ATPG(自動テストパターン生成)とは
ATPG(自動テストパターン生成)(Automatic Test Pattern Generation)とは、故障モデルに基づき、回路内部の故障を活性化して観測できる入力の列を生成する作業です。 スキャンなどのテスト構造と回路のモデルを使います。
入力を増やしても故障が結果へ伝わらなければ検出できません。一方、少ないパターンへ多くの故障を詰めると、電力とタイミングの条件も複雑になります。ATPGの出来はカバレッジの数字で語られがちですが、その数字は仮定した故障に対するものです。品質を決めるのは、どの故障モデルを選び、現実の欠陥に近い故障からどれだけ拾うかです。
故障を起こす入力と、違いを観測点へ伝える経路を同時にそろえる
Section titled “故障を起こす入力と、違いを観測点へ伝える経路を同時にそろえる”ATPGは、仮定した故障が正常な回路と異なる値を生む条件を探し、その違いを観測点まで伝えます1。故障点に正常と異なる値を作るのが活性化、その違いを観測点まで伝えるのが伝搬です。どちらか一方だけでは検出になりません。故障シミュレーションで検出した故障を確かめ、パターンをまとめます。
故障モデルによって検出すべき条件が変わります。縮退故障と遷移遅延故障では検出に要る条件が異なり、同じパターンをそのまま流用できない場合があります。商用ツールも、静的な故障と遅延故障のパターン生成2を分けて機能に挙げています。
スキャンで値を入れ、回路を動かして取り込み、読み出す
Section titled “スキャンで値を入れ、回路を動かして取り込み、読み出す”スキャンテストで内部のフリップフロップへ値を入れ、回路を動かした後の応答を読み出します。ATPGが作るのは、この鎖へ入れる値の列です。
シフト中とキャプチャー時の電力を分けて確認します。スキャン中とキャプチャー時の反転数に上限を設けた低電力のパターン生成2を機能として備えるツールもあります。
ネットリストから検査装置まで、生成と故障シミュレーションを回す
Section titled “ネットリストから検査装置まで、生成と故障シミュレーションを回す”ネットリストとテスト構造、故障モデルと制約を読み込みます1。パターンを生成して故障シミュレーションを行い、圧縮と検証を済ませて検査装置へ渡します。動かせないクロックや固定信号などの制約には根拠を残し、検出範囲の除外と区別します。
Cadenceは、複数のマシンとCPUに分散してパターンを生成し、実行時間がほぼ台数に比例して縮むとしています。テスト時間そのものは設計の側でも縮められ、同社は配置配線ツールで入れるテストポイントを共有して、性能・電力・面積を落とさずにテスト時間を減らせるとしています。
故障カバレッジは、仮定した故障の検出率で、不良の検出率ではない
Section titled “故障カバレッジは、仮定した故障の検出率で、不良の検出率ではない”生成の後は、故障カバレッジ、未検出の理由、パターン数、テスト時間、電力と制約を管理します。到達できない故障と、探索が未決着の故障を分けます。モデルの故障を検出した割合は、現実に起きるすべての不良を検出した割合ではありません。
Siemens EDAは、検出した故障の数にもとづく従来のカバレッジ目標が、ある故障と別の故障の起きやすさの違いを考えていない3と指摘しています。同社のTessentは、総クリティカルエリアにもとづくATPGで、欠陥を検出する見込みの高い順にパターンを並べ替えられるとしています。
スキャンテストを通ってシステムレベルテストで落ちる不良の原因の一つには、テストパターン生成の穴が挙げられています。落ちた個体を調べる故障解析の側では、Cadenceが単一ダイと複数ダイの量産データを使った診断の機能として、物理的な欠陥位置の特定と、論理ゲートとメモリの根本原因の解析を挙げています。
故障モデルを増やすほど、パターンと実行時間も増える
Section titled “故障モデルを増やすほど、パターンと実行時間も増える”多くの故障モデルを扱うほど検査能力は増えますが、パターンと実行時間も増えます。品質要求と実際の不良機構に合わせてモデルを選びます。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”ATPG(自動テストパターン生成)は何をする工程ですか?
故障モデルに基づき、回路内部の故障を活性化して観測できる入力の列を生成する作業です。スキャンなどのテスト構造と回路のモデルを使います。
どの段階で行いますか?
ネットリストとテスト構造、故障モデルと制約を読み込みます。パターンを生成して故障シミュレーションを行い、圧縮と検証を済ませて検査装置へ渡します。
何を管理しますか?
故障カバレッジ、未検出の理由、パターン数、テスト時間、電力と制約を管理します。故障の数で数えるカバレッジは故障ごとの起きやすさを考えないので、欠陥を検出する見込みでパターンを並べ替える技術もあります。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”3件を表示
- 1ATPG(自動テストパターン生成)の公式技術資料synopsys.com ・ 2026年10月12日閲覧 ab
- 2Cadence:Modus DFT Software Solutioncadence.com ab
- 3Siemens EDA:Critical area based pattern optimizationstatic.sw.cdn.siemens.com ↩