FIT(故障率単位)とは
FITとは、半導体の故障率を表す単位です。 10⁹総動作時間あたりの故障数を意味し、1 FIT=1×10⁻⁹=1ppm/1,000hです。時間の単位が付いていても、製品1個の寿命とは別の量です。分母が、台数と時間を掛け合わせた総動作時間だからです。しかもTexas Instrumentsの例では、同じ製品のFITが温度の置き方だけで2桁変わるので、値を読むときは温度と信頼水準の前提を一緒に確かめます。
1 FITは、10億総動作時間あたり1個の故障
Section titled “1 FITは、10億総動作時間あたり1個の故障”FITは故障率の程度を示す単位で、故障数を稼働試料数と稼働時間の積で割った値です1。期間中の総故障数を期間中の総動作時間で割った値が平均故障率で、単位には%/1,000hやppm/1,000hも使われます。1 FITと1ppm/1,000hは同じ大きさで、%/1,000hに直すと0.0001%/1,000hに当たります。
100 FITは、製品1個が10⁷時間もつという意味ではない
Section titled “100 FITは、製品1個が10⁷時間もつという意味ではない”故障率が100 FITなら、故障の発生する確率は10⁷総動作時間で1個という意味で、個々の製品の寿命10⁷時間とは別の量です1。総動作時間は稼働試料数と稼働時間の積で、特定の1個の製品とは別の量です。1,000台を10,000時間動かせば総動作時間は10⁷になり、100 FITならその期間に1個の故障が出る計算です。
Texas Instrumentsも、FITは10⁹時間あたりの故障数という率であって絶対数ではなく、製品の使用期間全体で積み上げる必要があるとしています2。同社の例ではで換算し、1.9 FITを5.26×10⁸時間としています。この換算も、台数と時間の積に対する率を時間の形に書き直したもので、1個がその時間もつという保証とは別物です。
試験の値は係数を掛けて出し、加速係数で割って実使用へ直す
Section titled “試験の値は係数を掛けて出し、加速係数で割って実使用へ直す”信頼性試験の結果からは、JIS-C5003「電子部品の故障率試験方法通則」に沿って、故障数に信頼水準の係数を掛け、総試験時間で割って求めます。故障数がゼロの試験でも係数を使って値を出し、信頼水準60%の係数0.92を使って45個を1,000時間動かした例では2%/1,000hになります。FITに直すと約20,000 FITです。総動作時間が4.5×10⁴時間と小さいと、故障ゼロでも値はこの大きさになります。
こうして得た値は加速された試験条件下での故障率です。実使用条件の値にするには、加速係数で割ります。Texas Instrumentsは、FITを高温動作寿命試験から求め、加速にはアレニウスの式を使い、故障の時間分布は分布で近似できるとしています2。
同じ製品でも、FITは温度で2桁以上変わる
Section titled “同じ製品でも、FITは温度で2桁以上変わる”Texas Instrumentsは、製品が耐用期間の中で動いているという前提で、用途ごとの通電時のFITを計算する方法を示しています。2015年2月時点のTMS320F28355の例では、信頼水準60%、活性化エネルギー0.7 eVと置いて、55℃で2.26 FITでした2。同じ値は0℃では0.015 FITまで下がり、比べると約150倍の開きです。
そこで、製品がどの温度で何割の時間を過ごすかを書き出します。信頼性のモデル化では、この温度ごとの時間配分をミッションプロファイルと呼びます2。TIの例では、使用条件全体のFITを1.90と見積もり、最も厳しい85℃での19.88 FITと比べています。85℃にさらされるのは寿命の2%だけなので、最悪温度の値をそのまま使うと、全体の値と比べて約10倍の見積もりになります。FITの値は、どの温度を置いたかとセットで読む数字です。
壊れる故障も、値が反転する誤作動も同じ単位で数える
Section titled “壊れる故障も、値が反転する誤作動も同じ単位で数える”ある製品のソフトエラー率について、500個のサンプルで数百FITの実力を評価しようとすると、試験に要する時間は20,000時間以上になります1。ソフトエラーは放射線により生じる一過性の誤作動で、回路が健全なまま値だけが書き換わります3。
FITは素子が壊れる故障と、値だけが反転する誤作動の両方を数えます。したがってFITの値を比べるときは、何を数えたのかを添える必要があります。
少ない試料でも値は出るが、得られるのは母集団の平均
Section titled “少ない試料でも値は出るが、得られるのは母集団の平均”FITは台数と時間を掛け合わせるため、試料が限られていても長く動かせば値が出ます。その代わり得られるのは母集団の平均で、個々の製品がいつ壊れるかは別途の見積もりになります。試料を増やせば推定は確かになるものの、費用が増えます。信頼水準を上げれば安全側の値になりますが、同じデータでも故障率は大きく出ます。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”FIT とは何ですか?
半導体の故障率を表す単位で、10⁹総動作時間あたりの故障数です。
1 FIT はいくつですか?
1 FIT=1×10⁻⁹=1ppm/1,000hです。%/1,000hに直すと0.0001%/1,000hに当たります。
総動作時間とは何ですか?
稼働した試料の数と稼働時間の積です。台数が増えれば、同じ時間でも総動作時間は増えます。
100 FIT は何を意味しますか?
故障の発生する確率が10⁷総動作時間で1個という意味で、個々の製品の寿命が10⁷時間という意味ではありません。分母は台数と時間の積です。
なぜ読み違えやすいのですか?
時間の単位が付いているためです。実際には台数と時間の積に対する割合として定まり、製品の使用期間全体で積み上げて使う値です。
どうやって求めますか?
JIS-C5003に沿って、総故障数に信頼水準の係数を掛け、総試験時間で割ります。信頼水準60%では係数0.92を使い、加速試験の値は加速係数で割って実使用条件へ直します。
ソフトエラーでも使いますか?
使います。500個のサンプルで数百FITのソフトエラー率を測るには、20,000時間以上かかります。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- ワイブル分布とは── FIT が一定になる期間の判別
- ソフトエラー率とは── 同じ単位で数える別の現象
- 加速係数とは── 試験の値を実使用へ換算する倍率
- バーンインスクリーニングとは── 初期の FIT を下げる工程
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- 1ルネサス エレクトロニクス:半導体信頼性ハンドブック Rev.2.50(2017年1月)renesas.com abc
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