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集積回路(IC)とは

集積回路(IC)とは、極めて小さな部品をダイの上に高密度に詰め込んだ電子回路の集合です。 部品を別々に作って集めるかわりに1枚のシリコンへまとめて作り込むので、部品どうしの距離が縮み、信号の遅れと消費電力が減ります。

そのかわり、同じダイの上で1か所でも欠陥が出れば、そのダイ全体が使えなくなります。集積度を上げる方向と歩留まりを保つ方向は、引っ張り合います。

部品を集めるかわりに、1枚のシリコンへ作り込む

Section titled “部品を集めるかわりに、1枚のシリコンへ作り込む”

集積回路以前は、トランジスタや抵抗を1つずつ作り、基板の上へ並べて配線でつないでいました。部品の数が増えるほど、組み立ての手間も、配線の長さも、故障する箇所も増えます。集積回路はこの作り方を反転させ、トランジスタも配線も、同じウェハの同じ工程列から作ります。

ICにはモノリシックとハイブリッドの2種類があり、今日最も一般的に使われているのはモノリシックICです1。モノリシックは、1枚の基板上に一体で作る方式です。

まとめて作るという発想
個別部品を配置する部品が増えるほど配線も手間も故障箇所も増える集積回路1枚のダイの上へまとめて作り込む部品も配線も同じ工程列から生まれるまとめたことの表と裏距離が縮む → 速く、省電力に組み立ての手間も消える1か所の欠陥でダイ全体が使えなくなる面積が大きいほど欠陥を抱える確率が上がる
個別部品を配置する構成では、部品の数だけ配線と手間が増えます。集積回路は1枚のダイの上へまとめて作り込みます。距離が縮む代わりに、1か所の欠陥がダイ全体を落とします。

1枚にまとめるには、平らで清浄なウェーハが要る

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作り込む先はシリコンウェーハという円い板です。ウェーハはICの製造に使う半導体材料の薄い円板で2、円柱状のシリコンの塊(インゴット)を厚さ1mm程度にスライスし、表面を研磨と洗浄で仕上げて3作ります。

同じ板の上に何億もの素子を同じ寸法で作り込むので、板への要求は極端です。SUMCOは、300mmウェーハの平坦度を、東京ドームの広さとしたときに表面の高低差が0.1mmあるかどうかという水準で制御しているとしています4。清浄度は、300mmウェーハに対して20nmの微粒子が数個という水準が要求され、原料の多結晶シリコンの純度は99.999999999%です。この平らさと清浄さがあって初めて、1枚のシリコンへまとめて作り込む方式が成り立ちます。

ディスクリートとICは機能の数で、ICとLSIは素子数で区切る

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トランジスターやダイオードのように1素子が単独の機能を持つものがディスクリート(個別半導体)で、複数の機能の素子を1チップに載せたものがIC(集積回路)です5。メモリーやマイクロプロセッサー(MPU)、ロジックICがICの代表です。ディスクリートは、集積回路に対して単一の機能を果たす半導体デバイス6とも定義されます。区切りは1チップへ載せた機能の数で、1つならディスクリート、複数ならICです。MOSFETは、単体でパッケージされればディスクリート、ICの中の素子なら集積回路の一部という両方の顔を持ちます。

ICとLSIの区切りは数値で決まっています。半導体集積回路(IC)の中で素子数が1000以上のものを大規模集積回路7と呼び、LSI(Large Scale Integrated circuit)とも呼びます。ICの集積度を高めたものがLSIで、LSIはICの一種です。素子数1000という区切りは、18か月ごとに倍というムーアの法則の速度の前では、ごく初期の目盛りにあたります。マイコンは、コンピューターの機能をLSIで実現したものです。

同じ「IC」でも、中身は用途ごとに別物

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ICという語は、用途の異なる複数の種類をまとめて指します。

  • ロジックIC ── 論理演算を行う集積回路
  • リニアIC ── 増幅、発振、周波数変調などに使うアナログICの一種
  • 液晶ディスプレイドライバIC ── 液晶ディスプレイの画素を制御するトランジスタを持つ集積回路

マイクロプロセッサは、大型コンピュータのCPUに相当する働きを1つのLSIチップで実現したものです8。MCU(マイクロコントローラユニット)は、マイコンの要素を1つのチップへまとめたものです。DRAMは、コンピュータの主記憶や、ほかの電子機器の大容量の作業用メモリとして使う半導体メモリです。論理演算を担うもの、信号を増幅するもの、画素を動かすもの、記憶を担うものまで、同じ「IC」でも中身は用途ごとに違います。

集積度と歩留まりは引っ張り合う

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1枚にまとめると、部品どうしの距離が縮んで信号の遅れと消費電力が減り、組み立ての工程も要らなくなります。代償は歩留まりに出ます。1か所の欠陥でダイ全体が落ち、ダイの面積が大きいほど欠陥を抱える確率は上がります。

この関係はチップ面積と欠陥密度で決まります。設計の側で機能を詰め込むほど、製造の側は欠陥密度を下げる要求を受けます。

詰め込む技術と、欠陥を減らす技術が並んで進みました
ダイ部品の数は倍々に増えます赤い印は欠陥です。残る数は減ります時間3つの図は時間の経過の順序を表すイラストです2つの技術が同じ速さで進みました詰め込む技術が集積度を上げます欠陥を減らす技術が歩留まりを守ります両方が同じ速度で進んできたからこそ、集積度は上がり続けられましたトランジスタ数がおよそ18か月ごとに倍と東京エレクトロンの公式用語集は述べています
ダイに詰め込む部品の数が倍々に増える一方で、そこへ残る欠陥は減ってきました。詰め込む技術と欠陥を減らす技術が同じ速度で進んできたからこそ、集積度は上がり続けられました。

ムーアの法則は、大規模集積回路のトランジスタ数がおよそ18か月ごとに倍になるという経験則です8。倍々で詰め込めたのは、詰め込む技術と欠陥増加を抑える技術が並走し、同じ速度で進んできたからです。

作り込まずに、基板へ載せる・縦へ積む道もある

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同じ「集積」の中には、できあがった部品を1枚の基板へ載せる方式もあります。ハイブリッド集積回路は、1枚のセラミック基板の上に半導体デバイスと受動部品を載せた電子回路です1。マルチチップモジュール(MCM)は、CPUと周辺のロジックデバイスを含む複数のベアチップを1枚の基板へまとめた組立品です。ベアチップはウェーハから切り出した段階のチップで、パッケージはこの後の工程で付きます。

面積を広げるほど欠陥を抱える確率が上がる問題に対しては、縦へ積む道もあります。3D積層LSIはICチップを積み重ねた立体のLSIで9、MCP(マルチチップパッケージ)やPoP(パッケージオンパッケージ)のようにチップを積むだけのものと、直径数マイクロメートルのシリコン貫通ビアを作るものがあります。

1チップに作り込むか、基板へ載せるか
モノリシックIC1枚のシリコンへ一体で素子も配線も同じ工程列ハイブリッドICセラミック基板の上へ半導体デバイスと受動部品MCMマルチチップモジュール複数のベアチップを1枚の基板へ3D積層LSIICチップを縦へ積みます貫通ビアは直径数μm面積を広げると欠陥を抱える確率が上がるため、縦へ積むという道も加わりました
モノリシックICは1枚のシリコンへ一体で作り込みます。ハイブリッドICとMCMは、できあがった部品やベアチップを基板の上へ載せます。3D積層LSIはICチップを縦へ積み、直径数マイクロメートルのシリコン貫通ビアで上下をつなぐものもあります。

良品のダイは、前工程の最後のウェーハテストで選ぶ

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1か所の欠陥でダイ全体が落ちるので、良品のダイを選ぶ検査が要ります。テスタメーカーのアドバンテストが作るテスト・システムは、ウェーハを作る工程の最後と、パッケージ等を施した後の最終検査の工程で用いられます10。前者がウェーハテストで、ウェーハの状態の半導体のテストで前工程試験とも呼ばれ11、後者がパッケージテスト(後工程試験の総称)です。

前工程試験はテスタ+プローバー+プローブカード、後工程試験はテスタ+ハンドラ+パフォーマンスボード(ロードボード)の組み合わせです。ウェーハの状態のまま測る前者にはプローバーとプローブカードが入り、個々のデバイスを搬送する後者にはハンドラが入ります。

テストでは、半導体がきちんと動作するか、また求められている性能や耐久性を満たしているかを調べます。デバイスが設計どおりに動作するかを機能に応じたさまざまなパターンで試すファンクション試験のほか、タイミング試験、電気的特性試験などを行い、動作の可否に加えて、信号が変化する時刻(タイミング)と電圧・電流のふるまい(電気的特性)まで測ります。アドバンテストは、こうしたテストで不良の原因を解析し、半導体の良品率である歩留まりを向上させるとしています。

ウェーハテストが前工程の最後に入るので、パッケージへ進むダイは選別を通ったものになります。パッケージの工程には、ICチップのコンタクトパッドとリードフレームの端子をつなぐワイヤボンディングが入ります。

集積回路(IC)とは何ですか?

極めて小さな部品をダイの上に高密度に詰め込んだ電子回路の集合です。

ダイとは何ですか?

ウェハから切り出した半導体チップ1個分のことです。同じ1枚のシリコンの上に、トランジスタも配線もまとめて作り込みます。

モノリシックとハイブリッドの違いは何ですか?

ICにはモノリシックとハイブリッドの2種類があり、今日最も一般的に使われているのはモノリシックICです。モノリシックは1枚の基板上に一体で作る方式です。

なぜ1枚にまとめるのですか?

部品どうしの距離が縮むためです。距離が短ければ信号の遅れも消費電力も減り、部品を個別に組み立てる手間もなくなります。

まとめることの代償はありますか?

あります。同じダイの上で1か所でも欠陥が出れば、そのダイ全体が使えなくなります。面積が大きいほど欠陥を抱える確率が上がるため、集積度と歩留まりは引っ張り合いになります。

どこまで詰め込めますか?

ムーアの法則は、大規模集積回路のトランジスタ数がおよそ18か月ごとに倍になるという経験則です。この速度で密度が上がってきました。

ICとLSIはどこで区切りますか?

半導体集積回路(IC)の中で素子数が1000以上のものを大規模集積回路、LSI(Large Scale Integrated circuit)と呼びます。LSIはICの一種で、集積度がこの水準を超えたものへの呼び方です。

ディスクリートとICはどこが違いますか?

トランジスターやダイオードのように1素子が単独の機能を持つものがディスクリート(個別半導体)、複数の機能の素子を1チップに載せたものがIC(集積回路)です。区切りは、1チップへ載せた機能の数です。

ハイブリッドICはどんなものですか?

1枚のセラミック基板の上に半導体デバイスと受動部品を載せた電子回路です。モノリシックが1枚の基板上に一体で作るのに対し、こちらは基板の上へ部品を載せます。

どのダイが良品かはいつ分かりますか?

前工程の最後のウェーハテストです。ウェーハテストはウェーハの状態の半導体のテストで、前工程試験とも呼ばれます。パッケージの後には、後工程試験(パッケージテスト)が続きます。

平面の面積を広げる以外に集積度を上げる道はありますか?

ICチップを積み重ねた立体の3D積層LSIがあります。MCPやPoPのようにチップを積むだけのものと、直径数マイクロメートルのシリコン貫通ビアを作るものがあります。

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