サインオフタイミングとは
サインオフタイミングとは、製造へ渡す前に、すべての経路が 1 周期の中で信号を届けられるかを確かめる最終の段です。 ここを通れば版下が固まります。
平均の速さが足りていれば通る、と考えたくなります。しかし合否を左右するのは最も遅い 1 本で、それが周期を超えれば全体の周波数を落とすことになります。
最も遅い 1 本が、動作周波数の上限を作る
Section titled “最も遅い 1 本が、動作周波数の上限を作る”信号は、発する側のレジスタから配線と論理を通り、受ける側のレジスタへ届きます。この道のりが 1 周期に収まれば合格です。最も遅い経路がそのまま動作周波数の上限を作るので、1 本でも超えれば、周波数を落とすか、その経路を作り直すことになります。
GAA と裏面電源で、確かめる項目が増えた
Section titled “GAA と裏面電源で、確かめる項目が増えた”3nm までの FinFET から 2nm 以降の GAA、裏面電源構造など新構造が登場したため、新しいシグナルインテグリティやパワーインテグリティ、熱解析や構造解析、EMI 電磁界解析を確かめる必要があります1。ノイズや高周波解析、シグナルインテグリティはMaxwell の電磁界方程式を解いて確かめ、3D 集積回路が正常に動作するかも確かめる必要があります2。
ラピダスは、Siemens EDA の物理検証ツール Calibre と、AI を使った設計ツール Solido を使えるようパートナーシップを結びました1。タイミングだけを確かめて渡す時代から、電気と物理を合わせて確かめる段へ移っています。
電源の揺れも、タイミングを動かす
Section titled “電源の揺れも、タイミングを動かす”電源が揺れると、セルの遅延がその瞬間だけ伸びます。タイミングと電源の確かめが一体である理由です。パワーインテグリティ1も確かめる項目の一つで、裏面電源構造では経路そのものが変わります。
Intel は Intel 18A で RibbonFET と裏面電源供給を使うため、貼り付ける前にシグナルインテグリティや静電破壊対策、電磁波解析を確かめておく必要があります2。
熱も、同じ版下の上で確かめる
Section titled “熱も、同じ版下の上で確かめる”先端パッケージでは、CAD で形状を描いた後に熱や電流の分布をシミュレーションで表す必要があります2。同じ場所に発熱体があると 3D-IC はより多くの熱を出し、信頼性の上で問題が起きます。温度が上がればセルは遅くなります。熱の確かめは、タイミングの確かめの前提でもあります。
条件を厳しく取るほど、作り直しと期間が増える
Section titled “条件を厳しく取るほど、作り直しと期間が増える”条件を厳しく取れば、実物で動かなかった経路を先に取り除けます。その代わり合格までの作り直しが増え、期間が延びます。余裕を薄く取れば周波数を高く出せるものの、ばらつきや劣化で後から落ちる危険を抱えます。確かめる項目を増やせば見落としは減りますが、計算の資源と時間を使います。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”サインオフタイミングとは何ですか?
製造へ渡す前に、すべての経路が 1 周期の中で信号を届けられるかを確かめる最終の段です。
何が周波数を左右するのですか?
最も遅い経路です。1 本でも 1 周期を超えれば、その分だけ周波数を落とすことになります。
タイミング以外も確かめますか?
確かめます。シグナルインテグリティ、パワーインテグリティ、熱解析、構造解析、EMI 電磁界解析が対象です。
なぜ項目が増えたのですか?
3nm までの FinFET から 2nm 以降の GAA、裏面電源構造など新構造が登場したためです。
物理検証の道具は何ですか?
ラピダスは、Siemens EDA の物理検証ツール Calibre を使うパートナーシップを結びました。
ノイズの確かめ方は?
Maxwell の電磁界方程式を解いて、ノイズや高周波解析、シグナルインテグリティを確かめます。
パッケージまで含めますか?
含めます。3D 集積回路が正常に動作するかどうかを確かめる必要があります。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- 配置配線とは── 手前の段
- 信頼性シミュレーションとは── 物理側の確かめ
- スタンダードセルライブラリとは── 遅延の元になる部品
- 裏面電源供給とは── 項目が増えた原因の 1 つ