Lには、ダイの下を埋めるアンダーモールドとダイの上を覆うオーバーモールドを1工程にまとめられる品種も含まれる。同社は、固形の封止材で積み上げた配合と混練の技術を液状に移したと説明している。

液状にする理由の1つは、成形の圧力だ。Henkelは2024年の液状MUFの開発報告で4、固形のMUFはフィラーが多く粘度が高いので高い成形圧が要り、ダイが細かく複雑になるほど損傷を避けるために低い圧力が好まれると述べている。Henkelの報告では、反りが最小の配合M5は試験チップの下を全面ボイドで残し、反りを抑えた配合M4はボイドなしで埋まった。ボイドがどこにできるかはMUFのボイドの記事、反りを決める物性は半導体封止材の記事で扱っている。

NAMICSは2024年6月に液状MUFの量産向け商品化を発表し、住友ベークライトは2027年の認定・採用をめざす

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2024年から2027年の封止材の発表を2つの列で並べた年表。液状封止材の列には、2024年6月のNAMICSのLCMUF量産向け商品化の発表、2025年1月付のHenkelのLCM 1000AG-1のデータシート、2026年4月の住友ベークライトのEME-L試作品出荷、2027年のEME-Lの認定・採用の目標が並ぶ。SiC向け高Tg EMCの列には、2026年6月の住友ベークライトのEME-G785の量産開始が並ぶ。
液状の列では、NAMICSの量産向け商品化の発表(2024年6月)から住友ベークライトの試作品出荷(2026年4月)まで、日付の差から計算すると約22か月ある。SiC向けの列では、住友ベークライトが2026年に量産へ入った。

NAMICSは2024年6月、液状コンプレッションモールドアンダーフィル(LCMUF)の実用化でエレクトロニクス実装学会(JIEP)の技術賞を受けた5。LCMUFは、インターポーザとチップの隙間とチップの周辺を、コンプレッション成形装置で一工程で封止する材料だ。NAMICSは、樹脂とフィラーの設計を最適化して反りの低減と高い流動性を両立させ、量産向けに商品化できたとしている。材料の評価にはResonacが協力した。

Henkelの2025年1月付のLCM 1000AG-1のデータシートで6、ウェーハレベルパッケージの液状コンプレッション成形と、ファンアウト(FO-WLP)のオーバーモールドを用途に挙げている。Tg以下のCTEは8 ppm/°C、Tgは135 °C、フィラーは最大10 µmで、120 °Cの金型内で300〜600秒硬化させる。同社のウェーハレベル封止材の資料は7、用途にチップオンウェーハの2.5Dと3DのTSVを挙げ、他社の液状材料より反りが70%以上小さいと主張している。Henkelの2024年の報告の配合M4は、隙間20 µmのHBM2E試験チップをボイドなしで埋めた。M4はLCM 1000AG-1とは別の、報告のための配合だ。

企業製品2026年10月時点の段階用途
NAMICSLCMUF2024年6月の受賞発表で量産向けに商品化済みと記載インターポーザとチップの隙間と周辺の一括封止
HenkelLCM 1000AG-12025年1月付のデータシートウェーハレベルの液状成形、ファンアウトのオーバーモールド
住友ベークライトEME-L2026年4月に試作品出荷、2027年の認定・採用が目標2.xD・3D、チップレットの大型パッケージ
京セラKE-G1250FCほかMUF用EMCとして掲載FC-CSP、FC-SiPの狭い隙間

次の各社の製品ページには日付がなく、上の2つの列とは別に載せる。京セラのMUF用EMCは8、DRAMやRFモジュール向けに、狭い隙間を少ないボイドで埋める材料として、トランスファー成形とコンプレッション成形の両方に対応する。京セラは大型の成形でも反りの小さいパネル・ウェーハレベル向けのシート状EMC9も出している。味の素ファインテクノの半導体封止材10は液状、フィルム、顆粒の3形態をそろえ、液状品はMUFに使えると記載している。

SiC向けでは、住友ベークライトと京セラが高Tgと低弾性率の両立を挙げる

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住友ベークライトの説明によれば1、SiCのデバイスは200 °Cを超える温度で動作できるが、従来の封止材では耐熱が足りなかった。EMCのTgを200 °Cより上げると架橋密度が上がって弾性率も上がり、温度サイクルの熱応力で剥離やクラックが起きる。このため高いTgの材料は作れても、パワーモジュールに使うのは難しかったという。同社はG785を、この高Tgと低応力のトレードオフを独自技術で解いた製品と位置づけている。

項目G720シリーズG780シリーズG785シリーズ
段階量産量産2026年に量産開始
Tg195 °C195 °C230 °C
250 °C・1,000時間の重量減少2%超2%未満2%未満

G785は、樹脂の主鎖の剛性を高めて架橋密度を最適化し、Tg 230 °Cを出した。同社は低応力の技術で弾性率の上昇を抑え、モジュール内の反り、チップや基板との剥離、樹脂のクラックを抑えるとしている。Tg 230 °Cは、同社の2026年4月の調べで固形エポキシ材料として業界最高水準だという。耐熱が上がったことで、焼結材や冷却部品へのはんだ接合にも対応できるとしている。

京セラも、日付のないパワーモジュール用EMCのページで11、低CTE、低弾性率、高Tgで温度変化による応力を下げると説明する。Resonacは、封止材との界面の密着を高めるコーティング材を売る。Resonacの高耐熱コーティング材HIMALは12、チップやリードフレームとEMCの密着を高め、焼結金属や高Tg EMCを使うSiCパワーデバイスで剥離を抑える材料で、30年以上販売している。高Tg型のHL-1270シリーズは200 °Cまで耐える。SiCのデバイスそのものはパワー半導体の記事で扱っている。

G785の2030年度の目標100億円は、2025年度の半導体材料売上の約9.4%にあたる

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住友ベークライトの2025年度(2026年3月期)の半導体材料セグメントの売上13は1,063億9,600万円で、前年度より16.5%増えた。同社は、半導体封止用のエポキシ樹脂成形材料で中国の需要が続き、AI関連の需要が広がったと説明している。EE Times Japanの2024年10月の記事によれば、同社は当時、封止材の世界市場で約40%のシェアを持つと推定していた3。

2030年度の目標100億円を2025年度の実績1,063億9,600万円で割ると、約9.4%になる。これは将来の目標を2025年度の売上と比べた値だ。セグメントには感光性材料やボンディングペーストなど封止材以外の製品も含まれるので、封止材だけの売上に対する比率はこれより大きい。

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