プリント基板とは
プリント基板とは、絶縁体の板へ導体のパターンを作り付け、載せた電子部品どうしを決まった配線で結ぶ部品です。 部品を支える土台であると同時に、部品が生んだ熱を外へ運ぶ通り道にもなります。
配線を空中から板の中へ移し、量産で品質がそろうようになった
Section titled “配線を空中から板の中へ移し、量産で品質がそろうようになった”プリント配線板は、電気絶縁性の材料の板へ導電性材料で導体パターンを形成した部品です1。抵抗器やIC、コンデンサ、半導体などの電子部品をはんだ付けなどで実装し、電子部品同士を電気の通る道で結ぶ2のが主な役割です。配線の高密度化で電子機器の小型化に貢献し、複数部品の集積で高機能化を実現します。
「プリント基板」と「プリント配線板」は、日常ではほぼ同じ意味で使われます。配線だけを作り込んだ板を配線板と呼び、そこへ部品を載せて回路として働く状態になったものを区別して呼ぶ場面もあります。
部品を1個ずつ電線で結ぶやり方では、部品が増えるほど線どうしが絡み、同じ面積へ収めることが難しくなります。プリント基板は、その線を板の表面と内部へ作り付けてしまいます。線の位置が定まるため、同じ設計なら誰が作っても同じ配線になり、量産のたびに品質がそろいます。伸光製作所は、プリント配線板の実用化で電子機器製造が飛躍的に合理化され、大量生産が可能になり、製品の品質も安定するようになったとしています。
層を重ねるほど、同じ面積へ密に配線できる
Section titled “層を重ねるほど、同じ面積へ密に配線できる”片面基板は片方の面だけに配線を持つため、配線が交差するような複雑な回路を構成しづらくなります。両面基板では配線の立体交差ができ、片面基板より高い密度で配線できます。必要な電子回路をすべて収めるには、配線のある層を3層以上へ増やします。一般的には4層、6層、8層といった偶数層で増やしていき、これを多層板と呼びます。
硬い板、曲がる板、金属の板を用途で選ぶ
Section titled “硬い板、曲がる板、金属の板を用途で選ぶ”ガラスや紙にエポキシ樹脂などを含浸させたものがベースの硬い板がリジッドプリント配線板、曲げや屈曲に適応できる柔軟な素材で構成したものがフレキシブルプリント配線板です。京セラは、リジッドは信頼性が高く高い機械強度を持つため産業用途や高性能な電子機器で広く使用され、フレキシブルは狭いスペースや複雑な形状に適した設計ができ、スマートフォンやウェアラブルデバイスのほか、航空宇宙・医療機器・自動車などの産業分野でも広く利用されるとしています。
伸光製作所は、この2つを一体化したリジッドフレキ基板と、アルミまたは銅の上へリジッド基板を付けたメタルベース基板もあります。メタルベース基板は放熱性を高める基板で2、LED搭載の照明用途に活用されます。金属の板を土台にする発想は、基板が熱を運ぶ部品でもあることを示しています。
電気の通り道は熱の逃げ道で、層数、ビア、銅箔厚で熱抵抗が動く
Section titled “電気の通り道は熱の逃げ道で、層数、ビア、銅箔厚で熱抵抗が動く”回路図が示すのは、どことどこが結ばれるかまでです。実物の基板では、その銅が熱の逃げ道になります。以下はロームが2022年7月12日に公開した、基板の作り方と熱抵抗の関係のシミュレーション結果です。
層数が多いほうが熱抵抗は低くなります3。層が増えるほど、熱を横へ広げる銅の面が増えるためです。ただし同社は、viaによる熱抵抗の低減効果が高く、熱抵抗を下げるには基板の層数を増やすよりviaを設けるほうが効果的だとしています。
ビアの位置も熱抵抗を左右します。viaを裏面露出パッドの直下へ設けた場合と周囲へ配置した場合を比べると、周囲へ配置すると放熱ルートに横(水平)の経路が追加され、熱抵抗が上がります4。同社は、viaを発熱源になるべく近い位置へ設けるのが最も効果的だとしています。熱は縦にまっすぐ抜けるほうが速く伝わります。
熱抵抗は実装基板パターン配線の銅箔の厚さに影響を受け、多層基板になるほど銅箔厚の影響を大きく受けます5。そのため銅箔厚の検討には、パラメータとして基板層数を含める必要があります。
板は熱で伸び縮みし、部品とのつなぎ目にクラックを生むことがある
Section titled “板は熱で伸び縮みし、部品とのつなぎ目にクラックを生むことがある”基板は温度が上下すると伸び縮みします。実装ボードの代表的な材料であるFR-4(ガラス-エポキシ樹脂)の熱膨張係数は14×10⁻⁶/℃6、厚膜チップ抵抗器の支持体であるアルミナは7.1×10⁻⁶/℃です。温度サイクルを繰り返すと、この差がストレスとなり、2つを接合している半田フィレット部にクラックを生じることがあります。
つまりプリント基板は、電気を運び、熱を運び、さらに温度が上下するたびに部品を引っ張る部品でもあります。基板の設計に熱の検討が要る理由が、ここにあります。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”プリント基板とは何ですか?
絶縁体の板へ導体のパターンを作り付け、載せた電子部品どうしを決まった配線で結ぶ部品です。絶縁性の板の上へ電気を通す材料で配線の形を作り込み、そこへコンデンサや半導体などを載せて使います。
プリント基板とプリント配線板は同じものですか?
日常ではほぼ同じ意味で使われます。メーカーの資料では、配線だけを作り込んだ板をプリント配線板と呼び、そこへ部品をはんだ付けして回路として働く状態になったものを区別して呼ぶ場面もあります。
片面・両面・多層はどう違いますか?
配線を持つ層の数が異なります。片面基板は線どうしが交わる入り組んだ回路が苦手で、両面基板は線を立体的に交わらせられるため片面基板より密に配線できます。層が不足する場合は配線の層を3層以上へ増やし、一般には4層、6層、8層と偶数の層で増やしていきます。
フレキシブル基板とは何ですか?
曲げに追従する柔らかい素材でできた配線板です。限られた隙間や入り組んだ形へ合わせて設計できるため、スマートフォンやウェアラブル機器のほか、航空宇宙、医療機器、自動車といった分野でも使われます。
プリント基板は熱と関係がありますか?
深く関係します。基板の銅は電気を運ぶと同時に熱も運び、基板の層数や銅箔の厚さ、ビアの位置によって熱抵抗が上下します。
層を増やせば放熱はよくなりますか?
層数が多いほうが熱抵抗は低くなります。ただしロームは、viaのもたらす低減効果のほうが大きく、層を積み増すよりviaを通すほうが効果的だとしています。
ビアはどこへ設けるとよいですか?
発熱源のできるだけ近くです。viaを裏面露出パッドの周りへ散らして配置すると放熱の道筋へ横向きの区間が挟まり、その分だけ熱抵抗が高くなります。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- はんだとは── 基板と部品を実際に結んでいる金属で、温度が上下するたびに力を受ける側です
- BGA(ボールグリッドアレイ)とは── 基板の面全体を使い、多数の端子が格子状に並ぶパッケージの形です
- フリップチップとは── チップを裏返して基板へ直接つなぐ実装方式です
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- 1京セラ:プリント配線板の種類kyocera.co.jp ↩
- 2伸光製作所:プリント配線板 基礎知識shinkoss.co.jp ab
- 3ローム:TechWeb 基板層数と熱抵抗techweb.rohm.co.jp ↩
- 4ローム:TechWeb Viaは発熱源に近づけるtechweb.rohm.co.jp ↩
- 5ローム:TechWeb 銅箔厚の影響techweb.rohm.co.jp ↩
- 6ローム:TechWeb 半田クラックによるチップ抵抗器の抵抗値不良techweb.rohm.co.jp ↩