スピンコートとは
スピンコートとは、液を回転で広げて、基板へ均一な薄膜を塗る工程です。 中央へレジストを供給し、遠心力で外側へ広げながら溶剤を蒸発させます。膜厚に最も大きく効くつまみは、最終回転数と液の粘度の2つです。難しいのは平らな面の中央ではなく、段差の上と基板の外周です。回転を速めれば薄い膜を作りやすくなりますが、段差への被覆や外周の形状は別に管理します。
中央に落とし、急加速で広げ、一定回転で膜厚を決める
Section titled “中央に落とし、急加速で広げ、一定回転で膜厚を決める”SEAJの定義では、スピンコートはコーターと呼ばれる塗布装置でレジスト溶液をウェーハ上に滴下し、ウェーハを回転させて塗ることです1。レジストの組成物は有機溶剤に溶かしてあり、その溶剤にはPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)などが使われます。基板は真空チャックに載せます。Laurellは、高い回転数と加速に耐えるには基板がチャックの面を完全に覆って真空で密閉する必要があるとし2、中心をきちんと合わせると回転中の不安定が減るとしています。
典型的な手順では、回転しているウェーハの中央にレジストを落とし、回転数を一気に上げて中心から外周へ均一に広げます3。この広げる段の後に一定回転の段が続き、最終の膜厚が決まり、溶剤が蒸発して膜がある程度固まります。回っている基板へ落とす方法を動的吐出、止まった基板へ落とす方法を静的吐出と呼びます。粘度がとても高いレジストは静的吐出のあと回転を上げることが多く、膜は厚くなり、膜厚の均一性が上がる場合もあります。
膜厚に最も効くのは最終回転数と粘度
Section titled “膜厚に最も効くのは最終回転数と粘度”一定回転の段で回転数を上げるほど膜は薄く、下げるほど厚くなります3。Laurellは、最終膜厚はいくつかの要因で決まり、中でも最終回転数と材料の粘度が最も大きく効くとしています2。そのうえで、加速、吐出量、温度、乾燥を合わせて膜厚を管理します。厚膜は乾燥に時間がかかり、急な加熱で気泡が生じやすくなります。
弱点は段差の上と、外周の厚い帯に出る
Section titled “弱点は段差の上と、外周の厚い帯に出る”スピンコートの欠点の一つは、基板の段差を部分的に平坦化してしまい、段差の上で膜厚が局所的にばらつくことです3。長方形や変形した基板では別の塗布法のほうが角の近くまで膜厚がそろう場合があり、条件を詰めたスプレー塗布は段差の上でより良い被覆を作れます。
丸い基板をスピンコートすると、外周の縁に沿って幅2〜5mmの、非常に厚いレジストの帯ができます3。この帯を除くのがEBR(エッジビード除去)で、ゆっくり回すウェーハ(約500〜800rpm)の縁に沿って溶剤の混合液(AZ EBR 70/30など)を吹き付ける方法が一般的です。
塗った後は、膜厚と外周と抜けを見て条件を戻す
Section titled “塗った後は、膜厚と外周と抜けを見て条件を戻す”塗布前に基板を洗浄・乾燥し、必要な密着処理を済ませます。液を供給して回転し、外周をEBRで整えてからPABへ進みます。処理後は、面内膜厚、中心から外周までの均一性、塗布抜け、気泡、外周の盛り上がりを膜厚測定と外観で確認します。膜厚だけが合っていても、外周の残膜や乾燥むらがあれば露光・現像の欠陥へつながります。粒子や泡のように塗布の段で入る欠陥もあります。次工程のベーク後にも膜厚と外観を測り、塗布条件と乾燥条件を分けて戻します。
フォトマスクや絶縁膜の塗布にも同じ回転塗布を使う
Section titled “フォトマスクや絶縁膜の塗布にも同じ回転塗布を使う”フォトマスクの製造でも、描画前にマスクブランクへレジストを塗布します。東京エレクトロンのCLEAN TRACK ACT Mは、フォトマスク向けにレジスト塗布、現像、PEBの各モジュールを備えています4。マスクレジスト塗布では、描画する面の膜厚と塗布むらを管理し、乾燥・ベークを経て電子ビーム描画へ渡します。ウェーハ向けの回転数や外周処理条件を、そのままマスクへ適用することはできません。
回転塗布はレジスト以外の膜にも使われます。同社のCLEAN TRACK ACT 12 SODは、Low-k絶縁膜を塗布・ベーク・硬化できるスピンオン誘電体の装置です4。75〜200mmウェーハ向けのコーター/デベロッパ CLEAN TRACK ACT 8Zは、市場で顧客の信頼を得てきたACT 8の刷新版として2023年に発売したと同社は説明しています。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”スピンコートは何をする工程ですか?
液を回転で広げて、基板へ均一な薄膜を塗る工程です。中央へレジストを供給し、遠心力で外側へ広げながら溶剤を蒸発させます。最後の一定回転の段で膜厚が決まります。
どの段階で行いますか?
塗布前に基板を洗浄・乾燥し、必要な密着処理を済ませます。液を供給して回転し、外周をEBRで整えてからPABへ進みます。
どこを管理しますか?
回転数と加速、液の粘度、吐出量、温度、乾燥を合わせて膜厚を管理します。中でも最終回転数と粘度の影響が大きく、回転数を上げるほど膜は薄くなります。中央の膜厚だけでなく、外周の盛り上がりと塗布抜けも確かめます。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- フォトレジスト── 関連する工程・材料の説明
- コーター/デベロッパ── 関連する工程・材料の説明
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- 1SEAJ 半導体製造装置用語集seaj.or.jp ・ 2026年10月12日閲覧 ↩
- 2Laurell Technologies:Spin Coating Basicslaurell.com ab
- 3Integrated Micro Materialsimicromaterials.com ・ 2026年10月12日閲覧 abcd
- 4東京エレクトロン CLEAN TRACK ACT Mtel.com ・ 2026年10月12日閲覧 ab