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信頼性シミュレーションとは

信頼性シミュレーションとは、作る前に熱や応力や電流の分布を計算して壊れ方を模擬する手法です。 実物を壊す試験の回数を減らせます。実物で確かめるのが確実ですが、チップ同士をくっつけた後で不良が出れば廃棄へ回るため、貼る前に確かめる必要が出てきました。チップの寸法、発熱しやすい回路の位置、パッドや電極の形といった入力が粗ければ、結果も粗くなります。

重ねたチップは熱と電流で影響し合い、重ねてから不良になれば手遅れ

Section titled “重ねたチップは熱と電流で影響し合い、重ねてから不良になれば手遅れ”

チップやチップレットを重ねたり共通基板上へ配置したりすると、熱や電流分布の影響を互いに受けやすくなります1。一度くっつけてしまったチップ同士で不良品が見つかれば廃棄へ回ります。そこで重ねる前にシミュレーションなどで熱歪や機械的なずれを評価しておきます2。

3D積層の向きのトレードオフ
配線を短くする配線長熱が集中上下発熱箇所発熱箇所をずらす配線長
配線の短さで性能を競う配置と、発熱箇所が一致しない配置はトレードオフの関係にあります。同じ場所に発熱体が重なると、熱が増えて信頼性の問題が起きます。

2種類のチップを積層する3D-ICの回路構成では、上下のチップをどの向きに置くかについて、配線の短さで性能を競う配置と、発熱箇所が一致しないようにする配置のトレードオフを検討する必要があります1。同じ場所に発熱体があれば3D-ICはより多くの熱を出すことになり、信頼性上の問題が起きます。どの向きにチップを配すると最も速く熱を逃がしやすいかは、事前に確かめられます。実際にくっつけてしまえば、手遅れです。

パッケージでは、反り、リフロー応力、亀裂、マイクロはんだの原子移動を先に通す

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先端パッケージで模擬する壊れ方
チップチップインターポーザ基板はんだリフロー時の応力・歪低誘電率材料の亀裂マイクロはんだのEM反り(膨張係数の差)
基板、インターポーザ、チップは熱膨張係数が違うので反りが出ます。リフロー時の応力や歪、低誘電率材料の亀裂、チップとインターポーザをつなぐマイクロはんだのエレクトロマイグレーションも、重ねる前に確かめます。

先端パッケージでは、基板やサブストレート、インタポーザなど異種材料との熱膨張係数の違いによる反り、はんだリフロー時の応力や歪、低誘電率材料の亀裂をクリアしておく必要があります2。チップとインタポーザのそれぞれの電極の接合に使われるマイクロはんだのエレクトロマイグレーションも指摘されています。3D-ICやチップレットなどの先端パッケージングでも、シミュレーションは必須になるとされています。

計算の前に、チップの寸法と発熱の情報をCADへ入れておく

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先端パッケージでは、機械設計のCADで形状を描いた後に、熱や電流の分布をシミュレーションで表す必要があります。そのために、各シリコンチップのサイズや厚さ、発熱しやすい回路の位置や温度などの情報から、あらかじめチップの外形をCADで作っておきます2。3次元実装では、各チップのボンディングパッドの位置、形状、面積も欠かせません。インターポーザやサブストレート上の電極のサイズ、位置、形状も、チップ同士の電極をつなぐための重要な情報です。

出てきた答えの見せ方にも要求があります。チップの機械的な反りや熱分布は、熱や電流の時間変化と分布を計算した数値だけでなく、3次元で、さらに時間を含めた4次元で可視化する必要があります。Maxwellの電磁界方程式を解いて、ノイズや高周波解析、シグナルインテグリティを確かめる必要もあります。リソグラフィでは、光学解析によって最適な光源形状やパターン形状を求める必要が出ています。熱・電磁界・光が、同じ設計の中で並びます。

製造プロセスの側にも入り始めています。2024年2月にIntelは、Ansysと包括契約を結び、熱や信号波形、電流分布など複数の物理現象を扱うAnsysのマルチフィジックスのシミュレーションツールを、Intel 18Aのプロセスへ導入すると発表しました1。

エレクトロマイグレーションは、電流密度から平均故障時間を見積もる

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EM寿命シミュレーションの流れ
CAD形状パッド・電極DC IR解析電流密度温度Icepakの分布または一様な値ブラックの式MTTFワイヤ・ビアごと警告・エラー
形状からDC IR解析で電流密度を出し、温度と合わせてブラックの式に入れます。得たMTTFを配線やビアごとに割り当て、あらかじめ設定したMTTFの時間をもとに警告やエラーを出します。

配線のエレクトロマイグレーションは、寿命の数字として見積もれます。AnsysのSIwaveが持つEM MTTFシミュレーションは、電子の流れによる金属配線の平均故障時間(MTTF)を推定します3。計算にはDC IR解析で求めた電流密度を使うので、先にIRドロップを見るDC IR解析を走らせないと実行できません。温度は一様な値を摂氏で与えるか、先に走らせたIcepakの熱解析から温度分布を取り込みます。

寿命の計算にはブラックの式を使い、式のパラメータと、警告やエラーを出すMTTFの時間を入力します。電流密度の指数nは、電流密度が0.1 MA/cm²以下と低いときは1に近く、電流密度が上がるにつれて2へ近づきます3。SIwaveでは、nを電流密度の区間ごとの一定値として入力します。結果をボンドワイヤやビアごとに割り当てるには、DC解析の段階でそれらにメッシュを切っておきます。

車の衝突実験を減らした道具が、半導体へ来た

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機械系のCADや物理現象のシミュレーションは、元々は自動車産業で使われてきました。クルマの衝突実験では、シミュレーションで車体の強度を確かめ、実際にクルマをつぶす実験の回数を減らせました。

壊す試験を減らすという目的は、半導体でも同じです。異なるのは、壊れる単位が1台からウェーハ1枚ぶんのチップへ移ることです。

廃棄を減らすかわりに、モデルづくりと計算資源を払う

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先に模擬すれば、くっつけた後の廃棄を減らせます。その代わり形状と材料のモデルを作る手間がかかり、入力が粗ければ結果も粗くなります。項目を増やせば見落としは減るものの、計算の資源と期間を使います。安全側へ寄せれば壊れにくくなりますが、性能と費用で払うことになります。

信頼性シミュレーションとは何ですか?

作る前に、熱や応力や電流の分布を計算して壊れ方を模擬する手法です。実物を壊す試験の回数を減らせます。

なぜ必要になったのですか?

一度くっつけたチップ同士で不良品が見つかれば廃棄へ回るため、くっつける前に模擬して熱歪や機械的なずれを確かめる必要に迫られました。

何を計算しますか?

先端パッケージでは、CADで形状を描いた後に熱や電流の分布をシミュレーションで表す必要があります。反りや熱分布は、数値だけでなく時間を含めた4次元で可視化する必要があります。

パッケージでは何を確かめますか?

異種材料の熱膨張係数の違いによる反り、はんだリフロー時の応力や歪、低誘電率材料の亀裂です。

接合部も対象ですか?

対象です。チップとインタポーザの電極に使われるマイクロはんだのエレクトロマイグレーションも指摘されています。電流密度と温度からブラックの式で平均故障時間を見積もるツールもあります。

積層の向きも決められますか?

上下のチップをどの向きへ配すると最も速く熱を逃がせるか、事前に確かめられます。配線を短くする配置と、発熱箇所を重ねない配置のトレードオフを検討します。

実物の試験は要らなくなりますか?

実物の試験を減らす手です。模擬で通った条件を、実物で確かめる順番になります。

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