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露光(リソグラフィ)とは

露光とは、マスクに描かれた回路パターンを、光を使ってウェーハ上のレジストへ転写する工程です。 半導体製造で寸法を左右する工程にあたります。寸法を縮める手は波長、開口数、k1k_1の3つで、ArF液浸ではk1k_1がすでに物理的な限界の近くにあり、最も細かい層は波長13.5nmのEUVが写します。全層がEUVになるわけではなく、層ごとに要る細かさに合わせて、i線からEUVまでの装置を割り当てて1枚のウェーハを仕上げます。

露光は、加工する場所をレジストの形で指定する

Section titled “露光は、加工する場所をレジストの形で指定する”

半導体の製造では、削る、積む、打ち込むといった操作を場所ごとに行い分けます。その「場所」を露光が指定します。ウェーハ全面を覆ったレジストのうち、光を当てた部分と当てなかった部分で溶けやすさが変わり、現像すると片方だけが形として保たれます。保たれたレジストが、次の工程で加工する場所と保護する場所を分けます。どこまで細かいパターンを分離できるかが、そのまま作れる回路の細かさになります。

Photolithographyは、紫外線または可視光を使い、フォトレジストを塗った基板へフォトマスクのパターンを露光して転写する工程です1。フォトマスクは、フォトレジストを塗ったウェーハへ回路パターンを転写するために、リソグラフィ露光装置で使う板です。フォトレジストは、露光と現像によって回路パターンを基板へ転写するための感光性の樹脂膜です。板が原版、樹脂膜が受け手、光がその間を運ぶ、という3点セットです。レジストの塗布とベーク、現像はコータ/デベロッパが担い、露光装置と一続きの流れで動きます。

装置としての中身は投影系です。ASMLの説明では、光をパターンの原版(マスクまたはレチクル)に通し2、パターンを載せた光を光学系で縮小して感光性のウェーハ上に結像させます2。

寸法を縮める道は、波長、開口数、k1の3本

Section titled “寸法を縮める道は、波長、開口数、k1の3本”

解像度は主に、使う光の波長とレンズの開口数で決まります。波長が短いほど、開口数が大きいほど、細かいパターンを分離します。露光技術の歴史は、この2つを改善し続けた歴史にあたります。

この関係は、レイリー基準と呼ばれる1本の式 CD=k1×λ/NA\mathrm{CD} = k_1 \times \lambda / \mathrm{NA}3 にまとまっています。CD\mathrm{CD}は描ける最小寸法、λ\lambdaは使う光の波長、NAはレンズがどれだけ光を集められるかを表す開口数です。k1k_1はチップ製造プロセス側の多くの要因で上下する係数で、物理的な限界は0.25です。波長が分子に、開口数が分母にあるので、寸法を小さくする道は3本です。λ\lambdaを短くするか、NA\mathrm{NA}を大きくするか、k1k_1を0.25へ近づけるかです。ASMLは、短い波長と大きなNAを組み合わせ、k1k_1をできるだけ物理的な限界へ近づける3ことで小さなCD\mathrm{CD}を得るとしています。

波長と解像度
13.5193248365波長(nm、対数)解像度(nm、対数)i線(FPA-5550iZ2)350nm以下KrF(FPA-6300ES6a)90nm以下、NA 0.86〜0.50ArF液浸(NSR-S636E)38nm以下、NA 1.35EUV、NA 0.558nm
波長が365nmから193nmへ下がる間に、解像度は350nm以下から38nm以下へ縮みました。波長13.5nmのEUVはNA 0.55で8nmまで描きます。

波長の世代差は、製品の解像度の値にそのまま出ています。キヤノンのFPA-5550iZ24は光源がi線365nmで解像度350nm以下、FPA-6300ES6a5はKrF 248nmで解像度90nm以下、開口数0.86〜0.50の自動可変です。ニコンのNSR-S636E6はArFエキシマレーザ193nm、開口数1.35、解像度38nm以下です。

NSR-S636Eの3つの値を式に当てはめると、k1k_1は約0.27です。この値で見ると、ArF液浸のk1k_1は物理的な限界0.25のすぐ手前にあります。波長を短くする側の答えがEUVで、波長わずか13.5nm、ほぼX線の領域の光でチップを描きます7。ASMLは、NA 0.55の新しい光学系が13.5nmのEUV光源で、わずか8nmの解像度で描くとしています7。

量産の光源はDUVとEUVで、EUVは最も細かい層だけを写す

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現在の量産ではDUV(深紫外線)とEUV(極端紫外線)が使われます。ASMLの説明では、EUVはチップの最も複雑な層を描き、残りの層はさまざまなDUVシステムで描きます7。ASMLは、液浸システムを業界の主力としています8。同社の製品には、ArF液浸のTWINSCAN NXT:2150iやKrFドライのTWINSCAN XT:1060Kなどがあり、EUVではNXEおよびEXEシリーズがあります7。

EUVの光は、レーザーで錫を蒸発させて作ります。ASMLの装置では、CO2レーザーが高速で動く錫の液滴へ2つのレーザーパルスを撃ち、錫を蒸発させてEUV光を出します7。これを毎秒最大50,000回7くり返します。

量産機に至るまでの年数も長くかかりました。ASMLによれば、1994年にASMLを含む半導体業界の企業連合が実用化の取り組みを始め7、最初の試作機を届けました。2008年春には、College of Nanoscale Science & Engineeringがデモ機で世界初のフルフィールドEUVテストチップを作り7、最初のEUV量産機TWINSCAN NXE:3300は2013年に出荷されています7。ASMLは、17年間でEUVの研究開発に60億ユーロ超を投じ、光源技術のCymerを買収したとしています7。

露光フィールドは、1回の露光でレジストへ写せる長方形の大きさです。FPA-5550iZ2、FPA-6300ES6a、NSR-S636Eは、いずれも26mm×33mmです。世代も光源も別なのに、この寸法だけは共通です。

直径300mmのウェーハは、この長方形よりはるかに広い面積を持ちます。そこで露光装置は、パターンを写したあとにウェーハをわずかに動かし、ウェーハ上へもう1つの複製を作ります2。キヤノンとニコンのスループットは、どちらも300mmウェーハ96ショットの条件での値です。1枚のウェーハを96回に分けて写すという意味です。

レチクルとショット
152mm(6インチ)レチクルパターン 104mm×132mm1:4で縮小1ショット 26mm×33mm300mmウェーハ、96ショット
レチクルの絵はウェーハ上の4倍の大きさで、1回の露光で26mm×33mmの1ショットに縮めて写します。300mmウェーハ1枚は、この長方形を96回並べて覆います。

マスク側の絵は、ウェーハに写る絵の4倍の大きさで作られます。3機種とも縮小倍率は1:4です。FPA-6300ES6aのレチクルサイズは6インチで、152mm角のガラス原版の上に、ウェーハ上で26mm×33mmになる絵が描かれています。26mm×33mmを4倍にすると104mm×132mmで、152mm角の板に収まる大きさです。原版を4倍で作れるぶん、原版側の加工はウェーハ側より寸法にゆとりを持ちます。

ステッパーは1区画を一括で、スキャナーは走らせながら写す

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Stepperは、ステージに載せたウェーハへ、フォトマスク(レチクル)の回路パターンをレンズで光学的に縮小して転写する装置です9。FPA-5550iZ2は、露光領域を一括で露光するステッパーです。1区画をまるごと一度に写し、ウェーハを1歩ずらし、また写します。stepという語が、そのまま動作を指しています。

スキャナーは、マスクとウェーハを同期して走らせながら写す方式です。FPA-6300ES6aはキヤノンが高生産性をうたうKrFスキャナー、NSR-S636EはArF液浸スキャナーです。先端の層を担うのは、こちらの方式です。

層ごとに要る細かさが違うので、装置も層ごとに割り当てる

Section titled “層ごとに要る細かさが違うので、装置も層ごとに割り当てる”

1枚のチップを作る間に、露光は何度もくり返されます。層ごとに要る細かさが異なるため、装置も層ごとに割り当てられます。ニコンは、NSR-S636Eをクリティカルレイヤー向け、NSR-S625Eをミドルクリティカルレイヤー向けの先端半導体構造に最適なArF液浸スキャナーとしています10。層の側に等級が付いていて、装置がその等級へ割り当てられています。

キヤノンのi線ステッパーFPA-5550iZ2は、スキャナーとのミックスアンドマッチに対応します。細かさを要する層はスキャナーで、粗くてよい層はi線ステッパーで写し、1枚のウェーハを複数の装置で仕上げる運用です。365nmのi線を使う装置がいまも現役でカタログに載っている理由が、ここにあります。

液浸を使わないドライの装置にも、用途ごとの課題があります。ASMLは、3D NANDメモリーが主流になったことを受けて、全ドライシステム向けに、高段差の積層膜やウェーハの反りといった課題に応えるオプションをそろえたとしています8。

重ね合わせ精度は、解像度とは別の能力

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露光装置のカタログには、解像度と並んで重ね合わせ精度という項目があります。チップは何十枚もの層を積み上げて作るので、いま写す層は、下にすでにある層とぴったり重なる必要があります。このずれの大きさが重ね合わせ精度です。解像度は1本の線をどこまで細く写せるかを表し、重ね合わせ精度はその線を下の層へどこまで正確に載せられるかを表します。前者は波長と開口数の側の量、後者はステージと位置合わせの側の量です。ニコンがNSR-S636Eで重ね合わせ精度とスループットを高レベルで両立したとうたうのも、この2つが別の軸だからです。

値は、FPA-5550iZ2(i線ステッパー)がSMO18nm以下・MMO25nm以下(オプション適用時)、FPA-6300ES6a(KrFスキャナー)が5nm以下(オプション適用時)、NSR-S636E(ArF液浸スキャナー)がMMO2.1nm以下です。ASMLは、デュアルステージのi線ドライシステムが200mmと300mmのウェーハにウェーハ全面で20nm以下の重ね合わせで描くとしています8。

測る側の道具も、線幅と重ね合わせで別々です。線幅はCD-SEMが測り、重ね合わせは専用の計測装置が測ります。ASMLは、光学およびe-beamのウェーハ計測・検査製品が量産の前と最中にパターン品質を素早く正確に測るとしています11。YieldStar 1385はエッチング後のプロセス監視に向けたデバイス内重ね合わせの光学計測、YieldStar 500はTWINSCANステージを活かしたエッチング前の重ね合わせ計測で、ASMLはどちらも高速・高精度とうたっています。露光装置の側でも、ASMLはセンサーのデータと、回折を使う計測、電子ビーム計測を使ってチップ生産を最適化するとしています2。エッチングの前と後の両方に、測る段階が用意されています。

前で測る段階がある理由は、レジストの性質にあります。レジストはあとから落とせる膜で、レジスト剥離にはプラズマアッシャ、オゾンアッシャ、ウェットステーションを使います12。エッチングへ進む前であれば、ウェーハの上にあるのは現像したレジストの形だけです。そのため、測った値が基準の外にあった場合、レジストを落として塗り直し、もう一度露光する道が開いています。エッチングまで進むと、下の層そのものが削られたあとになります。

塗布と現像は、露光装置より速く回す

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露光装置は工場のなかでも高価な装置です。そのため、前後のコータ/デベロッパは、露光装置を待たせるより速く回るように作られています。SCREENのDT-300013はコータ/デベロッパで、露光装置と連結して1つの流れとして運用されます。SCREENは、DT-3000を1時間あたり450枚超のデュアルトラックシステムとし、コータ/デベロッパの工程を動かし続けることで、高価な露光スキャナーの時間を活かし、リソグラフィセル全体のウェーハ出力と生産性を最適化するとしています。

1時間あたりの処理枚数
NSR-S636E(ArF液浸)FPA-6300ES6a(KrF)NXT:870B(KrFドライ)DT-3000(塗布・現像)280枚以上300枚以上400枚450枚以上300mmウェーハ/時
露光装置が1時間に280〜400枚を処理するのに対し、塗布と現像を担うDT-3000は450枚以上を回します。

NSR-S636Eは1時間あたり280枚以上、FPA-6300ES6aは300枚以上で、いずれも300mmウェーハ96ショットの条件です。DT-3000はその1.5倍を超える450枚以上です。塗布と現像の側が余力を持つため、露光装置は次のウェーハをすぐ受け取れる状態で回ります。ASMLは、デュアルステージのKrFドライシステムTWINSCAN NXT:870Bが、300mmウェーハを1時間あたり400枚という業界初のスループットで露光するとしています。

止めない工夫は保守にも及びます。SCREENは、DT-3000のデュアルフロー構成でウェーハの処理ラインを独立して動かせるため、生産を続けたまま保守ができ、装置の停止時間を大きく減らせるとしています13。

露光はリソグラフィの一段階で、マスクとレチクルは同じ板を指す

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露光とリソグラフィは、指す範囲が異なります。Photolithographyは塗布から現像までを含む一続きの工程を指し、露光はそのうち光を当てる段階です。日常の会話では、露光装置とリソグラフィ装置が同じ装置を指す言い方として通ります。

マスクとレチクルも、同じ板を指す場面が多くあります。Stepperの定義でも「フォトマスク(レチクル)」と併記されており、ASMLも原版を「マスク」または「レチクル」と呼んでいます。縮小投影の原版という意味では、同じ板です。

この用語に対応する装置と製造メーカー

Section titled “この用語に対応する装置と製造メーカー”

装置カタログDBから、この用語に一致する製品familyを持つメーカー 13社/16family を引いています。 各行は各社の公式製品ページを出典とします。 DBからの生成日: 2026-08-22

出典は各社の公式製品ページです。 装置カタログDB では、同じ製品familyを工程・メーカー横断で検索できます。

露光とは何ですか?

マスクに描かれた回路パターンを、光を使ってウェーハ上のレジストへ転写する工程です。転写したパターンは現像で形になり、エッチングによって下の層へ写されます。半導体製造で寸法を左右する工程にあたります。

解像度は何で決まりますか?

主に光の波長と、レンズの開口数です。波長が短いほど、開口数が大きいほど、細かいパターンを分離します。式で書くと CD = k1 × λ / NA で、プロセス側の係数k1の物理的な限界は0.25です。

どんな光を使いますか?

世代によって変わります。現在の量産ではDUV(深紫外線)とEUV(極端紫外線)が使われます。EUVは波長13.5nmの光でチップの最も細かい層を描き、残りの層はArFやKrFなどのDUVシステムで写します。

露光装置だけで工程は完結しますか?

一連の工程の一部です。レジストの塗布とベーク、露光、現像が一続きの流れになります。塗布と現像はSCREENのDT-3000のようなコータ/デベロッパが担い、露光装置と連結して運用されます。

ステッパとスキャナの違いは何ですか?

露光の動かし方が違います。ステッパは一区画を一度に露光してウェーハを移動させ、次の区画を露光します。スキャナはマスクとウェーハを同期して走らせながら露光します。現在の先端装置はスキャナ方式です。

露光装置のメーカーはどこですか?

当サイトの装置カタログDBでは、リソグラフィに一致する製品familyを持つメーカーを公式製品ページ単位で引けます。ASML、ニコン、キヤノン、SCREEN、ニューフレアテクノロジー、JEOLなどが該当します。

1回の露光でウェーハ全面を写せますか?

1回の露光が覆うのは露光フィールドと呼ばれる長方形の範囲までで、キヤノンとニコンのi線ステッパーからArF液浸スキャナーまで26mm×33mmです。300mmウェーハのスループットは96ショットの条件で示され、1枚を96回に分けて写します。

重ね合わせ精度とは何ですか?

いま写す層が、下にすでにある層とどれだけぴったり重なるかを表す量です。キヤノンFPA-5550iZ2(i線ステッパー)でSMO18nm以下・MMO25nm以下、キヤノンFPA-6300ES6a(KrFスキャナー)で5nm以下、ニコンNSR-S636E(ArF液浸スキャナー)でMMO2.1nm以下です。

マスクの絵とウェーハに写る絵は同じ大きさですか?

マスク側が4倍の大きさです。キヤノンとニコンの縮小倍率は1:4で、キヤノンFPA-6300ES6aのレチクルサイズは6インチです。152mm角のガラス原版に、ウェーハ上で26mm×33mmになる絵が描かれています。

古い波長の露光装置はいまも使われますか?

使われます。層ごとに要る細かさが異なるため、装置を層ごとに割り当てるからです。ニコンはArF液浸スキャナーをクリティカルレイヤー向けとミドルクリティカルレイヤー向けに分け、キヤノンのi線ステッパーFPA-5550iZ2はスキャナーとのミックスアンドマッチに対応します。

露光をやり直す道はありますか?

エッチングへ進む前であれば開いています。その段階でウェーハの上にあるのは現像したレジストの形だけで、レジストはプラズマアッシャ、オゾンアッシャ、ウェットステーションで剥離できます。エッチング前の重ね合わせを測る計測装置もあります。

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